イーサリアムクラシック(ETC)の将来性は?気になる今後や基本的な特徴について解説!

イーサリアム(ETH)といえば、数ある仮想通貨(暗号資産)の中でも第二のビットコイン(BTC)と呼ばれることもあるほど、人気の高い通貨です。

そんな、人気のイーサリアムから分岐して誕生したのが、イーサリアムクラシック(ETC)です。

本記事では以下の項目について、詳しく焦点を当ててご紹介していきます。

*※2021年9月1日(火)現在、暗号資産取引所Coincheckでは、イーサリアムクラシック(ETC)の売買を停止しております。*

執筆Coincheck Column編集部

Coincheck Column編集部は仮想通貨の取引経験者やブロックチェーンの知見に深いメンバーで構成されています。これから仮想通貨を始める方々に「仮想通貨について正しく理解していただき安心して取引できる」ことを目的に執筆しています。/ 運営元:コインチェック株式会社



イーサリアムクラシック(ETC)の今後の将来性について

イーサリアムクラシック(ETC)の将来性

イーサリアムクラシックは、イーサリアムのスマートコントラクトを利用しつつ、スケーラビリティ問題に対応することで、IoT(Internet of Things)分野での活用に焦点をあてた開発が進められています。

スマートコントラクトにおける分野では、完全にイーサリアムが権力を握っているとも言えます。そのため、イーサリアムクラシックが同じ特性でイーサリアムと張り合っても勝ち目は薄いと言えるでしょう。

そのようなことから、イーサリアムクラシックはIoT分野という新しい分野へ、方向転換を行いました。

IoT分野について

IoT(Internet of Things)分野では多様なセンサーを接続して膨大な量のデータを処理することから、接続するセンサーの数が多くなってもデータの処理能力が悪化しないような性能が必要になります。

イーサリアムではデータの処理数が増えるとネットワーク使用の手数料が高騰するため、IoTのような小さな処理を多数行う場合には不向きといえるでしょう。そのため、手数料が比較的安いイーサリアムクラシックを活用しようといった考えになっているようです。

また、イーサリアムクラシックでは、The DAO事件の経験からセキュリティが非常に高くなっています。セキュリティを高くするとIoT(Internet of Things)との相性が良くなると言われています。

このように、イーサリアムクラシックでは、ブロックチェーン技術とIoT技術とを融合させたシステムの構築が進められています。

サイドチェーン

加えて、イーサリアムクラシックでは、サイドチェーンの実装を目指しています。サイドチェーンとは、メインチェーンとは別のブロックチェーンを利用することで様々な機能を実現したり、手数料を下げようとしたりとしようとする技術です。

サイドチェーンが実装されれば、これまで以上にスマートコントラクトをスムーズに使用することができます。このようなことから、イーサリアムクラシックは将来性の高い仮想通貨と言われています。

2017年12月の仮想通貨ブームがピークに達したときには、イーサリアムクラシックは高値を更新し、分裂当初の価格から40倍以上にまで価格が高騰しました。

イーサリアムクラシック(ETC)とは?誕生の経緯について

イーサリアムクラシック

通貨名 イーサリアムクラシック
通貨単位 ETC
誕生 2016年
価格(2022年3月2日時点) 約3,500円
時価総額(2022年3月2日時点) 約4,600億円(38位)
発行上限枚数 約2億1,000万枚〜約2億3,000万枚
コンセンサスアルゴリズム PoW(Proof of Work)
ホワイトペーパー Ethereum Classic Whitepaper
公式サイト Ethereum Classic

2016年に、イーサリアム上に作られた「The Dao」というサービスが、ハッキングにより約360万ETH(当時65億円相当)もの資金を盗まれる事件が起きました。

この時の被害額は同サービスがイニシャル・コイン・オファリング(ICO)で調達した総額約150億円の1/3以上に当たります。

The DAO事件の発生を受けて、イーサリアムの開発チームは「ハードフォークによって不正送金が行われる前の状態に戻す」という手段で解決を図りました。

The DAO事件とは?

2016年当時、イーサリアム(ETH)はスマートコントラクト機能によって、さまざまな場面で活用されていました。ゲーム開発や各種の契約、また、主にERC20と呼ばれる形式の新規の仮想通貨を発行することで資金を調達するICOなど、多くのプロジェクトが、分散型アプリケーションの総合プラットフォームであるイーサリアム(ETH)上で動いていました。

その中のひとつで、投資ファンドを非中央集権で行うことを目的としたプロジェクト「The DAO」がサイバー攻撃を受け、60億円相当が盗まれてしまったのです。

事態を収拾するため、イーサリアム(ETH)の運営チームは、事件が起こる直前の状態にまで、取引記録であるブロックチェーンを巻き戻す、という決断をしました。その間に行われた取引は、サイバー攻撃による被害も含めて、すべて「なかったこと」にされたのです。

イーサリアム(ETH)がハードフォーク

この解決案は、イーサリアムのデータをハッキング前の状態に戻すことによって、ハッキング自体をなかったことにする仕様変更のことで、「ハードフォーク案」と呼ばれています。

