
ビットコインや暗号資産へ投資するにあたって「ガチホ」という言葉を耳にしたことのある人も多いのではないでしょうか。
ガチホとは、暗号資産(仮想通貨)の短期的な値動きに惑わされずに、長期間にわたって保有することを指します。
暗号資産に限らず、株式やFXなどを含めた投資における戦略の一つとして、幅広い場面で使われている言葉です。
投資対象を保持し続けるだけであるため、初心者にも取り組みやすいなどのメリットがある一方で、押さえておくべきデメリットや注意点も存在します。
本記事では、ビットコイン・暗号資産をガチホすることのメリット・デメリットや運用方法について、わかりやすく解説していきます。
この記事でわかること
目次
暗号資産(仮想通貨)の「ガチホ」「HODL」とは
ガチホとは「ガチ(本気)でホールド(保持)する」の略で、暗号資産投資における戦略のひとつです。
短期的な値動きは考慮せず、長期間にわたって投資対象を持ち続けて将来的な利益を狙います。
「HOLD(保持する)」のスペルミスから派生したスラング「HODL」もガチホと同様の意味で、海外を中心に使用されています。
暗号資産投資は数年単位で大きく価格が上昇することが特徴だと言われているため、短期的に取引を重ねるよりも、ガチホしたほうがパフォーマンスがよいという言説もあります。
株などにおける「塩漬け」とのニュアンスの違い
株式投資をやっているとよく「塩漬け」という言葉を耳にすることがあります。
塩漬けとは、含み損が大きすぎて売れずに放置してしまっている状態のことです。
投資対象を「保持する」ことに変わりはないのですが、塩漬けという言葉には「もし売った後に上がったら嫌だなあ」という、ネガティブな諦めの要素が強く含まれています。
一方で、ガチホは、将来的には利益を狙えると信じている状態で、ポジティブで強気なニュアンスを含んでいるため、塩漬けとは根本的に意味が違うと言えるでしょう。
ビットコインや暗号資産のガチホ(長期保有)のメリット
ビットコインや暗号資産のガチホ(長期保有)は、誰でも簡単に始めることができます。
ここでは、投資戦略としてビットコインや暗号資産をガチホすることのメリットについて、詳しく解説していきます。
暗号資産取引所にアカウントを開設してビットコインを購入すれば、すぐにガチホすることができるため、メリットをしっかりと押さえてチャレンジしてみるのもよいでしょう。
少額で始めることができる
暗号資産の投資はまとまった投資額が用意できなくても、少額から始めることができます。
そして、少額であっても大きく値幅を取れる可能性があるのが暗号資産投資のポイントです。
例えば、2020年の5月時点では、1BTCあたり約100万円の価格がついていましたが、5年後の2025年5月時点では、1BTCあたり約1,500万円の価格まで上昇しており、5年で15倍、1500%の価格上昇がありました。
あくまでも過去のデータであるため、今後も同じように成長するかはわかりませんが、たとえ少額の投資であっても長期的に運用することで大きなリターンを得られる可能性がある点は、ガチホ運用の魅力といえるのではないでしょうか。
時間や手数料などの投資コストが少ない
暗号資産を取引する際には、取引手数料やスプレッドと呼ばれる売値と買値の差額を支払う必要があります。
短期投資のように売買の回数が多いと、取引にかかるコストによって損をしてしまう可能性があるだけでなく、頻繁にチャートを見る必要があり、その分時間が拘束されてしまうことは避けられません。
しかし、ガチホは基本的に取引回数が少ない代わりに、一度の売却で大きな値幅を狙う投資方法であるため、時間や手数料などの投資コストは圧倒的に低いといえるでしょう。
仕事や家事などでなかなかまとまった時間を取ることができない方にも向いているかもしれません。
専門的な知識の必要性が少ない
投資するにあたって専門的な知識を有する必要が少ない点もガチホのメリットです。
短期売買で利益をあげるには、投資する銘柄のチャート形状やエントリーのタイミングなど、様々な事項を考慮する必要があり、投資に対する一定水準の知識が求められます。
しかし、ガチホする場合は将来性のある銘柄の選定さえしてしまえば、あとは長期保有しておくだけで利益を狙いやすいです。
銘柄を分析するためのある程度の知識は必要となりますが、売買に関する専門的な知識は求められないため、初心者でも取り組みやすい投資方法といえるでしょう。
「ガチホ」する覚悟があればすぐに始められる
投資資金が少額であっても問題なく、専門的な知識もほとんど必要ないため、ガチホする覚悟さえあればすぐに投資できるのも大きなメリットです。
購入後は、短期的な値動きを気にせずに放置しておけばよいため、たとえ値下がりしたとしても心理的な負担は少ないといえるでしょう。
ビットコインをガチホした場合のシミュレーション例
ビットコインをガチホした場合、どの程度の利益が見込まれたのでしょうか。
ここでは、毎年4月1日を基準として、他の年までガチホした場合の値動き例をシミュレーションしてみます。
