カテゴリー: 暗号資産の税金・法律
2023年6月1日に改正された「犯罪による収益の移転防止に関する法律」で、暗号資産(仮想通貨)のトラベルルールの実施が義務付けられました。
このトラベルルールは暗号資産入出金に関わる重要な枠組みですが、ユーザーにはどのような影響があるのでしょうか。
本記事では、トラベルルールについてわかりやすく解説しながら、ユーザーが対応する事項や、Coincheckでのトラベルルール対応についてを説明します。
※仮想通貨の税金については、2024年2月13日時点の情報となります。
この記事でわかること
トラベルルールとは
トラベルルールの関連法について
コインチェックではトラベルルールに対応している?
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目次
トラベルルールとは
トラベルルールでのユーザーへの影響
送金可能な暗号資産が限定的になる場合がある
トラベルルール対応技術が異なる暗号資産取引所には送金できなくなる場合がある
送金先の情報の把握が必要になる
暗号資産(仮想通貨)でトラベルルールが設置された背景
トラベルルールの関連法について
コインチェックではトラベルルールに対応している?
まとめ
トラベルルールとは
トラベルルールとは、「暗号資産・電子決済手段の取引経路を追跡することを可能にするため、暗号資産交換業者・電子決済手段等取引業者に対し、暗号資産・電子決済手段の移転時に送付人・受取人の情報を通知する義務」というルールのことです。
(犯罪による収益の移転防止に関する法律 第十条の三、第十条の五)
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=419AC0000000022
https://www.fsa.go.jp/news/r4/sonota/20230526-2/00.pdf
つまり、ユーザーは暗号資産(仮想通貨)の送金時に、送金先と送金元の情報提供が必要になるという新たな枠組みと言えます。
また、トラベルルールは、FATF(金融活動作業部会)が「マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策」についての国際基準(FATF基準)において、各国の規制当局に対して導入を求めているものです。
テロリストや反社会的勢力、その他の犯罪者が電子的な資金移転システムを利用することを防ぎ、不正利用があった場合にはその追跡を可能にすることを目的として設定されました。
トラベルルールでのユーザーへの影響
トラベルルールとは、あくまでの暗号資産の送受金・入出金に関わるルールになります。暗号資産取引所内だけで完結する売買やトレード、日本円の入出金は今まで通り行えるため、ユーザーへの影響を考える際は暗号資産の送受金・入出金だけということを考慮しましょう。
トラベルルールが導入されることにより、ユーザーには大きく3つの影響があります。
送金可能な暗号資産が限定的になる場合がある
異なるソリューションの暗号資産取引所には送金できなくなる場合がある
送金先の情報の把握が必要になる
トラベルルールが導入の影響を知るために、自身が利用する暗号資産取引所などに導入されているトラベルルール対応技術を把握する必要があります。主なトラベルルール対応技術は2つあり、「Travel Rule Universal Solution Technology」(TRUST)と「Sygna Hub」(Sygna)というものがあります。まずは、これらには2024年2月15日現在、相互に互換性が無いという点を覚えておきましょう。
CoincheckはTRUSTを採用しており、国内ではbitFlyerが、米国ではCoinbaseも採用しています。
その他のTRUSTのメンバーはCoinbaseのホームページより確認できます。(掲載されているすべての業者がTRUSTによる送受信を開始しているわけではございません。)
なお、日本の法令上、以下の通知対象国・地域に日本国を加えた取引所以外への送金や、Metamaskなどの個人のウォレットへの送金には、トラベルルールが適用されません。(マネーロンダリングなどが疑われる場合は取引が制限される可能性があります。)
通知対象国・地域(トラベルルールが適用される国)※2023年7月5日時点
アメリカ合衆国、 アルバニア、 イスラエル、 カナダ、 ケイマン諸島、 ジブラルタル、 シンガポール、スイス、 セルビア、 大韓民国、 ドイツ、 バハマ、 バミューダ諸島、 フィリピン、 ベネズエラ、 香港、マレーシア、 モーリシャス、 リヒテンシュタイン、 ルクセンブルク
送金可能な暗号資産が限定的になる場合がある
TRUSTを採用している暗号資産取引所では、送金できる暗号資産が限定されています。今後、開発の進展により送金可能な暗号資産が増える可能性があります。
トラベルルール対応技術が異なる暗号資産取引所には送金できなくなる場合がある
日本国内の暗号資産取引所では、「TRUST」と「Sygna」というトラベルルール対応技術のどちらかが導入されています。両者ともトラベルルールには対応しているものの、2024年2月15日時点では、相互互換性がないため、異なるソリューションを導入している暗号資産取引所同士では送金ができません。
送金先の情報の把握が必要になる
トラベルルールとは、先述の通り「暗号資産の送金時に、送金先と送金元の情報提供が必要になる」というルールです。
そのため、トラベルルールに該当する暗号資産送金時には、送金先の情報をある程度把握しておく必要があります。
2024年2月15日時点では、送金時に必要になる情報は、送金元のアドレス、サービス名、受取人種別、受取人氏名(または法人名)、国と地域が必要となります。
詳細についてはこちらをご確認ください。
暗号資産(仮想通貨)でトラベルルールが設置された背景
暗号資産は、インターネットに接続していれば、誰が・どこでも・いつでも送受金できるという特性があります。
この特性は暗号資産のメリットであり、今まで決済サービスや銀行サービスに繋がれることのできなかった人々への可能性が示されたり、既存金融の弱点を克服する兆しが見えたりしました。
しかし、残念ながら暗号資産はマネーロンダリングやテロ資金供与、反社会的勢力などにも利用可能性があり、問題視する声は少なくありません。実際にハッキングなどで奪われた暗号資産は追跡が困難になったケースもありました。
そこで、トラベルルールでは不正利用があった場合にはその追跡を可能にすることを目的としています。
暗号資産を犯罪で利用する際は、最終的に誰かがどこかで法定通貨に換金する場合が多いため、出口をより強固にモニタリングを行えば追跡可能性が上がるといえます。
トラベルルールの関連法について
暗号資産においてのトラベルルールが定められた法律は、犯罪による収益の移転防止に関する法律 第十条の五です。
トラベルルールの枠組みがさらに変更される可能性もあります。しかし、法律はまったく理由なく制定される場合はほとんど無いため、FATF(金融活動作業部会)の動向等を注視すると、今後の日本の法令改正の動き等が想定しやすくなることでしょう。
(犯罪による収益の移転防止に関する法律 第十条の三、第十条の五)
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=419AC0000000022
コインチェックではトラベルルールに対応している?
Coincheckでは2023年5月31日からトラベルルールに対応しており、「Travel Rule Universal Solution Technology」(TRUST)を導入しています。
取引所や販売所での売買や、NFTの売買、入出庫、日本円の入出金などは今まで通り変わらずご利用いただけます。
なお、暗号資産の送金時には、トラベルルールに準じた情報入力が必要になります。
Coincheckでのトラベルルール対応の送金方法に関しては、こちらをご覧ください。
まとめ
暗号資産のトラベルルールは、基本的には暗号資産を送受金する際のルールになります。国内の取引所内で売買するだけならば、今まで通り変わらずに取引が行えます。
他の取引所などに送金をする場合は、その取引所がトラベルルールに対応しているか、また対応していなくても送金が可能なのか、トラベルルール対応技術の種類はどれかなどをよく確認しましょう。
2022年12月23日、令和5年(2023年)度「税制改正の大綱」が閣議決定されました。この「税制改正の大綱」とは、簡単に言えば「翌年度以降の税制改正の方針」であり、令和5年度「税制改正の大綱」には暗号資産(仮想通貨)関連の税制の見直しも盛り込まれました。
また、令和5年度「税制改正の大綱」においては、2022年7月に一般社団法人日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)が一般社団法人日本暗号資産等取引業協会(JVCEA)と共同で金融庁に提出した「暗号資産に係る2023年度税制改正要望書」の内容も一部反映されています。
この記事では2023年の改正で暗号資産の税制がどのように変わるのか、そして要望書において何が反映されて何が反映されなかったのかについて、2022年12月1日にオンラインにて開催された「2022年暗号資産の今を知る〜税制改正に向けた現状〜」(コインチェック株式会社×クリプタクト共催)の内容も踏まえて解説していきます。
セミナー動画
この記事でわかること
2023年の改正で暗号資産の税制がどのように変わるのか
2022年度時点での暗号資産の税制はどうなっているか
2023年度の暗号資産税制改正要望の概要
2023年以降の税制改正に向けた活動予定
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監修竹ケ原 圭吾
2012年11月 大学在学中に公認会計士試験2次試験に合格。大学卒業後、有限責任監査法人トーマツに入社。幅広い業種の監査及び上場支援業務、財務DD等の関連業務に従事。その後、2018年11月にコインチェック株式会社入社。経理財務部門の責任者として、暗号資産交換業という新たな事業分野における会計の要件定義や内部統制構築等に加え、財務会計・管理会計・税務業務に従事する。その他、日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)において、税制検討部会の副部会長を務め、暗号資産に関連する自主規制の各種ルールメイキングにも関与する。2020年9月に執行役員、2022年6月に常務執行役員に就任。
目次
2023年度税制改正で暗号資産の税制はどう変わる?
ポイント①:法人が保有している暗号資産への課税が一部緩和された
ポイント②:暗号資産の分離課税は大綱への記載なし
ポイント③:暗号資産の資産税についても大綱への記載なし
暗号資産の税制改正 〜2022年度時点の現状〜
セミナー登壇者紹介
暗号資産の税制改正要望で押さえておきたい要点
要点①:分離課税について
要点②:法人税について
要点③:資産税について
暗号資産の税制改正が急がれる背景
背景①:暗号資産市場の大幅な拡大・成長
背景②:NFTやメタバースなど新たな利活用の拡大
背景③:Web3.0推進が日本の成長戦略に
税制改正要望書はどのようにして作られるのか?
ステップ①:要望の洗い出し/リサーチ
ステップ②:他業界団体へのすり合わせ
ステップ③:投資家アンケート/リサーチ
税制改正要望書提出後の活動について
活動①:各項目への省庁とのすり合わせ
活動②:各省から財務省への要望
活動③:税制改正大綱に盛り込まれるための啓蒙
2023年以降の税制改正に向けた活動予定
2023年度税制改正で暗号資産の税制はどう変わる?
2023年度の税制は、令和5年度「税制改正の大綱」を大きな方針として改正が進んでいきます。今回閣議決定された暗号資産関連の税制について、押さえておきたいポイントは次の3つです。
ポイント①:法人が保有している暗号資産への課税が一部緩和されたポイント②:暗号資産の分離課税については大綱への記載なしポイント③:暗号資産の資産税についても大綱への記載なし
ポイント①:法人が保有している暗号資産への課税が一部緩和された
1つ目のポイントは「法人が保有している暗号資産への課税が一部緩和された」ことです。
現行の税制では法人が期末時点で暗号資産を保有していた場合、含み益があれば、実現されているものとみなし、課税されていました。これを期末評価課税と言います。
売却して利益が出たならば課税する、というのは税金に詳しくない方でも感覚として理解できると思いますが、期末評価課税は、いつでもその時点の時価で売却できる状態だから、期末時の時価で利益が実現しているものと考えて計算しよう、という考え方に基づいています。
そして暗号資産は、その保有目的に関わらず、期末時価評価が必要とされているため、仮に長期保有を前提にすぐ売れない場合にも、期末時に含み益がある場合には納税しなければならないということは、従来より課題となっていました。
暗号資産を自ら発行し保有する法人についても、同様に時価評価されるおそれがあり、この税制課題により発行体が海外に流出するということが多くありました。例えば日本発のパブリックブロックチェーン「Astar Network(ASTR)」を開発するStake Technologies株式会社の渡辺創太CEOは、noteにて『もしAstarを日本でやっていてトークンを日本で発行した場合、2022年に我々が納めなければならない税金は約200億円』であり、この多額の税金を納めるために自社トークンを大量に現金化してしまうと、トークンのマーケット価格の崩壊やプロジェクトの停滞を招きかねないと指摘しています。
一般社団法人日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)の調査でも海外に流出したweb3スタートアップは数十社あるとされています。
今回閣議決定された令和5年度税制改正の大綱では「暗号資産を発行している企業の自社保有分について一定の要件を満たすものは、期末評価課税の対象外とする」ことが記載されています。つまり海外流出の主な課題であった部分が解消される、ということになりました。
暗号資産に関する税制改正は2017年の消費税改正以降、6年ぶりとなります。
上記の改正が大綱に盛り込まれるにあたり、業界団体の要望がどうなっていたかというところですが、、2022年7月に一般社団法人日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)が一般社団法人日本暗号資産等取引業協会(JVCEA)と共同で金融庁に提出した「暗号資産に係る2023年度税制改正要望書」において、主に「①期末評価課税の対象を短期売買目的に限定すること」と「②自社発行分の暗号資産を期末評価課税対象から除外すること」を要望していました。今回はこのうち②の部分が盛り込まれたということになります。
ポイント②:暗号資産の分離課税について大綱への記載なし
2つ目のポイントは「暗号資産の分離課税について大綱への記載がなかった」ことです。
現状では暗号資産で得た所得は「雑所得」に分類され、給与所得など他の所得と合算して所得税額を計算します。このような課税区分のことを「総合課税」といいます。総合課税では、税率は課税所得が多いほど高くなる累進課税方式が採用されているので、合計した所得が多ければそれだけ税額も多くなります。
一方で株の売買で得た所得は「譲渡所得」に区分され、他の所得金額と合算せずに個別に税額を計算します。このような課税区分のことを「分離課税」と言います。
分離課税における総合課税と比較したメリットは、所得計算が分離される分、税金が抑えられる可能性が高いことです。
収入が多くなるほど所得税が高くなる累進課税と違い、分離課税では税率が一定です。そのため、分離課税で得た収入は所得が高い方にとって負担軽減となるでしょう。それに加え、上場株式等の譲渡所得については損失分を3年の間繰り越すことのできる「繰越控除」が認められています。
このように暗号資産は上場株式等の金融商品に比べ、税制面で不利であるのが現状です。そのためJCBAが毎年提出している税制改正要望書では、昨今の法令上の暗号資産の位置付けの整理や諸外国の税制を比較分析した上で、上場株式等の金融商品と同様に「20%の申告分離課税」や「3年間の損失繰越控除の適用」を要望しています。しかしながら、2023年度の「税制改正の大綱」にはこれらの項目は反映されませんでした。
ポイント③:暗号資産の資産税についても大綱への記載なし
3つ目のポイントは「暗号資産の資産税についても大綱への記載がなかった」ことです。
JCBAが金融庁に提出した2023年度の税制改正要望書では、「相続した暗号資産の譲渡による所得を取得費加算の特例対象とすること」と「相続財産評価に過去3ヶ月の平均時価の最低額を選択可とすること」を要望していました。これは暗号資産の急激な値上がりによっては、相続をする際に多額の相続税がかかってしまうケースがあるためです。しかしながら、2023年度の「税制改正の大綱」にはこれらの項目は反映されませんでした。
暗号資産の税制改正 〜2022年度時点の現状〜
ここからはJCBAが提出した2023年度の税制改正要望について、2022年12月1日にオンラインにて開催された「2022年暗号資産の今を知る〜税制改正に向けた現状〜」(コインチェック株式会社×クリプタクト共催)の内容をもとに解説していきます。
※令和5年(2023年)度「税制改正の大綱」が発表される前に実施されたセミナーとなります。
※アーカイブ動画はこちら
セミナー登壇者紹介
竹ケ原 圭吾(Keigo Takegahara)
コインチェック株式会社 常務執行役員
公認会計士
斎藤 岳(Gaku Saito)
株式会社pafin 代表取締役
日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)税制検討部会長 兼 アドバイザー
コインチェック株式会社
※詳しくはこちら
クリプタクト
※詳しくはこちら
暗号資産の税制改正要望で押さえておきたい要点
要点① 分離課税について要点② 所得税について要点③ 資産税について
要点①:分離課税について
引用:JCBA「2023年度税制改正に関する要望書 添付1」
斎藤:1つ目の要点は「分離課税」についてです。特に分離課税は個人の税制にも直接関わってきますので、今回セミナーに参加された皆様にとっても一番興味があるトピックではないかと考えております。ここでの要望を一言で表現するなら「暗号資産の税制も、上場株式等と同じような税制にしてほしい」ということになります。
具体的には一般的な上場株式等の金融商品と同様に「20%の申告分離課税」や「3年間の損失繰越控除の適用」を要望しています。そして暗号資産デリバティブ取引についても同様の税制を適用するように要望を提出しております。
要点②:法人税について
引用:JCBA「2023年度税制改正に関する要望書 添付1」
斎藤:2つ目の要点は「法人税」についてです。ここでの要望内容を簡単に申し上げると「法人が保有している暗号資産の含み益に対する課税を一部緩和してほしい」ということになります。
※含み益とは取得価格が時価よりも安い場合の差額のこと。例えば過去に購入した100万円分のビットコインの時価が250万円だった場合、取得価格と時価の差額である150万円が含み益です。
従来の税制では法人が期末時点で暗号資産を保有していた場合、含み益があれば課税されていました(期末評価課税)。そこで今回の要望書では法人が保有している暗号資産に対する期末評価課税の一部緩和を要望しています。具体的に「期末評価課税の対象を短期売買目的に限定すること」と「少なくともまずは自社発行分の暗号資産を期末評価課税対象から除外すること」を要望しています。
要点③:資産税について
引用:JCBA「2023年度税制改正に関する要望書 添付1」
斎藤:3つ目の要点は「資産税」についてです。ここでの要望内容を簡単に申し上げると「暗号資産にかかる相続税の一部を軽減してほしい」ということになります。暗号資産の価格は時期によって急激に値上がりすることもあるため、相続をする際に多額の相続税がかかってしまう場合があります。さらに相続税に加え、暗号資産を売却する際にも所得税等の税金がかかる場合もあるため、相続税と売却時にかかる税金の合計が相続した暗号資産の売却時の値段を上回ってしまうケースもあります。
そこで今回の要望書では「相続した暗号資産の譲渡による所得を取得費加算の特例対象とすること」と「相続財産評価に過去3ヶ月の平均時価の最低額を選択可とすること」を要望しています。
また「要点①分離課税について」は例年の要望書に毎年記載している内容ですが、「要点② 法人税について」と「要点③ 資産税について」は今回の税制改正要望書で初めて記載した内容となっています。
暗号資産の税制改正が急がれる背景
竹ケ原:では、なぜ暗号資産税制は改正が必要だと考えられているのでしょうか。結論を申し上げると「Web3.0市場やWeb3.0企業の育成、海外競争力の強化のためには暗号資産税制の改正が不可欠だから」だと私は考えています。
ここでは、暗号資産税制の改正が急がれている背景を3つ紹介します。
背景① 暗号資産市場の大幅な拡大・成長背景② NFTやメタバースなど新たな利活用の拡大
背景③ Web3.0推進が日本の成長戦略に
背景①:暗号資産市場の大幅な拡大・成長
参考:JCBA「2023年度税制改正に関する要望書」よりコラム編集部作成
竹ケ原:1つ目の背景は「暗号資産市場の大幅な拡大・成長」です。
ビットコイン市場は、国内外合わせ、2017年に時価総額及び取引金額が大きく増加しました。その後、2018年に入って減少傾向となったものの、2019年4月以降は増加傾向を示しています。なお直近の2022年3月現在においては、市場価格の影響もあり、時価総額で約105兆円に落ち着いています。
参考:JCBA「2023年度税制改正に関する要望書」よりコラム編集部作成
竹ケ原:また、ビットコインの取引金額は2019年には約1兆円であったものが、2022年3月には1日平均 で約3.1兆円と大幅に増加しています。
参考:JCBA「2023年度税制改正に関する要望書」よりコラム編集部作成
竹ケ原:さらに2018年以降、利用者口座の数は着実に増加をしており、2022年3月には約585万口座となっています。これに加え2022年は国内で暗号資産取引業を提供している業者が30社を超え、今後も一層の口座増加が見込まれます。なお、この585万という口座数は、店頭FXの税制改正が行われた2011年当時のFX取引口座数を既に超えており、普及度において既に暗号資産はFXと同程度以上の水準に達しているとみることができます。
背景②:NFTやメタバースなど新たな利活用の拡大
竹ケ原:2つ目の背景は「NFTやメタバースなど新たな利活用の拡大」です。
2021年はNFT元年とも呼ばれ、さまざまな分野での暗号資産技術の利活用が拡大しています。
例えばスポーツ分野では、NBAのハイライトシーンをNFT化した「NBA Top Shot」が2021年5月時点で取引高7億ドルとユーザー数100万人に到達しました。同サービスはNFTを交換する際に手数料を設けており、そこで発生した収益はNBAチームやその選手にも分配されるため、スポーツ産業にとって新たな収益源となっています。
またゲーム分野では、Axie Infinityの推定時価総額が一時300億ドルとなり、2021年10月時点でゲーム企業の中で世界5位となりました。同ゲームはプレイすることで「暗号資産」を稼得することができるため、フィリピンでは生活費としてAxie Infinity上で稼得する層が一定存在するほどに経済圏が拡大しています。
さらにメタバース分野では、NIKEがゲームプラットフォーム上におけるバーチャル空間「NIKELAND」のオープンや、 スニーカーNFT企業の買収など積極的な姿勢を見せています。ゲームを通じた顧客とブランドと の密接なつながりの構築や、スニーカーNFTという次世代のコレクターアイテムの提供など、NFT・メタバース分野をファッション業界の利益につなげようとしていることが窺えます。
背景③:Web3.0推進が日本の成長戦略に
竹ケ原:3つ目の背景は「Web3.0推進が日本の成長戦略に組み込まれたこと」です。
2022年6月、岸田内閣は「経済財政運営と改革の基本方針2022(骨太方針2022)」 において、政府主導でWeb3.0推進に向けた環境整備を進めていく姿勢を明らかにしました。これは、過去数年のWeb3.0推進の流れとしても大きな意味を持つものであると考えています。
竹ケ原:このスライドでは、Web3.0戦略における暗号資産の重要性について図を用いて説明しています。
Web3.0を推進することによって、暗号資産を利用する方が増え、Web3.0の市場も育成されていきます。この流れが何度も循環することで結果として経済が潤い、税収も増えて国が豊かになるというのが理想的なWeb3.0戦略のかたちです。
また、そのプロセスを経るためにどのような税の体制が望ましいのかという点に関して、具体的な案を要望書に記載しています。ご興味がある方はぜひご覧ください。
参考:JCBA「News-2023年税制改正に関する要望書の公表」
斎藤:今回「Web3.0」という言葉が骨太方針2022年に組み込まれたという事実は、我々税制改正に向けて動いている団体としては非常に意味のある出来事であったと感じます。
単に税制改正のお願いを政府に提出するだけではなく、我々が「Web3.0を成長戦略にするのであれば、現状の税制を変えていかなければいけない」という説得力のある理由付けができるようになったということは、かなり大きな違いだと思っております。
税制改正要望書はどのようにして作られるのか?
竹ケ原:ここでは税制改正要望書がそもそも、どのようなプロセスを経て作られるのか説明していきます。税制改正要望書は「①要望の洗い出し/リサーチ」「②他業界団体とのすり合わせ」「③投資家アンケートの情報収集」の3つのステップを経て作成されます。
ステップ①:要望の洗い出し/リサーチ
竹ケ原:1つ目のステップは「要望の洗い出し/リサーチ」です。まずは税の現場は特にどこで困ってるのか?ということを洗い出していきます。
例えば、2023年度の税制改正要望に記載した所得税と法人税などの問題点は制度的にすぐに気が付く部分です。
一方で相続税に関しては、会員である現場の税理士の方からお声をいただき反映させたもので、現場に入っていかないとわかりづらい論点でもあると思います。そういったものも丁寧に協会がハブ機能として拾い上げて、そこから、なぜこれが良くないのか?これは例外的な事象なのか?それとも税制度の問題なのか?というところや、あるいは他のアセットクラスだとどうなっているのか?という事象に対してのリサーチもしていきます。
ステップ②:他業界団体へのすり合わせ
竹ケ原:それが終われば、2つ目のステップである「他業界団体へのすり合わせ」へと進みます。
現在クリプト業界は複数の業界団体が存在しますが、言ってることがそれぞれ異なっていると、取りまとめる各省庁も苦労しますね。各省庁の目線に立った上で、先に業界団体としても他の団体との歩調を合わせるといいますか、表現を合わせるということをやったほうが税制改正は最終的に通りやすいので、このステップ2のプロセスを踏んでいきます。
ステップ③:投資家アンケート/リサーチ
竹ケ原:そして最後のステップは「投資家アンケート/リサーチ」です。
これは要望書を出すまでの間に行うもので、要望はどれくらいの声の大きさなのかを計測する、いわゆる署名活動みたいなものです。今回我々JCBA としても、主にTwitterを中心に暗号資産投資家に対してアンケートをさせていただきました。今年は結構力を入れたと思っていますが、大体2万6000件のお声をいただいて、やはり改めてこちらも頑張らなくては、という気持ちになりました。
この他にも、公表する手前のタイミングで、議員の方に対して啓蒙活動を行ったり、事前にコミュニケーションを取るなどをしています。
税制改正要望書提出後の活動について
竹ケ原:次に税制改正要望書を提出した後、我々が具体的にどのような活動を行っているのか説明していきます。税制改正要望書の公表後は「①各項目への省庁とのすり合わせ」「②省庁から財務省への要望」「③税制改正大綱に盛り込まれるための啓蒙」を主な活動として行っています。
活動①:各項目への省庁とのすり合わせ
竹ケ原:要望書を提出後、「各項目への省庁とのすり合わせ」を行います。
暗号資産は資金決済法で定められていますので、基本的な管轄は金融庁です。また、産業政策的な観点で言えば経産省です。実際の要望書も、今回は経産省と金融庁の共同での要望という形で出されており、主にその二省庁と協議をさせていただいています。
所得税、法人税、資産税の中で、特に各省庁の視点は基本的に我々と同じです。やはり産業の成長の目線が合って、そこに対して阻害要因がどの税のどこの部分になっているのか?影響度がどれくらいあるのか?ということに対して、優先順位付けをしていきます。そして、その順番にリソースを張っていくという点では同じだと思います。
ただし所得税になると、非常に多くの個人のユーザーの方々に対して影響を与えるため、考えなければいけないことが非常に膨大であり、ものすごく重いプロセスがあります。その重さは、当然ながらたくさんのユーザーが影響を受ける所得税から重くなっていき、次は恐らく法人税になります。相続税になるとそこまでではないかもしれませんが、やはりこの重さは、非常に気になるところです。それによって戦略的というか、どういう流れの中でコンセンサスを取っていくか?というところの目標も定まり時間軸も定まります。
2022年も昨年以上に、各省庁とのコミュニケーションが、体感で言えば5倍以上に増えたと思っております。その中では非常に具体的で率直なご意見もいただき、とてもありがたい気持ちになりました。我々も会員に対して、あるいはユーザーの皆様に対して、この温度感や期待値をお伝えしなくてはいけないところがあると思いますが、そこがすり合ってる状態になっているなと感じています。
ここから先、各省庁と具体的な税制改正の案について、さらに深ぼっていくプロセスをしております。各省庁で取りまとめて財務省に対して要望を提出し、財務省は与党の税制調査会とコミュニケーションをとった上で、最終的に税制改正大綱として大体毎年12月に盛り込まれて、国会に通していくというプロセスを経ていきます。
斎藤:この公表後の活動に関しては、2022年に初めて行ったと言っていいと思います。これまでは毎年要望書を出して、お疲れ様でした、みたいな感じでした。結局、出した瞬間に「いや、もうこれは今年は無理ですよ」みたいなコミュニケーションが最初からありまして、年末の税制改正大綱に、乗るか乗らないかの議論、また載せるために何をしていくか?どう決めていくか?のような議論は全くなかったです。2022年はそれをやっているという意味では、かなり前進しているとは思ってます。
活動②:各省から財務省への要望
斎藤:次のステップでは「各省から財務省への要望」を行います。
要望している内容というのは分離課税以外にも、法人税などを書きましたが、全部が全部同時並行で議論できているかというと、そうではなく、まずは通しやすいところから通していこうとしています。
具体的には、法人税の議論が詰めやすいところなので、まずはここから落としていこうと動いています。基本的には法人税周りの改正というところに関しては我々がコミュニケーションさせていただいてる省庁には、ご理解をいただいています。今までは、我々が出した先にこの要望を理解してもらって、改正に向けて「一緒に動いてください。お願いします」と言っていましたが、それに対して「ノー」というのがこれまででしたが、今年に関しては「そうですね。一緒にやりましょう」となりました。
したがって、具体的には各省庁とワンチームになって、財務省に説明していくという動きになっていると思っています。仕事にはウェットな世界もあると思いますが、こういった経験が、例えば2023年もさらに残っている要望内容を出していく際にプラスに効いてくるのではないかと思っています。
金融庁というと、業界に規制ばかりしているようなイメージを持たれている方も多いと思いますが、必ずしもそうではありません。むしろ前向きに改正していくことに一緒に汗をかいてもらっている。まさに、財務省の説得も金融庁にしていただいて、その説得材料を我々が一生懸命に用意して、「これどうでしょう?」みたいな形でやっている感じですね。
活動③:税制改正大綱に盛り込まれるための啓蒙
斎藤:最後のステップでは「税制改正大綱に盛り込まれるための啓蒙」を行います。税制改正大綱に関しては、毎年12月中に公表されます。したがって、今がまさに瀬戸際なところです(2022年12月1日現在)。
税制改正大綱に盛り込まれる前に自民党の税制大綱にも乗らなくてはいけません。与党、自民党の税制調査会のメンバーにお会いして、この大切さを説明させていただくなどの活動を日々行っています。
2023年以降の税制改正に向けた活動予定
竹ケ原:最後になりますが、2023年以降の活動としては「まずは変えられそうな、改正したときの影響が大きい税制に絞って議論を進めていきたい」と考えています。要望書を出すタイミングだけの活動ではなくて、通年を通した活動になりますので、今は斎藤さんと私と結構少数のメンバーで業界団体のメンバーでやっていますが、そろそろきつくなってきたのでちゃんとチームを作って輪を広げて活動していきたいと思いますので、そういう意味では組織作りも2023年は注力していきたいと思います。興味のある方がいればぜひ声を掛けてください。
斎藤:そうですね。2022年から税の要望書を出した後の行動というのが始まりましたが、残念ながら要望書の全部が議論に上がってるわけではなく、どうしても順番ができてしまうので残ってる議題もまだまだたくさんあります。それらをこなすにも我々スタッフィングもそうですが、なるべく時間をとって、官僚の方や、国会議員の方とも向かい合って、説得していくための時間を作ることが必要かと思っています。これからも輪を広げて真面目に取り組んでいきたいと思っておりますので、何卒よろしくお願いします。
※本記事は暗号資産の投資を推奨する意図は一切ありません。
※本記事は脱税を推奨するものではありません。また税対策の効果を保証するものではありませんので、お取引につきましてはご自身の責任のもと行ってください。
※暗号資産の税制については、2023年1月13日時点の情報となります。
※本記事は個人の暗号資産における税金についての内容であり、法人の場合は異なります。
※税金の詳細につきましては、管轄
の税務署や税理士にお尋ねいただくか、国税庁の「タックスアンサー(よくある税の質問)」のページをご参照ください。
2022年11月21日、オンラインにて「暗号資産の確定申告と損益計算セミナー」(共催:コインチェック株式会社×クリプタクト)が開催されました!
今回のセミナーでは、主に今まで確定申告を行ったことがない方や暗号資産の所得計算に馴染みのない方を対象に暗号資産の損益計算方法や初めて暗号資産の損益計算を行う方が陥りがちな落とし穴、2022年度の確定申告に向けてやるべきこと、そしてよくある質問に対する回答をご紹介したほか、セミナー参加者からの質問にお答えするQ&Aの時間も設けられました。
この記事では、本セミナーで議論された重要なポイントについてまとめています。
この記事でわかること
暗号資産取引で利益を出したらどうすればいいのか
暗号資産取引の確定申告方法
暗号資産取引の損益計算や確定申告での注意点
2022年度の確定申告に向けてやるべきこと
暗号資産の損益計算や確定申告でよくある質問
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目次
登壇者紹介
暗号資産の損益計算の仕組み
暗号資産の損益計算はたった3ステップ
暗号資産の納税と株の納税との違い
暗号資産の損益計算の落とし穴
ポイント1:税務上の損益は交換所毎には算出できない
ポイント2:税務上の損益の算出には過去全ての取引履歴が必要
ポイント3:暗号資産同士の交換でも日本円で損益を認識
ポイント4:後から損益が変わる?暗号資産の計算方法「総平均法」
暗号資産の損益計算のやり方
暗号資産の確定申告
暗号資産の確定申告の仕組み
損失繰越ができないからこそ年内にやるべき2つのこと
取引履歴(CSV)のダウンロード方法
暗号資産の確定申告・損益計算でよくある質問
Q1. 2022年の損益計算には、2022年の取引履歴だけあればいいのか?