最終的にハードフォーク案が実行されたことで、The Dao事件は解決したかのように見えました。しかしながら、イーサリアムの開発チームによる介入が非中央集権的な仮想通貨の理念に反するとして、一部のコミュニティが反発を示しました。

これによりイーサリアムコミュニティは、ハードフォーク案を主張したイーサリアムと、非中央集権性を重視し、The DAO事件の巻き戻しの拒否を主張したイーサリアムクラシックに分岐しました。

イーサリアムクラシック(ETC)が誕生

このように、The Dao事件をきっかけに、本家イーサリアムの性質をそのまま受け継いだ新しい仮想通貨として、イーサリアムクラシックが誕生したのです。

イーサリアムクラシックには2021年8月時点で主要な開発チーム9つがあり、本家イーサリアムの創設メンバーである数学者のチャールズ・ホスキンソンが立ち上げたInput Output HK、通称IOHKという会社も携わっています。
IOHKは東京工業大学と共同研究研究講座を開講しており、大学などの研究機関への投資も行っています。

イーサリアムクラシックは、分裂以降独自の機能がどんどん付け加えられてきており、将来有望な仮想通貨としても注目されています。

イーサリアムクラシック(ETC)の主な特徴~イーサリアム(ETH)との違い

それでは、本家イーサリアム(ETH)とイーサリアムクラシック(ETC)はどのような違いがあるのかをご説明したいと思います。

1. 非中央集権が元になっている

TheDAO事件の解決案を巡っては、全体のおよそ1割程度が「ハッキングされたデータは残しておくべき」と主張しました。

そして、彼らイーサリアムクラシックコミュニティの理念は「code is low」、直訳すると「プログラムコードこそが法律である」となります。

つまり、ブロックチェーン上で最も支配権があるのは「プログラムコードである」という考え方になります。

そのため、イーサリアムクラシックのブロックチェーン上には、非中央集権的な前提を壊さないように、現在でもハッキングデータが改善されずに残っています。

2. イーサリアム(ETH)と異なる利用用途

イーサリアムはスマートコントラクトという技術を導入した、自律分散型アプリケーション(Dapps)開発プラットフォームの提供を目指して開発を進めています。

一方で、イーサリアムクラシックは、イーサリアムと同様にスマートコントラクト機能は備えていますが、IoT(Internet of Things)プラットフォームとしての役割として開発を進めています。

現に、自律分散型アプリケーションの開発にはイーサリアムを利用することが主流で、イーサリアムクラシックは、イーサリアムとは別の利用用途を目指すことで差別化を図っています。

なお、イーサリアムクラシックはイーサリアムに比べ取引にかかる手数料であるガス代が安いため、少額を扱うような分散型アプリケーションへ用いられることがあります。

3. 発行上限がある

イーサリアムは、通貨の発行上限を定めていないことが特徴として上げられます。一方、イーサリアムクラシックは、約2億1000万ETCから約2億3000万ETCが発行上限として定められていることも特徴です。

一般的に発行上限がない通貨は市場の供給量が増えると価値が下がり、発行上限のある通貨は市場の供給量が減り続けると価値が上がります。

4. コンセンサスアルゴリズムが異なる

イーサリアムとイーサリアムクラシックはブロックチェーンの維持方法のルールとも呼べるコンセンサスアルゴリズムが異なります。
イーサリアムは将来的にPoS(Proof of Slake)という、持っているコインの枚数や所有期間により新たな取引が承認・マイニングされる仕組みに移行する予定です。しかし、イーサリアムクラシックはビットコイン同様、PoW(Proof of Power)という、コンピューターの計算能力で取引が承認・マイニングされる仕組みとなっています。そのため、やはりイーサリアムクラシックはイーサリアムに比べて、非中央集権色が強いといえるでしょう。

イーサリアムクラシック(ETC)の購入方法

口座開設

イーサリアムクラシックの購入をするためには、まず仮想通貨の取引所に口座開設が必要です。

国内大手の取引所の1つであるCoincheckでは、イーサリアムクラシックを含めて、様々な仮想通貨を取り扱っています。

仮想通貨を初めて購入する場合、簡単な手続きで安心して取引できることが重要になりますが、Coincheckはとにかくシンプルで、初心者であっても使いやすいのが特徴です。

また、見やすいチャートや取引画面があったり、操作性の高いアプリがあったりするため、スマホからでも簡単に仮想通貨の購入が可能です。

※なお、当社からETCを送金される場合は、Ethereum Classicネットワークをご利用ください。異なるネットワークから送られた場合は通貨が失われる可能性がありますのでご注意ください。

イーサリアムクラシック(ETC)についてのまとめ

イーサリアムクラシック
イーサリアムクラシックの特徴をまとめると、主に下記が挙げられます。

  • イーサリアムから分裂した仮想通貨
  • イーサリアムと同じスマートコントラクトに対応
  • IoT(Internet of Things)分野へ進出することでイーサリアムと差別化

今後、サイドチェーンの実装や分散型アプリケーション開発などプラットフォームとしても期待ができる仮想通貨となっています。

一時は、イーサリアムと分裂したことで将来性はほとんどないとされていましたが、イーサリアムとの差別化を図ることで、再び注目される仮想通貨となっていると言えるでしょう。