JPYCとは、日本円と1:1で価値が連動するように設計されたステーブルコインです。価格が大きく変動する暗号資産とは性質が異なり、決済や送金などでの利用が想定されています。
本記事では、JPYCの基本的な仕組みや特徴、メリットと注意点、将来性についてまでを解説します。本記事は2026年10月5日時点の情報です。
JPYCとは?

JPYCは、日本円と連動するステーブルコインです。ブロックチェーン上で発行・管理されており、決済や送金など、価格が大きく変動しないことが求められる場面での利用が想定されています。
一般的な暗号資産は価格が変動しますが、JPYCは日本円を基準に価値が決まるように設計されています。そのため、いくらの価値があるのかをイメージしやすい点が特徴です。
ステーブルコインとは、法定通貨などの価値と連動するように作られたデジタル通貨のことです。価格変動を抑えることを目指しており、詳しい仕組みは以下の記事で解説しています。
JPYCの仕組みと特徴

発行主体は、資金移動業者であるJPYC株式会社です。同社が発行するJPYCは「電子決済手段(資金移動業型)」にあたります。JPYC株式会社は、2025年8月18日に第二種資金移動業者として登録され、同年10月27日からJPYC EXで発行・償還を始めています。登録状況は金融庁の資金移動業者登録一覧で確認できます。
裏付け資産には、日本円(預貯金および国債)が使われており、日本円と1:1で価値が連動するように設計されています。発行や償還の仕組み、裏付け資産の詳細については、JPYC株式会社の公式説明をご覧ください。
価値は「1円=1JPYC」を基準にしています。対応する日本円の範囲内で発行量が管理されるため、価格が大きく変動することを前提とした通貨ではありません。決済や送金などでの利用が想定されています。
なお、2021年から発行されていた旧JPYC Prepaidは前払式支払手段で、日本円への償還には対応していませんでした。一方、2025年10月27日に発行が始まったJPYCは電子決済手段で、JPYC EXを通じて日本円と交換・償還できます。旧JPYC PrepaidとJPYCでは制度上の位置づけが異なるため、注意しましょう。旧JPYC Prepaidについては、JPYC株式会社の公式案内をご覧ください。
JPYCと海外ステーブルコイン(USDT/USDC等)の違い
JPYCとUSDT、USDCなどの海外ステーブルコインには、発行の仕組みや利用される場面に違いがあります。
JPYCは、先ほど説明したとおり、日本の法制度に基づく「電子決済手段」として発行され、日本円との交換・償還に対応しています。一方、USDTやUSDCは、それぞれ異なる発行主体や規制体系、裏付け資産のもとで発行されています。発行のルールや償還方法、利用できるサービスは同じではありません。
利用できる範囲や交換のしやすさにも違いがあります。USDTやUSDCは多くの取引所やサービスで扱われていますが、JPYCは主に国内での利用が想定されています。
価値を裏付ける資産も異なります。JPYCは日本円との対応関係をもとに管理される一方、USDTやUSDCでは外貨建て資産などが用いられています。
JPYCのメリット

ここでは、JPYCを利用する主なメリットを紹介します。
価格が安定しやすく使いやすい
JPYCは日本円と1:1で価値が連動するように設計されているため、いくらの価値があるのかをイメージしやすい点が特徴です。価格が変動する暗号資産と比べて、支払いや送金に必要な金額を考えやすく、決済などにも利用しやすいといえます。暗号資産に慣れていない人でも、仕組みを理解しやすいでしょう。
送金・決済の手数料を抑えられる
JPYCはブロックチェーン上でやり取りされます。銀行振込やクレジットカード決済とは異なる方法で送金できるため、利用するサービスによっては、送金や決済にかかる手数料を抑えられる場合があります。
幅広いサービスで利用できる
JPYCは、一部の実店舗やイベント、オンラインサービス、Web3関連の取り組みなどで使われています。ただし、利用できるサービスはまだ限られており、一般的な決済手段として広く普及しているわけではありません。今後、制度やサービスの連携がどこまで進むかが注目されます。
JPYCの注意点とリスク

JPYCには、利用前に知っておきたい注意点もあります。メリットとあわせて確認しましょう。
利用できるサービスが限定される場合がある
JPYCは一部の実店舗やオンラインサービス、Web3関連のサービスなどで使われていますが、対応しているサービスはまだ限られています。USDTやUSDCのように幅広い取引所や決済サービスで使えるわけではないため、利用前に対応状況を確認しましょう。
発行者リスクを理解する必要がある
JPYCは、国や中央銀行ではなく、JPYC株式会社が発行・管理する電子決済手段です。日本円との交換・償還に対応し、日本円(預貯金および国債)が裏付け資産として管理されています。ただし、発行者の事業が続かなくなるリスクや、サービスの停止、制度変更などの可能性はあります。裏付け資産の保全方法や具体的な保全率については、JPYC株式会社の公式資料や金融庁の情報を確認してください。
海外ステーブルコインとは性質が異なる
JPYCはブロックチェーン上で扱われるため、技術上は海外のウォレットへ送金できます。ただし、海外でJPYCを使えるサービスや交換先は限られており、送金した後の使い道が見つからないこともあります。USDTやUSDCのように海外の取引所や決済、DeFiで広く使われているステーブルコインとは異なり、JPYCは主に国内で使うものと考えておくとよいでしょう。
JPYCの将来性

