
「バーチャル株主総会」とは、オンライン上でWeb会議システムなどを用いて、株主総会を開催することをいいます。
現行の株主総会をオンライン会議のような形式で実施することができ、株主と経営者はパソコンやスマホの画面を通して、質疑応答などのやり取りができます。
2020年6月だけで、我が国では、120社以上がバーチャル株主総会を開催していることがわかっています。
しかし、「今までバーチャル株主総会を開催したことがない。一体、どんなものなのかイメージが湧かない」と疑問を抱いている方も、少なくないのではないでしょうか。
そこで、本記事では、以下について解説いたします。
- バーチャル株主総会とは?
- 日本で開催できるバーチャル株主総会の種類
- バーチャル株主総会を実施するメリット・デメリット
- バーチャル株主総会を開催した企業事例
この記事を読めば、バーチャル株主総会について詳しく理解することができますので、ぜひ最後までご覧ください。
執筆Sharely編集部
Sharelyはバーチャル株主総会を滞りなく実現させるクラウドサービスです。バーチャル株主総会を検討している企業様に「バーチャル株主総会について正しく理解していただき安心して実施していただく」ことを目的に執筆しています。/ 運営元:コインチェック株式会社
目次
バーチャル株主総会とは?
バーチャル株主総会は「オンライン上で開催する株主総会」のこと
「バーチャル株主総会」とはインターネット上で開催される株主総会のことをいいます。わかりやすいイメージでいえば「Zoomで開催するオンライン会議」のようなものです。
Zoomで開催するオンライン会議では、あらかじめ開催日時とURLを発行して先方に伝えて、指定日時にお互いがアクセスすれば、オンラインで会話することができます。
バーチャル株主総会は、企業側が事前に、株主総会の配信ページにログインするためのID・パスワードを株主一人ひとりに払い出します。株主は、株主総会が実施される日時に、指定のURLにアクセスすれば、リアルタイムで株主総会に参加できるというわけです。
インターネットがつながる環境とデバイス(スマホ・パソコン・タブレットのいずれか)があれば自宅や海外など、リアル会場からどんなに離れていても簡単に株主総会に参加できます。
事前に寄せられた質問に対して回答するほか、リアルタイムで質問に回答したり、投票(議決権の行使)もできます。
一般的な株主総会といえば、会議室やホールなどの会場を用意し、直接対面しながら議論や質疑応答などを行うのが一般的ですが、それらをオンライン上で実現するのがバーチャル株主総会なのです。
「海外や遠方にいても株主総会に参加できる」というのは、従来の株主総会にはない大きなメリットといえるでしょう。
注目されている理由
今までも一部の企業がバーチャル株主総会を開催してきましたが、昨今の新型コロナウイルスの感染拡大を契機に注目を浴びるようになりました。
我が国では、2020年6月だけで120社以上の上場企業がバーチャル株主総会を開催したことがわかっています。
なぜ、これほどまでに、バーチャル株主総会が注目されるようになったのでしょう。
その理由の一つがアメリカをはじめとする世界各国の動向です。
西村あさひ法律事務所によると、バーチャル株主総会を開催する企業数がうなぎのぼりに増加していることがわかっています。以下は、アメリカにおけるバーチャル株主総会を導入した企業数の推移です。
グラフの通り、10年前の2009年にはわずか3社のみの実施でしたが、2019年には326社にまで増加していることがわかっています。単純計算で100倍ですから、すさまじい伸び率であることがわかりますね。
バーチャル株主総会の開催は、もはや特別なことではないのです。
アメリカ以外の世界各国(カナダ、ニュージーランド、デンマーク、アイルランド、ニュージーランド、南アフリカ、スペイン)においても、バーチャル株主総会が積極的に開催されています。
バーチャル株主総会を採用する国は今後とも増加していくとみて間違いないでしょう。
日本で開催できる株主総会には2つの種類がある
「株主総会の開催方法」は、全部で4つの種類があります。
この中で、日本で認められている株主総会は以下の3つです。
【適法】
- リアル株主総会
- ハイブリッド型バーチャル株主総会(参加型)
- ハイブリッド型バーチャル株主総会(出席型)
【NG】
- バーチャル・オンリー型株主総会
上記の通り、日本ではバーチャルオンリーの株主総会は認められていません。