2024年4月1日から2025年4月1日までガチホした時の損益例
2024年4月1日は1BTC約1060万円、2025年4月1日は1BT約1240万円でした。
2024年4月1日から2025年4月1日まで、1年間ガチホした場合の値上がりは、約1.17倍、およそ+117%です。
2023年4月1日から2025年4月1日までガチホした時の損益例
2023年4月1日は1BTC約375万円、2025年4月1日は1BTC約1240万円でした。
2023年4月1日から2025年4月1日まで、2年間ガチホした場合の値上がりは、約3.31倍、およそ+331%です。
2016年4月1日から2025年4月1日までガチホした時の損益例
2016年4月1日は1BTC約4万8000円、2025年4月1日は1BTC約1240万円でした。
2016年4月1日から2025年4月1日まで、9年間ガチホした場合の値上がりは、約258倍、およそ+2583%です。
2021年4月1日から2022年4月1日までガチホした時の損益例
2016年4月1日は1BTC約650万円、2022年4月1日は1BTC約550万円でした。
2021年4月1日から2022年4月1日まで、1年間ガチホした場合の値下がりは、約0.85倍、およそ-15%です。
この例のように、暗号資産のガチホでは必ずしも利益が狙えるわけではなく、長期的にガチホすることが重要であるともいえる期間が存在します。
ビットコインや暗号資産のガチホ(長期保有)の方法・やり方
ここでは、実際にビットコインや暗号資産を「ガチホしてみたい」と考えている人に向けて、ガチホの方法を3つ紹介します。
それぞれの特徴を正確に把握し、ご自身の性格に合った方法を選ぶようにしましょう。
1.暗号資産取引所でガチホする
オーソドックスな方法として、暗号資産取引所を利用する方法があります。
暗号資産取引所とは、暗号資産の売買をすることができるプラットホームのことです。
取引所における取引形式は、「販売所」と「取引所」の2つがあり、それぞれにメリット・デメリットがあることは押さえておきましょう。
販売所には、注文方法が簡単な反面、スプレッドの差が大きく、取引コストが高くなりやすいというデメリットがあります。
一方で取引所では、暗号資産を売りたい人と買いたい人がそれぞれ売買注文を出し、マッチングした場合に取引が成立するため、約定までに時間がかかりやすいです。また、暗号資産の取り扱い銘柄が少ない傾向にあるなどのデメリットがあります。
2.セルフカストディでガチホする
もともと金融市場で「資産の管理・保管」の意味として使われていた「カストディ(Custody)」という言葉が、現代において暗号資産にも使用されるようになりました。
そして、顧客の資産を管理・保管する業務を「カストディサービス」、これらのサービスを提供する企業や団体を「カストディアン」と呼びます。
先ほど挙がった暗号資産取引所は我々にとって一番身近なカストディアンといえるでしょう。
暗号資産の「セルフカストディ」とは、取引所などを利用せず、自分のウォレットを使用して自身で暗号資産の管理をすることを指す言葉です。
本来、第三者によって自身の資産を管理・保管してもらうところを自身で管理することで、取引所が倒産した場合やハッキングを受けた場合などの資産損失のリスクを回避できます。
ex.積立投資を利用してみる
ガチホと相性のよい投資方法として、積立投資があります。
積立投資とは、暗号資産を一度に購入するのではなく、一定の金額を定期的に積み立てていく投資方法のことです。ドルコスト平均法ともいわれます。
価格が安いときは多く、高いときは少なく買い付けることで、長期投資における価格変動のリスクを抑えることができます。
ビットコインや暗号資産のガチホ(長期保有)のデメリット
初心者も取り組みやすいガチホですが、あくまでも投資であり、デメリットがあることは理解しておかなければなりません。
ここでは、ビットコインや暗号資産のガチホ(長期保有)のデメリットを3つ解説します。
ガチホ投資を正しく理解し、上手に利益を狙いましょう。
機会損失になる可能性がある
「機会損失」は、投資の世界でよく耳にする言葉です。実際の売買で生じた損失ではなく、最善の選択を取らなかったためにより多くの利益を得られる機会を逃してしまうことを指します。
暗号資産は投資信託などのほかの金融商品と異なり、ボラティリティ(値動きの度合い)が激しい特徴があります。
そのため、ガチホしている資金で最善な売買を行った場合、値動きに合わせて利幅が取れるため、ガチホよりも大きな利益を生むことができます。資金はガチホにより拘束されているため、その資金での取引機会を失う、つまり機会損失が発生することがあります。
どのような投資対象であっても、将来的に必ず値上がりする保証はありません。
ガチホしたのちに塩漬けとなることも念頭に置いておき、十分な余剰資金を確保しておくようにしましょう。
複利運用は難しい