Q2. 投資していた時に想定していた損益と違うのはなぜか?
Q3. 誤った送金をしてしまったらどうすればいいのか?
Q4. 暗号資産がハードフォークした場合の処理はどのように行えばいいのか?
Q5. 必要経費にはどのようなものが認められるのか?
Q6. NFTを売買して得た利益はどの所得区分に分類されるのか?
Q7. 損益計算をして所得が20万円以下であれば確定申告は必要ないのか?
Q8. NFTを暗号資産で購入する場合も課税対象になる?
Q9. ステーキング報酬で受け取った暗号資産は課税対象になる?
Q10. 確定申告をするとき、保有している暗号資産の期末評価損益は関係ないのか?
登壇者紹介
竹ケ原 圭吾(Keigo Takegahara)
コインチェック株式会社 常務執行役員
公認会計士
斎藤 岳(Gaku Saito)
株式会社pafin 代表取締役
日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)税制検討部会長 兼 アドバイザー
コインチェック株式会社
※詳しくはこちら
クリプタクト
※詳しくはこちら
暗号資産の損益計算の仕組み
暗号資産の損益計算はたった3ステップ
竹ケ原 圭吾(以下、竹ケ原):早速ですが、暗号資産の損益計算において、重要となるポイントを斎藤さんからご説明していただいてもよろしいでしょうか。
斎藤 岳(以下、斎藤):そうですね。多くの方が「暗号資産の損益計算は難しい」とか「確定申告が大変だ」と仰っていますが、暗号資産の損益計算は大きく分けて次の3つのステップしかありません。
斎藤:1つ目のステップは「取引履歴の取得・整理」です。
そもそもご自身がどういった取引をしたのかという履歴がないと、損益計算はできません。そのため、まずはご自身の取引履歴を整理する必要があるというのが最初のステップとなります。
例えばCoincheckなどの交換所や取引所でお取引されている場合であれば、ほぼ全てのケースで交換所・取引所から取引履歴をダウンロードできるはずです。そのため、交換所や取引所でお取引されている場合は、そこから事前に取引履歴をダウンロードしておきましょう、というのが最初のステップになります。
一方で、友人間やご家族間で暗号資産をやりとりするなど、交換所や取引所以外で取引をしているという方もいらっしゃると思います。その場合は、ご自身で「何月何日にどういったお取引をしたのか」ということをきちんとメモに残しておきましょう。
竹ケ原:家計簿で例えるなら「レシートをちゃんと保存しておいて、後で収支計算できるようにしましょう」というところですよね。
斎藤:そうですね。損益を計算する前にまずはちゃんと取引履歴を整理しましょう、というのが1つ目のステップになります。それができてから2つ目のステップである「損益計算」、そして3つ目のステップである「確定申告」へと進みましょう、ということです。
本日は主にこの2つ目と3つ目のステップを中心に、みなさんが誤解しがちなポイントを中心にご紹介できればと考えております。なお、今回のセミナーでは暗号資産の売買に関連して発生した個人の所得を対象にしていますので、事業としてやっている方、あるいは法人で取引している方は、前提が異なりますので、その点はご了承ください。
暗号資産の納税と株の納税との違い
竹ケ原:それでは暗号資産の損益計算の具体的な仕組みの説明に入っていきます。暗号資産の損益計算は株の損益計算と比較するとやっぱり複雑で、複雑であるからこそ多くの方からお問い合せいただいているのかなとは思っておりますが、具体的にはどのようなところが「暗号資産の納税方法が複雑だ」と言われる要因になっているんでしょうか。
斎藤:そうですね。いただくお問い合わせで多いのは「暗号資産はどうして損益を自分で計算しなくちゃいけないのか」や「株のように源泉徴収を勝手に計算してくれないのか」というものですね。この質問に対する答えとしては「暗号資産と株は仕組みが違うので、自分で損益を計算しなくてはいけない」ということになります。
株の場合は、ほふり(証券保管振替機構)という機関が、証券会社間のやりとりを含めて全ての取引を一元管理しているため、証券取引所単位でもちゃんと損益を勝手に計算してくれ、源泉徴収まで証券会社がやってくれます。
一方で暗号資産の場合、ほふりのような中央集権的な機関は基本的にありません。そのため、取引所間や交換所間で送金を行った場合や、ご自身のウォレットに引き出しを行った場合、それらの取引全てを取引所・交換所単位で把握することは不可能です。
そのため暗号資産の場合はご自身で取引履歴を取得・整理し、損益計算を行い、確定申告して納税をするしかないというわけですね。
暗号資産の損益計算の落とし穴
竹ケ原:さらに話を進めまして「暗号資産の損益計算の落とし穴」というところで、多くの方々が誤解しがちなポイントに関して、いくつか例を紹介させていただければと思います。
ポイント1:税務上の損益は交換所毎には算出できない
竹ケ原:最初のケースでは「交換所A」と「Coincheck」の2つで売買履歴がある状態を想定します。斎藤さん、このケースに関してはどういったことがよく誤解されがちで、どうやって損益を計算すればいいのかを教えていただけますでしょうか。
斎藤:はい。このケースでのポイントは「暗号資産は交換所ごとに損益を算出するわけではない」というのが重要となります。
多くの方々が考えている損益計算のイメージは、取引所や交換所ごとに「損した」「得した」と計算して、1年の終わりにそれらを合算するというものかもしれませんが、そのイメージは基本的に間違っています。
例えばこのスライドの例でいうと、交換所Aでは1BTCを150万円で購入して売却はせず、取引所Aでの利益は0円、Coincheckでは1BTCを100万円で買って150万円で売っているので「今年はCoincheckで50万円儲かった」と考えがちです。
しかし、正解は次のスライドのようになります。
斎藤:年間の損益は50万円ではなく25万円となります。。なぜなら暗号資産の損益計算においては、Coincheckで売買した暗号資産だけでなく、交換所Aで取引した150万円も加味したうえで計算を行わないといけないからです。要するに「暗号資産に色はない」というのが基本的な考え方となるわけです。
具体的な数値例で考えてみましょう。このスライドの例でいうと、交換所Aさんで1BTCを150万円で購入し、Coincheckで1BTCを100万円で購入したので、平均して125万円のBTCを2枚買ったということになります。
そのうちの1枚を12月30日に150万円で売却したということになるので年間の損益は「150万円-125万円=+25万円」と計算されます。
ポイント2:税務上の損益の算出には過去全ての取引履歴が必要
斎藤:続いてのケースでは「税務上の損益の算出には、基本的に過去全ての取引履歴が必要になる」という話をします。
ここでは2016年に10万円で1BTCを購入し、2021年までは暗号資産の売買を行っていないというケースを想定しています。そして2022年に入ってからCoincheckで1BTCを240万円で購入し、年末に1BTCを250万円で売却。すると多くの方が「2022年の損益は、Coincheckで売買した分の10万円だけだ」と考えてしまいます。
しかし実際には、損益は次のスライドのように計算されます。
斎藤:これもまさに「暗号資産に色はない」ということになってきますが、2016年に1BTCを10万円で購入し、その後2022年に1BTCを240万円で購入したのだから、1BTCを平均125万円で2枚購入し、そのうち1枚を250万円で売却したという計算になります。
したがって、2022年の損益は「250万-125万円=+125万円」と計算されます。
ここでみなさんに伝えたいのは「自分自身の損益のイメージと実際の計算結果は結構異なる場合がある」ということです。私もよく「今年は20万円の利益が出ていないから確定申告をしなくてもよい」という声を聞くことがありますが、その20万円という数字はご自身のイメージで計算されており、実際に計算すると20万円以上の利益が出ているケースは結構多いです。
例えばこのケースですと、自分のイメージでは10万円しか利益が出ていないと思っていたけど、実際に計算してみると125万円もの利益が出ています。もしここでご自身のイメージだけで確定申告をしないという判断をしてしまうと、脱税ということになってしまって、後で延滞金まで含めてペナルティが課されてしまいます。
したがってご自身のイメージだけで確定申告するのかどうかを判断するのではなく、一度しっかりと計算してみるのを強くオススメしますね。
竹ケ原:そうですね。これは特に昔から暗号資産取引をしている方が間違える可能性が高いケースと言えるかもしれませんね。各取引所も暦年ごとに取引履歴を提供しているケースが多いので、その1年間だけをみてしまうとこういった間違いが起こりやすいと思います。
ポイント3:暗号資産同士の交換でも日本円で損益を認識
斎藤:続いては「暗号資産同士の交換も損益計算対象になってくる」ということをお話しします。今でもよく「円に戻さず暗号資産同士の交換をしていれば損益計算や確定申告はしなくてもいいよね」という声を聞きますが、そうではありません。
例えばビットコイン(BTC)をイーサリアム(ETH)に交換した場合。この場合は円を介在していないので損益計算は不要なのかというと、その認識は間違っています。実はビットコインとイーサリアムのように暗号資産同士の交換を行なった場合であれば「その交換を行なった取引日時の時価でビットコインを売却した」とみなされます。
一方で受け取ったイーサリアムは「売却を行なったビットコインの時価でイーサリアムを購入した」とみなされます。したがって円を介在しない暗号資産同士の交換も、ご自身で一つひとつ損益を計算していく必要があります。
竹ケ原:私の感覚では、このケースが一番感覚として理解がしづらいところかなと感じます。ここでの取引ではビットコインもイーサリアムも通貨の単位での交換になってきますので、対円での把握がなかなか難しい。
もちろん日本の取引所の場合は参考情報として対円でのレートが付してあることもあるかもしれませんが、海外の取引所を利用されている方は、逐次円のレートも取得していかなければいけないところかなと思います。
ポイント4:後から損益が変わる?暗号資産の計算方法「総平均法」
竹ケ原:暗号資産の損益計算の落とし穴に関する最後の項目は「総平均法」と言われる計算方法についてです。
斎藤:そうですね。ここが「一番知られていない」かつ「イメージとズレてくる」ポイントだと思っています。まず暗号資産の計算方法というのは原則「総平均法」と決められています。
これも例を用いて説明しましょう。
斎藤:この例における上3つの取引は先ほどポイント1でお話しした取引と同じであり、この時点で年内の取引を終えれば損益は+25万円だという話をしました。それに加えこのケースでは、12月31日に交換所Bというところで200万円で1BTCを購入しています。そうすると、実は過去の損益が変わってくるんですね。
総平均法では、まず過去の「買いの履歴」を集計し、その平均簿価を出します(この例では「(150万円+100万円+200万円)÷3=150万円」が平均簿価です)。これがその年度における簿価、つまり年度簿価となります。なのでこの場合、2020年度における年度簿価が1つに固定されるんですね。
そしてこの計算された年度簿価に対して、どれくらいの損益が出たのかということを一つひとつ計算していくことになります。(この例では2020年の年度簿価が1BTCあたり150万円であり、2020年12月30日に1BTCを150万円で売却しているため、損益は「150万円-150万円=0円」となる。)
つまりここで一番伝えたいことは「ご自身が暗号資産を売却したあとの取得履歴の内容によって過去の売却損益が変わってくる」ということです。これはかなり感覚とは違う部分だと思いますので、ぜひ一度ご自身でちゃんと損益計算を行うことをオススメします。
竹ケ原:そうですよね。会計では一般的な損益計算の方法として「移動平均法」というものもありますが、暗号資産の損益計算において個人が移動平均法を適用するには税務署への届け出が必要になります。そのため、暗号資産の損益計算においては「総平均法」が原則的な計算方法になりますね。
ただし、このセミナーでは個人が行う個人所得税の範囲が主な対象になっています。法人の場合は計算方法が異なる場合があるため、その点はご了承ください。
斎藤:ここまで「暗号資産の落とし穴」というテーマでお話ししましたが、実はご自身が所有している暗号資産を全て売却してしまった場合は、おそらくイメージとして把握されている数値と最終的には一致します。つまり累計の損益に関してはどのような計算方法を適用しても同じなんですね。
ただし期中の利益や損益の計上の仕方は計算方法によってかなり異なってきますので、いずれにしろ一度ご自身で計算してみるというのが重要になってきますね。
暗号資産の損益計算のやり方
斎藤:ここまで説明してきた通り、暗号資産の損益計算においては先述した「暗号資産の損益計算の落とし穴」に注意しながら、一度ご自身で計算することが大切になってきます。では具体的にどのように計算すればいいのかということですが、いくつか方法はあります。
まず挙げられるのは「国税庁のフォーマットで計算する」という方法です。国税庁のホームページには暗号資産の所得計算に使用できるフォーマットが用意されており、こちらを参考にして損益計算を行うことが可能です。
ただし国内のみならず海外の取引所を利用していたり、個人間で売買や送金を行なっている場合には、こちらのフォーマットでは正しく計算できない可能性もあります。
国税庁のフォーマットが使えない場合「Excelを使ってイチから計算を行う」という方法で損益計算を行うことも可能です。ただしこの方法では、暗号資産の交換において時価を反映させないといけなかったり、手数料まで加味して一つひとつ正しい計算をしていく必要があったり、取引履歴のフォーマットを揃えないといけなかったりと、かなり煩雑な作業になります。
そこで弊社の「クリプタクト(cryptact)」では、このような煩雑な作業を自動化するというサービスを提供しています。こちらのサービスでは取引履歴さえアップすれば、全て自動で損益計算を行います。
※暗号資産の損益計算ツール「クリプタクト」の詳細はこちら
竹ケ原:暗号資産の取引においては今回のセミナーで紹介したような簡単な売買だけではなくハードフォークやエアドロップ、あるいは誤送金など、さまざまなケースが起こりえます。もちろん、こうしたケースに対応するために国税庁もQ&Aを出していますが、まだまだ実務的な対応がかっちり固まっていないところもあります。
暗号資産の確定申告
竹ケ原:ここからは暗号資産における実際の確定申告の枠組みや、今年暗号資産を行いたいと考えている方が疑問に思っていると考えられるところを中心に共有していきます。
暗号資産の確定申告の仕組み
竹ケ原:まず暗号資産の確定申告の仕組みについて説明します。斎藤さん、そもそも暗号資産は確定申告のなかでどのような所得区分になるのかということや、全体的な枠組みや税の計算方法について教えていただけますか。
斎藤:そうですね。ご存じの方も多いとは思いますが、現状暗号資産の個人所得は原則「雑所得」に区分されます。雑所得は他の総合課税となる所得(給与所得など)と合算した上で税率が決まってくる所得であり、累進課税となっています。つまり、一律に税率が決まっているわけではなく、他の所得も含めた合算金額によって適用される税率も変わってきます。
最大税率は住民税を含めると55%ですが、ここで覚えておいてほしいのは全員が必ず税率55%に該当するかと言われればそうではないということです。具体的には、給与所得と暗号資産による雑所得が合計4000万円以上であれば住民税も含めると最高税率である55%に該当する可能性が高いですが、4000万円未満であれば最高税率には該当しない可能性が高いです。とにかく、ご自身の所得によって大きく税率が左右されるということは覚えておいた方がいいポイントですね。
もう1つ覚えておいてほしいのは「損失繰越ができない」ということです(年間で損失が発生しても翌年以降の利益から控除することができないということ)。
例えば暗号資産の取引で今年100万円の損失が出て、次の年に200万円の利益が出た場合、累計では100万円の利益が出ているので、感覚的には来年の利益100万円分に税金がかかると考える人も多いと思います。しかし損失繰越が認められていないので、来年は利益を200万円として申告しなくてはいけない。
実は上場株式等は損失繰越が認められているのでこのケースだと来年100万円の利益の申告でいいのですが、暗号資産の税制では損失繰越は認められていないので単年度ごとの申告が必要というのが現状です。
竹ケ原:上場株式の売買では3年間の損失繰越控除が認められていますが、暗号資産の場合は雑所得に区分されてしまうため、損失繰越が認められてないということですね。暗号資産はボラティリティが高いので、世知辛いところだなと感じます。
本日登壇している私と斎藤さんは暗号資産ビジネス協会(JCBA)の税制部会に所属しており(部会長:斎藤、副部会長:竹ヶ原)、暗号資産のこうした税制を変えていこうと努力している次第でございます。
そこで12月1日に開催される第2回のセミナーでは、この暗号資産の税制改正の最新の動向について共有できればと思います。
※第2回セミナー動画はこちら
損失繰越ができないからこそ年内にやるべき2つのこと
竹ケ原:ここからは 損失繰越ができないからこそ年内にやっておくべきことについて斎藤さんに解説いただきたいと思います 。
斎藤:はい。ここでのポイントは何度も申し上げている通り「年内にご自身の所有している暗号資産の損益計算をする」ということです。そしてもう一点は「所得を使った賢い税対策」ですね。
賢い税対策というのは、例えば「今所有している暗号資産に含み損があるものがあれば、それを年末に売却することで今年の利益を減らして納税額を下げられる」ということや、逆に「全体として損失が出ている場合は、含み益が出ている暗号資産だけを売ることで、全体として利益をおさえたまま含み益の暗号資産を売ることができる。年が明けて再度投資をしたいと思うのであれば、年明けに再度購入することで結果的に保有している暗号資産の取得簿価の引き上げに繋がる。」といったことが挙げられます。
竹ケ原:今はちょうど冬の相場に入りつつあるので、ポジションを見るのが辛いという方もいらっしゃるかもしれませんが、この年末のタイミングだからこそ取引所にアクセスしていただいて、ご自身の取引履歴をダウンロードしていただくのがいいのかな、というふうに思っております。
取引履歴(CSV)のダウンロード方法
竹ケ原:Coincheckでは取引履歴のフォーマットについて、主にスライドに表示されている3種類をご用意させていただいております。中央に「Coincheckフォーマット(新)」とありますが、我々もこのような税の計算を簡単にできるよう、フォーマットを逐次ブラッシュアップしている次第です。
ではなぜ「Coincheckフォーマット(旧)」のように過去のフォーマットを残しているのかというと、これは旧型のフォーマットを使い慣れている方や、過去のフォーマットしか対応していないという損益計算ツールに対応するためです(クリプタクトは新旧どちらも対応)。
右側の「業界標準フォーマット」は税計算の煩雑さを解消するため、複数の交換業者間で統一されたフォーマットになっています。ですので、これから初めて暗号資産の確定申告を行われる方は、この「業界標準フォーマット」をダウンロードいただくことをオススメします。
※詳細なダウンロード方法はこちら
暗号資産の確定申告・損益計算でよくある質問
暗号資産の確定申告・損益計算でよくある質問や本セミナーでいただいた質問をQ&A形式でご紹介します。
Q1. 2022年の損益計算には、2022年の取引履歴だけあればいいのか?
A. 足りない場合があります。
2021年以前に一度でもお取引されたことがある方であれば、原則として過去全ての取引履歴が必要です。ただし2021年度以前にお取引がある方であっても、2021年末時点で保有する全ての暗号資産を売却し、暗号資産を保有しない状態で2022年を迎えた方は2022年の取引履歴だけでも損益計算が可能です。
Q2. 投資していた時に想定していた損益と違うのはなぜか?
A. 暗号資産の損益計算にはさまざまな「落とし穴」が存在するから。
暗号資産の損益計算には「暗号資産同士の交換も損益計算対象になる」「損益計算には移動平均法ではなく総平均法を使う」などの落とし穴が存在し、それらのポイントを理解していないと投資していた時に想定していた損益と異なる場合があります。
Q3. 誤った送金をしてしまったらどうすればいいのか?
A. 送金が完了してしまうとキャンセルや救済等の対応ができない可能性があります。
昨今、暗号資産を送金する際に、一部の暗号資産の送金の際に必要なメモやタグのつけ忘れや入力ミスが多数発生しています。送金が完了してしまうとCoincheckではキャンセルや救済等の対応ができない可能性がありますので、暗号資産を送付する際は、送金先の仕様や必要な入力事項を十分な確認を行った上で送金してください。送金完了前であればキャンセルが可能ですので、入力を誤ってしまった場合にはキャンセルをしていただくようお願いいたします。詳しくはこちらをご参照ください。
Q4. 暗号資産がハードフォークした場合の処理はどのように行えばいいのか?
A. ハードフォークで取得した暗号資産は原則0円で取得したと処理されます。
原則としてハードフォークによる暗号資産の取得自体に所得は発生しません。ハードフォークで取得した暗号資産は売却・使用時にその時点でのレートが適用され、課税対象になります。ただし、ハードフォークした時点で海外取引所等で先物として扱われている暗号資産に関しては個別事案となりこの限りではありません。詳しくは、最寄りの税務署、または税理士など専門家にご相談ください。
Q5. 必要経費にはどのようなものが認められるのか?
A. 暗号資産の売却のために必要な支出と認められる部分の金額に限り、必要経費に算入することができます。
暗号資産の売却による所得の計算上、必要経費となるものには、下記の費用があります。
売却した暗号資産の取得価額
売却の際に支払った手数料
インターネットやスマートフォンの回線利用料
パソコン等の購入費用
暗号資産の売却のために必要な支出と認められる部分の金額に限り、必要経費に算入することができると考えられます。ただし、具体的に定められているものではないため、必要経費となる理由を説明や証明できる必要があります。
※詳しくはこちら
Q6. NFTを売買して得た利益はどの所得区分に分類されるのか?
A. 現状では明確な区分が決まっているわけではありません。
2022年11月現在、NFTを売買して得た利益の所得区分は明確に決まっているわけではなく個別事案となります。詳細につきましては、管轄の税務署や税理士にお尋ねいただくか、国税庁の「タックスアンサー(よくある税の質問)」のページをご参照ください。
Q7. 損益計算をして所得が20万円以下であれば確定申告は必要ないのか?
A. 基本的には「YES」ですが、例外もあります 。
年末調整を行っているサラリーマンの方で、暗号資産取引での雑所得が20万円以下であれば確定申告をする必要はありません。ただし、例外的に雑所得が20万円以下でも確定申告が必要なケースもあります。具体的には、次のようなケースでは雑所得が20万円以下でも確定申告が必要です。
二ヶ所以上から給与所得を受けている方
給与の年間の収入が2000万円を超えている方
扶養控除を受けている主婦や学生の場合、所得税の基礎控除である48万円を給与以外の所得で受け取っている方
不動産所得がある方
医療費控除を受ける方
※詳しくはこちらをご参照ください。
Q8. NFTを暗号資産で購入する場合も課税対象になる?
A. 課税対象になります。
暗号資産を使用して物品(NFTなど)を購入する場合も、暗号資産を売却したとみなされ課税対象になります。暗号資産同士の交換の際に暗号資産が課税対象になるのと同じ仕組みです。
Q9. ステーキング報酬で受け取った暗号資産は課税対象になる?
A. 課税対象になります。
ステーキング報酬で暗号資産を受け取った場合、受け取った暗号資産の時価がそのまま所得になるため課税対象になります。
Q10. 確定申告をするとき、保有している暗号資産の期末評価損益は関係ないのか?
A. 個人の方の場合、期末評価損益は関係ありません。
暗号資産の期末評価損益とは、保有している暗号資産が期末時点に含み益があるか含み損があるかをあらわしているものであり、個人の税計算においては関係ありません(ただし、法人の場合は税計算に関係する場合があります)。
※本記事は暗号資産の投資を推奨する意図は一切ありません。
※本記事は確定申告の啓蒙を目的にしており、個別具体的な税務相談に対しては税理士に相談ください。
※本記事は脱税を推奨するものではありません。また税対策の効果を保証するものではありませんので、お取引につきましてはご自身の責任のもと行ってください。
※暗号資産の税金については、2022年11月21日現在の情報となります。
※本記事は個人の暗号資産における税金についての内容であり、法人の場合は異なります。
※税金の詳細につきましては、管轄の税務署や税理士にお尋ねいただくか、国税庁の「タックスアンサー(よくある税の質問)」のページをご参照ください。
暗号資産(仮想通貨)のカストディとは、一般的には暗号資産の「管理」や「保管」という意味を持ちます。
また、暗号資産の『カストディ業務』とは、業務として所有者の代わりに暗号資産の保管や管理、移転を行うことです。
想像してもらいやすいのはウォレットサービスで、ウォレットサービスは暗号資産を安全に保管する財布のような役割を果たしています。つまり、『カストディ業務』は、暗号資産をハッカーなどから守り、所有者が不利益を被らないよう安全に管理するなどの業務のことなのです。
「カストディ」は聞き慣れない言葉であり、暗号資産保有者などにどのように関わってくるのか想像しにくいという人も多いでしょう。
そこで、本記事では、
暗号資産のカストディについて意味を分かりやすく解説
暗号資産のカストディの種類や種類ごとのメリット、デメリット
今後のカストディサービスの発展
について紹介します。
また、2020年5月の改正資金決済法施行により、暗号資産のカストディ業者に大きな影響があったので、併せて詳しく説明していきます。
本記事を読むことで、暗号資産のカストディについて理解が深まり、暗号資産所有者などにどのように関わってくるのかを知ることができるでしょう。
※仮想通貨の税金については、2024年2月13日時点の情報となります。
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目次
暗号資産のカストディとは「管理」「保管」を意味する
暗号資産の『カストディ業務』とはウォレットサービスなどを意味する
カストディ業務の規制について
カストディ業務の2つの分類について解説
①取引所によるカストディ
②セルフカストディ
今後のカストディサービスの発展について
2020年5月の法改正でカストディ業務が規制対象に
2020年5月の法改正により「暗号資産交換業」にカストディ業務が追加
カストディ業務に課された規制について
規制対象にならないカストディ業務
まとめ
暗号資産のカストディとは「管理」「保管」を意味する
「カストディ」という多くの人が耳慣れない言葉は、他人の資産を代わりに管理することを指します。
元々「カストディ」は、金融や証券にかかる用語として、有価証券などの保管や管理をするという意味で使われていました。
つまり、暗号資産のカストディとは、一般的には暗号資産の「管理」や「保管」という意味を持ちます。
また、「カストディ業務」とは、業務として所有者の代わりに暗号資産の保管や管理、移転を行うことで、想像してもらいやすいのはウォレットサービスです。
ウォレットは暗号資産を保管する財布のような役割を持っているので、サービスを提供している業者は暗号資産の保管や管理、移転といった「カストディ業務」を行なっていると言えます。
これだけでは分かりにくいと思うので、より理解を深めてもらうために、次章から「カストディ業務」について詳しく解説していきます。
暗号資産の『カストディ業務』とはウォレットサービスなどを意味する
暗号資産においては「カストディアン」などとも呼ばれている『カストディ業務』を行う業者が存在します。
暗号資産の『カストディ業務』とは、業務として所有者の代わりに暗号資産の保管や管理、移転を行うことで、上述した通り、想像してもらいやすいのはウォレットサービスです。
ウォレットサービスを提供している会社は、所有者のために暗号資産をウォレットに保管し、指定された場所に移動させる業務などを行なっており、これが『カストディ業務』に該当します。
暗号資産の『カストディ業務』は、投資家の大切な資産を守るためにある業務で、暗号資産をハッカーなどから守り、所有者の不利益にならないよう管理する役割を果たしています。
「いつ購入するか」「どうやって購入するか」に重きが置かれているところがありますが、利益を得るために然るべき時に売却するためには、暗号資産が常に安全に保管されている必要があります。
特に、実態がなく電子データのみでやり取りされる暗号資産は、実態のある紙幣などと比べても「保管」や「管理」が重要な意味を持つことは、なんとなく理解できるのではないでしょうか。
そのため、馴染みのない人も多いかもしれませんが、実は『カストディ業務』は投資家などから非常に注目されている業務と言えるのです。
カストディ業務の規制について
よくニュースで取り上げられていますが、2020年5月の改正資金決済法の施行により、この『カストディ業務』を行う会社は大きな影響を受けました。
これまで『カストディ業務』のみを提供している会社は暗号資産の売買や交換を行なっていなかったことから、法規制の対象ではなかったのですが、改正後には法規制の対象になったのです。
法規制の対象になったことで、『カストディ業務』のみを提供している会社も、暗号資産取引所などと同様に国への登録や各種義務が課されることになりました。そして、これらの規制に対応できなかった会社が『カストディ業務』から撤退せざるを得なくなったのです。
暗号資産所有者は当該規制を理解した上で、自身が選んだカストディの種類や業者がどれくらいのセキュリティや規制を課されているのかチェックすることが大切です。
2020年5月の法改正によるカストディ業者への影響については、5章「5.2020年5月の法改正でカストディ業務が規制対象に」で詳しく解説していきます。
カストディ業務の2つの分類について解説
暗号資産の保管・管理、移転を行う『カストディ業務』には、大きく分けて下記2つの種類があります。
取引所によるカストディ
セルフカストディ
それぞれについて、メリット・デメリットを含めて詳しく解説していきます。
①取引所によるカストディ
「取引所によるカストディ」とは、暗号資産を取引所で購入し、そのまま取引所で保管してもらう方法です。
取引所がカストディサービスを提供してくれることで、投資家は自分でウォレットなどを用意せずにすむため、利便性が高いというメリットがあります。
しかし、取引所が倒産した場合には資産を失う恐れがあるというデメリットもあります。
②セルフカストディ
セルフカストディとは、暗号資産を購入した後に、自分でウォレットなどを用意して保管しておくことです。
セルフカストディは、サービスを提供している会社が倒産しても暗号資産自体には影響がないというメリットがあります。
一方で、自分でウォレットなどを用意しなければならず手間がかかる、ウォレットをなくしたりパスワードを忘れたりした場合には暗号資産を失う恐れがある、といった点がデメリットです。
セルフカストディは、現在、暗号資産の保管の一般的な方法ではありますが、紛失リスクを投資家が負わなければならないという点が問題視されています。
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今後のカストディサービスの発展について
今後、第三者機関によるカストディサービスが増えていくことで、機関投資家などが暗号資産市場に参入してくることが期待されています。
現在は、第三者機関によるカストディサービスが多くないため、取引所カストディやウォレットなどのセルフカストディによって、暗号資産を管理している人がほとんどです。
しかし、取引所カストディにおいてはセキュリティに不安が残ったり、ウォレットなどのセルフカストディにおいては紛失リスクの責任を投資家が負わなければならなかったりなど、無視できない問題を抱えています。
安全に簡単に資産を保管できる保証がなければ、一般の投資家が尻込みするのはもちろんのこと、機関投資家も暗号資産市場に参入してくることをためらってしまうでしょう。
そのため、今後、安全に簡単に資産を保管できる「第三者機関によるカストディサービス」が多く展開されていくことで、これまで暗号資産への投資に尻込みしていた一般投資家や機関投資家などが参入してくることが期待されています。
一般投資家や機関投資家が暗号資産市場に参入してくることで、暗号資産の価格にもプラスの影響を与えることが予測されるため、今後もカストディサービスに関するニュースなどをチェックしておくことをおすすめします。
参考:ゴールドマンサックスが暗号資産(仮想通貨)カストディサービスを近日提供か
2020年5月の法改正でカストディ業務が規制対象に
暗号資産のカストディに関して押さえておいた方がいいこととして、2020年5月の法改正で、『カストディ業務』をおこなう業者が「暗号資産交換業」として規制対象となったことがあげられます。
今後、カストディサービスが発展していくことが期待されるため、どのような規制がされているのかチェックしておきましょう。
また、暗号資産所有者にとっては、自身が選んだカストディの種類や業者がどれくらいのセキュリティや規制を課されているのかチェックするために必要な知識です。そのため、自分の資産を守るためにも規制内容について確認しておくことをおすすめします。
2020年5月の法改正により「暗号資産交換業」にカストディ業務が追加
2020年5月の法改正によって、下記の通り「暗号資産交換業」にカストディ業務が追加され、『カストディ業務』のみを行う会社も「暗号資産交換業」として扱われるようになり、国への登録や各種義務が課されるようになりました。