そのため、日本で「バーチャル株主総会を開催したい」と考えた場合、参加型もしくは出席型のバーチャル株主総会を選択する必要があります。
そこで、日本で開催できる参加型/出席型の株主総会の「特徴」や「違い」について詳しく解説します。
①ハイブリッド型バーチャル株主総会(参加型)とは
出典:経済産業省経済産業政策局企業会計室「ハイブリッド型バーチャル株主総会の実施ガイドについて」
貴社が開催できるバーチャル株主総会の一つが「ハイブリッド型バーチャル株主総会(参加型)」です。
この方式は、リアル株主総会を開催しつつ、その様子をリアルタイムで配信するのが最大の特徴です。株主は、リアルタイムで株主総会を視聴することができます。
参加型のバーチャル株主総会は、例えるならば「動画のライブ配信」です。
日本最大級の動画配信サービス「ニコニコ動画」には、動画をライブ配信する「ニコニコ生放送」というサービスがあります。開催予定の日時にアクセスすれば、リアルタイムのライブ動画を閲覧することができ、バーチャル株主総会はそれと似たようなものといえます。
企業は、事前の招集通知で、バーチャル株主総会に参加するためのID・パスワード、参加ページ(URL)、開催日時等を株主に予告しておきます。
当該日時に、株主がID・パスワード等を用いてログイン認証を行い配信ページにアクセスすれば、リアル株主総会の様子をリアルタイムで視聴できます。
パソコンやスマホ、タブレットなどのデバイスとインターネット環境されあれば、自宅からでも株主総会に参加することができる点で、コロナ対策に最適といえるでしょう。
ただし、参加型の場合、知っておくべき注意点が1つあります。
それは、オンライン参加の株主が、議決権を行使する(投票する)ことは一切できないということです。
そのため、参加型のバーチャル株主総会を実施したい場合、リアル株主総会に参加できない株主に向けたフォローが必要です。
具体的にいえば「議決権を行使できるようにする」ということです。
事前に、「議決権行使書の郵送」もしくは「インターネット」で、質問や投票を受け付けるなどして、リアル会場に参加した株主と比べて不平等にならないよう、相応の機会を設けてください。
②ハイブリッド型バーチャル株主総会(出席型)とは
出典:経済産業省経済産業政策局企業会計室「ハイブリッド型バーチャル株主総会の実施ガイドについて」
貴社が開催できるもう一つのバーチャル株主総会が「ハイブリッド型バーチャル株主総会(出席型)」です。
この方式も、リアル株主総会を開催しつつ、その様子をライブ配信する点については同じです。
株主固有のID・パスワード等による「個人認証」によって、入室を許可する点も同じです。
しかし、参加型と大きく異なる部分があります。
それは、オンラインで視聴している株主が、経営者に質問したり、議決権を行使したりといった具合に、双方向のやりとりが発生するという点です。
オンラインで参加している株主は、リアル会場に参加している株主と同等の権限を有することになります。
参加型が「動画のライブ配信」に近い一方、出席方はインタラクティブなやりとりが発生するため「Zoomを用いたオンライン会議」に近いといえます。
「株主のいる場所がリアル会場なのか、オンライン上なのか」。それがリアル株主総会と出席型のバーチャル株主総会の違いです。
出席型も1点注意点があります。
それはオンラインで参加している株主と滞りなくインタラクティブなやりとりができることが大前提になるという点です。
途中で通信が途切れてしまうほか、質問が投稿できない、議決権を行使できないといった事態をできるだけ避ける必要があります。サイバー攻撃を想定したセキュリティ対策も重要でしょう。
そのため、開催をサポートするWebサービスやWeb会議システムを導入するのがベストです。当日の運営に慣れた業者だとより安心できるでしょう。
加えて、セキュリティ対策もしっかりと講じるようにしましょう。
以上の参加型と出席型の違いをまとめると以下のようになります。
【出席型のバーチャル株主総会に興味があるという方は以下もチェック!】
バーチャル株主総会を開催した企業事例
さて、ここまでの記事を通して「バーチャル株主総会とは何か?」について理解することができたのではないでしょうか。
そこで気になるのが「他社の動向」。
そこで、バーチャル株主総会を実際に開催した実施企業の実例についてもご紹介したいと思います。ご紹介するのは以下の3社です。
- サイボウズ株式会社
- 株式会社アドウェイズ
- ソフトバンクグループ株式会社
一つずつ、紹介していきます。