「複利」とは、利息が利息を生み出す運用方法のことです。投資の場合、投資元本が生んだ利益を再投資し、さらなる利益を生み出すことを「複利効果」といいます。
ガチホは基本的に長期間保有したままにするため、利益を確定するタイミングがあまりありません。そのため、複利の効果を感じられる機会はかなり少ないといえるでしょう。
一方で、短期投資の場合は短い期間で利益を確定し、その分を再投資できるため、ガチホに比べると複利効果が得られやすいです。
複利効果で雪だるま式に資産を増やしたい方にとって、ガチホは不向きな投資として理解しておく必要があります。
売却タイミングの判断が難しい
長期投資の難しい点として、いつ売却するかのタイミング(出口戦略)を判断しづらいことが挙げられます。
チャートが右肩上がりで調子がいいと「もっと値上がりするかも」と思い、ガチホを続けていたら暴落に巻き込まれ、あっという間に塩漬けする羽目になる可能性がないとも言い切れません。
そのような事態を避けるためにも、「評価損益がある一定のパーセントに達したら売却し利益を確定させる」などの投資戦略を自身で設定したほうがよいでしょう。
ガチホ運用を始める前には、あらかじめ出口戦略を考慮したうえでエントリーすることで、売却するときに慌てずにすみます。
ガチホ(長期保有)を実際に行う場合の注意点
長期投資は簡単に始めることができる点が魅力的ですが、完全に放置する場合にはリスクを伴います。
暗号資産を長期保有している際に怖いのは、不正アクセスによって資産を失ってしまうことです。
せっかく積み上げた資産がなくなってしまわないためにも、実際にガチホする場合の注意点について説明します。
二段階認証を行う
二段階認証とは、ログインする際に、認証アプリやSMSに送られてくる認証コードを用いることで、セキュリティをより強化する仕組みです。
二段階認証を取り入れることで、不正アクセスのリスクをグッと低減することができます。
最近では、証券会社の不正アクセスによってこれまで投資してきた株式が勝手に売却されてしまうというニュースが世間を騒がせています。不正アクセスは株式投資だけでなく、暗号資産投資でも起こりうるため、決して他人事ではありません。
自身の資産を守るためにも二段階認証を取り入れ、セキュリティの盤石なものにしておきましょう。
秘密鍵やアカウントの紛失対策を行う
秘密鍵は暗号資産の所有者証明であり、管理に必要なパスワードのようなものです。特に、暗号資産を自身で保管するセルフカストディで重要になります。
ウォレットの秘密鍵や秘密鍵にアクセスするためのシードフレーズ(リカバリーフレーズ、バックアップフレーズ)の管理は、自分自身で行う必要があります。
特にシードフレーズという単語の組み合わせが外部へ漏洩してしまうことは、第三者が自分の暗号資産を自由に送金できてしまうようになることを意味しています。また、シードフレーズを忘れてしまった場合は再発行できず、そのウォレットにアクセスできなくなってしまうため、シードフレーズの管理は厳重にしなければなりません。
漏洩・紛失を避けるためにも、シードフレーズは紙に書いて金庫に入れておくなどして徹底的に対策するようにしましょう。
また、取引所に保管する場合でも、アカウントの情報を紛失してしまうと、ログインに膨大な時間がかかってしまったり、最悪の場合アカウントが復旧できなかったりすることがあります。
取引所などのカストディサービスを利用する場合でも、アカウントの管理はしっかりと行いましょう。
ハッキングリスクを考慮する
暗号資産は電子で管理されている以上、ハッキングのターゲットとなりやすいことは理解しておきましょう。
暗号資産取引所がハッキングされた場合には、自身が保有している暗号資産を失う可能性も。過去には実際に取引所がハッキングされ、多額の資産が流出してしまった事件がありました。
アカウント等の情報とパスワードが漏洩した場合では、自分で二段階認証を導入しておくことで資産の流出を避けられる可能性があります。
ドルコスト平均法・積立投資のほうが適してるタイミングもある
長期の目線で見た場合、一度購入しただけだとエントリーのタイミングによっては長期間損失を抱えることになり、価格上昇のチャンスを逃してしまうことがあります。
特に暗号資産は、ほかの金融商品と比べて価格が乱高下しやすいため、大きく下がった場合には買い増しして、平均取得単価を下げていくことが望ましい場合もあります。
取引所によっては暗号資産の積立投資サービスを提供しているため、暗号資産の特徴をしっかりと把握して、適宜積立投資を利用するようにしましょう。
まとめ
暗号資産を長期的に保有するガチホは、初心者にも取り組みやすく、自身でしっかりと管理することができれば、大きく資産を増やせるチャンスがある運用方法です。
暗号資産をガチホするなら、運営やセキュリティに安心感のある暗号資産取引所を利用したほうが精神的な負担も少なくなるでしょう。
また、できるだけリスクを減らしながら資産形成したい方は、積立で運用することも検討してみてはいかがでしょうか。