この法律において「暗号資産交換業」とは、次に掲げる行為のいずれかを業として行うことをいい、「暗号資産の交換等」とは、第一号及び第二号に掲げる行為をいい、「暗号資産の管理」とは、第四号に掲げる行為をいう。
一 暗号資産の売買又は他の暗号資産との交換
二 前号に掲げる行為の媒介、取次ぎ又は代理
三 その行う前二号に掲げる行為に関して、利用者の金銭の管理をすること。
四 他人のために暗号資産の管理をすること(当該管理を業として行うことにつき他の法律に特別の規定のある場合を除く。)。
出典:資金決済に関する法律第第二条
上記四項に記載されている「他人のために暗号資産の管理をすること」がカストディ業務を意味し、2020年5月の改正法で追加された部分です。
カストディ業務に課された規制について
カストディ業務が「暗号資産交換業」に加えられたことで、具体的には、国への登録が必要になり、各種義務が課されるようになりました。
国への登録は、質問票を提出した後、役員ヒアリング、書面審査、訪問審査と続いていき、事業内容や事業計画、暗号資産の管理体制などを厳しくチェックされます。
「暗号資産交換業」として登録されるまでには、概ね6ヶ月程度かかる上に、登録のために求められるセキュリティ水準はかなり厳しいです。
これまで規制対象外だった「カストディ業務」のみを行う会社にとっては、国への登録が必要になっただけでも大きな負担と言えますが、さらに下記のような義務も課されることになりました。
【カストディ業務に課される代表的な規制】
上記の厳しい規制を実現するだけのコストが費やせない『カストディ業者』は、2020年5月の法改正にともなって倒産や事業廃止に追い込まれることとなりました。
規制対象にならないカストディ業務
2020年5月の法改正によって、「暗号資産交換業」にカストディ業務が追加され、国への登録が必須になり、かつ、各種義務が課されることになりました。
ただ、実際には、国のパブリックコメントにおいて、
事業者が暗号資産を移転するために必要な秘密鍵の一部を保有するにとどまり、事業者の保有する秘密鍵のみではその資産を移転できない場合には、〜「他人のために暗号資産の管理をすること」には該当しない
出典:金融庁 コメントの概要及びコメントに対する金融庁の考え方 No10〜12
といった見解が出されています。
つまり、ウォレットサービスなどを提供する『カストディ業者』と言えど、事業者が秘密鍵の保有や管理をしていない場合には、法律上の「暗号資産交換業」には当たらず、規制の対象外であるという見解です。
上記に該当すれば、国への登録や各種義務を課されることなく、引き続きカストディ業務を行うことができます。
しかし、パブリックコメントでもあるように、「暗号資産交換業」に当たるかどうかは「個別事例ごとに実態に即して実質的に判断されるべきもの」なので、慎重に判断することが必須と言えます。
まとめ
本記事では、暗号資産のカストディについて紹介しました。
暗号資産のカストディとは一般的には暗号資産の「管理」や「保管」という意味を持ちます。
また、暗号資産の『カストディ業務』とは、業務として所有者の代わりに暗号資産の保管や管理、移転を行うことで、想像してもらいやすいのはウォレットサービスです。
また、暗号資産の保管・管理、移転を行う『カストディ業務』には、大きく分けて下記2つの種類があり、それぞれメリットデメリットがあります。
取引所によるカストディ
セルフカストディ
今後、第三者機関によるカストディサービスが増えていくことで、機関投資家などが暗号資産市場に算入することが期待されています。
機関投資家が暗号資産市場に参入してくることで、暗号資産の価格にもプラスの影響を与えることが予測されるため、今後もカストディサービスに関するニュースなどをチェックしておくとよいでしょう。
本記事を読むことで、暗号資産のカストディについて理解が深まり、自分にどのように関わってくるのかを知ることができるでしょう。
この記事では仮想通貨取引における必要経費について解説していきます。
仮想通貨で得た利益は本人の所得となり、一定条件を満たした場合は確定申告をしなければいけません。しかし、収入のすべてが課税対象となるわけではなく、必要経費を差し引くことが認められています。
仮想通貨に限らない話ではありますが、確定申告における必要経費とは具体的にどれを指すのかをきちんと理解して、脱税行為とみなされないようにしましょう。
※仮想通貨の税金については、2024年2月13日時点の情報となります。
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目次
仮想通貨の所得を確定申告しなければならない条件
仮想通貨の確定申告の基本
仮想通貨の所得は「雑所得」
所得は「総収入金額-必要経費」
経費と節税
仮想通貨関係で(全額)必要経費と認められるもの
必要経費にできないもの
「按分」が必要になるもの
「按分」とは
按分が必要なものと按分の方法
必要経費を正確に計上して賢く節税
仮想通貨の所得を確定申告しなければならない条件
仮想通貨取引を行っている人のなかには、「そもそも自分が確定申告が必要なのかどうか」について疑問を感じている人もいるのではないでしょうか。
確定申告をしなくてはいけない条件というのは、働いている形態や所得の種類によって異なります。たとえば、会社員などの給与所得者である場合は、「給与所得以外の所得が20万円を超える場合」「給与収入が2000万円を超える場合」です。
会社員や公務員は毎月の給料から源泉徴収という形で所得税を概算で差し引き、年末調整で帳尻を合わせる仕組みになっています。これは、日本全国にいる会社員の数が多いため、すべての人に確定申告をしてもらうと税務署の対応が大変になってしまうというのが理由です。
本来はすべての人に確定申告をしなければいけない義務がありますが、給与所得や給与所得以外の所得が少ない場合には、基本的には確定申告しなくてもよい制度になっています。
ですが、年の途中で退職するなど「年末調整されていない給与所得がある場合」は確定申告をしなければいけません。
また、退職所得や公的年金、給与所得には所得控除が定められていますが、「源泉徴収されていない所得で所得控除額を超える場合」は確定申告をする必要があります。
さらに、仮想通貨取引以外に所得がない人の場合は、「仮想通貨で得た利益が48万円を超える場合」に確定申告をする義務が発生します。なぜなら、所得税には本人の控除額として48万円の基礎控除が定められているからです。
確定申告が必要な条件は、自分が得ている所得の種類や金額によって異なるため、覚えにくいと感じる人もいるでしょう。基本的には「副業としてやっている人なら所得が20万円を超えた場合」「本業としてやっているなら48万円を超えた場合」に確定申告が必要だと覚えておけば問題ありません。
仮想通貨の確定申告の基本
仮想通貨取引で確定申告が必要なケースについては理解できたでしょうか。そこで、次に確定申告をするために必要な知識について紹介していきます。
仮想通貨の所得は「雑所得」
普段の生活ではあまり意識することもないでしょうが、所得には全部で10種類あります。一般的によく目にするのは、会社員の給料が対象となる「給与所得」や銀行預金に対して課される「利子所得」でしょう。
仮想通貨取引に興味がある人であれば、株式の譲渡によって発生する「譲渡所得」や「配当所得」について聞いたことがあるかもしれません。
仮想通貨取引で得た所得がどれに該当するかというと、「雑所得」に区分されます。雑所得とは、利子や配当、不動産など、あらかじめ定められている所得のどれにも当てはまらない所得を指します。
たとえば、印税や講演費、アフィリエイト収入なども同じ雑所得です。そのほかにも、フリーマーケット販売やFX取引の利益なども該当します。一般的に副業と呼ばれているものから得られる所得が含まれると覚えておけばよいでしょう。
仮想通貨は損益通算できる?できない?計算方法やメリットを知っておこう
Coincheck
所得は「総収入金額-必要経費」
勘違いされることもありますが、確定申告をする際に申告するのは収入ではなく、所得です。収入と所得の違いは経費を差し引くかどうかで異なります。
たとえば、年間で100万円の収入があって経費が30万円かかっていた場合、100万円から30万円を差し引いた70万円が所得です。
つまり、所得の計算式は「総収入金額-必要経費」となります。気を付けるべき点としては、単純に「売却額―購入額」ではありません。
仮想通貨取引における価格差だけでなく、より幅広いものが必要経費として認められるということを理解しておきましょう。
経費と節税
必要経費と節税の関係がいまひとつ分からないという人もいるでしょう。大切なことは、「課税対象になるのは収入ではなく所得である」という事実を理解することです。
つまり、経費が大きくなればそれだけ収入から差し引く金額も大きくなります。その結果、所得が小さくなって納税額が少なくてすむというわけです。
支払う税金を少なくするために、必要経費をできるだけ多くするというのは、節税方法のなかでもとてもシンプルなもので、実際に多くの人が実践しています。ただし、経費として認めるかどうかを判断するのは税務署です。
自分の判断だけで経費として申請していると、税務調査に入られたときに追徴課税を課されるかもしれません。そのため、どれが経費として認められるかという点については理解しておく必要があります。
仮想通貨関係で(全額)必要経費と認められるもの
仮想通貨取引で経費として認められるかどうかのポイントは、「仮想通貨取引(事業)のために支出したことを証明することができるかどうか」です。
具体的には、「仮想通貨の取得費」「出金手数料」「取引手数料」「投資のコンサルティング費用」などが挙げられます。
会社員がスキルを高めるための支出が経費として認められるように、仮想通貨取引における「投資の知識を得るための書籍代」も必要経費として計上可能です。
同様に、会社員が交通費を経費計上できるように、「仮想通貨関連のセミナー代や往復交通費」「投資仲間との勉強会や往復交通費」も経費として認められます。
会議費や交際費として考えられるという理由から「仮想通貨の情報交換をするために他者と開いた会合の食費」を経費計上しても問題ありません。
会計ソフトの使用料金など、税務申告にかかった費用も当然のことながら経費に含めることができます。
ほかにも、10万円未満であれば、「仮想通貨取引専用のスマホ代やPC代(マウスやパッドなどのアクセサリ類を含む)」も経費となります。
仮に10万円を超えた場合は、基本的に減価償却の対象となってしまうため、一括で経費計上することはできません。
パソコンやスマホなどのデバイスで1個あたり10万円を超える場合では、減価償却という耐用年数に応じて経費計上しなければいけないケースもあります。減価償却とは「物の価値は年々減少していく」という考え方から生み出された経費計上の方法です。
たとえば、「サーバー用以外のパソコン」の法定耐用年数は4年となっています。この場合、20万円のパソコンであれば毎年5万円ずつ、4年間かけて経費計上するイメージです。
必要経費にできないもの
必要経費にできないのは「仮想通貨取引に直接の必要性がないもの」です。たとえば、投資仲間との旅行などは交際費として認められにくいです。ただし、研修旅行であれば一定の金額に限り、認められるケースもあります。
その場合、後から税務調査に入られたときにきちんと説明ができるよう、写真や資料などで研修が行われたという客観的な証拠を残しておくことが重要です。
家賃や通信費も基本的には必要経費として認められますが、「仮想通貨取引に使った分だけ」となります。ガスや水道は仮想通貨取引との直接的な関係が薄いため、認められないケースが多いです。一方で電気はパソコンやスマホを使った取引で必要なため、一部は認められます。
部分的に経費にするためには、按分(あんぶん)計算をしなければいけません。按分計算については、次で詳しく説明していきます。
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「按分」が必要になるもの
家賃や光熱費、通信費などは実際に仮想通貨取引で必要になるため、一部分のみ経費にできます。按分計算を行って経費を算出しますが、具体的にはどうするのでしょうか。
「按分」とは
経費計算における按分とは、私生活に必要な部分とビジネスに必要な部分を分けて考えるということです。たとえば、家賃や光熱費、携帯代などは仮想通貨取引だけでなく、私生活でも併用しているケースが多いでしょう。
そのため、仮想通貨取引に使った分だけを算出して経費計上する必要があります。
仮想通貨取引を事業として行い、専用の事務所を構え、携帯電話も事業用のものを使用しているというのであれば、按分を行う必要はありません。
しかし、自宅で仮想通貨取引を行い、プライベートと兼用しているような場合には、按分計算を行って経費を算出しないと、脱税行為に該当する恐れがあります。
按分が必要なものと按分の方法
按分計算にあたって大切なことは「客観的な視点で合理的な説明がつくかどうか」です。
たとえば、家賃を経費計上する場合、「実際に作業しているスペース分を計上する」という方法があります。具体的な計算式は「取引に使用している部屋の面積÷部屋全体の面積」で問題ありません。
携帯電話の通信費を経費計上する場合は、「仮想通貨に使用している時間とそれ以外の時間で割り出す」方法が一般的です。たとえば、1カ月の通信費が1万円で、毎日6時間取引を行っている場合は、「1万円×25%(6時間÷24時間)=2500円」が経費となります。
人によって生活状況は異なるため、按分で誰にも当てはまる計算式は残念ながらありません。大切なことは、税務調査が入ったときに調査官に算出根拠をしっかり説明できるかどうかです。自分の生活状況を客観的な視点で考えて按分計算するように心がけましょう。
必要経費を正確に計上して賢く節税
仮想通貨取引の経費に計上できるのは、購入の際の費用だけではありません。家賃や光熱費はもちろん、勉強代でさえ必要経費にできるのです。
仮想通貨取引に直接関係がないものを経費計上してはいけませんが、反対にいえば関係があるものなら経費にすることができます。経費計上できる支出は意外に幅広いということは覚えておくとよいでしょう。
経費に対する正しい知識を習得して、賢く節税をするよう心がけてみてください。
※税金の詳細につきましては、管轄の税務署や税理士にお尋ねいただくか、国税庁の「タックスアンサー(よくある税の質問)」のページをご参照ください。
仮想通貨(ビットコイン)の税金・計算方法・確定申告を徹底解説【2020年最新】
Coincheck
「暗号資産(仮想通貨)の税金は高いと聞いたけど、節税する方法はあるのだろうか?」
あなたは今、暗号資産の利益に対する具体的な節税対策を知りたいと考えていませんか?
確かに、暗号資産の利益には最大で55%の税金がかかることもあるため、なんとかして節税したいと考える人も多いことでしょう。
暗号資産の節税対策としてできることはいくつかあって、節税度や難易度などをまとめると下記一覧表のようになります。
上記表の中で、特に暗号資産で大きな利益を得る人にとっては、1番効果的な節税対策は「法人化」です。
なぜなら、個人の所得として税金を支払う場合の最大55%と比べて、法人化した場合は最大約33%と約22%の差があるからです。
そこで、本記事では、まずは1番効果的な節税「法人化」について詳しく解説していきます。
ただ、「会社の規則で法人を作ることが禁止されている」や「大きな利益は出ないから法人化までは必要ない」という人などもいるでしょう。
そこで、法人化以外の暗号資産の節税対策以下5つについても分かりやすく解説します。
◎暗号資産にかかる経費を計上
◎年間20万円以下の利益で確定
◎利益確定をしないで保有し続ける
◎損益通算を利用する
◎個人事業主として開業する
法人化と比べると金額は減るかもしれませんが、うまく利用することで節税につながるので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
さらに、暗号資産の税金は総合課税として算出されるため、所得控除の対象となる「ふるさと納税」などの一般的な節税対策も有効なので、そちらも一覧表にて紹介しています。
最後に「暗号資産の節税におけるQ&A」にて、節税対策としてよく話題に上がる「海外に移住しても税金はかかるの?」などについても、まとめて詳しく解説しています。
本記事を読めば、どんな状況の人でも有益な暗号資産の節税対策を見つけることができ、節税に関する全ての疑問が解消されることでしょう!
※仮想通貨の税金については、2024年2月13日時点の情報となります。
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目次
暗号資産の利益にかかる税金とは?|節税のための基礎知識
暗号資産の税金はいくら?基本的には雑所得として計算
暗号資産の節税!最も効果的なのは法人化
所得税より法人税の税率の方が低い
損益通算や繰越控除など法人税制上のメリットが多くある
法人化以外の押さえておくべき暗号資産の節税対策5つ!
暗号資産にかかる経費を計上
年間20万円以下の利益で確定
利益確定をしないで保有し続ける
損益通算を利用する
個人事業主として開業する
会社員や個人事業主としての一般的な節税対策も有効!
暗号資産の節税におけるQ&A
Q1. 海外の取引所利用でも税金はかかりますか?
Q2. 海外に出国しても税金はかかりますか?
Q3. 会社員でも法人を設立することはできますか?
Q4. 暗号資産の税金にかかる制度は変わる予定はありますか?
暗号資産の節税対策まとめ
暗号資産の利益にかかる税金とは?|節税のための基礎知識
暗号資産の節税対策について理解してもらうために、まずは「暗号資産の利益にかかる税金とは?」についてお伝えします。
暗号資産の税金はいくら?基本的には雑所得として計算
暗号資産の利益は、基本的には「雑所得」に該当します。雑所得とは、下記のような特徴があります。
年間20万円の利益を超えたら税金が発生
総合課税なので給与所得などと合わせて税金計算される
雑所得にかかる損失は他の所得と損益通算できない
例えば、会社員の副業として暗号資産の売買を行って利益(所得)が20万円を超えた場合、給与所得と暗号資産の利益の合計額に対して税金がかかります。
出典:No.2260 所得税の税率|国税庁
【例】給与所得400万円、暗号資産所得300万円の場合(所得が給与所得のみの会社員が暗号資産で300万円利益を得た場合の所得税)
(400万+300万)× 0.23 − 63万6000円 = 97万4000円
さらに、課税所得に対しては住民税の10%の支払いもあるので、ざっくり計算すると上記早見表の税率に10%を加えた最大で55%の税金を納める必要があります。
暗号資産の税金の「具体的な計算方法」や「税金がかかるタイミング」などの詳細を確認したい方は、下記記事を参考にしてみてください。
暗号資産(ビットコイン)の税金・計算方法・確定申告を徹底解説【2020年最新】
Coincheck
暗号資産の節税!最も効果的なのは法人化
暗号資産の節税については色々な対策がありますが、最も効果的と言えるのは法人化することです。
理由は
・個人としての所得税率と比べて法人税率が低く設定されている
・法人税制上のメリットが多くある
の2点によって説明できます。
法人化によって得られる税制上のメリットについて詳しく紹介していきます。
所得税より法人税の税率の方が低い
所得税は、所得が4000万円超の場合には住民税と合わせて最大55%の税率になりますが、法人税は800万超で23%、法人住民税などを含めた実効税率も最大約33%とその差は歴然です。
例えば、暗号資産で1億円の所得を得た場合、法人化していれば税金は3,300万円、法人化していなければ5,500万円を支払うという計算になります。
実際には上記のような単純な計算にはなりませんが、法人化することの有用性は理解してもらえるはずです。
出典:No.5759 法人税の税率|国税庁HP
損益通算や繰越控除など法人税制上のメリットが多くある
法人化が1番効果的な暗号資産の節税対策と言われているのは、大きな利益を得た場合において、個人の所得税率と比べて法人税率が低いという理由だけではありません。
法人化することによって下記のような税制上のメリットを享受できることも大きなポイントです。
【損益通算】
通常、暗号資産は雑所得になるため、雑所得にかかる損失は他の所得と損益通算することができません。暗号資産で大きな損失が出たとしても他の所得から控除できず、税金を負担する面では大きなデメリットとなります。
しかし、法人化すれば、所得の区別がなくなるために損益通算が可能です。他の事業における黒字分と暗号資産の赤字分を相殺して、結果として納める税金を減らすことができます。
【繰越控除】
雑所得においては繰越控除はできません。繰越控除とは、損益通算しても赤字分が残ってしまった場合に次年度以降に繰り越して、所得から控除することです。
法人化すれば、大きな赤字が出た際には、次年度以降に繰り越して税金の負担を減らすことができます。
【経費計上の幅が広がる】
経費は所得から控除できるので、税金のかかる所得金額を減らすことができます。ただ、「3-1.暗号資産にかかる経費を計上」でも説明しますが、個人としての経費はどうしても限度があります。
法人化をすれば、経営に関わる高額な備品なども経費に含めることができるため、経費の幅が広がり、結果として節税につながると言えるでしょう。
【家族に給与支払い可能】
法人化すると、家族を従業員にして給与を支払うことが可能になります。家族に給与を支払うことで所得を分配させられるので、ひとりに所得を集中させるよりも所得税が抑えられます。
もちろん、従業員としての実態があることは必須なので注意してくださいね。
【小規模企業共済への加入】
法人化することで、国の機関である中小機構が運営している退職金積立制度を利用することが可能です。
退職金準備のために一定の掛金を支払いますが、>全額所得控除の対象になるので節税効果が期待できます。
究極の節税対策は「法人化」と言われているのは、所得税と比べて税率が低いからというだけでなく、多くの税制上のメリットを受けることもできるからということが理解できたのではないでしょうか。
ただ、法人化するためには設立費用がかかり、専門家へ依頼することを考えると少なくとも30万円前後の初期費用がかかります。設立後も「法人税」や「法人住民税(地方税)」などの会社で納めるべき税金があることを覚えておきましょう。
また、暗号資産の利益が多くなければ、個人の所得税の方が安く済むこともあります。
暗号資産投資は法人がお得?かしこい投資方法も解説します
Coincheck
法人化以外の押さえておくべき暗号資産の節税対策5つ!
暗号資産の最も効果的な節税対策は法人化することですが、
「会社員をしていて会社で法人を作ることが禁止されている」という人や
「大きな利益は出ないから法人化までは必要ない」という人もいるでしょう。
そこで、ここからは法人化以外に押さえておくべき暗号資産の下記節税対策5つを紹介していきます。
・暗号資産にかかる経費計上
・年間20万円以内の利益で確定
・利益確定をしないで保有し続ける
・損益通算を利用する
・個人事業主として開業する
暗号資産にかかる経費を計上
暗号資産取引のためにかかった費用は、経費として暗号資産の利益から控除することが可能です。
ただ、会社員の副業として暗号資産取引を行った場合に認められる経費は下記のようなものに限定されるでしょう。
・暗号資産取引の手数料
・暗号資産について勉強するための書籍代金やセミナー代金
・暗号資産保管のためのウォレット
など、経費が多いほど控除額が大きくなり、税金がかかる所得は減りますが、何が経費として認められるかを断言するのは難しいです。
経費に関しては「この費用は絶対に経費として認められる」といった指標がないからです。
上記以外にも、暗号資産取引を行うことのみが目的のパソコンやスマートフォンも経費として認められる可能性もあります。
ただ、その場合には「暗号資産取引のみに使う」ことをしっかりと証明しなければなりません。
年間20万円以下の利益で確定
暗号資産の利益は雑所得に当たり、年間20万円を超える利益に所得税がかかるため、年間20万円以下の利益であれば所得税はかからないということになります。
そのため、年間の利益確定を20万円以下に調整するという節税方法があります。
例えば、暗号資産で40万円の利益が出ている場合、40万円分の利益を一度に確定すると5%の税金がかかるので、2万円の所得税がかかることになります。
しかし、先に20万円分の利益を確定し、翌年残りの20万円を確定すれば、所得税は支払う必要はありません。
数百万円や数千万円といった大きな利益が出ている場合には現実的な方法ではありませんが、利益の合計が数十万程度であれば有効な方法のひとつと言えるでしょう。
ただし、年間の利益が20万円以下でも住民税はかかるので注意してくださいね。
利益確定をしないで保有し続ける
暗号資産を日本円に変えずに保有し続ければ、税金がかかることはありません。
究極の方法ではありますが、暗号資産の価値がいくら上昇しても利益確定しない限りは、課税対象にはならないです。
ただし、利益確定以外にも下記のようなタイミングで課税対象になるので注意してくださいね。
暗号資産でモノやサービスを購入した時
暗号資産同士の交換を行った時
暗号資産をマイニング(採掘)により取得した時
損益通算を利用する
暗号資産の利益は、年内に限り損失との相殺が可能です。暗号資産の利益は雑所得なので、基本的に他の所得と損益通算はできませんが、暗号資産における利益と損失は年内に限り通算可能です。
そのため、暗号資産の利益が出た際に損失が出ている暗号資産を確定させて、節税につなげるという方法があります。
例えば、同年中に暗号資産の利益100万円を確定させたものの、損失も90万円確定した場合には、「100万円-90万円=10万円」となり、利益が20万円を超えないので所得税はかからないことになります。
ただ、損益通算は年内に限り有効で、損失を翌年に繰り越すことができないことには注意が必要です。
損失90万円が出た翌年に100万円の利益が確定した場合には、100万円分すべてに課税されることになります。
個人事業主として開業する
個人事業主として開業することで、青色申告を行うことが可能になります。青色申告は、所得から65万円の控除ができることが税制上の大きなメリットです。
ただし、青色申告を行い65万円の控除を受けるためには、暗号資産の利益を「雑所得」ではなく「事業所得」として計上する必要があります。
暗号資産の利益を「事業所得」とすることは、特に法律などで禁止されているわけではありませんが、下記のような条件を満たしている必要があります。
事業として暗号資産の投資を行っている
暗号資産の利益が生計の主軸となるものである
反復、継続的に事業を行っている、など
そのため、会社員という主の所得があった上で、個人事業主として開業をした場合には、「事業所得」とは認められにくいと言われています。
もし、「事業所得」と認められて、青色申告ができれば、事業所得は雑所得と比べて、さらに税制上下記のようなメリットがあります。
他の所得との損益通算ができる
損失3年繰越可能、など
会社員や個人事業主としての一般的な節税対策も有効!
暗号資産の節税対策としては、「ふるさと納税」や「iDeCo」のような所得控除の対象となる、一般的な節税対策も有効です。
「暗号資産の節税」と言うと、どうしても暗号資産に絡めた節税対策を考えてしまうかもしれません。
しかし、実は、暗号資産の利益は、基本的には「雑所得」として給与所得などと合計して税金が課されるため、所得控除の対象となるような一般的な節税対策も有効なのです。
そのため、「暗号資産の節税をしよう」と暗号資産に絡めた節税対策だけを考えるのではなく、「所得税の節税をしよう」といった考えを持つと視野が広がりますよ。
以下、所得控除の対象となる代表的な節税方法を一覧表にまとめました。
「所得税の節税」と考えれば、人によっては他にも思いつくものがあるかもしれません。自分の状況に合わせて取り入れられそうな節税対策があれば、挑戦してみてくださいね。
暗号資産の節税におけるQ&A
暗号資産の節税に関して多くの人が疑問を持ちやすい以下4つの点についてQ&Aにしてまとめました。
Q1 海外の取引所利用でも税金はかかりますか?
Q2 海外に出国しても税金はかかりますか?
Q3 会社員でも法人を設立することはできますか?
Q4 暗号資産の税金にかかる制度は変わる予定はありますか?
Q1. 海外の取引所利用でも税金はかかりますか?
A. 国内取引所ではなく海外の取引所を利用して暗号資産の売買を行っている人もいることでしょう。
海外取引所利用の場合も、利益が出た場合には課税対象になります。「海外の取引所であれば、税金がかからない」ということはないので注意してください。
また、「海外の取引所を利用すれば利益がバレないのでは?」と考えて税金の支払いをしないでいると、いざバレた際に税金が加算されるなどのペナルティが適用されることもあります。
そのため、海外取引所利用で暗号資産の利益がでた場合にも、税金の支払いは必ず行うようにしてくださいね。
Q2. 海外に出国しても税金はかかりますか?
A. 日本においては暗号資産で大きな利益が出ると、現在のところは高額な税金を支払う必要があります。
そのため、「税金が少ない海外に移住してはどうか?」と考える人もいるかもしれません。
確かに、国によっては暗号資産に対する税金を優遇しているところもあり、利益確定せずに海外に移住すれば日本での納税を回避できる可能性もないとは言い切れないです。
ただ、不確実な事柄も多く、海外移住の条件や手続きも国によって異なるので、気軽にできることとは言えないでしょう。
また、資産1億円以上を保有している人は出国時に「出国税」がかかりますが、暗号資産の未確定利益がどのように判断されるのかは、明確な答えが出ていません。
これらのことから、節税のために海外に移住することはリスクが高く、あまり現実的ではないと言えるでしょう。
どうしても海外移住にチャレンジしたいという人は、専門家へ相談することをおすすめします。
Q3. 会社員でも法人を設立することはできますか?
A. 会社員として働いていても法人設立や開業などを行うことは法律上可能ですが、会社の規定などで禁止されている可能性もあります。
後々揉めたりしないよう、あらかじめ会社の了解を取っておくことをおすすめします。
Q4. 暗号資産の税金にかかる制度は変わる予定はありますか?
A. 未定ですが、今後、分離課税になることは十分に考えられます。
暗号資産の基本的な税金については、「暗号資産の利益にかかる税金とは?|節税のための基礎知識」で解説しましたが、実はFXや株式の利益と比べると税制上はかなりデメリットが大きいのです。
FXや株式の利益は分離課税と言って、他の所得と分けられた上で一律約20%の税金が課されるというのが現在の制度になっています。
暗号資産の税金は総合課税で、最大55%課されることと比べると、税率がかなり低いと言えます。
そこで、一般社団法人日本暗号資産等取引業協会(JVCEA)などからは、暗号資産の税制に関して、金融庁に分離課税への制度改正要望を出してはいますが、現状では本格的な議論には至っていません。
ただ、今後、暗号資産の税金がFXや株式と同様の分離課税になることは十分に考えられます。
もしそうなれば、現制度と比べて支払う税金はかなり減るので、節税対策に躍起になる必要もなくなるかもしれません。
暗号資産の節税対策まとめ
暗号資産の節税対策について紹介しました。
暗号資産の利益が大きい場合に、節税のインパクトが1番あるのは「法人化」で、
・個人としての所得税率と比べ法人税率が低く設定されている(所得税最大55%、法人税最大約33%)
・法人税上のメリットが多くある(損益通算、損失繰越など)
といった2点が大きなポイントです。
ただ、法人化をするのは難しいという人や法人化以外の節税方法を知りたいという人もいるでしょう。そのような人は、下記の節税対策がおすすめです。
・暗号資産にかかる経費を計上
・年間20万円以下の利益で確定
・利益確定をしないで保有し続ける
・損益通算をうまく利用する
・個人事業主として開業する
さらに、暗号資産は「雑所得」に当たるため、所得控除の対象となるような一般的な下記節税対策も有効です。
・ふるさと納税
・確定拠出年金
・住宅ローン減税
本記事を読み、自分に合った有益な暗号資産の節税対策を見つけてくださいね。
なお、税務に関しては国税庁のHPを参照、専門の税理士に必ずご確認して下さい。
ホワイトリストとは、金融庁に登録されている国内取引所で取り扱っている暗号資産(仮想通貨)のことを指します。
2017年4月施行の改正資金決済法によって、暗号資産を取り扱う国内取引所が金融庁の登録制になったことがきっかけで生まれた用語です。
ホワイトリスト入りしている暗号資産は、一定の審査を経ていることから、他の暗号資産と比べて安全性や信頼性が高いと言われています。
本記事では、金融庁に登録されている国内取引所ごとの取り扱い暗号資産(ホワイトリスト)の一覧・国内取引所でそれぞれどんな暗号資産を取り扱っているかを紹介します。
さらに、「ホワイトリスト入りしている暗号資産はそれ以外の暗号資産と何がどう違うの?」や「ホワイトリスト入りしている暗号資産を買えば必ず価値が上がるの?」といった疑問を持つ人に対して、
ホワイトリスト入りしている暗号資産の安全性
ホワイトリスト入りと暗号資産の価格との関連性
ホワイトリスト入りしていない暗号資産の信頼性
徹底解説します!
本記事を読めば、ホワイトリスト入りしている具体的な暗号資産について知れるだけでなく、ホワイトリストに入っている暗号資産を購入するかどうかの判断までできるようになるでしょう。
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目次
ホワイトリストは金融庁に登録されている取引所で扱っている暗号資産のこと
暗号資産の「ホワイトリスト」という用語ができた背景
グリーンリストとの違い
NFTのホワイトリスト
【一覧表】ホワイトリスト入りしている具体的な暗号資産一覧
ホワイトリストの暗号資産の安全性覧
金融庁が国内取引所を審査するプロセスや条件
国内取引所が扱う暗号資産の審査基準
ホワイトリストは金融庁が安全性を直接保証していない点に注意
ホワイトリスト入りしていない暗号資産は信頼性が低い
ホワイトリストでなくなる暗号資産はあるのか?