参加型を開催:サイボウズ株式会社
「サイボウズ株式会社」は、クラウドベースのグループウェアや業務改善サービスを提供する会社です。
こちらの会社では、2019年度の株主総会において「ハイブリッド型バーチャル株主総会(参加型)」を開催しました。
招集通知では、バーチャル株主総会の参加を呼びかけると共に、書面による議決権の事前行使を促しました。
その結果、リアル会場に参加した株主は4名であった一方、ライブ配信の視聴者は510名に達しました。
圧倒的にバーチャル株主総会に参加した株主が多かったというわけです。コロナ対策に成功した事例といえますね。
また、来場した株主からは3つの質問が寄せられましたが、バーチャル株主総会経由では26もの質問が寄せられたこともわかっています。約9倍ですから、これは大きな差といえます。
バーチャル株主総会経由の方が、より質問がしやすいことの証左でしょう。
寄せられた質問にしっかり答えていくことで、株主との信頼関係がより強固なものになるはずです。
同社は、バーチャル株主総会の様子を、ホームページ上で公開したり、誰でも参加できるようにしたりしています。そのため「クリーンな会社」とのイメージを与えられたはずです。
リアル会場で開催予定だった、ゲストや株主とのセッションイベントは中止になってしまいましたが、バーチャル株主総会の開催を通じて、イメージアップに成功した好例といえるでしょう。
出席型を開催:株式会社アドウェイズ
出典:株式会社アドウェイズ
「株式会社アドウェイズ」は、2006年に東証マザーズにて上場したWeb広告会社です。
この会社では「ハイブリッド型バーチャル株主総会(出席型)」を開催しました。
今まで、300名が参加できる会議室を借りて、大々的な株主総会を開催してきましたが、コロナ禍において「リスクなく出席できる方法は何か」と考えた際に、出席型のバーチャル株主総会を開催することを決意したのだそうです。
しかし、今まで、バーチャル株主総会を開催した経験がなかったため、イチから自分たちで運営方法を考えなければなりませんでした。
開催日の2週間前からは、毎日数時間のリハーサル練習や会議を行ったり、部署の垣根を越えて多くのメンバーに協力をしてもらったりと、準備には想像以上の困難がつきまとっのだそうです。
具体的には「株主の声の集音」などが挙げられます。経営者のみならず、会場に参加している1人ひとりの株主から寄せられる声も拾わなければなりません。そのため、マイクやスピーカーの配置に手間取ったり、ハウリングの回避に時間がかかったりしたようです。
しかし、綿密な準備と入念なリハーサルの甲斐もあり、バーチャル株主総会当日は、大きなトラブルなくスムーズに運営することができたのだそうです。
出席型を開催:ソフトバンクグループ株式会社
ソフトバンクグループ株式会社は日本最大手の通信会社の一つです。
同グループは「ハイブリッド型バーチャル株主総会(出席型)」を開催しました。
リアル会場への出席は、原則として控えるように呼びかけ、書面もしくはインターネットによる事前の議決権行使をうながしました。
その結果、リアル会場に訪れた株主はたったの23人でしたが、オンライン参加者はその5~6倍にも及ぶ122人に達したのだそうです。
昨年は大会場に1993人が集まる大規模なものでしたから、参加者が大幅に減ってしまったのは残念な点といえるかもしれません。
しかし、参加者からは、「東京で開催される株主総会にはなかなか行けないので、この取り組みは歓迎だ。来年も是非続けてほしい」といったコメントが寄せられるなど、ポジティブにとらえられているようです。
孫社長も「オンラインではより多くの方が質問をできる。さらに進化させていきたい」と語るなど、バーチャル株主総会の開催に確かな手ごたえを感じているようです。
また、ソフトバンクグループ株式会社では、事前に配信URLを公開し、誰でも傍聴できる体制にしました。そのため「株主総会の透明性」をアピールすることにも成功しました。
コロナ禍をきっかけに株主総会のあり方が大きく様変わりした顕著な事例といえるでしょう。
2020年のコロナ禍における各社の傾向や、具体的な事例、実施企業の対応などについて、より詳しくチェックしたい!という方は、以下の記事もご覧ください。
【コロナ禍における実施企業の対応を詳しく知りたい方は以下をチェック!】
バーチャル株主総会を開催するメリット・デメリット
ここまでの記事を通して、バーチャル株主総会への興味が高まってきたのではないでしょうか。
