フラクショナルNFTは、高額になりやすい1つのNFTの持ち分を、複数人で分け合って取引できるしくみです。
仕組みや従来型NFTとの違い、メリットとリスク、活用例について、本記事でわかりやすく解説します。
目次
フラクショナルNFTとは

フラクショナルNFT(Fractional NFTs)とは、1つのNFTの持ち分を複数人が分け合って保有・取引できるしくみのことです。部分NFTや分割型NFTとも呼ばれ、高額になりやすい1点もののNFTに、より少ない金額から関与しやすくする考え方です。
分割の具体的な方法はプロジェクトごとに異なり、多くはスマートコントラクトを用います。具体的な流れは「フラクショナルNFTの仕組み」の箇所で詳しく解説します。
従来型の1点ものNFTと比べると、付随する権利の範囲や持分の意味合いは大きく異なり、持ち分の比率やプロジェクトの設計によって権利が整理されます。
売買の大まかな流れは似ていることもありますが、取引される単位や利用するマーケット・サービスは異なることが多いです。
フラクショナルNFTの価格の考え方は?
フラクショナルNFTの価格の考え方は、「1つのフラクショナルNFTの価格×分割数」で算定することができます。
しかし、全てのフラクショナルNFTがその価格で市場で売却できるとは限らないため、実際の価格は「1つのフラクショナルNFTの価格×分割数」よりも小さくなると考えたほうが適切です。
フラクショナルNFTの仕組み

フラクショナルNFTとは分割されたNFTで、基本的な仕組みや売買の方法はNFTと同様です。
一方で、フラクショナルNFT特有の仕組みがいくつか存在するため、一般的な仕組みを解説します。
NFTを分割する
フラクショナルNFTを作成するには、何らかのスマートコントラクトを用いてNFTを分割する必要があります。
一般的には、NFTをスマートコントラクト上に保管したうえで、持ち分を表すトークンを発行することで、NFTを分割してフラクショナルNFTとします。
フラクショナルNFTを統合する
フラクショナルNFTは、一般的にNFTに対してすべてのフラクショナルNFTを集めることで、元々の統合されたNFTに戻すこともできます。
ただし、あくまでもこれは理論的に可能というだけで、何千、何万と分割されたフラクショナルNFTをすべて買い集めることは困難であるため、フラクショナルNFTの規模感によるといった前提は必要です。
また、すべてのフラクショナルNFT所有者が売却・譲渡に同意する必要もあることが一般的です。
権利の範囲
フラクショナルNFTは、元々のNFTが有する権利がすべて分割されているとは限りません。
フラクショナルNFTのメリット・従来型NFTの違い

フラクショナルNFTは従来型のNFTを分割したNFTで、場面によりNFTの利便性を向上させることができます。
フラクショナルNFTのメリットと、従来型NFTとの違いを解説します。
購入のしやすさや流動性が向上する
従来型のNFTは分割して所有することができず、例えば人気のNFTなどは高額になるため、購入がしにくいうえに売却時もスムーズではないことが一般的です。
一方でフラクショナルNFTは分割されていることから一小口が少額になるため、購入のしやすさや流動性が向上します。
NFTの価値の判定がしやすくなる
フラクショナルNFTは分割されている結果、流動性が向上するため、部分部分への価格が適宜つきやすく、NFTの価値が判定しやすくなります。
もちろん、全てのフラクショナルNFTが同時期に売却されれば需要と供給の問題で価値は下落しますが、フラクショナルNFTが想定される使い方をされていれば、価値判定には有用です。
クリエイター収益源の増加
高額なNFTを販売しているクリエイターは、NFTが高額であるがゆえに売却できるタイミングも限られるでしょう。
フラクショナルNFTを用いることで、高額なNFTを分割して市場に供給できるため、参入者が増加している局面では、フラクショナルNFTを用いることでクリエイターの収益源が増加します。
分割を統合することができる
フラクショナルNFTはその名の通り分割NFTですが、一般的には全てのフラクショナルNFTを集合させることでNFTを統合することが可能です。
そのため、何らかの理由によりフラクショナルNFTを従来型のNFTに戻したい需要にもこたえることができます。
区分所有を効率的に管理できる
区分所有には制度的な不都合や手続きの煩雑さが伴いますが、フラクショナルNFTを用いてブロックチェーン上で権利管理をすることで、区分所有を効率的に管理することができます。ただし、トークンを保有することで登記上の所有権が移るわけではありません。
フラクショナルNFTのデメリットやリスク

