イーサリアムを投資信託のように取引できる「イーサリアムETF」。アメリカでは2024年に現物ETFの取引が始まり、香港でも上場するなど、イーサリアムを金融商品として扱う動きが世界的に広がっています。
では、日本ではどうでしょうか。
この記事では、イーサリアムETFの仕組みや海外での動向を整理しながら、2026年1月時点における日本の現状と今後の見通しを解説します。
目次
イーサリアムETFとは?
イーサリアムETFとは、イーサリアム(ETH)の価格に連動するよう設計された上場投資信託です。暗号資産を直接保有することなく、証券口座を通じてイーサリアムの値動きに投資できる仕組みになっています。
通常、イーサリアムに投資するには、暗号資産取引所で口座を開設し、ウォレット管理やセキュリティ対策を行う必要があります。しかし、ETFであれば、株式や投資信託と同じように証券市場で売買できるため、管理の手間を抑えながら投資できる点が特徴です。
なお、イーサリアムETFには、先物価格に連動するタイプと、実際にイーサリアムを保有して運用される「現物ETF」があります。
先物ETFは、イーサリアムそのものではなく、先物取引の価格に連動するよう設計されています。規制下の先物市場を利用するため制度面で整理しやすい一方、先物価格と現物価格の差や、契約の入れ替えによる影響を受ける場合があります。
一方、現物ETFは、実際にイーサリアムを保有して運用されます。イーサリアムの価格が動くとETFの価格も同じ方向に動きやすく、仕組みを理解しやすい点が特徴です。近年は、この現物ETFに注目が集まっています。
詳しくは 現物ETFとは をご覧ください。
イーサリアムETFは日本で買える?
2026年1月時点で、日本国内の証券市場ではイーサリアムETFを取引することはできません。日本の金融商品取引法では、暗号資産はETFとして上場できる対象に含まれていないためです。
一方、海外ではイーサリアムETFの上場が進んでいます。アメリカでは2024年7月、米証券取引委員会(SEC)の承認を受け、BlackRockやFidelityなど大手運用会社による現物イーサリアムETFの取引が始まりました。また、香港では2024年4月に、CSOP Asset Managementなどが運用する現物ビットコインETFおよび現物イーサリアムETFが香港証券取引所に上場しています。こうした動きを受け、日本でも今後の動向に関心が向けられています。
なお、日本の証券会社を通じて海外上場のETFを購入できる場合もありますが、為替変動の影響を受けるほか、売買手数料や税制上の取り扱いが国内商品とは異なるケースがあるため注意が必要です。実際に取引を検討する場合は、取り扱いの有無や条件を事前に確認し、仕組みやリスクを理解したうえで判断しましょう。
イーサリアムETF承認までの歴史
イーサリアムETFは、申請から承認までに一定の時間を要しました。ここでは、これまでの主な動きを時系列で整理します。
2017〜2020:初期申請の相次ぐ却下
イーサリアムをETFとして上場させる動きは、イーサリアムの普及が進み始めた2017年ごろから見られるようになりました。しかし当時は、市場規模がまだ小さく、価格形成の透明性や取引の監視体制も十分とはいえない状況でした。
そのため、資産運用会社などによるETFの申請は行われたものの、規制当局は投資家保護の観点から慎重な姿勢を取り、承認には至りませんでした。当時は、暗号資産市場全体が発展途上にあり、ETFとして上場させるための前提条件が十分に整っていなかったためです。
この時期は、イーサリアムに限らず、暗号資産を金融商品としてどう位置付けるかが模索されていた段階でした。
2021:米でイーサリアム先物ETFが上場
2021年、アメリカでイーサリアム先物に連動するETFが上場しました。これは、イーサリアムそのものを保有するのではなく、先物取引の価格に連動するよう設計されたETFです。
先物取引は、すでに金融規制の枠組みの中で管理されており、取引の監視体制やルールが整っていました。そのため規制当局は、現物ETFに先行する形で、まず先物ETFの上場を認めたのです。