ホワイトリスト入りしていても購入は自己責任
ホワイトリストは金融庁に登録されている取引所で扱っている暗号資産のこと
ホワイトリストとは、改正資金決済法に従って金融庁の登録を受けた『暗号資産交換業者』(国内取引所)で取り扱っている暗号資産のことを指します。
登録をされた国内取引所で扱っている暗号資産は、一定のの審査を経ているために、他の暗号資産と比べても安全性や信頼性が高いとされ「ホワイトリスト」と呼ばれています。
暗号資産の「ホワイトリスト」という用語ができた背景
暗号資産の「ホワイトリスト」という用語ができたのは、改正資金決済法(2017年4月1日施行)によって、暗号資産を取り扱う国内取引所が金融庁の登録制になったことがきっかけです。
マネーロンダリング対策や利用者保護のために改正資金決済法が施行され、金融庁の審査を経て登録された国内取引所でなければ暗号資産を取り扱うことができなくなりました。
それまでは多くの国内取引所が乱立し、「この暗号資産の価値が上がる」などのあらゆる情報が交錯して混乱している状況でしたが、金融庁によってある程度の統制が取られるようになったのです。
例えば、暗号資産取引所だったミスターエクスチェンジチェンジは以前50通貨のも暗号資産を取り扱っていましたが、金融庁の規制がされるようになってから業務を停止しました。
このような経緯のもと、改正資金決済法施行以降は、金融庁の一定の審査を経た暗号資産だけが国内取引所で扱われるようになりました。
グリーンリストとの違い
ホワイトリストとよく似た言葉で「グリーンリスト」という制度が存在します。
グリーンリストは2022年3月に暗号資産の上場審査の効率化を目的に日本暗号資産取引業協会(JVCEA)によって導入されたリストで、以下の4つの条件を満たす銘柄が選定されています。
3社以上の会員企業が取扱いをしている
1社が取扱いを開始してから6カ月以上の期間が経過している
その取扱いにあたって、協会が付帯条件を設定していない
その他、協会にて本リストの対象とすることが不適当とする事由が生じていない
ホワイトリストがマネーロンダリング対策や利用者保護といった安全性の観点から導入されたのに対し、グリーンリストは上場審査の効率化を図るために導入されました。
最新のグリーンリスト一覧はこちらをご覧ください。
NFTのホワイトリスト
NFTの関連用語にも、異なる意味合いでホワイトリストという言葉が使用されています。
NFTのホワイトリストとは、プレセールへ参加登録した人のリストのことを指します。
ホワイトリストに入っていれば確実にプレセール価格で買えるため、整理券のようなものだと考えてよいでしょう。
ホワイトリストは他にも、ガス代の高騰を避けることができる、といったメリットがあります。
人気の限定NFTなどの場合、購入開始時刻に注文が殺到することで、ガス代が高騰するケースがあります。ホワイトリストに登録されていれば、自分の購入分を確保されているため、ガス代が高騰しているタイミングを避けることができます。
【一覧表】ホワイトリスト入りしている具体的な暗号資産一覧
ホワイトリストとは、金融庁の登録を受けた国内取引所で取り扱っている暗号資産のことを指します
1
BTC(ビットコイン)
2
ETH(イーサリアム)
3
ETC(イーサリアムクラシック)、
4
LSK(リスク)
5
XRP(リップル)
6
XEM(ネム)
7
LTC(ライトコイン)
8
BCH(ビットコインキャッ シュ)
9
MONA(モナコイン)
10
XLM(ステラルーメ ン)
11
QTUM(クアンタム)、
12
BAT(ベーシックアテン ショントークン)
13
IOST(アイオーエス ティー)
14
ENJ(エンジンコイン)
15
OMG(オーエムジー)
16
PLT(パレットトークン)
17
SAND(サンド)
上記以外にも数十種類の通貨がホワイトリストに掲載されています。
最新のホワイトリスト一覧はJVCEA発表の取扱い暗号資産及び暗号資産概要説明書をご覧ください。
ホワイトリストの暗号資産の安全性
ホワイトリスト入りしている暗号資産は、JVCEA一定の基準を満たしているという点で、他の暗号資産と比べると安全性や信頼性の高い暗号資産と一般的には言われています。
ただ、「ホワイトリストに入っている暗号資産はどれくらい安全性が高いの?」と疑問に感じる人もいるでしょう。
そこで、金融庁がどのような審査で国内取引所の登録を行なっているか、主に下記の点を中心に解説していきます。
金融庁が国内取引所を認可するプロセスや条件
国内取引所が取り扱う暗号資産の審査基準
金融庁が国内取引所を審査するプロセスや条件
改正資金決済法(2017年4月1日施行)によって、暗号資産を取り扱う国内取引所は金融庁の登録が必須になりました。
金融庁が国内取引所を登録する主要な審査プロセスは下記の通りです。
また、国内取引所が登録されるためには、下記のような条件を満たしている必要があります。
株式会社もしくは国内に営業所を置いていること
資本金の額が1000万円以上であること
利用者保護措置がなされていること
利用者財産の分別管理がされていること
利用者情報管理がされていること
システムリスク管理がされていること
マネーロンダリング及びテロ資金供与対策がされていること、など
上記審査プロセスや審査条件を見ると、実質面を重視した厳しい審査が行われた上で、やっと国内取引所として登録されることが分かります。
これらのことから、金融庁によって登録された国内取引所はある程度の安全性が担保されていると言えます。
国内取引所が扱う暗号資産の審査基準
金融庁によって登録された国内取引所は、ある程度の安全性が担保されていると言えますが、国内取引所が扱う暗号資産においては、どの程度のチェックがされているのでしょうか?
金融庁が公開している事務ガイドラインなどを確認すると、下記のように暗号資産の適切性の判断がされているとのことです。
暗号資産の仕組みや用途、流通状況
テロ資金やマネーロンダリング等に利用されるリスク
暗号資産取り扱いによって生じるリスク
について国内取引所に対して詳細な説明を求め、利用者保護及び業務の適正かつ確実な遂行の確保の観点から、上記点を中心に暗号資産業者が取り扱うことが適切かを判断する。
参考:事務ガイドライン第三分冊:金融会社関係|金融庁HP
上記、事務ガイドラインによると、利用者にとってリスクの高い暗号資産の取り扱いには慎重な姿勢が見られます。
具体的に言うと、匿名性が高いものや技術公開がされていないような利用者にとってリスクの高い暗号資産は、金融庁によって国内取引所で扱うことが適切でないと判断される可能性が高いということです。
これらのことから、ホワイトリスト入りしている暗号資産は、金融庁によってある程度リスク管理がなされていて、他の暗号資産と比べると安全性と信頼性が担保されていると言えます。
ホワイトリストは金融庁が安全性を直接保証していない点に注意
ホワイトリスト入りしている暗号資産は、他の暗号資産と比べると安全性と信頼性が担保されていると言えます。
しかし、金融庁が安全性や信頼性を直接的に保証しているわけでも、ましてや価値が上がることを保証しているわけでもないという点にだけは注意が必要です。
金融庁はホワイトリストに関して、下記スタンスを取っています。
暗号資産交換業者が取り扱う暗号資産は、当該暗号資産交換業者の説明に基づき、資金決済法上の定義に該当することを確認したものにすぎません。
金融庁・財務局が、これらの暗号資産の価値を保証したり、推奨するものではありません。
暗号資産は、必ずしも裏付けとなる資産を 持つものではありません。
引用:金融庁HP
金融庁はホワイトリストに対して「直接的に価格を保証するわけでも、購入を推奨するわけでもない」という態度であることだけは、しっかり押さえておきましょう。
ホワイトリスト入りしていない暗号資産は信頼性が低い
ホワイトリスト入りしていない暗号資産とは、海外取引所のみで扱われている暗号資産もしくは、金融庁に登録されていない無登録の(違法な)国内取引所で扱われている暗号資産のことです。
つまり、金融庁による審査を経ていない暗号資産であるため、安全性や信頼性は全く担保されていません。
2,000種類以上もある暗号資産の中には、価値のないものやリスクの高いもの、詐欺に近いようなものも存在しています。
もちろん、ホワイトリスト入りしていない暗号資産の中にも将来性のあるものは存在しますが、専門家でない限り見分けるのは非常に難しいです。
そのため、ホワイトリスト入りしていない暗号資産に関しては、信頼性が全く担保されていないということを前提に、購入を望む場合には慎重に情報を収集することをおすすめします。
ホワイトリストでなくなる暗号資産はあるのか?
可能性は低いですが、現在ホワイトリスト入りしていても、将来的にホワイトリストから外れる暗号資産が出てくることも考えられます。
現在、国内取引所は金融庁の審査を経た上で登録されていますが、登録済みの国内取引所であっても金融庁からリスク管理態勢や利用者保護などについて業務改善命令が出される可能性があります。
そして、国内取引所が業務改善命令に従わなければ、登録が取り消されることも考えられるのです。
登録が取り消されれば、国内取引所として営業することはできなくなり、登録取消された国内取引所のみでしか扱われていない暗号資産があれば、その暗号資産はホワイトリストではなくなります。
これらのことから、可能性は低くとも将来的にホワイトリストから外れる暗号資産が出てくることも考えられるのです。
ホワイトリスト入りしていても購入は自己責任
本記事では、暗号資産のホワイトリストについて徹底解説しました。
ホワイトリストとは、改正資金決済法に従って金融庁の登録を受けた『暗号資産交換業者』(国内取引所)で取り扱っている暗号資産のことを指します。
具体的なホワイトリスト入りしている暗号資産は下記の通りです。
ホワイトリスト入りしている暗号資産は、金融庁の一定の基準を満たしているため、他の暗号資産と比べて安全性や信頼性が高いと言え、特に暗号資産初心者が保有するのに適しています。
ただし、金融庁が直接的に安全性を保証しているわけでも、購入や保有を推奨しているわけでもないため、購入などの判断は自身で情報を集めた上で慎重に行うようにしてください。
2018年5月に、財務省は3000万円以上の暗号資産(仮想通貨)取引をした場合には、財務大臣への報告が必要とする発表を行いました。
暗号資産でまとまった金額を運用している人の中には、この発表が気になる人もいるかもしれません。この記事では、財務省のこの発表内容を解説していきます。
※仮想通貨の税金については、2024年2月13日時点の情報となります。
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目次
暗号資産取引に関して財務省が発表した内容
財務省が暗号資産取引に関する報告を発表した背景と目的
海外への資金流出に伴う課税逃れの取締強化
3000万円相当額を超える暗号資産取引の報告に違反した場合の罰則
暗号資産送金で3000万円相当額を超えても報告が必要ではない事例
日本国内での暗号資産の送金
1回の送金では3000万円未満の場合
3000万円相当額を超える暗号資産取引に関する報告書の書き方と提出方法
報告書の様式
報告書の提出先
暗号資産取引に関して財務省が発表した内容
2018年5月18日、財務省は「暗号資産に関する外国為替及び外国貿易法に基づく報告について周知します」という報道発表を行いました。
日本と外国、日本に住んでいる人と外国に住んでいる人との間で日本円で3000万円以上の取引をした場合には、財務大臣への報告が必要だとするものです。これまでも、日本と外国との送金に関しては同様の取り決めがありました。
この報道発表では、円やドルなどの法定通貨だけでなく暗号資産にも同じ義務があることを改めて周知したことになります。
しかし2021年6月より、この報告は不要(暗号資産交換業者が報告)となりました。
ただし、居住者と非居住者との間の支払等や日本と外国との間の支払等における1回あたり3,000万円相当額超の取引に関しては、これまでどおりお客様による報告が必要となりますのでご注意ください。
財務省が暗号資産取引に関する報告を発表した背景と目的
こうした発表がされた背景には、国境を越えたモノやサービスの取引の決済には、法定通貨よりも暗号資産が使われるようになるとの見方があるのかもしれません。
日本は、諸外国に先駆けて暗号資産の法的な位置づけを確認した国です。今後暗号資産の利用が伸びると予想される中では、分かりやすく透明性の高いルールが必要です。
そのため、主要国に先駆けて法整備を行っていく姿勢を明らかにしたとも考えられます。
海外への資金流出に伴う課税逃れの取締強化
財務省が暗号資産の法整備を行うねらいの1つは、海外への資金流出に伴う課税逃れの取締強化と言えるでしょう。
スマートフォンを使えば簡単に多額の取引もできてしまう暗号資産は、犯罪への悪用も懸念されています。暗号資産取引所を通さない取引の場合、個人情報と通貨の情報は紐づけされていないため匿名性が高いからです。
マネーロンダリングや所得隠しなど、暗号資産を犯罪に悪用する手段への対策は進んでいるように見えますが、取引実態は十分に把握できているとは言い切れません。
今回の報道発表には、国によって取引ルールが異なる暗号資産で、国内外の当局を巻き込んだ協力体制を作りたいのかもしれません。
3000万円相当額を超える暗号資産送金の報告に違反した場合の罰則
3000万円相当額を超える暗号資産送金の報告に従わなかったり、嘘の報告をしたりした場合には6カ月以下の懲役または50万円以下の罰金が課せられます。
暗号資産取引で3000万円相当額を超えても報告が必要ではない事例
一方で、3000万円を超える暗号資産取引でも報告が必要ない事例があります。暗号資産の送金が国内で行われたケースと、1回の送金金額が3000万円未満のケースです。
日本国内での暗号資産の送金
財務省の課している報告義務は、海外の法人や個人との暗号資産取引が対象です。
日本国内での暗号資産の送金は対象ではありません。
1回の送金では3000万円未満の場合
報告義務の対象となるのは1回の送金金額です。そのため、複数回に分けて送金を行なった場合には報告は必要ないとされています。
例えば、海外の暗号資産の取引所で300万円の取引を1日に10回した場合や、海外に住む友人に1000万円の送金を1日3回したようなケースなどが考えられるでしょう。
※詳細につきましては財務省のHPをご参照ください。
3000万円相当額を超える暗号資産取引に関する報告書の書き方と提出方法
1度に3000万円以上の取引をすることになった場合、どのように報告するのでしょうか。
ここでは日本銀行のホームページに掲載されている手引きを見ながら、報告書の様式や提出先まで解説していきます。
報告書の様式
報告書は「外為法第55条に係るもの」の様式1~4を使います。取引所を経由しないで取引をした場合は様式1と2、取引所を経由して取引をした場合には様式3と4を使います。
記入の際に取引の内容がどれに該当するか知りたいときは、「国際収支項目番号一覧・内容解説(別表第一)」を参考にします。取引の相手国については「国又は地域番号一覧(別表第二)」や業種については「業種番号一覧(別表第三)」を見ます。
実際にどのようなケースで報告が必要かについて知りたくなったときは「支払等報告書」に関する事例集を見ると、事例が図解で説明されていますので参考にしてください。
なお、報告の必要があるかを知るためには日本円に交換したときのレートを知る必要があります。通貨の換算方法は別途定められているとき以外は「基準外国為替相場・裁定外国為替相場」を使います。
基準レートは毎月更新されていますので、該当期間のものをあらかじめ確認してから作成します。
報告書の提出先
報告書の提出先は、支払いや支払いの受け取りをした方法や場所によっても異なります。
日本国内の銀行などが行う為替取引で支払いや受け取りをした場合には、その銀行など金融機関の店舗に提出します。それ以外の方法で支払ったり、受け取ったりした場合には日本銀行の国際局国際収支課に提出します。
報告書は郵送で提出することもできます。郵送で報告書の控えを希望する場合には、宛名を記入して、返信用の郵便切手を貼った返信用封筒を同封します。
なお、報告書控えの印は書類を受け取ったことの証明であって、内容を審査したことの証明ではないので注意が必要です。また、報告書はインターネットでの提出もできます。
オンラインシステムを利用するにはあらかじめ申し込みをしておく必要がありますが、頻繁に報告が必要な人は登録しておくと報告にかかる手間やコストが省けて便利です。
※詳細につきましては日本銀行のHPをご参照ください。
海外の暗号資産取引で3000万以上なら報告が必要か確認を
財務省の発表した報告義務は、国内の暗号資産の取引所で取引をした場合は対象外です。
国内の金融庁登録済の暗号資産取引所Coincheckでは、数千万円以上の暗号資産の取引に関しては、平日の指定時間内であれば、魅力的なレートで大口の売買が可能です。
高額取引をしている人で、報告義務の対象となっているかどうか気になる人は日本銀行の公開している基準レートを参考に取引額を確認してみましょう。
暗号資産(仮想通貨)の流通にともない、暗号資産を規制して、管理しようとする動きも出てきています。
ここで言う「暗号資産の規制」とは、どのようなものをさすのでしょうか。購入や売買するにあたって、注意するべきことはあるのでしょうか。ここでは、日本や世界が発表している暗号資産の規制内容について、わかりやすく解説しています。
暗号資産にはどのような規制が生じているのか、購入や売買における規制はあるのかなど、初心者向けに基本情報をご紹介します。
※仮想通貨の税金については、2024年2月13日時点の情報となります。
暗号資産の規制ってどんなもの?
まずは、暗号資産の規制のうち、主だった内容について見てみましょう。
暗号資産の流通拡大にともない、規制の声が高まっている
2017年頃から、暗号資産の流通は一気に拡大しました。
それまで一部のユーザーの間でだけ取引されていた暗号資産が、価格の上昇などに伴い、一般の人々へと知名度を一気に広げることとなったためです。暗号資産の流通が広がれば、暗号資産を売買できる暗号資産の販売所や取引所も増えます。
暗号資産を活用したサービスや、新しい暗号資産の発行なども同様です。こうした動きのほとんどは、「既存のサービスや経済をよりよくするため」という目的で開発が進められています。
暗号資産に関する犯罪が発生
しかし、中には暗号資産の仕組みを悪用しようと企んだり、実際に犯罪の手口に利用するケースも出てきました。暗号資産に限ったことではありませんが、流通が増えると悪用されるリスクが大きくなるのは世の常です。
そうした事情を受け、暗号資産に関わるさまざまな問題を未然に防止するため、規制に向けた動きが活発になってきています。
暗号資産の取引に対する規制
暗号資産の規制は、日本国内では販売する側の規制がメインとなっています。
個人で暗号資産を購入したり、売買することに関しては、いまのところ大きな規制はありません。販売する側の規制としては、例えば以下のようなものが挙げられます。
ICOに対する規制
ICOとは、イニシャルコインオファリング(Initial Coin Offering)の頭文字をとったものです。
日本語では「新規暗号資産公開」とも訳されています。簡単にご紹介すると、新規にビジネスや事業を立ち上げようとする企業や団体などが、その資金調達のツールとして暗号資産を発行し公開することです。
ここで公開される暗号資産は、企業が開発した独自の暗号資産となります。暗号資産を公開株式のようにして、事業を運営するための投資を募る手法です。
真剣に事業を開発しようとしている団体がある一方で、構想だけで実体のないものや、悪徳な業者が関わっているものもあり、現状のICOは玉石混交の状態となっています。こういったICOの新規発行について、規制や管理を強めて消費者を守ろうとしているのが世界的な流れです。
匿名通貨に対する規制
ICOだけでなく、匿名通貨に対する規制も強化に向けて進んでいます。
匿名通貨とは、送金する際の情報について、匿名性を保持できる暗号資産のことです。ビットコインなどの暗号資産では、送金元の情報がすべてブロックチェーン上に記録され、誰でも見ることができるよう公開されています。
取引の透明性が高く、第三者の監視がきく状態です。この透明性の高さから、銀行などの管理母体を必要とすることなく、通貨としての取引が成り立っています。
しかし、ある意味ではプライバシーが確保されないシステムであるとも言えるでしょう。これに対して、匿名通貨は送金時の情報が暗号化され、情報がわからないような仕組みとなっています。
「いつ誰がどこにどれだけ送ったのか」という履歴を隠せるため、プライバシーを保護することが可能です。匿名通貨はプライバシーが守れる反面、違法な取引に悪用されやすい側面があります。
このため、今のところは日本では匿名通貨についても、新規発行や取引の規制対象となりつつあります。
暗号資産取引所・販売所に対する規制
暗号資産の売買ができる暗号資産の取引所や販売所についても、近年では、世界的に規制が進んできています。日本国内で暗号資産の売買や交換を行う業者は、すべて金融庁への登録制となっており、アカウント作成時も本人確認が必要です。
暗号資産の取引所・販売所で口座開設するまでの流れはこちら
しかし、インターネットとパソコンがあれば、海外の暗号資産の取引所を経由して暗号資産を購入することが可能です。このときに、国から承認されていない暗号資産の取引所や、身分証明などが必要なく、アカウントを作れてしまう取引所もあります。
こういった取引所では、送金元や受け取ったウォレットの所持者の詳細情報が把握できず、犯罪の温床となる可能性が高いのです。暗号資産を取り扱う業者には、セキュリティや運営資金に加え、犯罪へ加担しないためのシステムに対するリスク管理能力などが必要です。
こうした基準は、国が統一して審査や規制を行うのが望ましく、世界でも規制の動きが強まっています。その他の暗号資産購入や、個人的な売買については、日本ではいまのところ容認の方向となっています。
しかし、国によっては、ビットコインなどの暗号資産購入や、取引そのものを規制しようとする動きもあるのです。海外での暗号資産における規制は、どのようになっているのでしょうか。
海外における暗号資産の規制状況の事例
海外における暗号資産の規制状況については、以下のようになっています。
欧米の規制状況
アメリカでは州によって法律が違うため、厳しいところとそうでないところに分かれています。
国としては、2018年に販売所や取引所について、日本と同様に登録制とするよう発表しています。今後も課税面などで更なる規制が生まれる可能性もありますが、日本と同様、暗号資産取引については、おおむね容認する方向です。
ヨーロッパでは、ドイツやフランスに、国としての規制をもうける動きが出ています。ドイツでは決済など、暗号資産の利用方法によっては課税が減免されたり、フランスでは暗号資産の先物取引が規制対象となっています。
欧米の傾向としては、「暗号資産を正しく流通させるための前向きな規制」と捉えられそうです。
アジアの規制状況
アジアでは、国によって暗号資産の規制に大きな差が見られます。
たとえば、韓国やタイ、台湾などでは、日本と同様に「容認しつつも適宜規制する」という姿勢です。韓国では、一時全面的に暗号資産取引の規制を強化していましたが、2019年に入って一部緩和され、交換や売買は現在も継続して行われています。
アジアの中でもIT先進国であるインドでは、当初全面禁止の方向でしたが、インドの財務省にあたる機関は禁止を否定しており、現在は容認に転じつつあるようです。
中国の規制状況
一方、中国では暗号資産取引は全面的に禁止する方向です。これには、中国政府が推進している事業へ投資を限定したいという意向もあるのかもしれません。
ただし、実際には個人間での取引には規制があるものの、中国は暗号資産のマイニング大国として知られています。しかし、2019年4月に入って中国政府がマイニングの禁止を検討しているなどのニュースも流れており、今後の動向には注視する必要があります。
【2020年最新】中国の暗号資産市場とこれまでの流れを解説
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ロシアの規制状況
ロシアでは、当初暗号資産の取り扱いについて強い規制を打ち出す姿勢を見せていました。
2018年5月に1度法案が可決されましたが、その後マイニングに関する規制を削除したり、暗号資産を「デジタルライト」という用語へ変更したりといった修正が見られ、現時点で大きく決まった枠組みはないようです。
プーチン大統領は、2019年中に暗号資産について何らかの規制を進める方針であるとしており、世界情勢や暗号資産の流通状況などを見ながら、適宜整備していくものと予想されます。
南米やアフリカなどのその他の国の規制状況
先進各国が国を挙げて、暗号資産の規制を進める中、南米やアフリカなどのいわゆる途上国では、国による規制の進捗は遅めです。
特にアフリカ諸国では、自国の法定通貨が安定していない国が多く、暗号資産の比ではないほど、法定通貨の価格上下が激しい国もあります。銀行や物流面で信頼に足る企業も少ないため、アフリカ国内では暗号資産の取引が活発になりつつあるようです。
本来暗号資産は、そのような途上国が、安定して取引できるツールとして利用されるべきとの声もあります。ただ、そういった地域ほどマフィアや犯罪と繋がりやすく、不正利用が蔓延する懸念もあります。
こうした途上国にこそ、早期の規制を敷き、法整備によって正しく活用されることが望まれるでしょう。こうしてみても、暗号資産は世界的な規制が進みつつあることがわかります。
規制と言っても、暗号資産を廃止する動きではなく、安全で安定した取引を継続するための前向きな規制が多くなっています。その中でも、とりわけ日本では、暗号資産の規制がかなり進んでいます。
世界基準で見ても、日本の暗号資産に対する法整備や管理体制は整っていると言えるでしょう。
日本国内における暗号資産の規制状況
次に、日本国内の規制状況について、更に詳しく見てみましょう。
暗号資産による収益に対する課税の規制
日本で暗号資産を売買した際、もっとも頭に入れておきたいのが課税についての規制です。
国税庁では、暗号資産によって得られる収益を「雑所得」として扱う旨をさだめています。雑所得とは、事業によって得たものではない所得とみなされる利益のことです。
雑所得は他の損失と差し引いたり、次年度へ繰り越すことができません。同じ雑所得に該当するものとして、株やFXなどの金融取引が挙げられます。
しかし、株やFXには「租税特別措置法」と呼ばれる特例があり、一定の税率軽減や3年間の損失繰越などが認められています。暗号資産にはこの特例がないため、最高で55%の税率が科される可能性があります。
暗号資産を購入し、持っているだけでは課税対象となりません。暗号資産を売却して日本円に換金したり、暗号資産で別の暗号資産を購入した場合には、課税対象となるので注意が必要です。
暗号資産で課税対象となる売買を行った場合は、給与所得者であってもかならず確定申告をするようにしましょう。
詳しくはこちら:暗号資産(仮想通貨)にかかる税金とは?計算方法から確定申告のやり方まで解説
※税金等の詳細につきましては管轄の税務署や税理士等にお訊ねいただくか、または国税庁タックスアンサーをご参照ください。
暗号資産交換業者に対する規制
日本国内では、暗号資産の販売所や取引所にも厳しい規制がもうけられています。
日本国内で暗号資産の交換や売買を行う事業者は、「暗号資産交換業者」として、金融庁への登録が義務づけられています。2017年頃までは、金融庁への登録申請中のまま取引が行える「みなし業者」という設定がありましたが、現在ではみなし業者に対する審査もかなり厳しくなっています。
販売所への規制は、そこで暗号資産の購入や売買をする消費者を守るための規制でもあります。暗号資産を始めるなら、管理方法や匿名通貨の取り扱いといった規制をクリアし、暗号資産交換業者の承認を受けた販売所、取引所で購入するのがよいでしょう。
新規ICOに対する規制が強化される
ビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)など、現在広く流通している暗号資産は、価格の乱高下はあるものの、暗号資産としてその価値は認められています。
これとは別に、新規にICOで発行されている暗号資産を購入する場合は注意が必要です。ICOには、将来性が期待されるものがあるのも事実です。
その反面、犯罪者集団が資金調達を目的として発行していたり、実際に開発できる予定がないものも含まれており、玉石混合の状態となっています。こうしたICOについては、世界中で厳しく規制していく動きです。
日本国内でも同様に、指針や審査基準などをさだめる流れとなっています。とはいえ、具体的な内容はまだ詳細には決まっておらず、これからの動向が注目されます。
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Coincheck
暗号資産の規制に関するまとめ
暗号資産は世界的に認知されるとともに、国ごとに規制が進んでいます。
一部の国では全面禁止の措置を取っているところもありますが、おおむね暗号資産の流通については前向きです。暗号資産が正しく使われ、悪用されないための前向きな規制が整備されようとしています。
これは消費者にとってもメリットのあることで、その中でも日本はかなり具体的な規制が行われており「暗号資産先進国」であるとも言えるでしょう。暗号資産のシステム自体は、有用性や将来性が大きく期待できるものです。
だからこそ、多くの国々が規制をしつつ、容認する方向で動いています。「規制されているから大丈夫」と安易に考えるのはおすすめしませんが、暗号資産の取引を行う際には、金融庁の認可を受けた日本国内の暗号資産の取引所・販売所で行うようにしましょう。
暗号資産のチャートは、世界情勢によっても大きく変化していきます。売買時の課税についても念頭に置きつつ、規制情報については、常に最新の情報に触れていくことが大切です。
2017年から2018年にかけては多くの仮想通貨が大きく上昇したこともあり、仮想通貨投資がうまくいった結果、大きな利益が出た人が多く誕生しました。
また、仮想通貨で利益を出した人は、その利益を利用して、続けて新しい仮想通貨へ投資を始める人もいるようです。しかし、仮想通貨の使用で得た利益が、税制上どのような扱いを受けているのか理解している人は少ないかもしれません。
特に、確定申告が必要かどうかは関心の高いテーマかと思いますので、今回は仮想通貨の確定申告についても合わせてご紹介します。
※仮想通貨の税金については、2024年2月13日時点の情報となります。
仮想通貨の損益発生のタイミング
まずは、仮想通貨の使用による損益が発生するタイミングを理解しなければいけません。
基本的に仮想通貨で損益が発生するのは、仮想通貨を売却した時、仮想通貨で商品を購入した時、異なる仮想通貨同士を交換した時、マイニング報酬を得た時などとなります。
仮想通貨の売却で損益が確定するのは、一度所持した仮想通貨を売却して法定通貨に戻した時となります。購入した時から価格が下落した仮想通貨を売却した場合は、損失として計上されます。
仮想通貨の使用で法定通貨に直接換金しない場合、つまり商品の購入や異なる仮想通貨に交換した場合は、商品購入時・交換時のレートで換算した日本円に換金したのと同じようにみなして損益が計算されます。また、マイニング報酬を得たときは、報酬獲得時のレートからマイニング費用を引いたものが所得として計算されます。
仮想通貨の税金とは?