本章では、「バーチャル株主総会を開催するか否か」について、精緻に判断するために、開催する場合のメリットとデメリットをご紹介します。
バーチャル株主総会を開催する3つのメリット
まずはメリットについて取り上げます。
バーチャル株主総会を開催するメリットは大きく3つ挙げられます。
- コロナ対策ができる
- 遠隔地にいる株主が参加できるようになる
- 企業のイメージアップにつながる
一つずつ、解説していきます。
メリット①新型コロナウイルスの感染拡大を防止できる
最大のメリットは「コロナの感染対策/クラスター対策ができる」という点です。
日本において、バーチャル株主総会が注目を集めるようになった最大のポイントです。
リアル株主総会であれば、数百人~数千人の株主が一堂に会します。そのため、3密になりますし、大規模なクラスターが発生する懸念もあります。
一方、バーチャル株主総会であれば、リアルに集まる人数を大幅にカットすることができます。
現に、サイボウズはリアル株主総会の参加者が4名だったのに対し、オンライン参加者は510名を記録しています。
ソフトバンクグループ株式会社も、リアル会場への参加者は23人でしたが、オンライン参加者は122名でした。
バーチャル株主総会を開催した企業は、いずれもリアル会場への参加者をカットすることに成功しています。
株主総会でコロナの感染者を出したとなれば、株価の下落のみならず責任問題を追及されかねませんから、この点においては非常にメリットがあるといえるでしょう。
メリット②海外や遠方に住む株主が株主総会に参加できるようになる
バーチャル株主総会を開催すると、開催地まで足を運ぶことができない遠隔地で暮らしている株主も、株主総会を視聴したり、議決権を行使したりすることができます。
開催地に足を運べる株主は限られていますから、すべての株主に向けられた透明性の高い株主総会を開催することができます。
企業や経営者への安心感や、株主とのロイヤリティ(信頼関係)をより強化したいという場合にも、バーチャル株主総会はうってつけなのです。
メリット③企業のイメージアップにつながる
株主総会を開催すると、リアル株主総会だけよりも、圧倒的に多くの株主が株主総会に参加できるようになります。そのため、多くの株主にとって、企業や経営者の存在がより身近なものになります。
「株主総会を開かれたものに」とするオープンな姿勢は、株主にポジティブなイメージを残すことができます。
企業のイメージアップを図りたい方はもとより、企業ブランディングの一環としても、バーチャル株主総会はたいへん有効な手段です。
ソフトバンクグループ株式会社のバーチャル株主総会に参加した株主からは、この取り組みは魅力的であり、来年も続行してほしいといったコメントが寄せられています。
サイボウズ株式会社も、オンライン参加者から「今回の取り組みを高く評価する」というメッセージが寄せられているそうです。
ハイブリッド型バーチャル株主総会をする2つのデメリット
前項を通して、ハイブリッド型の株主総会を開催するメリットについてはご理解いただけましたでしょうか。続いて「デメリット」についてもご説明します。
ポイントは全部で2つあります。
- 負担が大きい
- 初めてだとスムーズに進行できるか不安になる
デメリット①運営者側の負担が大きい
なんといっても、最大のデメリットは「運営者型の負担が大きい」という点につきます。
参加型も出席型も、以下の負担が増えることになります。
- 動画配信のための通信機器の用意
- 安定したネットワークの構築
- サイバー攻撃を想定したセキュリティ対策
加えて、出席型の場合には、以下のような負担が増えます。
- オンライン参加者とのインタラクティブなやりとり
- リアルタイムで議決権を行使したり質問したりできるサービスの導入
- バーチャル株主総会を想定したシナリオの作成
株主総会を開催しながら、オンラインでのやり取りも滞りなく完遂しなければならないため、運営者型の負担は大きくなるといえるでしょう。
現に、アドウェイズ株式会社は、株主総会の2週間前からリハーサルや打ち合わせが毎日のように発生していたそうです。
加えて、他部署の従業員にも協力を仰ぐ必要もあったようで、苦労が多かったのでしょう。
デメリット②初めての場合、スムーズな進行ができるか不安になる
前述の通り、多くの会社では前例のない準備に追われることになります。
そのため、「想定外の不具合」に見舞われる可能性があります。
そこで、以下のような不安を抱えてしまうかもしれません。
- 不安定な通信により、オンライン参加者からの質問が聞き取れなくなるのではないか?