JPYCは、値上がりを期待して売買する暗号資産ではありません。日本円との連動を目指しているため、価格変動を利用した取引よりも、決済や業務などでの利用が想定されています。
JPYCは、決済や業務で使うことを想定した通貨です。今後の広がりを見るときは、取引市場で広く売買されるかだけでなく、具体的な場面で使われ続けるかにも注目するとよいでしょう。Coincheckでは、JPYCを投資・売買の対象というより、用途がはっきりしたステーブルコインとして紹介しています。
日銀デジタル通貨(CBDC)議論で注目が高まっている
日本では、中央銀行デジタル通貨(CBDC)について検討が進められています。JPYCは民間企業が発行するデジタルマネーで、CBDCとは別のものです。ただ、デジタル決済の選択肢が増えるなかで、ステーブルコインに関する取り組みの一つとして紹介される機会が増えています。
CBDCをめぐる議論が進めば、デジタル通貨やステーブルコインへの理解が深まり、制度の整理が進む可能性もあります。JPYCの今後を考えるうえでも、関連する動きを確認しておくとよいでしょう。
クレジットカード・アプリ決済への対応が進んでいる
JPYCでは、ブロックチェーン上でのやり取りに加えて、クレジットカードやスマートフォンアプリを使った決済への対応も進められています。暗号資産やウォレットの操作に慣れていない人でも、普段のキャッシュレス決済に近い感覚で使える環境が整いつつあります。
活用例としては、建設現場での実証実験(UPBOND社・鹿島建設の一部現場での現場作業員へのインセンティブ付与)や、徳島県海陽町でのふるさと納税の電子商品券などがあります。Web3分野では、投げ銭サービスのTIPWAVEのように、アプリ上の操作だけでJPYCを送れる仕組みも登場しています。このようなサービスが増えれば、JPYCを使い始めるまでのハードルも下がっていくでしょう。
JPYC EXによりオンチェーンの発行・償還が可能になった
JPYCの発行・償還に使われているのが、JPYC社の公式プラットフォーム「JPYC EX」です。2025年10月27日から、日本円からJPYCへの「発行」と、JPYCから日本円への「償還」が始まりました。
JPYC EXでは、発行予約をして日本円を指定口座に振り込むと、登録したウォレットでJPYCを受け取れます。償還するときは、JPYC EXで予約したうえで、指定アドレスへJPYCを送付します。その後、登録した口座に日本円が振り込まれます。
日本円からJPYCを発行し、必要に応じて日本円へ償還できるため、JPYCを使う流れが分かりやすくなりました。日常の支払いやビジネスでの利用など、今後どのような場面で広がっていくかが注目されます。
日本政府がステーブルコインの活用を後押ししている
日本では、2023年施行の改正資金決済法により、法定通貨と連動するステーブルコインを「電子決済手段」として位置付け、暗号資産とは別の枠組みで扱う制度が整備されました。発行や管理のあり方に加え、売買・交換・送金などを取り扱う側にもルールを設けることで、国内で安心して使える環境づくりが進んでいます。
こうした制度が整ったことで、民間企業が発行するステーブルコインについても、決済やサービス連携を検討しやすくなっています。
日本円ステーブルコインの選択肢の一つとして注目されている
JPYCは、日本円と連動するステーブルコインです。国内での利用を想定し、日本の法制度に基づいて発行・運用されていることから、日本円ステーブルコインの選択肢の一つとして注目されています。今後、制度や対応サービスが広がれば、さらに利用機会が増える可能性があります。
JPYCの買い方

JPYCは、一般的な暗号資産のように暗号資産取引所で自由に売買する通貨ではありません。入手方法や利用条件はサービスによって異なり、日本円での購入や特定の用途に限って使える場合があります。また、JPYCはブロックチェーン上で管理されるため、利用するサービスやネットワークに対応したウォレットが必要です。
提供方法や対応状況は変わることがあるため、利用する前に公式情報を確認しましょう。
なお、JPYCは現時点でCoincheckでは取り扱っていません。本記事では、JPYCの仕組みや特徴を紹介しています。
JPYCまとめ

JPYCは、決済や送金などで使われるステーブルコインです。利用できる場面やサービスには限りがあるため、仕組みや利用条件を確認したうえで利用しましょう。
JPYCをきっかけに、暗号資産やブロックチェーンに興味を持った方もいるかもしれません。Coincheckでは、ビットコインをはじめとした暗号資産をスマートフォンアプリから管理・購入できます。口座を開設しておくと、必要なときに取引を始められます。