個人で仮想通貨を利用して生じた損益は、現在のところは総合課税の「雑所得」という所得に分類されます。
この総合課税は、給与所得などと合算した所得金額に応じて税率が変わる累進課税が適用され、最大で45%まで税率が上がります。
<所得金額による所得税率>
課税される所得金額
税率
控除額
195万円以下
5%
0円
195万円超330万円以下
10%
97,500円
330万円超695万円以下
20%
42万7,500円
695万円超900万円以下
23%
63万6,000円
900万円超1,800万円以下
33%
153万6,000円
1,800万円超4,000万円以下
40%
279万6,000円
4,000万円超
45%
479万6,000円
このような税率の変化があることは覚えておいた方が良いでしょう。仮想通貨の税金制度が始まって日も浅いため、仮想通貨の税率について詳しく知っている人も多いわけではありません。
仮想通貨の税率を計算するためには、仮想通貨の損益の計算をおこなう必要があります。特に仮想通貨の購入価格は計算がややこしく、準備をしておかないとなかなか骨が折れる作業になります。
そんな仮想通貨の計算をうまくおこなうためにも、仮想通貨の購入価格の計算方法を覚えておきましょう。
仮想通貨の税金の計算方法について
仮想通貨の購入価格の計算方法には「移動平均法」と「総平均法」の2通りの計算方法があります。
移動平均法とは
移動平均法は仮想通貨の購入の都度、合計購入金額と数量で価格を計算する方法です。
移動平均法は仮想通貨を購入するたびに購入単価を計算していくので、リアルタイムで購入価格を把握することが可能になります。しかし、1年間で何百回と取引をおこなっている投資家にとっては、非常に細かい計算が必要になります。
総平均法とは
一方で、総平均法は年内に購入した仮想通貨の価格を合算した数字をもとに、購入単価を計算する方法です。そのため、売却せずに保有している仮想通貨も購入時の価格が単価に反映されます。
総平均法はとにかく計算が楽というメリットがありますが、かなり大雑把な計算方法なので、場合によっては税金を多く支払うこと可能性もあります。
また、仮想通貨の損益が発生するのは、仮想通貨の利益が確定したタイミングというのを上記でも説明しました。これは言い換えれば、利益を確定さえしなければ損益は発生しないということになります。
そのため税金を抑えたいという人は、利益確定する仮想通貨を調整することで税額を調整することができます。
詳しくはこちら:仮想通貨にかかる税金とは?計算方法から確定申告のやり方まで解説
仮想通貨の雑所得が20万円以下でも申告が必要なケース
基本的に20万円以下の雑所得が申告対象にならないというルールが適応されているのは、年末調整をおこなっているサラリーマンです。
しかし、中には雑所得が20万円以下でも申告しなければいけないケースもあります。案外、これらのケースを見逃していて脱税扱いを受けてしまう人も多くいるので注意が必要です。
まず、例えば2ヶ所以上から給与所得を受けている人は申告が必要な可能性があります。本業として会社員をしており、副業として週末にアルバイトをおこなったとします。
これは2ヶ所の労働場所から給与所得をもらったこととなりますが、主たる給与以外の収入、つまりこの場合だと、副業のアルバイトの収入と雑所得が20万円を超えているなら確定申告が必要となります。
また、給与の年間の収入が2000万円を超えているという人も申告が必要となります。他にも、個人事業主として利益を出している方は確定申告が必要です。
さらに、扶養控除を受けている主婦や学生であっても所得税の基礎控除である48万円以上の給与以外の所得があれば確定申告が必要になります。
※税金の詳細につきましては、管轄の税務署や税理士にお尋ねいただくか、国税庁の「タックスアンサー(よくある税の質問)」のページをご参照ください。
仮想通貨の雑所得の特徴
仮想通貨による雑所得はFXなどの申告分離課税の雑所得とは少し異なり、総合課税の雑所得内の損益を通算することができます。
つまり、仮想通貨やその他の副業で年内に生じた損益を合算して計算ができるため、仮想通貨で出してしまった損失も、例えば原稿料のような雑所得と合算することで税金が軽減される可能性もあります。
確定申告が必要なのに確定申告をおこなわないと、無申告加算税という税金が発生してしまい、より多くの金額を納税する必要性が出てきます。法定期限内にしっかりと確定申告をおこなうようにしましょう。
また、所得税と住民税は全く別の管轄であり、そのルールも異なるので、雑所得が少しでもあればその金額に関わらず住民税申告は必要です。
仮想通貨取引の確定申告のやり方
基本的に確定申告は、住民票がある住所地の税務署でおこなうことになります。確定申告を提出するために必要な書類をまとめて税務署に向かうようにしましょう。
確定申告を提出するために必要な書類は確定申告書、源泉徴収票、仮想通貨の取引が掲載されている明細などです。もし、書類の不備などが不安などであれば税理士や税務署に聞いてみると良いでしょう。
今では、仮想通貨の確定申告に関連したサービスも提供されています。それらのサービスをうまく活用することで、仮想通貨の確定申告を簡単に済ませることができます。
詳しくはこちら:仮想通貨も確定申告が必要!基礎知識や注意点を紹介
仮想通貨の税制の今後
以上が所得税における仮想通貨の損益への課税の仕組みの基礎となりますが、仮想通貨の税制は、今後変わってくる可能性もあります。
また、税金自体の制度も年々変わっていくので、税制度のニュースもしっかりとチェックしておく必要があります。
今まで自ら確定申告等をおこなってこなかった人は、これらのことに注意して仮想通貨の取引に取り組みましょう。
2023年6月1日に改正された「犯罪による収益の移転防止に関する法律」で、暗号資産(仮想通貨)のトラベルルールの実施が義務付けられました。 このトラベルルールは暗号資産入出金に関わる重要な枠組みですが、ユーザーにはどのような影響があるのでしょうか。 本記事では、トラベルルールについてわかりやすく解説しながら、ユーザーが対応する事項や、Coincheckでのトラベルルール対応についてを説明します。 ※仮想通貨の税金については、2024年2月13日時点の情報となります。 この記事でわかること トラベルルールとは トラベルルールの関連法について コインチェックではトラベルルールに対応している? Coincheckの無料登録はこちら 目次 トラベルルールとは トラベルルールでのユーザーへの影響 送金可能な暗号資産が限定的になる場合がある トラベルルール対応技術が異なる暗号資産取引所には送金できなくなる場合がある 送金先の情報の把握が必要になる 暗号資産(仮想通貨)でトラベルルールが設置された背景 トラベルルールの関連法について コインチェックではトラベルルールに対応している? まとめ トラベルルールとは トラベルルールとは、「暗号資産・電子決済手段の取引経路を追跡することを可能にするため、暗号資産交換業者・電子決済手段等取引業者に対し、暗号資産・電子決済手段の移転時に送付人・受取人の情報を通知する義務」というルールのことです。 (犯罪による収益の移転防止に関する法律 第十条の三、第十条の五) https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=419AC0000000022 https://www.fsa.go.jp/news/r4/sonota/20230526-2/00.pdf つまり、ユーザーは暗号資産(仮想通貨)の送金時に、送金先と送金元の情報提供が必要になるという新たな枠組みと言えます。 また、トラベルルールは、FATF(金融活動作業部会)が「マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策」についての国際基準(FATF基準)において、各国の規制当局に対して導入を求めているものです。 テロリストや反社会的勢力、その他の犯罪者が電子的な資金移転システムを利用することを防ぎ、不正利用があった場合にはその追跡を可能にすることを目的として設定されました。 トラベルルールでのユーザーへの影響 トラベルルールとは、あくまでの暗号資産の送受金・入出金に関わるルールになります。暗号資産取引所内だけで完結する売買やトレード、日本円の入出金は今まで通り行えるため、ユーザーへの影響を考える際は暗号資産の送受金・入出金だけということを考慮しましょう。 トラベルルールが導入されることにより、ユーザーには大きく3つの影響があります。 送金可能な暗号資産が限定的になる場合がある 異なるソリューションの暗号資産取引所には送金できなくなる場合がある 送金先の情報の把握が必要になる トラベルルールが導入の影響を知るために、自身が利用する暗号資産取引所などに導入されているトラベルルール対応技術を把握する必要があります。主なトラベルルール対応技術は2つあり、「Travel Rule Universal Solution Technology」(TRUST)と「Sygna Hub」(Sygna)というものがあります。まずは、これらには2024年2月15日現在、相互に互換性が無いという点を覚えておきましょう。 CoincheckはTRUSTを採用しており、国内ではbitFlyerが、米国ではCoinbaseも採用しています。 その他のTRUSTのメンバーはCoinbaseのホームページより確認できます。(掲載されているすべての業者がTRUSTによる送受信を開始しているわけではございません。) なお、日本の法令上、以下の通知対象国・地域に日本国を加えた取引所以外への送金や、Metamaskなどの個人のウォレットへの送金には、トラベルルールが適用されません。(マネーロンダリングなどが疑われる場合は取引が制限される可能性があります。) 通知対象国・地域(トラベルルールが適用される国)※2023年7月5日時点 アメリカ合衆国、 アルバニア、 イスラエル、 カナダ、 ケイマン諸島、 ジブラルタル、 シンガポール、スイス、 セルビア、 大韓民国、 ドイツ、 バハマ、 バミューダ諸島、 フィリピン、 ベネズエラ、 香港、マレーシア、 モーリシャス、 リヒテンシュタイン、 ルクセンブルク 送金可能な暗号資産が限定的になる場合がある TRUSTを採用している暗号資産取引所では、送金できる暗号資産が限定されています。今後、開発の進展により送金可能な暗号資産が増える可能性があります。 トラベルルール対応技術が異なる暗号資産取引所には送金できなくなる場合がある 日本国内の暗号資産取引所では、「TRUST」と「Sygna」というトラベルルール対応技術のどちらかが導入されています。両者ともトラベルルールには対応しているものの、2024年2月15日時点では、相互互換性がないため、異なるソリューションを導入している暗号資産取引所同士では送金ができません。 送金先の情報の把握が必要になる トラベルルールとは、先述の通り「暗号資産の送金時に、送金先と送金元の情報提供が必要になる」というルールです。 そのため、トラベルルールに該当する暗号資産送金時には、送金先の情報をある程度把握しておく必要があります。 2024年2月15日時点では、送金時に必要になる情報は、送金元のアドレス、サービス名、受取人種別、受取人氏名(または法人名)、国と地域が必要となります。 詳細についてはこちらをご確認ください。 暗号資産(仮想通貨)でトラベルルールが設置された背景 暗号資産は、インターネットに接続していれば、誰が・どこでも・いつでも送受金できるという特性があります。 この特性は暗号資産のメリットであり、今まで決済サービスや銀行サービスに繋がれることのできなかった人々への可能性が示されたり、既存金融の弱点を克服する兆しが見えたりしました。 しかし、残念ながら暗号資産はマネーロンダリングやテロ資金供与、反社会的勢力などにも利用可能性があり、問題視する声は少なくありません。実際にハッキングなどで奪われた暗号資産は追跡が困難になったケースもありました。 そこで、トラベルルールでは不正利用があった場合にはその追跡を可能にすることを目的としています。 暗号資産を犯罪で利用する際は、最終的に誰かがどこかで法定通貨に換金する場合が多いため、出口をより強固にモニタリングを行えば追跡可能性が上がるといえます。 トラベルルールの関連法について 暗号資産においてのトラベルルールが定められた法律は、犯罪による収益の移転防止に関する法律 第十条の五です。 トラベルルールの枠組みがさらに変更される可能性もあります。しかし、法律はまったく理由なく制定される場合はほとんど無いため、FATF(金融活動作業部会)の動向等を注視すると、今後の日本の法令改正の動き等が想定しやすくなることでしょう。 (犯罪による収益の移転防止に関する法律 第十条の三、第十条の五) https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=419AC0000000022 コインチェックではトラベルルールに対応している? Coincheckでは2023年5月31日からトラベルルールに対応しており、「Travel Rule Universal Solution Technology」(TRUST)を導入しています。 取引所や販売所での売買や、NFTの売買、入出庫、日本円の入出金などは今まで通り変わらずご利用いただけます。 なお、暗号資産の送金時には、トラベルルールに準じた情報入力が必要になります。 Coincheckでのトラベルルール対応の送金方法に関しては、こちらをご覧ください。 まとめ 暗号資産のトラベルルールは、基本的には暗号資産を送受金する際のルールになります。国内の取引所内で売買するだけならば、今まで通り変わらずに取引が行えます。 他の取引所などに送金をする場合は、その取引所がトラベルルールに対応しているか、また対応していなくても送金が可能なのか、トラベルルール対応技術の種類はどれかなどをよく確認しましょう。
2022年12月23日、令和5年(2023年)度「税制改正の大綱」が閣議決定されました。この「税制改正の大綱」とは、簡単に言えば「翌年度以降の税制改正の方針」であり、令和5年度「税制改正の大綱」には暗号資産(仮想通貨)関連の税制の見直しも盛り込まれました。 また、令和5年度「税制改正の大綱」においては、2022年7月に一般社団法人日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)が一般社団法人日本暗号資産等取引業協会(JVCEA)と共同で金融庁に提出した「暗号資産に係る2023年度税制改正要望書」の内容も一部反映されています。 この記事では2023年の改正で暗号資産の税制がどのように変わるのか、そして要望書において何が反映されて何が反映されなかったのかについて、2022年12月1日にオンラインにて開催された「2022年暗号資産の今を知る〜税制改正に向けた現状〜」(コインチェック株式会社×クリプタクト共催)の内容も踏まえて解説していきます。 セミナー動画 この記事でわかること 2023年の改正で暗号資産の税制がどのように変わるのか 2022年度時点での暗号資産の税制はどうなっているか 2023年度の暗号資産税制改正要望の概要 2023年以降の税制改正に向けた活動予定 ※【パートナーを募集中】 コインチェックでは、NFTやメタバースの活用を考えている企業・団体を募集しています。 https://forms.gle/LgmP9GjQgke8RYHn6 Coincheckの無料登録はこちら 監修竹ケ原 圭吾 2012年11月 大学在学中に公認会計士試験2次試験に合格。大学卒業後、有限責任監査法人トーマツに入社。幅広い業種の監査及び上場支援業務、財務DD等の関連業務に従事。その後、2018年11月にコインチェック株式会社入社。経理財務部門の責任者として、暗号資産交換業という新たな事業分野における会計の要件定義や内部統制構築等に加え、財務会計・管理会計・税務業務に従事する。その他、日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)において、税制検討部会の副部会長を務め、暗号資産に関連する自主規制の各種ルールメイキングにも関与する。2020年9月に執行役員、2022年6月に常務執行役員に就任。 目次 2023年度税制改正で暗号資産の税制はどう変わる? ポイント①:法人が保有している暗号資産への課税が一部緩和された ポイント②:暗号資産の分離課税は大綱への記載なし ポイント③:暗号資産の資産税についても大綱への記載なし 暗号資産の税制改正 〜2022年度時点の現状〜 セミナー登壇者紹介 暗号資産の税制改正要望で押さえておきたい要点 要点①:分離課税について 要点②:法人税について 要点③:資産税について 暗号資産の税制改正が急がれる背景 背景①:暗号資産市場の大幅な拡大・成長 背景②:NFTやメタバースなど新たな利活用の拡大 背景③:Web3.0推進が日本の成長戦略に 税制改正要望書はどのようにして作られるのか? ステップ①:要望の洗い出し/リサーチ ステップ②:他業界団体へのすり合わせ ステップ③:投資家アンケート/リサーチ 税制改正要望書提出後の活動について 活動①:各項目への省庁とのすり合わせ 活動②:各省から財務省への要望 活動③:税制改正大綱に盛り込まれるための啓蒙 2023年以降の税制改正に向けた活動予定 2023年度税制改正で暗号資産の税制はどう変わる? 2023年度の税制は、令和5年度「税制改正の大綱」を大きな方針として改正が進んでいきます。今回閣議決定された暗号資産関連の税制について、押さえておきたいポイントは次の3つです。 ポイント①:法人が保有している暗号資産への課税が一部緩和されたポイント②:暗号資産の分離課税については大綱への記載なしポイント③:暗号資産の資産税についても大綱への記載なし ポイント①:法人が保有している暗号資産への課税が一部緩和された 1つ目のポイントは「法人が保有している暗号資産への課税が一部緩和された」ことです。 現行の税制では法人が期末時点で暗号資産を保有していた場合、含み益があれば、実現されているものとみなし、課税されていました。これを期末評価課税と言います。 売却して利益が出たならば課税する、というのは税金に詳しくない方でも感覚として理解できると思いますが、期末評価課税は、いつでもその時点の時価で売却できる状態だから、期末時の時価で利益が実現しているものと考えて計算しよう、という考え方に基づいています。 そして暗号資産は、その保有目的に関わらず、期末時価評価が必要とされているため、仮に長期保有を前提にすぐ売れない場合にも、期末時に含み益がある場合には納税しなければならないということは、従来より課題となっていました。 暗号資産を自ら発行し保有する法人についても、同様に時価評価されるおそれがあり、この税制課題により発行体が海外に流出するということが多くありました。例えば日本発のパブリックブロックチェーン「Astar Network(ASTR)」を開発するStake Technologies株式会社の渡辺創太CEOは、noteにて『もしAstarを日本でやっていてトークンを日本で発行した場合、2022年に我々が納めなければならない税金は約200億円』であり、この多額の税金を納めるために自社トークンを大量に現金化してしまうと、トークンのマーケット価格の崩壊やプロジェクトの停滞を招きかねないと指摘しています。 一般社団法人日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)の調査でも海外に流出したweb3スタートアップは数十社あるとされています。 今回閣議決定された令和5年度税制改正の大綱では「暗号資産を発行している企業の自社保有分について一定の要件を満たすものは、期末評価課税の対象外とする」ことが記載されています。つまり海外流出の主な課題であった部分が解消される、ということになりました。 暗号資産に関する税制改正は2017年の消費税改正以降、6年ぶりとなります。 上記の改正が大綱に盛り込まれるにあたり、業界団体の要望がどうなっていたかというところですが、、2022年7月に一般社団法人日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)が一般社団法人日本暗号資産等取引業協会(JVCEA)と共同で金融庁に提出した「暗号資産に係る2023年度税制改正要望書」において、主に「①期末評価課税の対象を短期売買目的に限定すること」と「②自社発行分の暗号資産を期末評価課税対象から除外すること」を要望していました。今回はこのうち②の部分が盛り込まれたということになります。 ポイント②:暗号資産の分離課税について大綱への記載なし 2つ目のポイントは「暗号資産の分離課税について大綱への記載がなかった」ことです。 現状では暗号資産で得た所得は「雑所得」に分類され、給与所得など他の所得と合算して所得税額を計算します。このような課税区分のことを「総合課税」といいます。総合課税では、税率は課税所得が多いほど高くなる累進課税方式が採用されているので、合計した所得が多ければそれだけ税額も多くなります。 一方で株の売買で得た所得は「譲渡所得」に区分され、他の所得金額と合算せずに個別に税額を計算します。このような課税区分のことを「分離課税」と言います。 分離課税における総合課税と比較したメリットは、所得計算が分離される分、税金が抑えられる可能性が高いことです。 収入が多くなるほど所得税が高くなる累進課税と違い、分離課税では税率が一定です。そのため、分離課税で得た収入は所得が高い方にとって負担軽減となるでしょう。それに加え、上場株式等の譲渡所得については損失分を3年の間繰り越すことのできる「繰越控除」が認められています。 このように暗号資産は上場株式等の金融商品に比べ、税制面で不利であるのが現状です。そのためJCBAが毎年提出している税制改正要望書では、昨今の法令上の暗号資産の位置付けの整理や諸外国の税制を比較分析した上で、上場株式等の金融商品と同様に「20%の申告分離課税」や「3年間の損失繰越控除の適用」を要望しています。しかしながら、2023年度の「税制改正の大綱」にはこれらの項目は反映されませんでした。 ポイント③:暗号資産の資産税についても大綱への記載なし 3つ目のポイントは「暗号資産の資産税についても大綱への記載がなかった」ことです。 JCBAが金融庁に提出した2023年度の税制改正要望書では、「相続した暗号資産の譲渡による所得を取得費加算の特例対象とすること」と「相続財産評価に過去3ヶ月の平均時価の最低額を選択可とすること」を要望していました。これは暗号資産の急激な値上がりによっては、相続をする際に多額の相続税がかかってしまうケースがあるためです。しかしながら、2023年度の「税制改正の大綱」にはこれらの項目は反映されませんでした。 暗号資産の税制改正 〜2022年度時点の現状〜 ここからはJCBAが提出した2023年度の税制改正要望について、2022年12月1日にオンラインにて開催された「2022年暗号資産の今を知る〜税制改正に向けた現状〜」(コインチェック株式会社×クリプタクト共催)の内容をもとに解説していきます。 ※令和5年(2023年)度「税制改正の大綱」が発表される前に実施されたセミナーとなります。 ※アーカイブ動画はこちら セミナー登壇者紹介 竹ケ原 圭吾(Keigo Takegahara) コインチェック株式会社 常務執行役員 公認会計士 斎藤 岳(Gaku Saito) 株式会社pafin 代表取締役 日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)税制検討部会長 兼 アドバイザー コインチェック株式会社 ※詳しくはこちら クリプタクト ※詳しくはこちら 暗号資産の税制改正要望で押さえておきたい要点 要点① 分離課税について要点② 所得税について要点③ 資産税について 要点①:分離課税について 引用:JCBA「2023年度税制改正に関する要望書 添付1」 斎藤:1つ目の要点は「分離課税」についてです。特に分離課税は個人の税制にも直接関わってきますので、今回セミナーに参加された皆様にとっても一番興味があるトピックではないかと考えております。ここでの要望を一言で表現するなら「暗号資産の税制も、上場株式等と同じような税制にしてほしい」ということになります。 具体的には一般的な上場株式等の金融商品と同様に「20%の申告分離課税」や「3年間の損失繰越控除の適用」を要望しています。そして暗号資産デリバティブ取引についても同様の税制を適用するように要望を提出しております。 要点②:法人税について 引用:JCBA「2023年度税制改正に関する要望書 添付1」 斎藤:2つ目の要点は「法人税」についてです。ここでの要望内容を簡単に申し上げると「法人が保有している暗号資産の含み益に対する課税を一部緩和してほしい」ということになります。 ※含み益とは取得価格が時価よりも安い場合の差額のこと。例えば過去に購入した100万円分のビットコインの時価が250万円だった場合、取得価格と時価の差額である150万円が含み益です。 従来の税制では法人が期末時点で暗号資産を保有していた場合、含み益があれば課税されていました(期末評価課税)。そこで今回の要望書では法人が保有している暗号資産に対する期末評価課税の一部緩和を要望しています。具体的に「期末評価課税の対象を短期売買目的に限定すること」と「少なくともまずは自社発行分の暗号資産を期末評価課税対象から除外すること」を要望しています。 要点③:資産税について 引用:JCBA「2023年度税制改正に関する要望書 添付1」 斎藤:3つ目の要点は「資産税」についてです。ここでの要望内容を簡単に申し上げると「暗号資産にかかる相続税の一部を軽減してほしい」ということになります。暗号資産の価格は時期によって急激に値上がりすることもあるため、相続をする際に多額の相続税がかかってしまう場合があります。さらに相続税に加え、暗号資産を売却する際にも所得税等の税金がかかる場合もあるため、相続税と売却時にかかる税金の合計が相続した暗号資産の売却時の値段を上回ってしまうケースもあります。 そこで今回の要望書では「相続した暗号資産の譲渡による所得を取得費加算の特例対象とすること」と「相続財産評価に過去3ヶ月の平均時価の最低額を選択可とすること」を要望しています。 また「要点①分離課税について」は例年の要望書に毎年記載している内容ですが、「要点② 法人税について」と「要点③ 資産税について」は今回の税制改正要望書で初めて記載した内容となっています。 暗号資産の税制改正が急がれる背景 竹ケ原:では、なぜ暗号資産税制は改正が必要だと考えられているのでしょうか。結論を申し上げると「Web3.0市場やWeb3.0企業の育成、海外競争力の強化のためには暗号資産税制の改正が不可欠だから」だと私は考えています。 ここでは、暗号資産税制の改正が急がれている背景を3つ紹介します。 背景① 暗号資産市場の大幅な拡大・成長背景② NFTやメタバースなど新たな利活用の拡大 背景③ Web3.0推進が日本の成長戦略に 背景①:暗号資産市場の大幅な拡大・成長 参考:JCBA「2023年度税制改正に関する要望書」よりコラム編集部作成 竹ケ原:1つ目の背景は「暗号資産市場の大幅な拡大・成長」です。 ビットコイン市場は、国内外合わせ、2017年に時価総額及び取引金額が大きく増加しました。その後、2018年に入って減少傾向となったものの、2019年4月以降は増加傾向を示しています。なお直近の2022年3月現在においては、市場価格の影響もあり、時価総額で約105兆円に落ち着いています。 参考:JCBA「2023年度税制改正に関する要望書」よりコラム編集部作成 竹ケ原:また、ビットコインの取引金額は2019年には約1兆円であったものが、2022年3月には1日平均 で約3.1兆円と大幅に増加しています。 参考:JCBA「2023年度税制改正に関する要望書」よりコラム編集部作成 竹ケ原:さらに2018年以降、利用者口座の数は着実に増加をしており、2022年3月には約585万口座となっています。これに加え2022年は国内で暗号資産取引業を提供している業者が30社を超え、今後も一層の口座増加が見込まれます。なお、この585万という口座数は、店頭FXの税制改正が行われた2011年当時のFX取引口座数を既に超えており、普及度において既に暗号資産はFXと同程度以上の水準に達しているとみることができます。 背景②:NFTやメタバースなど新たな利活用の拡大 竹ケ原:2つ目の背景は「NFTやメタバースなど新たな利活用の拡大」です。 2021年はNFT元年とも呼ばれ、さまざまな分野での暗号資産技術の利活用が拡大しています。 例えばスポーツ分野では、NBAのハイライトシーンをNFT化した「NBA Top Shot」が2021年5月時点で取引高7億ドルとユーザー数100万人に到達しました。同サービスはNFTを交換する際に手数料を設けており、そこで発生した収益はNBAチームやその選手にも分配されるため、スポーツ産業にとって新たな収益源となっています。 またゲーム分野では、Axie Infinityの推定時価総額が一時300億ドルとなり、2021年10月時点でゲーム企業の中で世界5位となりました。同ゲームはプレイすることで「暗号資産」を稼得することができるため、フィリピンでは生活費としてAxie Infinity上で稼得する層が一定存在するほどに経済圏が拡大しています。 さらにメタバース分野では、NIKEがゲームプラットフォーム上におけるバーチャル空間「NIKELAND」のオープンや、 スニーカーNFT企業の買収など積極的な姿勢を見せています。ゲームを通じた顧客とブランドと の密接なつながりの構築や、スニーカーNFTという次世代のコレクターアイテムの提供など、NFT・メタバース分野をファッション業界の利益につなげようとしていることが窺えます。 背景③:Web3.0推進が日本の成長戦略に 竹ケ原:3つ目の背景は「Web3.0推進が日本の成長戦略に組み込まれたこと」です。 2022年6月、岸田内閣は「経済財政運営と改革の基本方針2022(骨太方針2022)」 において、政府主導でWeb3.0推進に向けた環境整備を進めていく姿勢を明らかにしました。これは、過去数年のWeb3.0推進の流れとしても大きな意味を持つものであると考えています。 竹ケ原:このスライドでは、Web3.0戦略における暗号資産の重要性について図を用いて説明しています。 Web3.0を推進することによって、暗号資産を利用する方が増え、Web3.0の市場も育成されていきます。この流れが何度も循環することで結果として経済が潤い、税収も増えて国が豊かになるというのが理想的なWeb3.0戦略のかたちです。 また、そのプロセスを経るためにどのような税の体制が望ましいのかという点に関して、具体的な案を要望書に記載しています。ご興味がある方はぜひご覧ください。 参考:JCBA「News-2023年税制改正に関する要望書の公表」 斎藤:今回「Web3.0」という言葉が骨太方針2022年に組み込まれたという事実は、我々税制改正に向けて動いている団体としては非常に意味のある出来事であったと感じます。 単に税制改正のお願いを政府に提出するだけではなく、我々が「Web3.0を成長戦略にするのであれば、現状の税制を変えていかなければいけない」という説得力のある理由付けができるようになったということは、かなり大きな違いだと思っております。 税制改正要望書はどのようにして作られるのか? 竹ケ原:ここでは税制改正要望書がそもそも、どのようなプロセスを経て作られるのか説明していきます。税制改正要望書は「①要望の洗い出し/リサーチ」「②他業界団体とのすり合わせ」「③投資家アンケートの情報収集」の3つのステップを経て作成されます。 ステップ①:要望の洗い出し/リサーチ 竹ケ原:1つ目のステップは「要望の洗い出し/リサーチ」です。まずは税の現場は特にどこで困ってるのか?ということを洗い出していきます。 例えば、2023年度の税制改正要望に記載した所得税と法人税などの問題点は制度的にすぐに気が付く部分です。 一方で相続税に関しては、会員である現場の税理士の方からお声をいただき反映させたもので、現場に入っていかないとわかりづらい論点でもあると思います。そういったものも丁寧に協会がハブ機能として拾い上げて、そこから、なぜこれが良くないのか?これは例外的な事象なのか?それとも税制度の問題なのか?というところや、あるいは他のアセットクラスだとどうなっているのか?という事象に対してのリサーチもしていきます。 ステップ②:他業界団体へのすり合わせ 竹ケ原:それが終われば、2つ目のステップである「他業界団体へのすり合わせ」へと進みます。 現在クリプト業界は複数の業界団体が存在しますが、言ってることがそれぞれ異なっていると、取りまとめる各省庁も苦労しますね。各省庁の目線に立った上で、先に業界団体としても他の団体との歩調を合わせるといいますか、表現を合わせるということをやったほうが税制改正は最終的に通りやすいので、このステップ2のプロセスを踏んでいきます。 ステップ③:投資家アンケート/リサーチ 竹ケ原:そして最後のステップは「投資家アンケート/リサーチ」です。 これは要望書を出すまでの間に行うもので、要望はどれくらいの声の大きさなのかを計測する、いわゆる署名活動みたいなものです。今回我々JCBA としても、主にTwitterを中心に暗号資産投資家に対してアンケートをさせていただきました。今年は結構力を入れたと思っていますが、大体2万6000件のお声をいただいて、やはり改めてこちらも頑張らなくては、という気持ちになりました。 この他にも、公表する手前のタイミングで、議員の方に対して啓蒙活動を行ったり、事前にコミュニケーションを取るなどをしています。 税制改正要望書提出後の活動について 竹ケ原:次に税制改正要望書を提出した後、我々が具体的にどのような活動を行っているのか説明していきます。税制改正要望書の公表後は「①各項目への省庁とのすり合わせ」「②省庁から財務省への要望」「③税制改正大綱に盛り込まれるための啓蒙」を主な活動として行っています。 活動①:各項目への省庁とのすり合わせ 竹ケ原:要望書を提出後、「各項目への省庁とのすり合わせ」を行います。 暗号資産は資金決済法で定められていますので、基本的な管轄は金融庁です。また、産業政策的な観点で言えば経産省です。実際の要望書も、今回は経産省と金融庁の共同での要望という形で出されており、主にその二省庁と協議をさせていただいています。 所得税、法人税、資産税の中で、特に各省庁の視点は基本的に我々と同じです。やはり産業の成長の目線が合って、そこに対して阻害要因がどの税のどこの部分になっているのか?影響度がどれくらいあるのか?ということに対して、優先順位付けをしていきます。そして、その順番にリソースを張っていくという点では同じだと思います。 ただし所得税になると、非常に多くの個人のユーザーの方々に対して影響を与えるため、考えなければいけないことが非常に膨大であり、ものすごく重いプロセスがあります。その重さは、当然ながらたくさんのユーザーが影響を受ける所得税から重くなっていき、次は恐らく法人税になります。相続税になるとそこまでではないかもしれませんが、やはりこの重さは、非常に気になるところです。それによって戦略的というか、どういう流れの中でコンセンサスを取っていくか?というところの目標も定まり時間軸も定まります。 2022年も昨年以上に、各省庁とのコミュニケーションが、体感で言えば5倍以上に増えたと思っております。その中では非常に具体的で率直なご意見もいただき、とてもありがたい気持ちになりました。我々も会員に対して、あるいはユーザーの皆様に対して、この温度感や期待値をお伝えしなくてはいけないところがあると思いますが、そこがすり合ってる状態になっているなと感じています。 ここから先、各省庁と具体的な税制改正の案について、さらに深ぼっていくプロセスをしております。各省庁で取りまとめて財務省に対して要望を提出し、財務省は与党の税制調査会とコミュニケーションをとった上で、最終的に税制改正大綱として大体毎年12月に盛り込まれて、国会に通していくというプロセスを経ていきます。 斎藤:この公表後の活動に関しては、2022年に初めて行ったと言っていいと思います。これまでは毎年要望書を出して、お疲れ様でした、みたいな感じでした。結局、出した瞬間に「いや、もうこれは今年は無理ですよ」みたいなコミュニケーションが最初からありまして、年末の税制改正大綱に、乗るか乗らないかの議論、また載せるために何をしていくか?どう決めていくか?のような議論は全くなかったです。2022年はそれをやっているという意味では、かなり前進しているとは思ってます。 活動②:各省から財務省への要望 斎藤:次のステップでは「各省から財務省への要望」を行います。 要望している内容というのは分離課税以外にも、法人税などを書きましたが、全部が全部同時並行で議論できているかというと、そうではなく、まずは通しやすいところから通していこうとしています。 具体的には、法人税の議論が詰めやすいところなので、まずはここから落としていこうと動いています。基本的には法人税周りの改正というところに関しては我々がコミュニケーションさせていただいてる省庁には、ご理解をいただいています。今までは、我々が出した先にこの要望を理解してもらって、改正に向けて「一緒に動いてください。お願いします」と言っていましたが、それに対して「ノー」というのがこれまででしたが、今年に関しては「そうですね。一緒にやりましょう」となりました。 したがって、具体的には各省庁とワンチームになって、財務省に説明していくという動きになっていると思っています。仕事にはウェットな世界もあると思いますが、こういった経験が、例えば2023年もさらに残っている要望内容を出していく際にプラスに効いてくるのではないかと思っています。 金融庁というと、業界に規制ばかりしているようなイメージを持たれている方も多いと思いますが、必ずしもそうではありません。むしろ前向きに改正していくことに一緒に汗をかいてもらっている。まさに、財務省の説得も金融庁にしていただいて、その説得材料を我々が一生懸命に用意して、「これどうでしょう?」みたいな形でやっている感じですね。 活動③:税制改正大綱に盛り込まれるための啓蒙 斎藤:最後のステップでは「税制改正大綱に盛り込まれるための啓蒙」を行います。税制改正大綱に関しては、毎年12月中に公表されます。したがって、今がまさに瀬戸際なところです(2022年12月1日現在)。 税制改正大綱に盛り込まれる前に自民党の税制大綱にも乗らなくてはいけません。与党、自民党の税制調査会のメンバーにお会いして、この大切さを説明させていただくなどの活動を日々行っています。 2023年以降の税制改正に向けた活動予定 竹ケ原:最後になりますが、2023年以降の活動としては「まずは変えられそうな、改正したときの影響が大きい税制に絞って議論を進めていきたい」と考えています。要望書を出すタイミングだけの活動ではなくて、通年を通した活動になりますので、今は斎藤さんと私と結構少数のメンバーで業界団体のメンバーでやっていますが、そろそろきつくなってきたのでちゃんとチームを作って輪を広げて活動していきたいと思いますので、そういう意味では組織作りも2023年は注力していきたいと思います。興味のある方がいればぜひ声を掛けてください。 斎藤:そうですね。2022年から税の要望書を出した後の行動というのが始まりましたが、残念ながら要望書の全部が議論に上がってるわけではなく、どうしても順番ができてしまうので残ってる議題もまだまだたくさんあります。それらをこなすにも我々スタッフィングもそうですが、なるべく時間をとって、官僚の方や、国会議員の方とも向かい合って、説得していくための時間を作ることが必要かと思っています。これからも輪を広げて真面目に取り組んでいきたいと思っておりますので、何卒よろしくお願いします。 ※本記事は暗号資産の投資を推奨する意図は一切ありません。 ※本記事は脱税を推奨するものではありません。また税対策の効果を保証するものではありませんので、お取引につきましてはご自身の責任のもと行ってください。 ※暗号資産の税制については、2023年1月13日時点の情報となります。 ※本記事は個人の暗号資産における税金についての内容であり、法人の場合は異なります。 ※税金の詳細につきましては、管轄 の税務署や税理士にお尋ねいただくか、国税庁の「タックスアンサー(よくある税の質問)」のページをご参照ください。