- 決算報告中、通信が途切れて視聴できなくなるのではないか?
- システムの不具合により、オンライン参加者は質問の投稿ができなくなるのではないか?
- 不安定な通信により、オンライン参加者が議決権を行使できなくなるのではないか?
出席型のバーチャル株主総会を初めて開催する場合、動画を配信するだけではないため、この不安はより一層、顕著なものになるでしょう。
そのため、バーチャル株主総会の運営に精通した会社やコンサルタントに相談しながら進めるのが最も確実で安全です。サポート体制が充実したサービス事業者にコンタクトを取りましょう。
また、リハーサルを実施するのもよい方法だと思います。
不安要素を減らせるよう、対策を取れば、安心して当日を迎えられると思います。
メリット・デメリットの比較を以下にまとめます。
バーチャル株主総会はこんな会社におすすめ!
バーチャル株主総会のいちばんの利点はコロナのリスクを徹底的に排除できるところです。
経産省でも、バーチャル株主総会の開催を推奨しているなか、今年の6月には120社以上もの上場企業がバーチャル株主総会を開催しました。
もしも、あなたが「バーチャル株主総会を開催したい」と思うならば、前向きに検討してみることをおすすめします。なぜなら、コロナのクラスターを防げたり、株主総会の透明性をアピールできたりといった具合に、メリットが大きいからです。
興味はあるが「参加型と出席型、どちらが自社に合っているのか判断できない…」という方は、本項を参考に、どちらが自社に適しているか判断してみてください。
イメージアップや株主の納得度を重視する場合は「出席型」
コロナ感染のリスクを抑えるだけでなく、バーチャル株主総会の開催を通じて「イメージアップ」を図りたい場合には、「出席型」のバーチャル株主総会がオススメです。
なぜなら、出席型は、オンライン参加者にリアル会場の参加者と同等の権限を与えるものであり、インタラクティブな議論を交わすことができる唯一の方法だからです。
オンライン経由とはいえ質問したり、議決権を行使したりできるため、オンライン参加者は「リアル株主総会に参加している」という一体感が得られます。
会場には足を運べないけれど、それでも「株主総会に参加したい」と考えるような熱意ある株主の“納得感”や“満足感”を高めたいと考えるならば、出席型のバーチャル株主総会がベストです。
負担は多少なりとも増えますが、オンライン参加者は、企業や経営者の姿勢を高く評価するはずです。
企業のイメージアップをしたい場合や、強固なロイヤリティを築きたいといった場合には、出席型のバーチャル株主総会を開催しましょう。
失敗のリスクを最小限に抑えたい場合は「参加型」
クラスター対策を講じつつ「失敗のリスクを最小限に抑えたい」という場合には、参加型を開催するのがベストです。
参加型であれば、株主総会の様子を映像で配信するだけでOKだからです。
録画するための機器や通信環境さえ準備できれば、当日の進行そのものは、通常のリアル株主総会と何ら変わりません。
投票や質問の集計や質問に対するフォロー掲載など、こまごまとした作業は発生しますが、出席型に比べればそれほど大きな負担ではありません。
「失敗のリスクを徹底的に排除したい」という方は、参加型にしましょう。
バーチャル株主総会で失敗しないために押さえるべき注意点は4つある!
