暗号資産やビットコインの流行に関連して、「DAT企業」という言葉を耳にする機会が増えたかもしれません。
DAT企業とは「Digital Asset Treasury企業」の略で、ビットコインなどの暗号資産(Digital Asset)の保有を中心戦略とする企業ですが、どのような仕組みで注目を集めているのでしょうか。
本記事では、DAT企業の特徴や仕組み、メリット・デメリット、注意点から、著名な国内外のDAT企業についても解説します。
目次
DAT企業とは

DAT企業とは「Digital Asset Treasury企業」、つまり暗号資産トレジャリー企業の略で、ビットコインなどを中心とする暗号資産を保有することを事業の中心とした企業です。
企業等の余剰資金で暗号資産を購入するのではなく、事業そのものとして暗号資産を保有することがDAT企業の特徴です。
DAT企業の仕組み
DAT企業は、株式などで資金調達を行い、調達した資金でDigital Asset・暗号資産などを購入します。
保有している暗号資産の量や、暗号資産による含み益・売却益などが企業価値に直結し、さらに株式を発行・売却などを行い、より暗号資産の保有量を増やしていきます。DAT企業の仕組みはこのようなサイクルで動いています。
そのため、暗号資産の上昇局面では企業価値や投資家の注目度が高まり好サイクルを生み出せる一方で、暗号資産の下落局面では悪循環に陥ることが懸念される仕組みとなっています。
DAT企業のメリット

DAT企業のメリットは、投資家は直接暗号資産に触れることをせず、暗号資産の上昇利益を狙える点です。
また、投資家自身は自分で暗号資産を保有する手間が存在しないため、暗号資産の保管で重要になるハッキング対策や、取引所の選定など、その他さまざまな保有に関連するリスクを減らせるといったメリットが存在します。
DAT企業のデメリットや注意点

DAT企業のデメリットは、先述のとおり暗号資産の下落局面では悪循環に陥る危険性が高いため、暗号資産の下落幅以上のインパクトを受ける可能性があることでしょう。
また、2025年11月には「東証が『暗号資産トレジャリー企業の規制強化を検討』している」との報道が話題となりました。この報道には東証側は具体的な方針は決まっていないという立場ですが、「暗号資産トレジャリー企業に限らず、リスクやガバナンスの観点から懸念のある場合については、株主・投資者保護の観点から対応」していると発表しているため、多少の警戒感は持ったほうが無難でしょう。
DAT企業の注意点としては、必ずしも暗号資産、とくにビットコインの値動きとDAT企業の株価は完全に相関性を持っているわけでは無いという点です。あくまでもDAT企業のDigital Asset・暗号資産の保有量と株式のバランスや、投資家の温度感により株価が変動していることに注意が必要です。
DAT企業の価値を分析する指標「mNAV(修正純資産倍率)」とは

DAT企業の価値を分析する上で、「mNAV(修正純資産倍率)」という指標が扱われることがあります。
DAT企業におけるmNAV(修正純資産倍率)とは「企業の株式時価総額÷保有デジタル資産の時価」で計算される指標です。
mNAVの数値を整理すると下記のようになります。
- mNAV=1であれば株式の時価総額とデジタル資産の時価は等価
- mNAV>1であれば株式の時価総額よりもデジタル資産の時価のほうが安い
- mNAV<1であれば株式の時価総額よりもデジタル資産の時価のほうが高い
mNAV>1である状態は株式にプレミアがついている状態とも解釈でき、DAT企業の戦略や将来性が評価されているととらえることもできます。しかし反対に、下落局面では危険ともとらえることもできるでしょう。
局面においてmNAVの解釈は多様であるため、局面にあわせた対応を行うとよいでしょう。
海外の有名なDAT企業
海外で有名なDAT企業では、米国の「Strategy Inc.(ストラテジー社)」、旧MicroStrategy(マイクロストラテジー)社が挙げられます。
ストラテジー社は1989年創業の米国ソフトウェア企業で、2020年からDAT企業としての活動に注力しています。
2026年7月6日には、84万3,775BTCの保有を公表しています。ストラテジー社は大量のビットコインを保有している企業であるため、同社のBTCの売買は市場に与えるインパクトも大きく、DAT企業としての注目だけではなく、BTCを売買する投資家としての注目が集まる企業だといえるでしょう。
出典:Strategy「Bitcoin Purchases」
ストラテジー社についての解説は、以下の記事でも行っています。
国内の有名なDAT企業
日本で有名なDAT企業としては、東京証券取引所スタンダードに上場している株式会社メタプラネット(メタプラ)が挙げられます。
メタプラネット社は1999年設立で、当初はダイキサウンド株式会社という名称でした。CD・レコードの企画・制作・販売を行った後、持株会社制やホテル運営事業に移行し、2023年2月にメタプラネットに社名変更。その後、2024年に入ってからDAT企業への転換を掲げました。
メタプラネット社の詳細な解説は、以下の記事でも取り扱っています。
DAT企業に関するまとめ

DAT企業は、ビットコインなどを中心に暗号資産の保有を企業の中核とし、Digital Assetの保有を続けることで企業価値、ひいては株価を上げる企業といえるでしょう。
暗号資産全体の上昇局面では注目度があがり好サイクルが望める一方で、まだDAT企業への規制等の準備が不十分であったり、下落局面での悪循環が危惧されていたりします。
DAT企業は暗号資産の隆盛とあわせて発展している概念といえるため、今後も注視が必要だといえるでしょう。