2022年11月21日、オンラインにて「暗号資産の確定申告と損益計算セミナー」(共催:コインチェック株式会社×クリプタクト)が開催されました! 今回のセミナーでは、主に今まで確定申告を行ったことがない方や暗号資産の所得計算に馴染みのない方を対象に暗号資産の損益計算方法や初めて暗号資産の損益計算を行う方が陥りがちな落とし穴、2022年度の確定申告に向けてやるべきこと、そしてよくある質問に対する回答をご紹介したほか、セミナー参加者からの質問にお答えするQ&Aの時間も設けられました。 この記事では、本セミナーで議論された重要なポイントについてまとめています。 この記事でわかること 暗号資産取引で利益を出したらどうすればいいのか 暗号資産取引の確定申告方法 暗号資産取引の損益計算や確定申告での注意点 2022年度の確定申告に向けてやるべきこと 暗号資産の損益計算や確定申告でよくある質問 ※【パートナーを募集中】 コインチェックでは、NFTやメタバースの活用を考えている企業・団体を募集しています。 https://forms.gle/LgmP9GjQgke8RYHn6 Coincheckの無料登録はこちら 目次 登壇者紹介 暗号資産の損益計算の仕組み 暗号資産の損益計算はたった3ステップ 暗号資産の納税と株の納税との違い 暗号資産の損益計算の落とし穴 ポイント1:税務上の損益は交換所毎には算出できない ポイント2:税務上の損益の算出には過去全ての取引履歴が必要 ポイント3:暗号資産同士の交換でも日本円で損益を認識 ポイント4:後から損益が変わる?暗号資産の計算方法「総平均法」 暗号資産の損益計算のやり方 暗号資産の確定申告 暗号資産の確定申告の仕組み 損失繰越ができないからこそ年内にやるべき2つのこと 取引履歴(CSV)のダウンロード方法 暗号資産の確定申告・損益計算でよくある質問 Q1. 2022年の損益計算には、2022年の取引履歴だけあればいいのか? Q2. 投資していた時に想定していた損益と違うのはなぜか? Q3. 誤った送金をしてしまったらどうすればいいのか? Q4. 暗号資産がハードフォークした場合の処理はどのように行えばいいのか? Q5. 必要経費にはどのようなものが認められるのか? Q6. NFTを売買して得た利益はどの所得区分に分類されるのか? Q7. 損益計算をして所得が20万円以下であれば確定申告は必要ないのか? Q8. NFTを暗号資産で購入する場合も課税対象になる? Q9. ステーキング報酬で受け取った暗号資産は課税対象になる? Q10. 確定申告をするとき、保有している暗号資産の期末評価損益は関係ないのか? 登壇者紹介 竹ケ原 圭吾(Keigo Takegahara) コインチェック株式会社 常務執行役員 公認会計士 斎藤 岳(Gaku Saito) 株式会社pafin 代表取締役 日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)税制検討部会長 兼 アドバイザー コインチェック株式会社 ※詳しくはこちら クリプタクト ※詳しくはこちら 暗号資産の損益計算の仕組み 暗号資産の損益計算はたった3ステップ 竹ケ原 圭吾(以下、竹ケ原):早速ですが、暗号資産の損益計算において、重要となるポイントを斎藤さんからご説明していただいてもよろしいでしょうか。 斎藤 岳(以下、斎藤):そうですね。多くの方が「暗号資産の損益計算は難しい」とか「確定申告が大変だ」と仰っていますが、暗号資産の損益計算は大きく分けて次の3つのステップしかありません。 斎藤:1つ目のステップは「取引履歴の取得・整理」です。 そもそもご自身がどういった取引をしたのかという履歴がないと、損益計算はできません。そのため、まずはご自身の取引履歴を整理する必要があるというのが最初のステップとなります。 例えばCoincheckなどの交換所や取引所でお取引されている場合であれば、ほぼ全てのケースで交換所・取引所から取引履歴をダウンロードできるはずです。そのため、交換所や取引所でお取引されている場合は、そこから事前に取引履歴をダウンロードしておきましょう、というのが最初のステップになります。 一方で、友人間やご家族間で暗号資産をやりとりするなど、交換所や取引所以外で取引をしているという方もいらっしゃると思います。その場合は、ご自身で「何月何日にどういったお取引をしたのか」ということをきちんとメモに残しておきましょう。 竹ケ原:家計簿で例えるなら「レシートをちゃんと保存しておいて、後で収支計算できるようにしましょう」というところですよね。 斎藤:そうですね。損益を計算する前にまずはちゃんと取引履歴を整理しましょう、というのが1つ目のステップになります。それができてから2つ目のステップである「損益計算」、そして3つ目のステップである「確定申告」へと進みましょう、ということです。 本日は主にこの2つ目と3つ目のステップを中心に、みなさんが誤解しがちなポイントを中心にご紹介できればと考えております。なお、今回のセミナーでは暗号資産の売買に関連して発生した個人の所得を対象にしていますので、事業としてやっている方、あるいは法人で取引している方は、前提が異なりますので、その点はご了承ください。 暗号資産の納税と株の納税との違い 竹ケ原:それでは暗号資産の損益計算の具体的な仕組みの説明に入っていきます。暗号資産の損益計算は株の損益計算と比較するとやっぱり複雑で、複雑であるからこそ多くの方からお問い合せいただいているのかなとは思っておりますが、具体的にはどのようなところが「暗号資産の納税方法が複雑だ」と言われる要因になっているんでしょうか。 斎藤:そうですね。いただくお問い合わせで多いのは「暗号資産はどうして損益を自分で計算しなくちゃいけないのか」や「株のように源泉徴収を勝手に計算してくれないのか」というものですね。この質問に対する答えとしては「暗号資産と株は仕組みが違うので、自分で損益を計算しなくてはいけない」ということになります。 株の場合は、ほふり(証券保管振替機構)という機関が、証券会社間のやりとりを含めて全ての取引を一元管理しているため、証券取引所単位でもちゃんと損益を勝手に計算してくれ、源泉徴収まで証券会社がやってくれます。 一方で暗号資産の場合、ほふりのような中央集権的な機関は基本的にありません。そのため、取引所間や交換所間で送金を行った場合や、ご自身のウォレットに引き出しを行った場合、それらの取引全てを取引所・交換所単位で把握することは不可能です。 そのため暗号資産の場合はご自身で取引履歴を取得・整理し、損益計算を行い、確定申告して納税をするしかないというわけですね。 暗号資産の損益計算の落とし穴 竹ケ原:さらに話を進めまして「暗号資産の損益計算の落とし穴」というところで、多くの方々が誤解しがちなポイントに関して、いくつか例を紹介させていただければと思います。 ポイント1:税務上の損益は交換所毎には算出できない 竹ケ原:最初のケースでは「交換所A」と「Coincheck」の2つで売買履歴がある状態を想定します。斎藤さん、このケースに関してはどういったことがよく誤解されがちで、どうやって損益を計算すればいいのかを教えていただけますでしょうか。 斎藤:はい。このケースでのポイントは「暗号資産は交換所ごとに損益を算出するわけではない」というのが重要となります。 多くの方々が考えている損益計算のイメージは、取引所や交換所ごとに「損した」「得した」と計算して、1年の終わりにそれらを合算するというものかもしれませんが、そのイメージは基本的に間違っています。 例えばこのスライドの例でいうと、交換所Aでは1BTCを150万円で購入して売却はせず、取引所Aでの利益は0円、Coincheckでは1BTCを100万円で買って150万円で売っているので「今年はCoincheckで50万円儲かった」と考えがちです。 しかし、正解は次のスライドのようになります。 斎藤:年間の損益は50万円ではなく25万円となります。。なぜなら暗号資産の損益計算においては、Coincheckで売買した暗号資産だけでなく、交換所Aで取引した150万円も加味したうえで計算を行わないといけないからです。要するに「暗号資産に色はない」というのが基本的な考え方となるわけです。 具体的な数値例で考えてみましょう。このスライドの例でいうと、交換所Aさんで1BTCを150万円で購入し、Coincheckで1BTCを100万円で購入したので、平均して125万円のBTCを2枚買ったということになります。 そのうちの1枚を12月30日に150万円で売却したということになるので年間の損益は「150万円-125万円=+25万円」と計算されます。 ポイント2:税務上の損益の算出には過去全ての取引履歴が必要 斎藤:続いてのケースでは「税務上の損益の算出には、基本的に過去全ての取引履歴が必要になる」という話をします。 ここでは2016年に10万円で1BTCを購入し、2021年までは暗号資産の売買を行っていないというケースを想定しています。そして2022年に入ってからCoincheckで1BTCを240万円で購入し、年末に1BTCを250万円で売却。すると多くの方が「2022年の損益は、Coincheckで売買した分の10万円だけだ」と考えてしまいます。 しかし実際には、損益は次のスライドのように計算されます。 斎藤:これもまさに「暗号資産に色はない」ということになってきますが、2016年に1BTCを10万円で購入し、その後2022年に1BTCを240万円で購入したのだから、1BTCを平均125万円で2枚購入し、そのうち1枚を250万円で売却したという計算になります。 したがって、2022年の損益は「250万-125万円=+125万円」と計算されます。 ここでみなさんに伝えたいのは「自分自身の損益のイメージと実際の計算結果は結構異なる場合がある」ということです。私もよく「今年は20万円の利益が出ていないから確定申告をしなくてもよい」という声を聞くことがありますが、その20万円という数字はご自身のイメージで計算されており、実際に計算すると20万円以上の利益が出ているケースは結構多いです。 例えばこのケースですと、自分のイメージでは10万円しか利益が出ていないと思っていたけど、実際に計算してみると125万円もの利益が出ています。もしここでご自身のイメージだけで確定申告をしないという判断をしてしまうと、脱税ということになってしまって、後で延滞金まで含めてペナルティが課されてしまいます。 したがってご自身のイメージだけで確定申告するのかどうかを判断するのではなく、一度しっかりと計算してみるのを強くオススメしますね。 竹ケ原:そうですね。これは特に昔から暗号資産取引をしている方が間違える可能性が高いケースと言えるかもしれませんね。各取引所も暦年ごとに取引履歴を提供しているケースが多いので、その1年間だけをみてしまうとこういった間違いが起こりやすいと思います。 ポイント3:暗号資産同士の交換でも日本円で損益を認識 斎藤:続いては「暗号資産同士の交換も損益計算対象になってくる」ということをお話しします。今でもよく「円に戻さず暗号資産同士の交換をしていれば損益計算や確定申告はしなくてもいいよね」という声を聞きますが、そうではありません。 例えばビットコイン(BTC)をイーサリアム(ETH)に交換した場合。この場合は円を介在していないので損益計算は不要なのかというと、その認識は間違っています。実はビットコインとイーサリアムのように暗号資産同士の交換を行なった場合であれば「その交換を行なった取引日時の時価でビットコインを売却した」とみなされます。 一方で受け取ったイーサリアムは「売却を行なったビットコインの時価でイーサリアムを購入した」とみなされます。したがって円を介在しない暗号資産同士の交換も、ご自身で一つひとつ損益を計算していく必要があります。 竹ケ原:私の感覚では、このケースが一番感覚として理解がしづらいところかなと感じます。ここでの取引ではビットコインもイーサリアムも通貨の単位での交換になってきますので、対円での把握がなかなか難しい。 もちろん日本の取引所の場合は参考情報として対円でのレートが付してあることもあるかもしれませんが、海外の取引所を利用されている方は、逐次円のレートも取得していかなければいけないところかなと思います。 ポイント4:後から損益が変わる?暗号資産の計算方法「総平均法」 竹ケ原:暗号資産の損益計算の落とし穴に関する最後の項目は「総平均法」と言われる計算方法についてです。 斎藤:そうですね。ここが「一番知られていない」かつ「イメージとズレてくる」ポイントだと思っています。まず暗号資産の計算方法というのは原則「総平均法」と決められています。 これも例を用いて説明しましょう。 斎藤:この例における上3つの取引は先ほどポイント1でお話しした取引と同じであり、この時点で年内の取引を終えれば損益は+25万円だという話をしました。それに加えこのケースでは、12月31日に交換所Bというところで200万円で1BTCを購入しています。そうすると、実は過去の損益が変わってくるんですね。 総平均法では、まず過去の「買いの履歴」を集計し、その平均簿価を出します(この例では「(150万円+100万円+200万円)÷3=150万円」が平均簿価です)。これがその年度における簿価、つまり年度簿価となります。なのでこの場合、2020年度における年度簿価が1つに固定されるんですね。 そしてこの計算された年度簿価に対して、どれくらいの損益が出たのかということを一つひとつ計算していくことになります。(この例では2020年の年度簿価が1BTCあたり150万円であり、2020年12月30日に1BTCを150万円で売却しているため、損益は「150万円-150万円=0円」となる。) つまりここで一番伝えたいことは「ご自身が暗号資産を売却したあとの取得履歴の内容によって過去の売却損益が変わってくる」ということです。これはかなり感覚とは違う部分だと思いますので、ぜひ一度ご自身でちゃんと損益計算を行うことをオススメします。 竹ケ原:そうですよね。会計では一般的な損益計算の方法として「移動平均法」というものもありますが、暗号資産の損益計算において個人が移動平均法を適用するには税務署への届け出が必要になります。そのため、暗号資産の損益計算においては「総平均法」が原則的な計算方法になりますね。 ただし、このセミナーでは個人が行う個人所得税の範囲が主な対象になっています。法人の場合は計算方法が異なる場合があるため、その点はご了承ください。 斎藤:ここまで「暗号資産の落とし穴」というテーマでお話ししましたが、実はご自身が所有している暗号資産を全て売却してしまった場合は、おそらくイメージとして把握されている数値と最終的には一致します。つまり累計の損益に関してはどのような計算方法を適用しても同じなんですね。 ただし期中の利益や損益の計上の仕方は計算方法によってかなり異なってきますので、いずれにしろ一度ご自身で計算してみるというのが重要になってきますね。 暗号資産の損益計算のやり方 斎藤:ここまで説明してきた通り、暗号資産の損益計算においては先述した「暗号資産の損益計算の落とし穴」に注意しながら、一度ご自身で計算することが大切になってきます。では具体的にどのように計算すればいいのかということですが、いくつか方法はあります。 まず挙げられるのは「国税庁のフォーマットで計算する」という方法です。国税庁のホームページには暗号資産の所得計算に使用できるフォーマットが用意されており、こちらを参考にして損益計算を行うことが可能です。 ただし国内のみならず海外の取引所を利用していたり、個人間で売買や送金を行なっている場合には、こちらのフォーマットでは正しく計算できない可能性もあります。 国税庁のフォーマットが使えない場合「Excelを使ってイチから計算を行う」という方法で損益計算を行うことも可能です。ただしこの方法では、暗号資産の交換において時価を反映させないといけなかったり、手数料まで加味して一つひとつ正しい計算をしていく必要があったり、取引履歴のフォーマットを揃えないといけなかったりと、かなり煩雑な作業になります。 そこで弊社の「クリプタクト(cryptact)」では、このような煩雑な作業を自動化するというサービスを提供しています。こちらのサービスでは取引履歴さえアップすれば、全て自動で損益計算を行います。 ※暗号資産の損益計算ツール「クリプタクト」の詳細はこちら 竹ケ原:暗号資産の取引においては今回のセミナーで紹介したような簡単な売買だけではなくハードフォークやエアドロップ、あるいは誤送金など、さまざまなケースが起こりえます。もちろん、こうしたケースに対応するために国税庁もQ&Aを出していますが、まだまだ実務的な対応がかっちり固まっていないところもあります。 暗号資産の確定申告 竹ケ原:ここからは暗号資産における実際の確定申告の枠組みや、今年暗号資産を行いたいと考えている方が疑問に思っていると考えられるところを中心に共有していきます。 暗号資産の確定申告の仕組み 竹ケ原:まず暗号資産の確定申告の仕組みについて説明します。斎藤さん、そもそも暗号資産は確定申告のなかでどのような所得区分になるのかということや、全体的な枠組みや税の計算方法について教えていただけますか。 斎藤:そうですね。ご存じの方も多いとは思いますが、現状暗号資産の個人所得は原則「雑所得」に区分されます。雑所得は他の総合課税となる所得(給与所得など)と合算した上で税率が決まってくる所得であり、累進課税となっています。つまり、一律に税率が決まっているわけではなく、他の所得も含めた合算金額によって適用される税率も変わってきます。 最大税率は住民税を含めると55%ですが、ここで覚えておいてほしいのは全員が必ず税率55%に該当するかと言われればそうではないということです。具体的には、給与所得と暗号資産による雑所得が合計4000万円以上であれば住民税も含めると最高税率である55%に該当する可能性が高いですが、4000万円未満であれば最高税率には該当しない可能性が高いです。とにかく、ご自身の所得によって大きく税率が左右されるということは覚えておいた方がいいポイントですね。 もう1つ覚えておいてほしいのは「損失繰越ができない」ということです(年間で損失が発生しても翌年以降の利益から控除することができないということ)。 例えば暗号資産の取引で今年100万円の損失が出て、次の年に200万円の利益が出た場合、累計では100万円の利益が出ているので、感覚的には来年の利益100万円分に税金がかかると考える人も多いと思います。しかし損失繰越が認められていないので、来年は利益を200万円として申告しなくてはいけない。 実は上場株式等は損失繰越が認められているのでこのケースだと来年100万円の利益の申告でいいのですが、暗号資産の税制では損失繰越は認められていないので単年度ごとの申告が必要というのが現状です。 竹ケ原:上場株式の売買では3年間の損失繰越控除が認められていますが、暗号資産の場合は雑所得に区分されてしまうため、損失繰越が認められてないということですね。暗号資産はボラティリティが高いので、世知辛いところだなと感じます。 本日登壇している私と斎藤さんは暗号資産ビジネス協会(JCBA)の税制部会に所属しており(部会長:斎藤、副部会長:竹ヶ原)、暗号資産のこうした税制を変えていこうと努力している次第でございます。 そこで12月1日に開催される第2回のセミナーでは、この暗号資産の税制改正の最新の動向について共有できればと思います。 ※第2回セミナー動画はこちら 損失繰越ができないからこそ年内にやるべき2つのこと 竹ケ原:ここからは 損失繰越ができないからこそ年内にやっておくべきことについて斎藤さんに解説いただきたいと思います 。 斎藤:はい。ここでのポイントは何度も申し上げている通り「年内にご自身の所有している暗号資産の損益計算をする」ということです。そしてもう一点は「所得を使った賢い税対策」ですね。 賢い税対策というのは、例えば「今所有している暗号資産に含み損があるものがあれば、それを年末に売却することで今年の利益を減らして納税額を下げられる」ということや、逆に「全体として損失が出ている場合は、含み益が出ている暗号資産だけを売ることで、全体として利益をおさえたまま含み益の暗号資産を売ることができる。年が明けて再度投資をしたいと思うのであれば、年明けに再度購入することで結果的に保有している暗号資産の取得簿価の引き上げに繋がる。」といったことが挙げられます。 竹ケ原:今はちょうど冬の相場に入りつつあるので、ポジションを見るのが辛いという方もいらっしゃるかもしれませんが、この年末のタイミングだからこそ取引所にアクセスしていただいて、ご自身の取引履歴をダウンロードしていただくのがいいのかな、というふうに思っております。 取引履歴(CSV)のダウンロード方法 竹ケ原:Coincheckでは取引履歴のフォーマットについて、主にスライドに表示されている3種類をご用意させていただいております。中央に「Coincheckフォーマット(新)」とありますが、我々もこのような税の計算を簡単にできるよう、フォーマットを逐次ブラッシュアップしている次第です。 ではなぜ「Coincheckフォーマット(旧)」のように過去のフォーマットを残しているのかというと、これは旧型のフォーマットを使い慣れている方や、過去のフォーマットしか対応していないという損益計算ツールに対応するためです(クリプタクトは新旧どちらも対応)。 右側の「業界標準フォーマット」は税計算の煩雑さを解消するため、複数の交換業者間で統一されたフォーマットになっています。ですので、これから初めて暗号資産の確定申告を行われる方は、この「業界標準フォーマット」をダウンロードいただくことをオススメします。 ※詳細なダウンロード方法はこちら 暗号資産の確定申告・損益計算でよくある質問 暗号資産の確定申告・損益計算でよくある質問や本セミナーでいただいた質問をQ&A形式でご紹介します。 Q1. 2022年の損益計算には、2022年の取引履歴だけあればいいのか? A. 足りない場合があります。 2021年以前に一度でもお取引されたことがある方であれば、原則として過去全ての取引履歴が必要です。ただし2021年度以前にお取引がある方であっても、2021年末時点で保有する全ての暗号資産を売却し、暗号資産を保有しない状態で2022年を迎えた方は2022年の取引履歴だけでも損益計算が可能です。 Q2. 投資していた時に想定していた損益と違うのはなぜか? A. 暗号資産の損益計算にはさまざまな「落とし穴」が存在するから。 暗号資産の損益計算には「暗号資産同士の交換も損益計算対象になる」「損益計算には移動平均法ではなく総平均法を使う」などの落とし穴が存在し、それらのポイントを理解していないと投資していた時に想定していた損益と異なる場合があります。 Q3. 誤った送金をしてしまったらどうすればいいのか? A. 送金が完了してしまうとキャンセルや救済等の対応ができない可能性があります。 昨今、暗号資産を送金する際に、一部の暗号資産の送金の際に必要なメモやタグのつけ忘れや入力ミスが多数発生しています。送金が完了してしまうとCoincheckではキャンセルや救済等の対応ができない可能性がありますので、暗号資産を送付する際は、送金先の仕様や必要な入力事項を十分な確認を行った上で送金してください。送金完了前であればキャンセルが可能ですので、入力を誤ってしまった場合にはキャンセルをしていただくようお願いいたします。詳しくはこちらをご参照ください。 Q4. 暗号資産がハードフォークした場合の処理はどのように行えばいいのか? A. ハードフォークで取得した暗号資産は原則0円で取得したと処理されます。 原則としてハードフォークによる暗号資産の取得自体に所得は発生しません。ハードフォークで取得した暗号資産は売却・使用時にその時点でのレートが適用され、課税対象になります。ただし、ハードフォークした時点で海外取引所等で先物として扱われている暗号資産に関しては個別事案となりこの限りではありません。詳しくは、最寄りの税務署、または税理士など専門家にご相談ください。 Q5. 必要経費にはどのようなものが認められるのか? A. 暗号資産の売却のために必要な支出と認められる部分の金額に限り、必要経費に算入することができます。 暗号資産の売却による所得の計算上、必要経費となるものには、下記の費用があります。 売却した暗号資産の取得価額 売却の際に支払った手数料 インターネットやスマートフォンの回線利用料 パソコン等の購入費用 暗号資産の売却のために必要な支出と認められる部分の金額に限り、必要経費に算入することができると考えられます。ただし、具体的に定められているものではないため、必要経費となる理由を説明や証明できる必要があります。 ※詳しくはこちら Q6. NFTを売買して得た利益はどの所得区分に分類されるのか? A. 現状では明確な区分が決まっているわけではありません。 2022年11月現在、NFTを売買して得た利益の所得区分は明確に決まっているわけではなく個別事案となります。詳細につきましては、管轄の税務署や税理士にお尋ねいただくか、国税庁の「タックスアンサー(よくある税の質問)」のページをご参照ください。 Q7. 損益計算をして所得が20万円以下であれば確定申告は必要ないのか? A. 基本的には「YES」ですが、例外もあります 。 年末調整を行っているサラリーマンの方で、暗号資産取引での雑所得が20万円以下であれば確定申告をする必要はありません。ただし、例外的に雑所得が20万円以下でも確定申告が必要なケースもあります。具体的には、次のようなケースでは雑所得が20万円以下でも確定申告が必要です。 二ヶ所以上から給与所得を受けている方 給与の年間の収入が2000万円を超えている方 扶養控除を受けている主婦や学生の場合、所得税の基礎控除である48万円を給与以外の所得で受け取っている方 不動産所得がある方 医療費控除を受ける方 ※詳しくはこちらをご参照ください。 Q8. NFTを暗号資産で購入する場合も課税対象になる? A. 課税対象になります。 暗号資産を使用して物品(NFTなど)を購入する場合も、暗号資産を売却したとみなされ課税対象になります。暗号資産同士の交換の際に暗号資産が課税対象になるのと同じ仕組みです。 Q9. ステーキング報酬で受け取った暗号資産は課税対象になる? A. 課税対象になります。 ステーキング報酬で暗号資産を受け取った場合、受け取った暗号資産の時価がそのまま所得になるため課税対象になります。 Q10. 確定申告をするとき、保有している暗号資産の期末評価損益は関係ないのか? A. 個人の方の場合、期末評価損益は関係ありません。 暗号資産の期末評価損益とは、保有している暗号資産が期末時点に含み益があるか含み損があるかをあらわしているものであり、個人の税計算においては関係ありません(ただし、法人の場合は税計算に関係する場合があります)。 ※本記事は暗号資産の投資を推奨する意図は一切ありません。 ※本記事は確定申告の啓蒙を目的にしており、個別具体的な税務相談に対しては税理士に相談ください。 ※本記事は脱税を推奨するものではありません。また税対策の効果を保証するものではありませんので、お取引につきましてはご自身の責任のもと行ってください。 ※暗号資産の税金については、2022年11月21日現在の情報となります。 ※本記事は個人の暗号資産における税金についての内容であり、法人の場合は異なります。 ※税金の詳細につきましては、管轄の税務署や税理士にお尋ねいただくか、国税庁の「タックスアンサー(よくある税の質問)」のページをご参照ください。
暗号資産(仮想通貨)のカストディとは、一般的には暗号資産の「管理」や「保管」という意味を持ちます。 また、暗号資産の『カストディ業務』とは、業務として所有者の代わりに暗号資産の保管や管理、移転を行うことです。 想像してもらいやすいのはウォレットサービスで、ウォレットサービスは暗号資産を安全に保管する財布のような役割を果たしています。つまり、『カストディ業務』は、暗号資産をハッカーなどから守り、所有者が不利益を被らないよう安全に管理するなどの業務のことなのです。 「カストディ」は聞き慣れない言葉であり、暗号資産保有者などにどのように関わってくるのか想像しにくいという人も多いでしょう。 そこで、本記事では、 暗号資産のカストディについて意味を分かりやすく解説 暗号資産のカストディの種類や種類ごとのメリット、デメリット 今後のカストディサービスの発展 について紹介します。 また、2020年5月の改正資金決済法施行により、暗号資産のカストディ業者に大きな影響があったので、併せて詳しく説明していきます。 本記事を読むことで、暗号資産のカストディについて理解が深まり、暗号資産所有者などにどのように関わってくるのかを知ることができるでしょう。 ※仮想通貨の税金については、2024年2月13日時点の情報となります。 Coincheckの無料登録はこちら 目次 暗号資産のカストディとは「管理」「保管」を意味する 暗号資産の『カストディ業務』とはウォレットサービスなどを意味する カストディ業務の規制について カストディ業務の2つの分類について解説 ①取引所によるカストディ ②セルフカストディ 今後のカストディサービスの発展について 2020年5月の法改正でカストディ業務が規制対象に 2020年5月の法改正により「暗号資産交換業」にカストディ業務が追加 カストディ業務に課された規制について 規制対象にならないカストディ業務 まとめ 暗号資産のカストディとは「管理」「保管」を意味する 「カストディ」という多くの人が耳慣れない言葉は、他人の資産を代わりに管理することを指します。 元々「カストディ」は、金融や証券にかかる用語として、有価証券などの保管や管理をするという意味で使われていました。 つまり、暗号資産のカストディとは、一般的には暗号資産の「管理」や「保管」という意味を持ちます。 また、「カストディ業務」とは、業務として所有者の代わりに暗号資産の保管や管理、移転を行うことで、想像してもらいやすいのはウォレットサービスです。 ウォレットは暗号資産を保管する財布のような役割を持っているので、サービスを提供している業者は暗号資産の保管や管理、移転といった「カストディ業務」を行なっていると言えます。 これだけでは分かりにくいと思うので、より理解を深めてもらうために、次章から「カストディ業務」について詳しく解説していきます。 暗号資産の『カストディ業務』とはウォレットサービスなどを意味する 暗号資産においては「カストディアン」などとも呼ばれている『カストディ業務』を行う業者が存在します。 暗号資産の『カストディ業務』とは、業務として所有者の代わりに暗号資産の保管や管理、移転を行うことで、上述した通り、想像してもらいやすいのはウォレットサービスです。 ウォレットサービスを提供している会社は、所有者のために暗号資産をウォレットに保管し、指定された場所に移動させる業務などを行なっており、これが『カストディ業務』に該当します。 暗号資産の『カストディ業務』は、投資家の大切な資産を守るためにある業務で、暗号資産をハッカーなどから守り、所有者の不利益にならないよう管理する役割を果たしています。 「いつ購入するか」「どうやって購入するか」に重きが置かれているところがありますが、利益を得るために然るべき時に売却するためには、暗号資産が常に安全に保管されている必要があります。 特に、実態がなく電子データのみでやり取りされる暗号資産は、実態のある紙幣などと比べても「保管」や「管理」が重要な意味を持つことは、なんとなく理解できるのではないでしょうか。 そのため、馴染みのない人も多いかもしれませんが、実は『カストディ業務』は投資家などから非常に注目されている業務と言えるのです。 カストディ業務の規制について よくニュースで取り上げられていますが、2020年5月の改正資金決済法の施行により、この『カストディ業務』を行う会社は大きな影響を受けました。 これまで『カストディ業務』のみを提供している会社は暗号資産の売買や交換を行なっていなかったことから、法規制の対象ではなかったのですが、改正後には法規制の対象になったのです。 法規制の対象になったことで、『カストディ業務』のみを提供している会社も、暗号資産取引所などと同様に国への登録や各種義務が課されることになりました。そして、これらの規制に対応できなかった会社が『カストディ業務』から撤退せざるを得なくなったのです。 暗号資産所有者は当該規制を理解した上で、自身が選んだカストディの種類や業者がどれくらいのセキュリティや規制を課されているのかチェックすることが大切です。 2020年5月の法改正によるカストディ業者への影響については、5章「5.2020年5月の法改正でカストディ業務が規制対象に」で詳しく解説していきます。 カストディ業務の2つの分類について解説 暗号資産の保管・管理、移転を行う『カストディ業務』には、大きく分けて下記2つの種類があります。 取引所によるカストディ セルフカストディ それぞれについて、メリット・デメリットを含めて詳しく解説していきます。 ①取引所によるカストディ 「取引所によるカストディ」とは、暗号資産を取引所で購入し、そのまま取引所で保管してもらう方法です。 取引所がカストディサービスを提供してくれることで、投資家は自分でウォレットなどを用意せずにすむため、利便性が高いというメリットがあります。 しかし、取引所が倒産した場合には資産を失う恐れがあるというデメリットもあります。 ②セルフカストディ セルフカストディとは、暗号資産を購入した後に、自分でウォレットなどを用意して保管しておくことです。 セルフカストディは、サービスを提供している会社が倒産しても暗号資産自体には影響がないというメリットがあります。 一方で、自分でウォレットなどを用意しなければならず手間がかかる、ウォレットをなくしたりパスワードを忘れたりした場合には暗号資産を失う恐れがある、といった点がデメリットです。 