続きまして、バーチャル株主総会を開催するうえ、絶対に押さえておきたい注意点を4つご紹介したいと思います。
「株主の印象を大きく左右する株主総会で、信用や評価を落としたくない!」と考えている方は、要チェックです。
ポイントは以下の4点です。
- 運営をサポートするWebサービスを選定する
- 当日の運営に必要な機材を揃える
- 安定したインターネット環境を構築する
- サイバー攻撃を想定したセキュリティ対策を行う
一つずつ、解説していきます。
バーチャル株主総会の開催をサポートする専用サービス/専用システムを選定する
バーチャル株主総会を開催する場合、リアルタイムの映像を配信したり質疑応答を実現したりするためのWebサービスや専用システムを選定するのがベストです。
株主総会を想定したWebサービス/専用システムであれば、滞りなくバーチャル株主総会を完遂することができます。
当日を安心して迎えたいという方は、専用サービスを導入しましょう。
サービスの導入に当たっては、当日の運営について親身に相談に乗ってくれる業者を選ぶと失敗しないでしょう。シナリオ作成の支援まで行える事業者だと、より安心です。
「きめ細やかな対応をしてくれる業者かどうか」について、しっかりチェックしてください。
その際に下記の「経済産業省のガイドライン」を遵守した運用が可能かについてもチェックしておきましょう。
参考:ハイブリッド型バーチャル株主総会の実施ガイド(経済産業省)
当日の株主総会を撮影・配信するための機材を揃える
専用サービス業者が貸し出してくれる場合もありますが、もしそれができない場合には、株主総会を撮影・配信するための機材をそろえましょう。主に必要になるものは以下の通りです。
【必要なもの】
- 撮影機材(ビデオカメラ、マイク、スピーカーなど)
- リアルタイムで配信するためのインターネット環境(光回線もしくはWifi環境)
- 株主だけが閲覧できるクローズドな配信システム/アプリケーション
- 議決権行使や質疑応答、投票を実現するシステム/アプリケーション
安定したインターネット環境を構築する
リアルタイムで株主総会の様子を配信するため、インターネット回線の帯域幅は大きい方が安心です。
光回線もしくはWifi環境を整えておくのがベストです。
心もとない通信環境だと「通信が途切れる」「映像や音声が乱れる」といったアクシデントが想定されますから、映像配信するうえで問題ないか、確認しておきましょう。
リハーサルを実施するなどして、通信状態をチェックしておくと安心です。
また、株主総会の開催中に、通信状態に不具合が発生した際の対応を決めておくと安心です。
簡単なマニュアルを用意するほか、当日は通信関係に詳しい担当者を待機させるなどの対策が考えられます。
加えて、株主総会の招集通知の文面で、通信障害のリスクを株主に通知しておくと安心です。
あらかじめ告知されているか否かで、株主はリスクを想定できます。想定外で不具合があった場合とでは、受け取る印象も異なってくるはずです。
通信に不具合があった際の対応決めと、株主へのリスク告知はセットで考えておきましょう。
サイバー攻撃を想定したセキュリティ対策を実施する
バーチャル株主総会を開催するにあたって必要になるのがセキュリティ対策です。
リアル株主総会では、必要のない対策ですから、盲点だったという方も少なくないのではないでしょうか。
基本的には、株主固有のID・パスワード等を発行し、部外者は動画配信ページにアクセスできないようにしましょう。このことは、経済産業省の実務ガイドラインでも推奨されています。
当日、映像の配信中にサイバー攻撃によって映像が見れなくなるなど、なんらかの嫌がらせを受ける可能性もゼロではないため、セキュリティ対策に詳しい業者に相談するなどして、プラスアルファの対策を講じておくのもオススメです。
初めてのバーチャル株主総会は、Sharely(シェアリー)にお任せください
バーチャル株主総会について、正しい知識を身に着けても、いざ本番となると「うまくできる自信がない」という方も少なくないのではと思います。
そういった方には、バーチャル株主総会を強力にサポートするクラウドサービス「Sharely(シェアリー)」がオススメです。
Sharelyの特徴は以下の通りです。
①参加型・出席型いずれも対応
→議決権行使や質問を行うことができる
②シナリオ作成+αが可能
→シナリオの作成やご提案ほか、シナリオに合わせた業務設計ができる
③既存の提携業者は変更なしでOK
→招聘通知の印刷業者や証券代行業者などの変更は一切不要
④経済産業省の実務ガイドラインに準拠
→適切なバーチャル株主総会を開催することができる
少しでも気になる方は、以下よりお問い合わせください。お力になれる自信があります。
バーチャル株主総会・Sharelyに関するQ&A
Q.バーチャル株主総会のメリットとデメリットを教えてください。
A.メリットとデメリットは以下の通りです。
【メリット】
- コロナ対策ができる
- 遠隔地にいる株主が参加できるようになる
- 企業のイメージアップにつながる
【デメリット】
- 負担が大きい
- 初めてだとスムーズに進行できるか不安になる
詳しくは「バーチャル株主総会を開催するメリット・デメリット」をご覧ください。
Q.バーチャル株主総会を実施するには株主への同意は必要ですか?
