【Coincheck for Business】暗号資産やNFTの会計税務・内部統制の実務って?

コインチェックでは2023年1月より、法人のお客様に向けたサービス「Coincheck for Business」を提供しております。「Coincheck for Business」では、法人のお客様専用窓口をご用意し、担当者が暗号資産やNFTの購入および売却、一般的な会計処理、IEOのご検討など、法人のお客様の様々なご相談に合わせたご提案をいたします。

今回の記事では、サービス開始を記念して2023年2月9日に開催された「Coincheck for Business 法人向け会計セミナー」の内容を一部抜粋してお届けします。法人における暗号資産やNFTの経理・内部統制について分かりやすく説明しているので、ぜひご覧になってください。

 

監修竹ケ原 圭吾

 

2012年11月 大学在学中に公認会計士試験2次試験に合格。大学卒業後、有限責任監査法人トーマツに入社。幅広い業種の監査及び上場支援業務、財務DD等の関連業務に従事。その後、2018年11月にコインチェック株式会社入社。経理財務部門の責任者として、暗号資産交換業という新たな事業分野における会計の要件定義や内部統制構築等に加え、財務会計・管理会計・税務業務に従事する。その他、日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)において、税制検討部会の副部会長を務め、暗号資産に関連する自主規制の各種ルールメイキングにも関与する。2020年9月に執行役員、2022年6月に常務執行役員に就任。  

Web3と会計

竹ケ原:まずはじめに、「Web3と会計」について簡単にご説明いたします。

現在の会計は、紙に記帳する形であった複式簿記がデジタルに移った段階です。そしてその次のステージとして、ブロックチェーン上に記帳するWeb3の時代が到来しようとしています。

価値のインターネットと呼ばれるWeb3の会計は未だ要件定義の途中で、個別具体的に対応していく必要があります。今回は、暗号資産とNFTの会計についてご紹介したいと思います。

暗号資産の会計

竹ケ原:暗号資産の会計に関しては、日本では2016年に交付された資金決済法に基づいて処理することができます。ちなみに、日本は世界に先駆けて暗号資産を法律として定義した国であり、世界的に会計の基準として使われることもあります。

基本的に、暗号資産の期末処理は証券や銀行預金と同じように取り扱っても問題ないと言えます。外貨と同じように、期末のレートで処理をします。メインで利用している暗号資産交換業者が公表する終値一覧を参考にしてください。

NFTの会計処理

竹ケ原:一方、NFTの会計に関しては、法律上の定義がまだありません。そのため、より個別具体的に検討する必要があります。NFTはブロックチェーン上の技術仕様の一つで、所有権が付帯するものであったり、利用権であったりと、それぞれに性質があるため、それに合わせて会計処理を行います。

NFTの登場当初は無形資産として計上することもありましたが、現在は時価評価を採用することが一般的になっています。つまり、取得単価ではなく、会計処理時の価格で計上するということです。その際、測定可能な市場があるか、という論点があります。少なくとも、ほとんどのNFTは各マーケットプレイスなどを通して価格が類推できるため、基本的には時価評価で計上すると考えていただいて問題ありません。

Web3と税務(法人税)

竹ケ原:続いて、暗号資産の税務についてご説明します。法人のお客様が課税対象になる状況は、保有している場合と発行した場合の2つが主に当てはまります。

まず、保有している場合ですが、先ほどの会計と同じく時価評価で法人税の対象になります。こちらに関しては、他の金融資産と大きくは変わらないので、特に問題は生じないでしょう。

一方、発行した場合は注意が必要です。この場合、現行の税法上では、発行した段階で財産的な価値が認められ、課税対象となります。現行の税法では暗号資産を発行するハードルがとても高いため、30社以上が海外へ移っている状況です。私が所属するJCBAでは、このような課題を含んだ現行の税法に対して、ロビイングなどの改正活動を行っています。

また、NFTに関しては、2023年1月に国税庁が発表したFAQがとても参考になります。こちらをベースに、税務処理を進めていただいて問題ないでしょう。

参考:国税庁 - NFTに関する税務上の取扱いについて

Web3と内部統制

竹ケ原:最後に、暗号資産やNFTを法人で保有する場合の内部統制についてご説明します。法人が保有する時は、暗号資産交換業者などに預託する場合と社内の担当者がウォレットでもつ場合の、2つの状況が考えられます。

預託する場合は、基本的には銀行や証券と変わりません。口座開設をしていただき、売買をし、引き出し、残高照会をして監査を受ける、という形です。国内の交換業者の場合は、残高証明書を発行することができますし、監査法人からの残高照会書にも対応しています。

一方、担当者がウォレットでもつ場合は、留意すべき点がとても多く細心の注意が必要です。内部統制という観点から見れば、預託した方が問題は生じにくいと言えるでしょう。

Coincheck for Businessのサービス拡充について

鳥屋部:コインチェックの法人サービスでは、内部統制に沿った新機能を実装する予定です。従来は、取引担当者を1人しか登録することができませんでしたが、複数名の登録が可能になります。加えて、申請者・承認者・閲覧者、といったように権限も分けられるようになります。コインチェックでは、今後も法人のお客様の内部統制に必要な機能を開発していきたいと考えています。

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コインチェックでは、今後も法人のお客様向けに有益な情報をお伝えするセミナーを開催予定です。暗号資産やNFTに関するご相談やセミナーへのご参加希望などは、お気軽にお問い合わせフォームよりご連絡ください。

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法人ソリューション部 担当者ご紹介

法人ソリューション部担当者

本田 聡子(ほんだ さとこ):写真右
法人ソリューション部長 

東京工業大学大学院修了。卒業後は米系及び欧州系証券会社にて事業法人、金融機関向けのデリバティブ商品の営業やストラクチャリング業務、公的機関の債券引受、ベンチャー企業のIPOなど幅広く法人向けのビジネスに従事。2022年にコインチェックに入社し、法人ビジネスの立ち上げをリード。

鳥屋部 浩則(とりやべ ひろのり):写真左
法人ソリューション部 グループリーダー

大学卒業後、証券会社で国内外金融法人と国内事業法人を担当、国内外の金融商品の提案を実施。その後日系、外資系銀行にて法人向けソリューション営業、富裕層向けプライベートバンキング業務を担当。法人向け、個人向けのあらゆる金融商品を扱った経験から、新たな金融商品として暗号資産に着目し、2018年にコインチェックに入社。以後ブロックチェーンや暗号資産についての最先端情報に触れながら、法人、個人向けカスタマ―ソリューションを担当。お客様向けセミナーを数多く経験。