セルフカストディは、現在、暗号資産の保管の一般的な方法ではありますが、紛失リスクを投資家が負わなければならないという点が問題視されています。 Coincheckの無料登録はこちら 今後のカストディサービスの発展について 今後、第三者機関によるカストディサービスが増えていくことで、機関投資家などが暗号資産市場に参入してくることが期待されています。 現在は、第三者機関によるカストディサービスが多くないため、取引所カストディやウォレットなどのセルフカストディによって、暗号資産を管理している人がほとんどです。 しかし、取引所カストディにおいてはセキュリティに不安が残ったり、ウォレットなどのセルフカストディにおいては紛失リスクの責任を投資家が負わなければならなかったりなど、無視できない問題を抱えています。 安全に簡単に資産を保管できる保証がなければ、一般の投資家が尻込みするのはもちろんのこと、機関投資家も暗号資産市場に参入してくることをためらってしまうでしょう。 そのため、今後、安全に簡単に資産を保管できる「第三者機関によるカストディサービス」が多く展開されていくことで、これまで暗号資産への投資に尻込みしていた一般投資家や機関投資家などが参入してくることが期待されています。 一般投資家や機関投資家が暗号資産市場に参入してくることで、暗号資産の価格にもプラスの影響を与えることが予測されるため、今後もカストディサービスに関するニュースなどをチェックしておくことをおすすめします。 参考:ゴールドマンサックスが暗号資産(仮想通貨)カストディサービスを近日提供か 2020年5月の法改正でカストディ業務が規制対象に 暗号資産のカストディに関して押さえておいた方がいいこととして、2020年5月の法改正で、『カストディ業務』をおこなう業者が「暗号資産交換業」として規制対象となったことがあげられます。 今後、カストディサービスが発展していくことが期待されるため、どのような規制がされているのかチェックしておきましょう。 また、暗号資産所有者にとっては、自身が選んだカストディの種類や業者がどれくらいのセキュリティや規制を課されているのかチェックするために必要な知識です。そのため、自分の資産を守るためにも規制内容について確認しておくことをおすすめします。 2020年5月の法改正により「暗号資産交換業」にカストディ業務が追加 2020年5月の法改正によって、下記の通り「暗号資産交換業」にカストディ業務が追加され、『カストディ業務』のみを行う会社も「暗号資産交換業」として扱われるようになり、国への登録や各種義務が課されるようになりました。 この法律において「暗号資産交換業」とは、次に掲げる行為のいずれかを業として行うことをいい、「暗号資産の交換等」とは、第一号及び第二号に掲げる行為をいい、「暗号資産の管理」とは、第四号に掲げる行為をいう。 一 暗号資産の売買又は他の暗号資産との交換 二 前号に掲げる行為の媒介、取次ぎ又は代理 三 その行う前二号に掲げる行為に関して、利用者の金銭の管理をすること。 四 他人のために暗号資産の管理をすること(当該管理を業として行うことにつき他の法律に特別の規定のある場合を除く。)。 出典:資金決済に関する法律第第二条 上記四項に記載されている「他人のために暗号資産の管理をすること」がカストディ業務を意味し、2020年5月の改正法で追加された部分です。 カストディ業務に課された規制について カストディ業務が「暗号資産交換業」に加えられたことで、具体的には、国への登録が必要になり、各種義務が課されるようになりました。 国への登録は、質問票を提出した後、役員ヒアリング、書面審査、訪問審査と続いていき、事業内容や事業計画、暗号資産の管理体制などを厳しくチェックされます。 「暗号資産交換業」として登録されるまでには、概ね6ヶ月程度かかる上に、登録のために求められるセキュリティ水準はかなり厳しいです。 これまで規制対象外だった「カストディ業務」のみを行う会社にとっては、国への登録が必要になっただけでも大きな負担と言えますが、さらに下記のような義務も課されることになりました。 【カストディ業務に課される代表的な規制】 上記の厳しい規制を実現するだけのコストが費やせない『カストディ業者』は、2020年5月の法改正にともなって倒産や事業廃止に追い込まれることとなりました。 規制対象にならないカストディ業務 2020年5月の法改正によって、「暗号資産交換業」にカストディ業務が追加され、国への登録が必須になり、かつ、各種義務が課されることになりました。 ただ、実際には、国のパブリックコメントにおいて、 事業者が暗号資産を移転するために必要な秘密鍵の一部を保有するにとどまり、事業者の保有する秘密鍵のみではその資産を移転できない場合には、〜「他人のために暗号資産の管理をすること」には該当しない 出典:金融庁 コメントの概要及びコメントに対する金融庁の考え方 No10〜12 といった見解が出されています。 つまり、ウォレットサービスなどを提供する『カストディ業者』と言えど、事業者が秘密鍵の保有や管理をしていない場合には、法律上の「暗号資産交換業」には当たらず、規制の対象外であるという見解です。 上記に該当すれば、国への登録や各種義務を課されることなく、引き続きカストディ業務を行うことができます。 しかし、パブリックコメントでもあるように、「暗号資産交換業」に当たるかどうかは「個別事例ごとに実態に即して実質的に判断されるべきもの」なので、慎重に判断することが必須と言えます。 まとめ 本記事では、暗号資産のカストディについて紹介しました。 暗号資産のカストディとは一般的には暗号資産の「管理」や「保管」という意味を持ちます。 また、暗号資産の『カストディ業務』とは、業務として所有者の代わりに暗号資産の保管や管理、移転を行うことで、想像してもらいやすいのはウォレットサービスです。 また、暗号資産の保管・管理、移転を行う『カストディ業務』には、大きく分けて下記2つの種類があり、それぞれメリットデメリットがあります。 取引所によるカストディ セルフカストディ 今後、第三者機関によるカストディサービスが増えていくことで、機関投資家などが暗号資産市場に算入することが期待されています。 機関投資家が暗号資産市場に参入してくることで、暗号資産の価格にもプラスの影響を与えることが予測されるため、今後もカストディサービスに関するニュースなどをチェックしておくとよいでしょう。 本記事を読むことで、暗号資産のカストディについて理解が深まり、自分にどのように関わってくるのかを知ることができるでしょう。
この記事では仮想通貨取引における必要経費について解説していきます。 仮想通貨で得た利益は本人の所得となり、一定条件を満たした場合は確定申告をしなければいけません。しかし、収入のすべてが課税対象となるわけではなく、必要経費を差し引くことが認められています。 仮想通貨に限らない話ではありますが、確定申告における必要経費とは具体的にどれを指すのかをきちんと理解して、脱税行為とみなされないようにしましょう。 ※仮想通貨の税金については、2024年2月13日時点の情報となります。 Coincheckの無料登録はこちら 目次 仮想通貨の所得を確定申告しなければならない条件 仮想通貨の確定申告の基本 仮想通貨の所得は「雑所得」 所得は「総収入金額-必要経費」 経費と節税 仮想通貨関係で(全額)必要経費と認められるもの 必要経費にできないもの 「按分」が必要になるもの 「按分」とは 按分が必要なものと按分の方法 必要経費を正確に計上して賢く節税 仮想通貨の所得を確定申告しなければならない条件 仮想通貨取引を行っている人のなかには、「そもそも自分が確定申告が必要なのかどうか」について疑問を感じている人もいるのではないでしょうか。 確定申告をしなくてはいけない条件というのは、働いている形態や所得の種類によって異なります。たとえば、会社員などの給与所得者である場合は、「給与所得以外の所得が20万円を超える場合」「給与収入が2000万円を超える場合」です。 会社員や公務員は毎月の給料から源泉徴収という形で所得税を概算で差し引き、年末調整で帳尻を合わせる仕組みになっています。これは、日本全国にいる会社員の数が多いため、すべての人に確定申告をしてもらうと税務署の対応が大変になってしまうというのが理由です。 本来はすべての人に確定申告をしなければいけない義務がありますが、給与所得や給与所得以外の所得が少ない場合には、基本的には確定申告しなくてもよい制度になっています。 ですが、年の途中で退職するなど「年末調整されていない給与所得がある場合」は確定申告をしなければいけません。 また、退職所得や公的年金、給与所得には所得控除が定められていますが、「源泉徴収されていない所得で所得控除額を超える場合」は確定申告をする必要があります。 さらに、仮想通貨取引以外に所得がない人の場合は、「仮想通貨で得た利益が48万円を超える場合」に確定申告をする義務が発生します。なぜなら、所得税には本人の控除額として48万円の基礎控除が定められているからです。 確定申告が必要な条件は、自分が得ている所得の種類や金額によって異なるため、覚えにくいと感じる人もいるでしょう。基本的には「副業としてやっている人なら所得が20万円を超えた場合」「本業としてやっているなら48万円を超えた場合」に確定申告が必要だと覚えておけば問題ありません。 仮想通貨の確定申告の基本 仮想通貨取引で確定申告が必要なケースについては理解できたでしょうか。そこで、次に確定申告をするために必要な知識について紹介していきます。 仮想通貨の所得は「雑所得」 普段の生活ではあまり意識することもないでしょうが、所得には全部で10種類あります。一般的によく目にするのは、会社員の給料が対象となる「給与所得」や銀行預金に対して課される「利子所得」でしょう。 仮想通貨取引に興味がある人であれば、株式の譲渡によって発生する「譲渡所得」や「配当所得」について聞いたことがあるかもしれません。 仮想通貨取引で得た所得がどれに該当するかというと、「雑所得」に区分されます。雑所得とは、利子や配当、不動産など、あらかじめ定められている所得のどれにも当てはまらない所得を指します。 たとえば、印税や講演費、アフィリエイト収入なども同じ雑所得です。そのほかにも、フリーマーケット販売やFX取引の利益なども該当します。一般的に副業と呼ばれているものから得られる所得が含まれると覚えておけばよいでしょう。 仮想通貨は損益通算できる?できない?計算方法やメリットを知っておこう Coincheck 所得は「総収入金額-必要経費」 勘違いされることもありますが、確定申告をする際に申告するのは収入ではなく、所得です。収入と所得の違いは経費を差し引くかどうかで異なります。 たとえば、年間で100万円の収入があって経費が30万円かかっていた場合、100万円から30万円を差し引いた70万円が所得です。 つまり、所得の計算式は「総収入金額-必要経費」となります。気を付けるべき点としては、単純に「売却額―購入額」ではありません。 仮想通貨取引における価格差だけでなく、より幅広いものが必要経費として認められるということを理解しておきましょう。 経費と節税 必要経費と節税の関係がいまひとつ分からないという人もいるでしょう。大切なことは、「課税対象になるのは収入ではなく所得である」という事実を理解することです。 つまり、経費が大きくなればそれだけ収入から差し引く金額も大きくなります。その結果、所得が小さくなって納税額が少なくてすむというわけです。 支払う税金を少なくするために、必要経費をできるだけ多くするというのは、節税方法のなかでもとてもシンプルなもので、実際に多くの人が実践しています。ただし、経費として認めるかどうかを判断するのは税務署です。 自分の判断だけで経費として申請していると、税務調査に入られたときに追徴課税を課されるかもしれません。そのため、どれが経費として認められるかという点については理解しておく必要があります。 仮想通貨関係で(全額)必要経費と認められるもの 仮想通貨取引で経費として認められるかどうかのポイントは、「仮想通貨取引(事業)のために支出したことを証明することができるかどうか」です。 具体的には、「仮想通貨の取得費」「出金手数料」「取引手数料」「投資のコンサルティング費用」などが挙げられます。 会社員がスキルを高めるための支出が経費として認められるように、仮想通貨取引における「投資の知識を得るための書籍代」も必要経費として計上可能です。 同様に、会社員が交通費を経費計上できるように、「仮想通貨関連のセミナー代や往復交通費」「投資仲間との勉強会や往復交通費」も経費として認められます。 会議費や交際費として考えられるという理由から「仮想通貨の情報交換をするために他者と開いた会合の食費」を経費計上しても問題ありません。 会計ソフトの使用料金など、税務申告にかかった費用も当然のことながら経費に含めることができます。 ほかにも、10万円未満であれば、「仮想通貨取引専用のスマホ代やPC代(マウスやパッドなどのアクセサリ類を含む)」も経費となります。 仮に10万円を超えた場合は、基本的に減価償却の対象となってしまうため、一括で経費計上することはできません。 パソコンやスマホなどのデバイスで1個あたり10万円を超える場合では、減価償却という耐用年数に応じて経費計上しなければいけないケースもあります。減価償却とは「物の価値は年々減少していく」という考え方から生み出された経費計上の方法です。 たとえば、「サーバー用以外のパソコン」の法定耐用年数は4年となっています。この場合、20万円のパソコンであれば毎年5万円ずつ、4年間かけて経費計上するイメージです。 必要経費にできないもの 必要経費にできないのは「仮想通貨取引に直接の必要性がないもの」です。たとえば、投資仲間との旅行などは交際費として認められにくいです。ただし、研修旅行であれば一定の金額に限り、認められるケースもあります。 その場合、後から税務調査に入られたときにきちんと説明ができるよう、写真や資料などで研修が行われたという客観的な証拠を残しておくことが重要です。 家賃や通信費も基本的には必要経費として認められますが、「仮想通貨取引に使った分だけ」となります。ガスや水道は仮想通貨取引との直接的な関係が薄いため、認められないケースが多いです。一方で電気はパソコンやスマホを使った取引で必要なため、一部は認められます。 部分的に経費にするためには、按分(あんぶん)計算をしなければいけません。按分計算については、次で詳しく説明していきます。 Coincheckでんきについてもっと詳しく知りたい方はこちら Coincheck Coincheckガスについて詳しく知りたい方はこちら Coincheck 「按分」が必要になるもの 家賃や光熱費、通信費などは実際に仮想通貨取引で必要になるため、一部分のみ経費にできます。按分計算を行って経費を算出しますが、具体的にはどうするのでしょうか。 「按分」とは 経費計算における按分とは、私生活に必要な部分とビジネスに必要な部分を分けて考えるということです。たとえば、家賃や光熱費、携帯代などは仮想通貨取引だけでなく、私生活でも併用しているケースが多いでしょう。 そのため、仮想通貨取引に使った分だけを算出して経費計上する必要があります。 仮想通貨取引を事業として行い、専用の事務所を構え、携帯電話も事業用のものを使用しているというのであれば、按分を行う必要はありません。 しかし、自宅で仮想通貨取引を行い、プライベートと兼用しているような場合には、按分計算を行って経費を算出しないと、脱税行為に該当する恐れがあります。 按分が必要なものと按分の方法 按分計算にあたって大切なことは「客観的な視点で合理的な説明がつくかどうか」です。 たとえば、家賃を経費計上する場合、「実際に作業しているスペース分を計上する」という方法があります。具体的な計算式は「取引に使用している部屋の面積÷部屋全体の面積」で問題ありません。 携帯電話の通信費を経費計上する場合は、「仮想通貨に使用している時間とそれ以外の時間で割り出す」方法が一般的です。たとえば、1カ月の通信費が1万円で、毎日6時間取引を行っている場合は、「1万円×25%(6時間÷24時間)=2500円」が経費となります。 人によって生活状況は異なるため、按分で誰にも当てはまる計算式は残念ながらありません。大切なことは、税務調査が入ったときに調査官に算出根拠をしっかり説明できるかどうかです。自分の生活状況を客観的な視点で考えて按分計算するように心がけましょう。 必要経費を正確に計上して賢く節税 仮想通貨取引の経費に計上できるのは、購入の際の費用だけではありません。家賃や光熱費はもちろん、勉強代でさえ必要経費にできるのです。 仮想通貨取引に直接関係がないものを経費計上してはいけませんが、反対にいえば関係があるものなら経費にすることができます。経費計上できる支出は意外に幅広いということは覚えておくとよいでしょう。 経費に対する正しい知識を習得して、賢く節税をするよう心がけてみてください。 ※税金の詳細につきましては、管轄の税務署や税理士にお尋ねいただくか、国税庁の「タックスアンサー(よくある税の質問)」のページをご参照ください。 仮想通貨(ビットコイン)の税金・計算方法・確定申告を徹底解説【2020年最新】 Coincheck
「暗号資産(仮想通貨)の税金は高いと聞いたけど、節税する方法はあるのだろうか?」 あなたは今、暗号資産の利益に対する具体的な節税対策を知りたいと考えていませんか? 確かに、暗号資産の利益には最大で55%の税金がかかることもあるため、なんとかして節税したいと考える人も多いことでしょう。 暗号資産の節税対策としてできることはいくつかあって、節税度や難易度などをまとめると下記一覧表のようになります。 上記表の中で、特に暗号資産で大きな利益を得る人にとっては、1番効果的な節税対策は「法人化」です。 なぜなら、個人の所得として税金を支払う場合の最大55%と比べて、法人化した場合は最大約33%と約22%の差があるからです。 そこで、本記事では、まずは1番効果的な節税「法人化」について詳しく解説していきます。 ただ、「会社の規則で法人を作ることが禁止されている」や「大きな利益は出ないから法人化までは必要ない」という人などもいるでしょう。 そこで、法人化以外の暗号資産の節税対策以下5つについても分かりやすく解説します。 ◎暗号資産にかかる経費を計上 ◎年間20万円以下の利益で確定 ◎利益確定をしないで保有し続ける ◎損益通算を利用する ◎個人事業主として開業する 法人化と比べると金額は減るかもしれませんが、うまく利用することで節税につながるので、ぜひ参考にしてみてくださいね。 さらに、暗号資産の税金は総合課税として算出されるため、所得控除の対象となる「ふるさと納税」などの一般的な節税対策も有効なので、そちらも一覧表にて紹介しています。 最後に「暗号資産の節税におけるQ&A」にて、節税対策としてよく話題に上がる「海外に移住しても税金はかかるの?」などについても、まとめて詳しく解説しています。 本記事を読めば、どんな状況の人でも有益な暗号資産の節税対策を見つけることができ、節税に関する全ての疑問が解消されることでしょう! ※仮想通貨の税金については、2024年2月13日時点の情報となります。 Coincheckの無料登録はこちら 目次 暗号資産の利益にかかる税金とは?|節税のための基礎知識 暗号資産の税金はいくら?基本的には雑所得として計算 暗号資産の節税!最も効果的なのは法人化 所得税より法人税の税率の方が低い 損益通算や繰越控除など法人税制上のメリットが多くある 法人化以外の押さえておくべき暗号資産の節税対策5つ! 暗号資産にかかる経費を計上 年間20万円以下の利益で確定 利益確定をしないで保有し続ける 損益通算を利用する 個人事業主として開業する 会社員や個人事業主としての一般的な節税対策も有効! 暗号資産の節税におけるQ&A Q1. 海外の取引所利用でも税金はかかりますか? Q2. 海外に出国しても税金はかかりますか? Q3. 会社員でも法人を設立することはできますか? Q4. 暗号資産の税金にかかる制度は変わる予定はありますか? 暗号資産の節税対策まとめ 暗号資産の利益にかかる税金とは?|節税のための基礎知識 暗号資産の節税対策について理解してもらうために、まずは「暗号資産の利益にかかる税金とは?」についてお伝えします。 暗号資産の税金はいくら?基本的には雑所得として計算 暗号資産の利益は、基本的には「雑所得」に該当します。雑所得とは、下記のような特徴があります。 年間20万円の利益を超えたら税金が発生 総合課税なので給与所得などと合わせて税金計算される 雑所得にかかる損失は他の所得と損益通算できない 例えば、会社員の副業として暗号資産の売買を行って利益(所得)が20万円を超えた場合、給与所得と暗号資産の利益の合計額に対して税金がかかります。 出典:No.2260 所得税の税率|国税庁 【例】給与所得400万円、暗号資産所得300万円の場合(所得が給与所得のみの会社員が暗号資産で300万円利益を得た場合の所得税) (400万+300万)× 0.23 − 63万6000円 = 97万4000円 さらに、課税所得に対しては住民税の10%の支払いもあるので、ざっくり計算すると上記早見表の税率に10%を加えた最大で55%の税金を納める必要があります。 暗号資産の税金の「具体的な計算方法」や「税金がかかるタイミング」などの詳細を確認したい方は、下記記事を参考にしてみてください。 暗号資産(ビットコイン)の税金・計算方法・確定申告を徹底解説【2020年最新】 Coincheck 暗号資産の節税!最も効果的なのは法人化 暗号資産の節税については色々な対策がありますが、最も効果的と言えるのは法人化することです。 理由は ・個人としての所得税率と比べて法人税率が低く設定されている ・法人税制上のメリットが多くある の2点によって説明できます。 法人化によって得られる税制上のメリットについて詳しく紹介していきます。 所得税より法人税の税率の方が低い 所得税は、所得が4000万円超の場合には住民税と合わせて最大55%の税率になりますが、法人税は800万超で23%、法人住民税などを含めた実効税率も最大約33%とその差は歴然です。 例えば、暗号資産で1億円の所得を得た場合、法人化していれば税金は3,300万円、法人化していなければ5,500万円を支払うという計算になります。 実際には上記のような単純な計算にはなりませんが、法人化することの有用性は理解してもらえるはずです。 出典:No.5759 法人税の税率|国税庁HP 損益通算や繰越控除など法人税制上のメリットが多くある 法人化が1番効果的な暗号資産の節税対策と言われているのは、大きな利益を得た場合において、個人の所得税率と比べて法人税率が低いという理由だけではありません。 法人化することによって下記のような税制上のメリットを享受できることも大きなポイントです。 【損益通算】 通常、暗号資産は雑所得になるため、雑所得にかかる損失は他の所得と損益通算することができません。暗号資産で大きな損失が出たとしても他の所得から控除できず、税金を負担する面では大きなデメリットとなります。 しかし、法人化すれば、所得の区別がなくなるために損益通算が可能です。他の事業における黒字分と暗号資産の赤字分を相殺して、結果として納める税金を減らすことができます。 【繰越控除】 雑所得においては繰越控除はできません。繰越控除とは、損益通算しても赤字分が残ってしまった場合に次年度以降に繰り越して、所得から控除することです。 法人化すれば、大きな赤字が出た際には、次年度以降に繰り越して税金の負担を減らすことができます。 【経費計上の幅が広がる】 経費は所得から控除できるので、税金のかかる所得金額を減らすことができます。ただ、「3-1.暗号資産にかかる経費を計上」でも説明しますが、個人としての経費はどうしても限度があります。 法人化をすれば、経営に関わる高額な備品なども経費に含めることができるため、経費の幅が広がり、結果として節税につながると言えるでしょう。 【家族に給与支払い可能】 法人化すると、家族を従業員にして給与を支払うことが可能になります。家族に給与を支払うことで所得を分配させられるので、ひとりに所得を集中させるよりも所得税が抑えられます。 もちろん、従業員としての実態があることは必須なので注意してくださいね。 【小規模企業共済への加入】 法人化することで、国の機関である中小機構が運営している退職金積立制度を利用することが可能です。 退職金準備のために一定の掛金を支払いますが、>全額所得控除の対象になるので節税効果が期待できます。 究極の節税対策は「法人化」と言われているのは、所得税と比べて税率が低いからというだけでなく、多くの税制上のメリットを受けることもできるからということが理解できたのではないでしょうか。 ただ、法人化するためには設立費用がかかり、専門家へ依頼することを考えると少なくとも30万円前後の初期費用がかかります。設立後も「法人税」や「法人住民税(地方税)」などの会社で納めるべき税金があることを覚えておきましょう。 また、暗号資産の利益が多くなければ、個人の所得税の方が安く済むこともあります。 暗号資産投資は法人がお得?かしこい投資方法も解説します Coincheck 法人化以外の押さえておくべき暗号資産の節税対策5つ! 暗号資産の最も効果的な節税対策は法人化することですが、 「会社員をしていて会社で法人を作ることが禁止されている」という人や 「大きな利益は出ないから法人化までは必要ない」という人もいるでしょう。 そこで、ここからは法人化以外に押さえておくべき暗号資産の下記節税対策5つを紹介していきます。 ・暗号資産にかかる経費計上 ・年間20万円以内の利益で確定 ・利益確定をしないで保有し続ける ・損益通算を利用する ・個人事業主として開業する 暗号資産にかかる経費を計上 暗号資産取引のためにかかった費用は、経費として暗号資産の利益から控除することが可能です。 ただ、会社員の副業として暗号資産取引を行った場合に認められる経費は下記のようなものに限定されるでしょう。 ・暗号資産取引の手数料 ・暗号資産について勉強するための書籍代金やセミナー代金 ・暗号資産保管のためのウォレット など、経費が多いほど控除額が大きくなり、税金がかかる所得は減りますが、何が経費として認められるかを断言するのは難しいです。 経費に関しては「この費用は絶対に経費として認められる」といった指標がないからです。 上記以外にも、暗号資産取引を行うことのみが目的のパソコンやスマートフォンも経費として認められる可能性もあります。 ただ、その場合には「暗号資産取引のみに使う」ことをしっかりと証明しなければなりません。 年間20万円以下の利益で確定 暗号資産の利益は雑所得に当たり、年間20万円を超える利益に所得税がかかるため、年間20万円以下の利益であれば所得税はかからないということになります。 そのため、年間の利益確定を20万円以下に調整するという節税方法があります。 例えば、暗号資産で40万円の利益が出ている場合、40万円分の利益を一度に確定すると5%の税金がかかるので、2万円の所得税がかかることになります。 しかし、先に20万円分の利益を確定し、翌年残りの20万円を確定すれば、所得税は支払う必要はありません。 数百万円や数千万円といった大きな利益が出ている場合には現実的な方法ではありませんが、利益の合計が数十万程度であれば有効な方法のひとつと言えるでしょう。 ただし、年間の利益が20万円以下でも住民税はかかるので注意してくださいね。 利益確定をしないで保有し続ける 暗号資産を日本円に変えずに保有し続ければ、税金がかかることはありません。 究極の方法ではありますが、暗号資産の価値がいくら上昇しても利益確定しない限りは、課税対象にはならないです。 ただし、利益確定以外にも下記のようなタイミングで課税対象になるので注意してくださいね。 暗号資産でモノやサービスを購入した時 暗号資産同士の交換を行った時 暗号資産をマイニング(採掘)により取得した時 損益通算を利用する 暗号資産の利益は、年内に限り損失との相殺が可能です。暗号資産の利益は雑所得なので、基本的に他の所得と損益通算はできませんが、暗号資産における利益と損失は年内に限り通算可能です。 そのため、暗号資産の利益が出た際に損失が出ている暗号資産を確定させて、節税につなげるという方法があります。 例えば、同年中に暗号資産の利益100万円を確定させたものの、損失も90万円確定した場合には、「100万円-90万円=10万円」となり、利益が20万円を超えないので所得税はかからないことになります。 ただ、損益通算は年内に限り有効で、損失を翌年に繰り越すことができないことには注意が必要です。 損失90万円が出た翌年に100万円の利益が確定した場合には、100万円分すべてに課税されることになります。 個人事業主として開業する 個人事業主として開業することで、青色申告を行うことが可能になります。青色申告は、所得から65万円の控除ができることが税制上の大きなメリットです。 ただし、青色申告を行い65万円の控除を受けるためには、暗号資産の利益を「雑所得」ではなく「事業所得」として計上する必要があります。 暗号資産の利益を「事業所得」とすることは、特に法律などで禁止されているわけではありませんが、下記のような条件を満たしている必要があります。 事業として暗号資産の投資を行っている 暗号資産の利益が生計の主軸となるものである 反復、継続的に事業を行っている、など そのため、会社員という主の所得があった上で、個人事業主として開業をした場合には、「事業所得」とは認められにくいと言われています。 もし、「事業所得」と認められて、青色申告ができれば、事業所得は雑所得と比べて、さらに税制上下記のようなメリットがあります。 他の所得との損益通算ができる 損失3年繰越可能、など 会社員や個人事業主としての一般的な節税対策も有効! 暗号資産の節税対策としては、「ふるさと納税」や「iDeCo」のような所得控除の対象となる、一般的な節税対策も有効です。 「暗号資産の節税」と言うと、どうしても暗号資産に絡めた節税対策を考えてしまうかもしれません。 しかし、実は、暗号資産の利益は、基本的には「雑所得」として給与所得などと合計して税金が課されるため、所得控除の対象となるような一般的な節税対策も有効なのです。 そのため、「暗号資産の節税をしよう」と暗号資産に絡めた節税対策だけを考えるのではなく、「所得税の節税をしよう」といった考えを持つと視野が広がりますよ。 以下、所得控除の対象となる代表的な節税方法を一覧表にまとめました。 「所得税の節税」と考えれば、人によっては他にも思いつくものがあるかもしれません。自分の状況に合わせて取り入れられそうな節税対策があれば、挑戦してみてくださいね。 暗号資産の節税におけるQ&A 暗号資産の節税に関して多くの人が疑問を持ちやすい以下4つの点についてQ&Aにしてまとめました。 Q1 海外の取引所利用でも税金はかかりますか? Q2 海外に出国しても税金はかかりますか? Q3 会社員でも法人を設立することはできますか? Q4 暗号資産の税金にかかる制度は変わる予定はありますか? Q1. 海外の取引所利用でも税金はかかりますか? A. 国内取引所ではなく海外の取引所を利用して暗号資産の売買を行っている人もいることでしょう。 海外取引所利用の場合も、利益が出た場合には課税対象になります。「海外の取引所であれば、税金がかからない」ということはないので注意してください。 また、「海外の取引所を利用すれば利益がバレないのでは?」と考えて税金の支払いをしないでいると、いざバレた際に税金が加算されるなどのペナルティが適用されることもあります。 そのため、海外取引所利用で暗号資産の利益がでた場合にも、税金の支払いは必ず行うようにしてくださいね。 Q2. 海外に出国しても税金はかかりますか? A. 日本においては暗号資産で大きな利益が出ると、現在のところは高額な税金を支払う必要があります。 そのため、「税金が少ない海外に移住してはどうか?」と考える人もいるかもしれません。 確かに、国によっては暗号資産に対する税金を優遇しているところもあり、利益確定せずに海外に移住すれば日本での納税を回避できる可能性もないとは言い切れないです。 ただ、不確実な事柄も多く、海外移住の条件や手続きも国によって異なるので、気軽にできることとは言えないでしょう。 また、資産1億円以上を保有している人は出国時に「出国税」がかかりますが、暗号資産の未確定利益がどのように判断されるのかは、明確な答えが出ていません。 これらのことから、節税のために海外に移住することはリスクが高く、あまり現実的ではないと言えるでしょう。 どうしても海外移住にチャレンジしたいという人は、専門家へ相談することをおすすめします。 Q3. 会社員でも法人を設立することはできますか? A. 会社員として働いていても法人設立や開業などを行うことは法律上可能ですが、会社の規定などで禁止されている可能性もあります。 後々揉めたりしないよう、あらかじめ会社の了解を取っておくことをおすすめします。 Q4. 暗号資産の税金にかかる制度は変わる予定はありますか? A. 未定ですが、今後、分離課税になることは十分に考えられます。 暗号資産の基本的な税金については、「暗号資産の利益にかかる税金とは?|節税のための基礎知識」で解説しましたが、実はFXや株式の利益と比べると税制上はかなりデメリットが大きいのです。 FXや株式の利益は分離課税と言って、他の所得と分けられた上で一律約20%の税金が課されるというのが現在の制度になっています。 暗号資産の税金は総合課税で、最大55%課されることと比べると、税率がかなり低いと言えます。 そこで、一般社団法人日本暗号資産等取引業協会(JVCEA)などからは、暗号資産の税制に関して、金融庁に分離課税への制度改正要望を出してはいますが、現状では本格的な議論には至っていません。 ただ、今後、暗号資産の税金がFXや株式と同様の分離課税になることは十分に考えられます。 もしそうなれば、現制度と比べて支払う税金はかなり減るので、節税対策に躍起になる必要もなくなるかもしれません。 暗号資産の節税対策まとめ 暗号資産の節税対策について紹介しました。 暗号資産の利益が大きい場合に、節税のインパクトが1番あるのは「法人化」で、 ・個人としての所得税率と比べ法人税率が低く設定されている(所得税最大55%、法人税最大約33%) ・法人税上のメリットが多くある(損益通算、損失繰越など) といった2点が大きなポイントです。 ただ、法人化をするのは難しいという人や法人化以外の節税方法を知りたいという人もいるでしょう。そのような人は、下記の節税対策がおすすめです。 ・暗号資産にかかる経費を計上 ・年間20万円以下の利益で確定 ・利益確定をしないで保有し続ける ・損益通算をうまく利用する ・個人事業主として開業する さらに、暗号資産は「雑所得」に当たるため、所得控除の対象となるような一般的な下記節税対策も有効です。 ・ふるさと納税 ・確定拠出年金 ・住宅ローン減税 本記事を読み、自分に合った有益な暗号資産の節税対策を見つけてくださいね。 なお、税務に関しては国税庁のHPを参照、専門の税理士に必ずご確認して下さい。