ただし、先物ETFはイーサリアムの現物を保有しないため、価格の動きが必ずしも現物と一致するとは限りません。このため、現物イーサリアムに連動するETFの承認は、引き続き慎重に検討されることになります。
2024/4:香港で現物BTC・ETH ETFが上場
2024年4月、香港証券取引所において、ビットコインおよびイーサリアムの現物を保有して運用されるETFが上場しました。運用を手がけたのは、CSOP Asset Management、Harvest Global Investments、Bosera Asset Managementなどの資産運用会社です。
これらのETFは、実際に暗号資産を保有し、その価格に連動する形で運用される仕組みとなっており、アジア地域で初めて、暗号資産の現物を裏付けとするETFが制度のもとで取引される事例となりました。
この時点では、アメリカでは現物イーサリアムETFはまだ承認されておらず、香港が先行する形となっています。香港での上場は、イーサリアムについても、一定の規制と管理体制のもとであれば現物ETFとして取引可能と判断された、初期の実例といえます。
2024/7:米で“現物”イーサリアムETFが承認・取引開始
2024年7月、アメリカで現物イーサリアムETFが正式に承認され、取引が始まりました。承認されたのは、BlackRock、Fidelity、ARK Investなど、大手資産運用会社が手がけるETFです。
これにより、ビットコインに続き、イーサリアムについても、暗号資産の現物を裏付けとするETFが米国の証券市場で取引される環境が整いました。とくに、世界最大級の資本市場であるアメリカで承認されたことは、イーサリアムが投資対象として一定の位置づけを得たことを示す出来事として、市場関係者や投資家の関心を集めました。
2024〜2025:世界各地でETH ETF導入拡大
アメリカや香港での承認を受け、2024年後半から2025年にかけて、イーサリアムETFを検討・導入する動きが各国で広がりました。
ただし、すべての国がすぐに導入に動いたわけではありません。暗号資産への規制が厳しい国では、アメリカや香港での取引状況やトラブルの有無を確認しながら、慎重に判断する姿勢が続いています。
2025/9:米SECが上場ルールを簡素化(ジェネリック基準)
2025年9月、米国の証券規制当局であるSECは、暗号資産ETFの上場手続きを一部簡素化しました。新たに導入された「ジェネリック基準」では、すでに承認実績のあるETFと同様の構造や運用方法であれば、個別審査の一部を省略できる仕組みが採用されています。
この変更により、ビットコインやイーサリアムの現物ETFと同じ運用形態をもつ商品は、上場までの手続きが比較的スムーズになりました。市場監視や情報開示といった要件は引き続き求められるものの、実務上の負担が軽減された点が特徴です。
審査をしているSEC(米証券取引委員会)はどういう機関?
SEC(Securities and Exchange Commission/米証券取引委員会)は、アメリカの証券市場を監督する政府機関です。株式や投資信託、ETFなどの金融商品が公正かつ透明に取引されるよう、市場ルールの整備や監視を行い、投資家を保護する役割を担っています。
イーサリアムETFを含む暗号資産関連ETFも、証券市場に上場する以上、SECの審査を受ける必要があります。審査では、価格が不当に操作されにくい市場環境であるか、取引を監視する体制が整っているかといった点が確認されます。
イーサリアムETFのまとめ
イーサリアムETFは、暗号資産を直接保有せずに、証券市場を通じてイーサリアムの値動きに投資できる金融商品です。アメリカでは2024年に現物イーサリアムETFが承認され、香港でも上場するなど、海外では制度のもとで取引が広がっています。
一方、2026年1月時点で日本国内では、イーサリアムETFを取引することはできません。ただし、海外での実績が積み重なる中で、将来的な制度の見直しに注目が集まっています。
イーサリアムETFは、今後の規制動向や市場環境の変化によって位置づけが変わる可能性があります。最新の制度や取引環境を確認しながら、自身の投資目的に合った選択を検討することが重要です。