暗号資産(仮想通貨)のOTC取引とは?メリットやリスクは?

近年急速に規模が拡大しているのが、暗号資産(仮想通貨)のOTC取引です。この形態の売買には、メリットとともにリスクも存在します。

そこでこの記事では近年大きく市場を拡大しているOTC取引の現状と、利用時の注意点について解説します。

なお、2020年8月時点にて、ビットコイン(BTC)、イーサリアム(ETH)、リップル(XRP)、ライトコイン(LTC)、ビットコインキャッシュ(BCH)のOTC取引を受け付けていますので、大口取引を行う際にはご検討ください。

暗号資産のOTC取引とは?

ビットコイン(BTC)
一般的にOTC取引とは、元々は証券取引の世界で使われていた言葉です。

通常、株式などの有価証券は取引市場で売買されますが、それとは別に、証券会社が手持ちの債券などを大口投資家と直接売買することがあります。

市場を通さず、証券会社の窓口カウンター越しに行われる取引ということから「Over The Counter」、略してOTC取引と呼ばれるわけです。

暗号資産の場合は、Coincheckなどの暗号資産交換業者が提供する「大口取引のお客様を対象とした大口OTC取引サービス」「取引所や市場を通さず、個人や企業が直接暗号資産の売買を行うこと」の2つをさすこともあります。

こちらの記事では主に「取引所や市場を通さず、個人や企業が直接暗号資産の売買を行うこと」ついてご紹介しますが、この場合は、あなたが持っているビットコイン(BTC)を適価で知り合いに売る、あるいは知り合いが保有しているイーサリアム(ETH)と交換するというケースが、OTC取引にあたります。

急速に拡大している暗号資産のOTC市場

暗号資産のOTC取引は、現在急速に拡大しています。

過去には、アメリカの取引所が扱っていたOTC取引の総額が、1年間のうちに10倍にもなった時期がありました。また、中国では2017年9月に暗号資産の取引そのものが強力に規制されたことから、規制をかいくぐる形でOTC取引が普及しました。

無料通話サービスが普及した

OTC取引がここまで広がっている背景には、無料通話サービスが普及したことが要因として挙げられます。

OTC取引は、企業あるいは個人同士の取引となり、このやりとりのツールとしてよく使われているのが無料通話サービスだといわれています。

例えば、保有している暗号資産を売りたい場合、無料通話サービスのチャット機能で「売り」の情報を提示し、それに対して買い手がOKすると、送金時期や口座などの情報をやりとりして売買が成立となります。

無料通話サービスは世界中にユーザーがいますから、暗号資産の買い手・売り手を見つけるには絶好のツールです。こうしたことから、暗号資産のOTC取引のほとんどは、無料通話サービスを介して行われているといわれます。

暗号資産のOTC取引の特徴とは?

ビットコイン(BTC)
OTC取引は当事者同士で取引するわけですが、取引量の制限がない、市場からの影響を受けないといった特徴があります。

それぞれの特徴について確認しておきましょう。

取引量の制限がない

一般的に、暗号資産の取引所では、一度に取引できる限度量が決まっています。

しかし、売り手と買い手の合意のみで成立するOTC取引ならば、一切の制限がありません。そのため、暗号資産取引の大口投資家にとって、OTC取引はとても使いやすい取引形態なのです。

大量の売買でも市場からの影響を受けない

大量の暗号資産を市場で買い付けると、とたんに市場価格が急騰します。

すると、企業も個人もその動きを見て「価格が上がっている」と、一斉に買いに走る傾向となり、ますます価格が上昇する場合があります。反対に、大量の売りを出せば「相場は売り局面だ、ここは自分も売っておこう」ということになり、相場は一気に下落することもあります。

つまり、大量の売買を市場で行うと、それだけで価格が大きく上下してしまい、市場を混乱させることになります。しかし、市場を通さないOTC取引であれば、このようなことは起こりません。

暗号資産のOTC取引で注意したいポイント

ビットコイン(BTC)さて、暗号資産のOTC取引にはリスクも存在します。

場合によっては大きな損失につながることもありますから、OTC取引を行うときには、これらの点をしっかり理解し、万全を期して行うようにしてください。

スプレッドが広くなる傾向がある

OTC取引では、取引所を介する場合に比べ、スプレッド(売値と買値の差)が大きくなる傾向があります。

安く買って高く売りたいのは誰でも同じですから、これは仕方のないところでしょう。しかし、取引総量の制限がないことから、1回の注文で取引を完了することができるのがOTC取引のメリットです。

取引所で複数回に分けて売買を繰り返すと、その度に手数料が発生する場合がありますから、取引所よりも得な売買ができる可能性もあります。

詐欺被害のリスクがある

OTC取引は取引所という仲介者がいないため、取引に関してはすべて自己責任で行うことになります。

そのため、詐欺に悪用されるケースが後を絶ちません。2018年には2億円近い暗号資産をOTC取引で詐取したとして、兵庫県の詐欺グループが逮捕されるという事件がありました。

こうしたリスクを避けるためには、取引相手がどんな人物なのかを見極める必要があります。

大手暗号資産の取引所のOTC仲介サービスもある

ビットコイン(BTC)
拡大していくOTC取引と、仲介者がいないことによるリスクの存在。その状況から、大手暗号資産の取引所がOTC取引の仲介を手掛けるようになりました。先述した「大口取引のお客様を対象とした大口OTC取引サービス」のことです。

一般の取引のように、「PCやスマートフォンでいつでも手軽に…」という形ではなく、一定以上の高額取引のみを扱い、レートも取引内容によって別途設定しているところが多いです。

取引所がOTC取引を扱うことによって、取引にかかわる「信用」という部分が一気に解決できます。これまで、大口取引をしたいと思いながらも、「やはり詐欺が心配だし、相手の信用度も測れない」と二の足を踏んでいた方にとっては朗報でしょう。

2020年8月時点にて、ビットコイン(BTC)、イーサリアム(ETH)、リップル(XRP)、ライトコイン(LTC)、ビットコインキャッシュ(BCH)のOTC取引を受け付けています。

暗号資産の大口取引を行う際には、まずはCoincheckでの口座開設が必要です。口座開設はインターネット上から簡単にできますので、ご検討ください。

執筆Coincheck Column編集部

Coincheck Column編集部は暗号資産の取引経験者やブロックチェーンの知見に深いメンバーで構成されています。これから暗号資産を始める方々に「暗号資産について正しく理解していただき安心して取引できる」ことを目的に執筆しています。/ 運営元:コインチェック株式会社