ホワイトリストとは、金融庁に登録されている国内取引所で取り扱っている暗号資産(仮想通貨)のことを指します。 2017年4月施行の改正資金決済法によって、暗号資産を取り扱う国内取引所が金融庁の登録制になったことがきっかけで生まれた用語です。 ホワイトリスト入りしている暗号資産は、一定の審査を経ていることから、他の暗号資産と比べて安全性や信頼性が高いと言われています。 本記事では、金融庁に登録されている国内取引所ごとの取り扱い暗号資産(ホワイトリスト)の一覧・国内取引所でそれぞれどんな暗号資産を取り扱っているかを紹介します。 さらに、「ホワイトリスト入りしている暗号資産はそれ以外の暗号資産と何がどう違うの?」や「ホワイトリスト入りしている暗号資産を買えば必ず価値が上がるの?」といった疑問を持つ人に対して、 ホワイトリスト入りしている暗号資産の安全性 ホワイトリスト入りと暗号資産の価格との関連性 ホワイトリスト入りしていない暗号資産の信頼性 徹底解説します! 本記事を読めば、ホワイトリスト入りしている具体的な暗号資産について知れるだけでなく、ホワイトリストに入っている暗号資産を購入するかどうかの判断までできるようになるでしょう。 Coincheckの無料登録はこちら 目次 ホワイトリストは金融庁に登録されている取引所で扱っている暗号資産のこと 暗号資産の「ホワイトリスト」という用語ができた背景 グリーンリストとの違い NFTのホワイトリスト 【一覧表】ホワイトリスト入りしている具体的な暗号資産一覧 ホワイトリストの暗号資産の安全性覧 金融庁が国内取引所を審査するプロセスや条件 国内取引所が扱う暗号資産の審査基準 ホワイトリストは金融庁が安全性を直接保証していない点に注意 ホワイトリスト入りしていない暗号資産は信頼性が低い ホワイトリストでなくなる暗号資産はあるのか? ホワイトリスト入りしていても購入は自己責任 ホワイトリストは金融庁に登録されている取引所で扱っている暗号資産のこと ホワイトリストとは、改正資金決済法に従って金融庁の登録を受けた『暗号資産交換業者』(国内取引所)で取り扱っている暗号資産のことを指します。 登録をされた国内取引所で扱っている暗号資産は、一定のの審査を経ているために、他の暗号資産と比べても安全性や信頼性が高いとされ「ホワイトリスト」と呼ばれています。 暗号資産の「ホワイトリスト」という用語ができた背景 暗号資産の「ホワイトリスト」という用語ができたのは、改正資金決済法(2017年4月1日施行)によって、暗号資産を取り扱う国内取引所が金融庁の登録制になったことがきっかけです。 マネーロンダリング対策や利用者保護のために改正資金決済法が施行され、金融庁の審査を経て登録された国内取引所でなければ暗号資産を取り扱うことができなくなりました。 それまでは多くの国内取引所が乱立し、「この暗号資産の価値が上がる」などのあらゆる情報が交錯して混乱している状況でしたが、金融庁によってある程度の統制が取られるようになったのです。 例えば、暗号資産取引所だったミスターエクスチェンジチェンジは以前50通貨のも暗号資産を取り扱っていましたが、金融庁の規制がされるようになってから業務を停止しました。 このような経緯のもと、改正資金決済法施行以降は、金融庁の一定の審査を経た暗号資産だけが国内取引所で扱われるようになりました。 グリーンリストとの違い ホワイトリストとよく似た言葉で「グリーンリスト」という制度が存在します。 グリーンリストは2022年3月に暗号資産の上場審査の効率化を目的に日本暗号資産取引業協会(JVCEA)によって導入されたリストで、以下の4つの条件を満たす銘柄が選定されています。 3社以上の会員企業が取扱いをしている 1社が取扱いを開始してから6カ月以上の期間が経過している その取扱いにあたって、協会が付帯条件を設定していない その他、協会にて本リストの対象とすることが不適当とする事由が生じていない ホワイトリストがマネーロンダリング対策や利用者保護といった安全性の観点から導入されたのに対し、グリーンリストは上場審査の効率化を図るために導入されました。 最新のグリーンリスト一覧はこちらをご覧ください。 NFTのホワイトリスト NFTの関連用語にも、異なる意味合いでホワイトリストという言葉が使用されています。 NFTのホワイトリストとは、プレセールへ参加登録した人のリストのことを指します。 ホワイトリストに入っていれば確実にプレセール価格で買えるため、整理券のようなものだと考えてよいでしょう。 ホワイトリストは他にも、ガス代の高騰を避けることができる、といったメリットがあります。 人気の限定NFTなどの場合、購入開始時刻に注文が殺到することで、ガス代が高騰するケースがあります。ホワイトリストに登録されていれば、自分の購入分を確保されているため、ガス代が高騰しているタイミングを避けることができます。 【一覧表】ホワイトリスト入りしている具体的な暗号資産一覧 ホワイトリストとは、金融庁の登録を受けた国内取引所で取り扱っている暗号資産のことを指します 1 BTC(ビットコイン) 2 ETH(イーサリアム) 3 ETC(イーサリアムクラシック)、 4 LSK(リスク) 5 XRP(リップル) 6 XEM(ネム) 7 LTC(ライトコイン) 8 BCH(ビットコインキャッ シュ) 9 MONA(モナコイン) 10 XLM(ステラルーメ ン) 11 QTUM(クアンタム)、 12 BAT(ベーシックアテン ショントークン) 13 IOST(アイオーエス ティー) 14 ENJ(エンジンコイン) 15 OMG(オーエムジー) 16 PLT(パレットトークン) 17 SAND(サンド) 上記以外にも数十種類の通貨がホワイトリストに掲載されています。 最新のホワイトリスト一覧はJVCEA発表の取扱い暗号資産及び暗号資産概要説明書をご覧ください。 ホワイトリストの暗号資産の安全性 ホワイトリスト入りしている暗号資産は、JVCEA一定の基準を満たしているという点で、他の暗号資産と比べると安全性や信頼性の高い暗号資産と一般的には言われています。 ただ、「ホワイトリストに入っている暗号資産はどれくらい安全性が高いの?」と疑問に感じる人もいるでしょう。 そこで、金融庁がどのような審査で国内取引所の登録を行なっているか、主に下記の点を中心に解説していきます。 金融庁が国内取引所を認可するプロセスや条件 国内取引所が取り扱う暗号資産の審査基準 金融庁が国内取引所を審査するプロセスや条件 改正資金決済法(2017年4月1日施行)によって、暗号資産を取り扱う国内取引所は金融庁の登録が必須になりました。 金融庁が国内取引所を登録する主要な審査プロセスは下記の通りです。 また、国内取引所が登録されるためには、下記のような条件を満たしている必要があります。 株式会社もしくは国内に営業所を置いていること 資本金の額が1000万円以上であること 利用者保護措置がなされていること 利用者財産の分別管理がされていること 利用者情報管理がされていること システムリスク管理がされていること マネーロンダリング及びテロ資金供与対策がされていること、など 上記審査プロセスや審査条件を見ると、実質面を重視した厳しい審査が行われた上で、やっと国内取引所として登録されることが分かります。 これらのことから、金融庁によって登録された国内取引所はある程度の安全性が担保されていると言えます。 国内取引所が扱う暗号資産の審査基準 金融庁によって登録された国内取引所は、ある程度の安全性が担保されていると言えますが、国内取引所が扱う暗号資産においては、どの程度のチェックがされているのでしょうか? 金融庁が公開している事務ガイドラインなどを確認すると、下記のように暗号資産の適切性の判断がされているとのことです。 暗号資産の仕組みや用途、流通状況 テロ資金やマネーロンダリング等に利用されるリスク 暗号資産取り扱いによって生じるリスク について国内取引所に対して詳細な説明を求め、利用者保護及び業務の適正かつ確実な遂行の確保の観点から、上記点を中心に暗号資産業者が取り扱うことが適切かを判断する。 参考:事務ガイドライン第三分冊:金融会社関係|金融庁HP 上記、事務ガイドラインによると、利用者にとってリスクの高い暗号資産の取り扱いには慎重な姿勢が見られます。 具体的に言うと、匿名性が高いものや技術公開がされていないような利用者にとってリスクの高い暗号資産は、金融庁によって国内取引所で扱うことが適切でないと判断される可能性が高いということです。 これらのことから、ホワイトリスト入りしている暗号資産は、金融庁によってある程度リスク管理がなされていて、他の暗号資産と比べると安全性と信頼性が担保されていると言えます。 ホワイトリストは金融庁が安全性を直接保証していない点に注意 ホワイトリスト入りしている暗号資産は、他の暗号資産と比べると安全性と信頼性が担保されていると言えます。 しかし、金融庁が安全性や信頼性を直接的に保証しているわけでも、ましてや価値が上がることを保証しているわけでもないという点にだけは注意が必要です。 金融庁はホワイトリストに関して、下記スタンスを取っています。 暗号資産交換業者が取り扱う暗号資産は、当該暗号資産交換業者の説明に基づき、資金決済法上の定義に該当することを確認したものにすぎません。 金融庁・財務局が、これらの暗号資産の価値を保証したり、推奨するものではありません。 暗号資産は、必ずしも裏付けとなる資産を 持つものではありません。 引用:金融庁HP 金融庁はホワイトリストに対して「直接的に価格を保証するわけでも、購入を推奨するわけでもない」という態度であることだけは、しっかり押さえておきましょう。 ホワイトリスト入りしていない暗号資産は信頼性が低い ホワイトリスト入りしていない暗号資産とは、海外取引所のみで扱われている暗号資産もしくは、金融庁に登録されていない無登録の(違法な)国内取引所で扱われている暗号資産のことです。 つまり、金融庁による審査を経ていない暗号資産であるため、安全性や信頼性は全く担保されていません。 2,000種類以上もある暗号資産の中には、価値のないものやリスクの高いもの、詐欺に近いようなものも存在しています。 もちろん、ホワイトリスト入りしていない暗号資産の中にも将来性のあるものは存在しますが、専門家でない限り見分けるのは非常に難しいです。 そのため、ホワイトリスト入りしていない暗号資産に関しては、信頼性が全く担保されていないということを前提に、購入を望む場合には慎重に情報を収集することをおすすめします。 ホワイトリストでなくなる暗号資産はあるのか? 可能性は低いですが、現在ホワイトリスト入りしていても、将来的にホワイトリストから外れる暗号資産が出てくることも考えられます。 現在、国内取引所は金融庁の審査を経た上で登録されていますが、登録済みの国内取引所であっても金融庁からリスク管理態勢や利用者保護などについて業務改善命令が出される可能性があります。 そして、国内取引所が業務改善命令に従わなければ、登録が取り消されることも考えられるのです。 登録が取り消されれば、国内取引所として営業することはできなくなり、登録取消された国内取引所のみでしか扱われていない暗号資産があれば、その暗号資産はホワイトリストではなくなります。 これらのことから、可能性は低くとも将来的にホワイトリストから外れる暗号資産が出てくることも考えられるのです。 ホワイトリスト入りしていても購入は自己責任 本記事では、暗号資産のホワイトリストについて徹底解説しました。 ホワイトリストとは、改正資金決済法に従って金融庁の登録を受けた『暗号資産交換業者』(国内取引所)で取り扱っている暗号資産のことを指します。 具体的なホワイトリスト入りしている暗号資産は下記の通りです。 ホワイトリスト入りしている暗号資産は、金融庁の一定の基準を満たしているため、他の暗号資産と比べて安全性や信頼性が高いと言え、特に暗号資産初心者が保有するのに適しています。 ただし、金融庁が直接的に安全性を保証しているわけでも、購入や保有を推奨しているわけでもないため、購入などの判断は自身で情報を集めた上で慎重に行うようにしてください。
2018年5月に、財務省は3000万円以上の暗号資産(仮想通貨)取引をした場合には、財務大臣への報告が必要とする発表を行いました。 暗号資産でまとまった金額を運用している人の中には、この発表が気になる人もいるかもしれません。この記事では、財務省のこの発表内容を解説していきます。 ※仮想通貨の税金については、2024年2月13日時点の情報となります。 Coincheckの無料登録はこちら 目次 暗号資産取引に関して財務省が発表した内容 財務省が暗号資産取引に関する報告を発表した背景と目的 海外への資金流出に伴う課税逃れの取締強化 3000万円相当額を超える暗号資産取引の報告に違反した場合の罰則 暗号資産送金で3000万円相当額を超えても報告が必要ではない事例 日本国内での暗号資産の送金 1回の送金では3000万円未満の場合 3000万円相当額を超える暗号資産取引に関する報告書の書き方と提出方法 報告書の様式 報告書の提出先 暗号資産取引に関して財務省が発表した内容 2018年5月18日、財務省は「暗号資産に関する外国為替及び外国貿易法に基づく報告について周知します」という報道発表を行いました。 日本と外国、日本に住んでいる人と外国に住んでいる人との間で日本円で3000万円以上の取引をした場合には、財務大臣への報告が必要だとするものです。これまでも、日本と外国との送金に関しては同様の取り決めがありました。 この報道発表では、円やドルなどの法定通貨だけでなく暗号資産にも同じ義務があることを改めて周知したことになります。 しかし2021年6月より、この報告は不要(暗号資産交換業者が報告)となりました。 ただし、居住者と非居住者との間の支払等や日本と外国との間の支払等における1回あたり3,000万円相当額超の取引に関しては、これまでどおりお客様による報告が必要となりますのでご注意ください。 財務省が暗号資産取引に関する報告を発表した背景と目的 こうした発表がされた背景には、国境を越えたモノやサービスの取引の決済には、法定通貨よりも暗号資産が使われるようになるとの見方があるのかもしれません。 日本は、諸外国に先駆けて暗号資産の法的な位置づけを確認した国です。今後暗号資産の利用が伸びると予想される中では、分かりやすく透明性の高いルールが必要です。 そのため、主要国に先駆けて法整備を行っていく姿勢を明らかにしたとも考えられます。 海外への資金流出に伴う課税逃れの取締強化 財務省が暗号資産の法整備を行うねらいの1つは、海外への資金流出に伴う課税逃れの取締強化と言えるでしょう。 スマートフォンを使えば簡単に多額の取引もできてしまう暗号資産は、犯罪への悪用も懸念されています。暗号資産取引所を通さない取引の場合、個人情報と通貨の情報は紐づけされていないため匿名性が高いからです。 マネーロンダリングや所得隠しなど、暗号資産を犯罪に悪用する手段への対策は進んでいるように見えますが、取引実態は十分に把握できているとは言い切れません。 今回の報道発表には、国によって取引ルールが異なる暗号資産で、国内外の当局を巻き込んだ協力体制を作りたいのかもしれません。 3000万円相当額を超える暗号資産送金の報告に違反した場合の罰則 3000万円相当額を超える暗号資産送金の報告に従わなかったり、嘘の報告をしたりした場合には6カ月以下の懲役または50万円以下の罰金が課せられます。 暗号資産取引で3000万円相当額を超えても報告が必要ではない事例 一方で、3000万円を超える暗号資産取引でも報告が必要ない事例があります。暗号資産の送金が国内で行われたケースと、1回の送金金額が3000万円未満のケースです。 日本国内での暗号資産の送金 財務省の課している報告義務は、海外の法人や個人との暗号資産取引が対象です。 日本国内での暗号資産の送金は対象ではありません。 1回の送金では3000万円未満の場合 報告義務の対象となるのは1回の送金金額です。そのため、複数回に分けて送金を行なった場合には報告は必要ないとされています。 例えば、海外の暗号資産の取引所で300万円の取引を1日に10回した場合や、海外に住む友人に1000万円の送金を1日3回したようなケースなどが考えられるでしょう。 ※詳細につきましては財務省のHPをご参照ください。 3000万円相当額を超える暗号資産取引に関する報告書の書き方と提出方法 1度に3000万円以上の取引をすることになった場合、どのように報告するのでしょうか。 ここでは日本銀行のホームページに掲載されている手引きを見ながら、報告書の様式や提出先まで解説していきます。 報告書の様式 報告書は「外為法第55条に係るもの」の様式1~4を使います。取引所を経由しないで取引をした場合は様式1と2、取引所を経由して取引をした場合には様式3と4を使います。 記入の際に取引の内容がどれに該当するか知りたいときは、「国際収支項目番号一覧・内容解説(別表第一)」を参考にします。取引の相手国については「国又は地域番号一覧(別表第二)」や業種については「業種番号一覧(別表第三)」を見ます。 実際にどのようなケースで報告が必要かについて知りたくなったときは「支払等報告書」に関する事例集を見ると、事例が図解で説明されていますので参考にしてください。 なお、報告の必要があるかを知るためには日本円に交換したときのレートを知る必要があります。通貨の換算方法は別途定められているとき以外は「基準外国為替相場・裁定外国為替相場」を使います。 基準レートは毎月更新されていますので、該当期間のものをあらかじめ確認してから作成します。 報告書の提出先 報告書の提出先は、支払いや支払いの受け取りをした方法や場所によっても異なります。 日本国内の銀行などが行う為替取引で支払いや受け取りをした場合には、その銀行など金融機関の店舗に提出します。それ以外の方法で支払ったり、受け取ったりした場合には日本銀行の国際局国際収支課に提出します。 報告書は郵送で提出することもできます。郵送で報告書の控えを希望する場合には、宛名を記入して、返信用の郵便切手を貼った返信用封筒を同封します。 なお、報告書控えの印は書類を受け取ったことの証明であって、内容を審査したことの証明ではないので注意が必要です。また、報告書はインターネットでの提出もできます。 オンラインシステムを利用するにはあらかじめ申し込みをしておく必要がありますが、頻繁に報告が必要な人は登録しておくと報告にかかる手間やコストが省けて便利です。 ※詳細につきましては日本銀行のHPをご参照ください。 海外の暗号資産取引で3000万以上なら報告が必要か確認を 財務省の発表した報告義務は、国内の暗号資産の取引所で取引をした場合は対象外です。 国内の金融庁登録済の暗号資産取引所Coincheckでは、数千万円以上の暗号資産の取引に関しては、平日の指定時間内であれば、魅力的なレートで大口の売買が可能です。 高額取引をしている人で、報告義務の対象となっているかどうか気になる人は日本銀行の公開している基準レートを参考に取引額を確認してみましょう。
暗号資産(仮想通貨)の流通にともない、暗号資産を規制して、管理しようとする動きも出てきています。 ここで言う「暗号資産の規制」とは、どのようなものをさすのでしょうか。購入や売買するにあたって、注意するべきことはあるのでしょうか。ここでは、日本や世界が発表している暗号資産の規制内容について、わかりやすく解説しています。 暗号資産にはどのような規制が生じているのか、購入や売買における規制はあるのかなど、初心者向けに基本情報をご紹介します。 ※仮想通貨の税金については、2024年2月13日時点の情報となります。 暗号資産の規制ってどんなもの? まずは、暗号資産の規制のうち、主だった内容について見てみましょう。 暗号資産の流通拡大にともない、規制の声が高まっている 2017年頃から、暗号資産の流通は一気に拡大しました。 それまで一部のユーザーの間でだけ取引されていた暗号資産が、価格の上昇などに伴い、一般の人々へと知名度を一気に広げることとなったためです。暗号資産の流通が広がれば、暗号資産を売買できる暗号資産の販売所や取引所も増えます。 暗号資産を活用したサービスや、新しい暗号資産の発行なども同様です。こうした動きのほとんどは、「既存のサービスや経済をよりよくするため」という目的で開発が進められています。 暗号資産に関する犯罪が発生 しかし、中には暗号資産の仕組みを悪用しようと企んだり、実際に犯罪の手口に利用するケースも出てきました。暗号資産に限ったことではありませんが、流通が増えると悪用されるリスクが大きくなるのは世の常です。 そうした事情を受け、暗号資産に関わるさまざまな問題を未然に防止するため、規制に向けた動きが活発になってきています。 暗号資産の取引に対する規制 暗号資産の規制は、日本国内では販売する側の規制がメインとなっています。 個人で暗号資産を購入したり、売買することに関しては、いまのところ大きな規制はありません。販売する側の規制としては、例えば以下のようなものが挙げられます。 ICOに対する規制 ICOとは、イニシャルコインオファリング(Initial Coin Offering)の頭文字をとったものです。 日本語では「新規暗号資産公開」とも訳されています。簡単にご紹介すると、新規にビジネスや事業を立ち上げようとする企業や団体などが、その資金調達のツールとして暗号資産を発行し公開することです。 ここで公開される暗号資産は、企業が開発した独自の暗号資産となります。暗号資産を公開株式のようにして、事業を運営するための投資を募る手法です。 真剣に事業を開発しようとしている団体がある一方で、構想だけで実体のないものや、悪徳な業者が関わっているものもあり、現状のICOは玉石混交の状態となっています。こういったICOの新規発行について、規制や管理を強めて消費者を守ろうとしているのが世界的な流れです。 匿名通貨に対する規制 ICOだけでなく、匿名通貨に対する規制も強化に向けて進んでいます。 匿名通貨とは、送金する際の情報について、匿名性を保持できる暗号資産のことです。ビットコインなどの暗号資産では、送金元の情報がすべてブロックチェーン上に記録され、誰でも見ることができるよう公開されています。 取引の透明性が高く、第三者の監視がきく状態です。この透明性の高さから、銀行などの管理母体を必要とすることなく、通貨としての取引が成り立っています。 しかし、ある意味ではプライバシーが確保されないシステムであるとも言えるでしょう。これに対して、匿名通貨は送金時の情報が暗号化され、情報がわからないような仕組みとなっています。 「いつ誰がどこにどれだけ送ったのか」という履歴を隠せるため、プライバシーを保護することが可能です。匿名通貨はプライバシーが守れる反面、違法な取引に悪用されやすい側面があります。 このため、今のところは日本では匿名通貨についても、新規発行や取引の規制対象となりつつあります。 暗号資産取引所・販売所に対する規制 暗号資産の売買ができる暗号資産の取引所や販売所についても、近年では、世界的に規制が進んできています。日本国内で暗号資産の売買や交換を行う業者は、すべて金融庁への登録制となっており、アカウント作成時も本人確認が必要です。 暗号資産の取引所・販売所で口座開設するまでの流れはこちら しかし、インターネットとパソコンがあれば、海外の暗号資産の取引所を経由して暗号資産を購入することが可能です。このときに、国から承認されていない暗号資産の取引所や、身分証明などが必要なく、アカウントを作れてしまう取引所もあります。 こういった取引所では、送金元や受け取ったウォレットの所持者の詳細情報が把握できず、犯罪の温床となる可能性が高いのです。暗号資産を取り扱う業者には、セキュリティや運営資金に加え、犯罪へ加担しないためのシステムに対するリスク管理能力などが必要です。 こうした基準は、国が統一して審査や規制を行うのが望ましく、世界でも規制の動きが強まっています。その他の暗号資産購入や、個人的な売買については、日本ではいまのところ容認の方向となっています。 しかし、国によっては、ビットコインなどの暗号資産購入や、取引そのものを規制しようとする動きもあるのです。海外での暗号資産における規制は、どのようになっているのでしょうか。 海外における暗号資産の規制状況の事例 海外における暗号資産の規制状況については、以下のようになっています。 欧米の規制状況 アメリカでは州によって法律が違うため、厳しいところとそうでないところに分かれています。 国としては、2018年に販売所や取引所について、日本と同様に登録制とするよう発表しています。今後も課税面などで更なる規制が生まれる可能性もありますが、日本と同様、暗号資産取引については、おおむね容認する方向です。 ヨーロッパでは、ドイツやフランスに、国としての規制をもうける動きが出ています。ドイツでは決済など、暗号資産の利用方法によっては課税が減免されたり、フランスでは暗号資産の先物取引が規制対象となっています。 欧米の傾向としては、「暗号資産を正しく流通させるための前向きな規制」と捉えられそうです。 アジアの規制状況 アジアでは、国によって暗号資産の規制に大きな差が見られます。 たとえば、韓国やタイ、台湾などでは、日本と同様に「容認しつつも適宜規制する」という姿勢です。韓国では、一時全面的に暗号資産取引の規制を強化していましたが、2019年に入って一部緩和され、交換や売買は現在も継続して行われています。 アジアの中でもIT先進国であるインドでは、当初全面禁止の方向でしたが、インドの財務省にあたる機関は禁止を否定しており、現在は容認に転じつつあるようです。 中国の規制状況 一方、中国では暗号資産取引は全面的に禁止する方向です。これには、中国政府が推進している事業へ投資を限定したいという意向もあるのかもしれません。 ただし、実際には個人間での取引には規制があるものの、中国は暗号資産のマイニング大国として知られています。しかし、2019年4月に入って中国政府がマイニングの禁止を検討しているなどのニュースも流れており、今後の動向には注視する必要があります。 【2020年最新】中国の暗号資産市場とこれまでの流れを解説 Coincheck ロシアの規制状況 ロシアでは、当初暗号資産の取り扱いについて強い規制を打ち出す姿勢を見せていました。 2018年5月に1度法案が可決されましたが、その後マイニングに関する規制を削除したり、暗号資産を「デジタルライト」という用語へ変更したりといった修正が見られ、現時点で大きく決まった枠組みはないようです。 プーチン大統領は、2019年中に暗号資産について何らかの規制を進める方針であるとしており、世界情勢や暗号資産の流通状況などを見ながら、適宜整備していくものと予想されます。 南米やアフリカなどのその他の国の規制状況 先進各国が国を挙げて、暗号資産の規制を進める中、南米やアフリカなどのいわゆる途上国では、国による規制の進捗は遅めです。 特にアフリカ諸国では、自国の法定通貨が安定していない国が多く、暗号資産の比ではないほど、法定通貨の価格上下が激しい国もあります。銀行や物流面で信頼に足る企業も少ないため、アフリカ国内では暗号資産の取引が活発になりつつあるようです。 本来暗号資産は、そのような途上国が、安定して取引できるツールとして利用されるべきとの声もあります。ただ、そういった地域ほどマフィアや犯罪と繋がりやすく、不正利用が蔓延する懸念もあります。 こうした途上国にこそ、早期の規制を敷き、法整備によって正しく活用されることが望まれるでしょう。こうしてみても、暗号資産は世界的な規制が進みつつあることがわかります。 規制と言っても、暗号資産を廃止する動きではなく、安全で安定した取引を継続するための前向きな規制が多くなっています。その中でも、とりわけ日本では、暗号資産の規制がかなり進んでいます。 世界基準で見ても、日本の暗号資産に対する法整備や管理体制は整っていると言えるでしょう。 日本国内における暗号資産の規制状況 次に、日本国内の規制状況について、更に詳しく見てみましょう。 暗号資産による収益に対する課税の規制 日本で暗号資産を売買した際、もっとも頭に入れておきたいのが課税についての規制です。 国税庁では、暗号資産によって得られる収益を「雑所得」として扱う旨をさだめています。雑所得とは、事業によって得たものではない所得とみなされる利益のことです。 雑所得は他の損失と差し引いたり、次年度へ繰り越すことができません。同じ雑所得に該当するものとして、株やFXなどの金融取引が挙げられます。 しかし、株やFXには「租税特別措置法」と呼ばれる特例があり、一定の税率軽減や3年間の損失繰越などが認められています。暗号資産にはこの特例がないため、最高で55%の税率が科される可能性があります。 暗号資産を購入し、持っているだけでは課税対象となりません。暗号資産を売却して日本円に換金したり、暗号資産で別の暗号資産を購入した場合には、課税対象となるので注意が必要です。 暗号資産で課税対象となる売買を行った場合は、給与所得者であってもかならず確定申告をするようにしましょう。 詳しくはこちら:暗号資産(仮想通貨)にかかる税金とは?計算方法から確定申告のやり方まで解説 ※税金等の詳細につきましては管轄の税務署や税理士等にお訊ねいただくか、または国税庁タックスアンサーをご参照ください。 暗号資産交換業者に対する規制 日本国内では、暗号資産の販売所や取引所にも厳しい規制がもうけられています。 日本国内で暗号資産の交換や売買を行う事業者は、「暗号資産交換業者」として、金融庁への登録が義務づけられています。2017年頃までは、金融庁への登録申請中のまま取引が行える「みなし業者」という設定がありましたが、現在ではみなし業者に対する審査もかなり厳しくなっています。 販売所への規制は、そこで暗号資産の購入や売買をする消費者を守るための規制でもあります。暗号資産を始めるなら、管理方法や匿名通貨の取り扱いといった規制をクリアし、暗号資産交換業者の承認を受けた販売所、取引所で購入するのがよいでしょう。 新規ICOに対する規制が強化される ビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)など、現在広く流通している暗号資産は、価格の乱高下はあるものの、暗号資産としてその価値は認められています。 これとは別に、新規にICOで発行されている暗号資産を購入する場合は注意が必要です。ICOには、将来性が期待されるものがあるのも事実です。 その反面、犯罪者集団が資金調達を目的として発行していたり、実際に開発できる予定がないものも含まれており、玉石混合の状態となっています。こうしたICOについては、世界中で厳しく規制していく動きです。 日本国内でも同様に、指針や審査基準などをさだめる流れとなっています。とはいえ、具体的な内容はまだ詳細には決まっておらず、これからの動向が注目されます。 ICOとは?初心者に解説する買い方とメリット・デメリット Coincheck 暗号資産の規制に関するまとめ 暗号資産は世界的に認知されるとともに、国ごとに規制が進んでいます。 一部の国では全面禁止の措置を取っているところもありますが、おおむね暗号資産の流通については前向きです。暗号資産が正しく使われ、悪用されないための前向きな規制が整備されようとしています。 これは消費者にとってもメリットのあることで、その中でも日本はかなり具体的な規制が行われており「暗号資産先進国」であるとも言えるでしょう。暗号資産のシステム自体は、有用性や将来性が大きく期待できるものです。 だからこそ、多くの国々が規制をしつつ、容認する方向で動いています。「規制されているから大丈夫」と安易に考えるのはおすすめしませんが、暗号資産の取引を行う際には、金融庁の認可を受けた日本国内の暗号資産の取引所・販売所で行うようにしましょう。 暗号資産のチャートは、世界情勢によっても大きく変化していきます。売買時の課税についても念頭に置きつつ、規制情報については、常に最新の情報に触れていくことが大切です。
2017年から2018年にかけては多くの仮想通貨が大きく上昇したこともあり、仮想通貨投資がうまくいった結果、大きな利益が出た人が多く誕生しました。 また、仮想通貨で利益を出した人は、その利益を利用して、続けて新しい仮想通貨へ投資を始める人もいるようです。しかし、仮想通貨の使用で得た利益が、税制上どのような扱いを受けているのか理解している人は少ないかもしれません。 特に、確定申告が必要かどうかは関心の高いテーマかと思いますので、今回は仮想通貨の確定申告についても合わせてご紹介します。 ※仮想通貨の税金については、2024年2月13日時点の情報となります。 仮想通貨の損益発生のタイミング まずは、仮想通貨の使用による損益が発生するタイミングを理解しなければいけません。 基本的に仮想通貨で損益が発生するのは、仮想通貨を売却した時、仮想通貨で商品を購入した時、異なる仮想通貨同士を交換した時、マイニング報酬を得た時などとなります。 仮想通貨の売却で損益が確定するのは、一度所持した仮想通貨を売却して法定通貨に戻した時となります。購入した時から価格が下落した仮想通貨を売却した場合は、損失として計上されます。 仮想通貨の使用で法定通貨に直接換金しない場合、つまり商品の購入や異なる仮想通貨に交換した場合は、商品購入時・交換時のレートで換算した日本円に換金したのと同じようにみなして損益が計算されます。また、マイニング報酬を得たときは、報酬獲得時のレートからマイニング費用を引いたものが所得として計算されます。 仮想通貨の税金とは? 個人で仮想通貨を利用して生じた損益は、現在のところは総合課税の「雑所得」という所得に分類されます。 この総合課税は、給与所得などと合算した所得金額に応じて税率が変わる累進課税が適用され、最大で45%まで税率が上がります。 <所得金額による所得税率> 課税される所得金額 税率 控除額 195万円以下 5% 0円 195万円超330万円以下 10% 97,500円 330万円超695万円以下 20% 42万7,500円 695万円超900万円以下 23% 63万6,000円 900万円超1,800万円以下 33% 153万6,000円 1,800万円超4,000万円以下 40% 279万6,000円 4,000万円超 45% 479万6,000円 このような税率の変化があることは覚えておいた方が良いでしょう。仮想通貨の税金制度が始まって日も浅いため、仮想通貨の税率について詳しく知っている人も多いわけではありません。 仮想通貨の税率を計算するためには、仮想通貨の損益の計算をおこなう必要があります。特に仮想通貨の購入価格は計算がややこしく、準備をしておかないとなかなか骨が折れる作業になります。 そんな仮想通貨の計算をうまくおこなうためにも、仮想通貨の購入価格の計算方法を覚えておきましょう。 仮想通貨の税金の計算方法について 仮想通貨の購入価格の計算方法には「移動平均法」と「総平均法」の2通りの計算方法があります。 移動平均法とは 移動平均法は仮想通貨の購入の都度、合計購入金額と数量で価格を計算する方法です。 移動平均法は仮想通貨を購入するたびに購入単価を計算していくので、リアルタイムで購入価格を把握することが可能になります。しかし、1年間で何百回と取引をおこなっている投資家にとっては、非常に細かい計算が必要になります。 総平均法とは 一方で、総平均法は年内に購入した仮想通貨の価格を合算した数字をもとに、購入単価を計算する方法です。そのため、売却せずに保有している仮想通貨も購入時の価格が単価に反映されます。 総平均法はとにかく計算が楽というメリットがありますが、かなり大雑把な計算方法なので、場合によっては税金を多く支払うこと可能性もあります。 また、仮想通貨の損益が発生するのは、仮想通貨の利益が確定したタイミングというのを上記でも説明しました。これは言い換えれば、利益を確定さえしなければ損益は発生しないということになります。 そのため税金を抑えたいという人は、利益確定する仮想通貨を調整することで税額を調整することができます。 詳しくはこちら:仮想通貨にかかる税金とは?計算方法から確定申告のやり方まで解説 仮想通貨の雑所得が20万円以下でも申告が必要なケース 基本的に20万円以下の雑所得が申告対象にならないというルールが適応されているのは、年末調整をおこなっているサラリーマンです。 しかし、中には雑所得が20万円以下でも申告しなければいけないケースもあります。案外、これらのケースを見逃していて脱税扱いを受けてしまう人も多くいるので注意が必要です。 まず、例えば2ヶ所以上から給与所得を受けている人は申告が必要な可能性があります。本業として会社員をしており、副業として週末にアルバイトをおこなったとします。 これは2ヶ所の労働場所から給与所得をもらったこととなりますが、主たる給与以外の収入、つまりこの場合だと、副業のアルバイトの収入と雑所得が20万円を超えているなら確定申告が必要となります。 また、給与の年間の収入が2000万円を超えているという人も申告が必要となります。他にも、個人事業主として利益を出している方は確定申告が必要です。 さらに、扶養控除を受けている主婦や学生であっても所得税の基礎控除である48万円以上の給与以外の所得があれば確定申告が必要になります。 ※税金の詳細につきましては、管轄の税務署や税理士にお尋ねいただくか、国税庁の「タックスアンサー(よくある税の質問)」のページをご参照ください。 仮想通貨の雑所得の特徴 仮想通貨による雑所得はFXなどの申告分離課税の雑所得とは少し異なり、総合課税の雑所得内の損益を通算することができます。 つまり、仮想通貨やその他の副業で年内に生じた損益を合算して計算ができるため、仮想通貨で出してしまった損失も、例えば原稿料のような雑所得と合算することで税金が軽減される可能性もあります。 確定申告が必要なのに確定申告をおこなわないと、無申告加算税という税金が発生してしまい、より多くの金額を納税する必要性が出てきます。法定期限内にしっかりと確定申告をおこなうようにしましょう。 また、所得税と住民税は全く別の管轄であり、そのルールも異なるので、雑所得が少しでもあればその金額に関わらず住民税申告は必要です。 仮想通貨取引の確定申告のやり方 基本的に確定申告は、住民票がある住所地の税務署でおこなうことになります。確定申告を提出するために必要な書類をまとめて税務署に向かうようにしましょう。 確定申告を提出するために必要な書類は確定申告書、源泉徴収票、仮想通貨の取引が掲載されている明細などです。もし、書類の不備などが不安などであれば税理士や税務署に聞いてみると良いでしょう。 今では、仮想通貨の確定申告に関連したサービスも提供されています。それらのサービスをうまく活用することで、仮想通貨の確定申告を簡単に済ませることができます。 詳しくはこちら:仮想通貨も確定申告が必要!基礎知識や注意点を紹介 仮想通貨の税制の今後 以上が所得税における仮想通貨の損益への課税の仕組みの基礎となりますが、仮想通貨の税制は、今後変わってくる可能性もあります。 また、税金自体の制度も年々変わっていくので、税制度のニュースもしっかりとチェックしておく必要があります。 今まで自ら確定申告等をおこなってこなかった人は、これらのことに注意して仮想通貨の取引に取り組みましょう。