フラクショナルNFTには、主に法整備や国境を越えた場合の規制の違い、スマートコントラクトの脆弱性がある可能性など、様々なデメリットやリスクが存在します。
それぞれ詳しく解説していきましょう。
法的な整備が整っていない
フラクショナルNFTに限らず、NFTや暗号資産、ブロックチェーンに関連する法整備は十分とは言えない状況であるため、フラクショナルNFTに何らかの法的なリスクが発生する可能性があります。
フラクショナルNFTの持ち分を保有しても、元々のNFTが有する権利がそのまま持ち分に応じて分割されるとは限りません。何が認められるかは、スマートコントラクトの仕様や利用規約によって決まります。
国境を越えた場合の規制の違い
先述の通りブロックチェーンに関する規制は不十分であるため、フラクショナルNFTが国境を越えて所有された場合、規制や権利の範囲がことなり、フラクショナルNFTに付随する権利が行使できなかったり、規制が行われたりする可能性があります。
フラクショナルNFTを所有し、なんらかの権利を使いたい場合は、自身に適用される国や地域の法律を一度確認する必要があります。
スマートコントラクトの脆弱性
フラクショナルNFTはスマートコントラクトにより分割されますが、スマートコントラクトに脆弱性がある可能性もあるでしょう。
フラクショナルNFT自体が、従来型NFTと比較して新しい技術です。そのため、フラクショナルNFTに関連するスマートコントラクトの脆弱性などはまだ十分に対策・検証されているとはいいにくく、なんらかの脆弱性が発現する可能性も否定できません。
フラクショナルNFTが活用できる場面

フラクショナルNFTは分割可能なNFTという性質上、比較的高額になりやすいアート作品や不動産、RWAなどに活用できると考えられています。
どのような場面で特に活用が期待できるかを解説します。
高額なアートや芸術作品
高額なアート・芸術作品は、億単位以上の価格がつけられることがあります。
個人投資家の範囲では投資が難しいジャンルですが、それらに紐づくNFTが分割されることにより、ある程度手が届きやすい価格となり、投資が活発化する可能性があるでしょう。
また、分割して保有できることにより、部分部分の流動性が向上し、より価格反映が密になることが想定されます。
不動産
不動産は区分所有に関する法規制が複雑であるため、フラクショナルNFTとして扱うことに比較的適しているものだといえるでしょう。
似たような概念では不動産のREITなどがありますが、REITは実際の所有権には結びついておらず、不動産から得られる利益を受け取れる仕組みです。
不動産をフラクショナルNFTで扱う場合、不動産のREITと似た構造になることが多いと考えられますが、より規模や案件を絞った投資などに活用できる可能性があります。ただし、不動産から生じる収益の分配を伴う場合、設計によっては金融商品取引法などの規制対象となる可能性があります。
RWA的な動産
RWAとは「Real World Asset(リアルワールドアセット)」の略称で、現実にある資産をブロックチェーン上でトークンにしたものです。
現実にある資産をトークン化したものですから、基本的には高額になることが一般的です。また、現実の資産であるため、それを物理的に分割することは困難であるため、フラクショナルNFTを用いることで投資が活発化される可能性があります。
フラクショナルNFTの実例

フラクショナルNFTはすでに一部のNFTやNFTプロジェクトにおいて、概念的なものも含めて実装されています。
これまで実施されたフラクショナルNFTの実例を解説します。
CryptoPunks
CryptoPunksは、ひとつのNFTが数千万円〜数億円になることもあるアート系のNFTです。
イーサリアムブロックチェーン上で発行された最古のNFTであるため、NFTコレクターからの需要が高いです。
NOT A HOTEL
NOT A HOTELとは、別荘やホテルなどの施設の宿泊権利を分割してNFT化しています。
NFTを分割したフラクショナルNFTではありませんが、RWAの権利を分割化したNFTであるため、フラクショナルNFTとも表現できるプロジェクトといえるでしょう。
PleasrDAO
PleasrDAOとは、DogeのNFTのような有名なNFTを共同購入・共同所有するDAOです。
保有しているNFTをフラクショナルNFTとして流通させており、高額NFTのフラクショナルNFT化が試みられています。
フラクショナルNFTのまとめ

フラクショナルNFTは一見難しそうな概念ですが、基本的には「1つのNFTの持ち分を、スマートコントラクトなどで複数人が分け合う」と捉えるとよいです。
フラクショナルNFTの機能は分割された従来型NFTであるため、フラクショナルNFTに対して何らかのメリットを感じた場合、フラクショナルNFTを利用してみても良いかもしれません。