A.リアル株主総会に加え追加の出席手段として整理される場合には、実施にあたり株主の同意や株主総会の承認は不要です。
ただし、取締役会決議において、バーチャル出席の方法に関して決定する必要があります。
Q.バーチャル株主総会を行う上で注意すべきポイントはなんですか?
A.注意すべきポイントは全部で7つあります。
- バーチャル株主総会の開催をサポートするWebサービスを選定する
- 当日の株主総会を撮影・配信するための機材を揃える
- 動画配信を行うWebページのID・パスワード等を記載した招集通知を作成する
- 出席に際しては「本人確認」を行えるようにする
- 株主からの「質問」の受け方について、あらかじめ決めておく
- サイバー攻撃を想定したセキュリティ対策を実施する
- 安定したインターネット環境を構築する
Q.入場を控える様に招集通知に記載することは可能でしょうか?
A.表現については注意する必要がありますが、株主の入場を控えて頂く様に招集通知で周知することは適法と考えられま す。ただ、周知したとはいえ実際に来場した株主が会場に入れない、という対応をした場合に、決議取り消しの可能性が あります。
Q.当日のバーチャル株主総会を配信するための必要な機材を教えてください。
A.当日準備すべき物は以下になります。
- 撮影機材(ビデオカメラ、マイク、スピーカーなど)
- リアルタイムで配信するためのインターネット環境(光回線もしくはWifi環境)
- 株主だけが閲覧できるクローズドな配信システム/アプリケーション
- 議決権行使や質疑応答、投票を実現するシステム/アプリケーション
まとめ
いかがでしたか。
本記事を通じて「バーチャル株主総会とは何か?」について理解するための全知識を押さえることができたのではないでしょうか。
バーチャル株主総会を開催したいとなれば、あなたは今すぐにでも業者選定に取り掛かれるはずです。
改めて、本記事でのポイントを整理します。
■バーチャル株主総会とは?
・バーチャル株主総会はオンライン上で開催できる株主総会のこと
・アメリカや諸外国でバーチャル株主総会の導入が進んでいる
・日本で開催できるのは「ハイブリッド型のバーチャル株主総会」
_参加型:リアルタイムで株主総会を視聴できる
_出席型:オンライン経由で株主総会に出席し、質問や議決権を行使できる
■バーチャル株主総会を開催した実施企業
・参加型を開催:サイボウズ株式会社
・出席型を開催:株式会社アドウェイズ
・出席型を開催:ソフトバンクグループ株式会社
■ハイブリッド型バーチャル株主総会をするメリット
・新型コロナウイルスの感染拡大を防止できる
・海外や遠方に住む株主が株主総会に参加できるようになる
・企業のイメージアップにつながる
■ハイブリッド型バーチャル株主総会をするデメリット
・運営者側の負担が大きい
・初めての場合、スムーズな進行ができるか不安になる
■ハイブリッド型バーチャル株主総会はこんな会社におすすめ!
・開かれたオープンな株主総会を開催したい場合は「参加型」
・議決権行使や質疑応答機能なども可能にしたい場合は「出席型」
■バーチャル株主総会で失敗しないために押さえるべき注意点は4つある!
・運営をサポートするWebサービスを選定する
・当日の運営に必要な機材を揃える
・安定したインターネット環境を構築する
・サイバー攻撃を想定したセキュリティ対策を行う
本記事が「バーチャル株主総会とは何か?」について知りたい方の参考になりましたら幸いです。