DAppsとは?言葉の意味や仕組み、注目される理由を解説

DAppsとは、分散型アプリケーションを意味するDecentralized Applicatoinの略称です。DAppsはブロックチェーンとスマートコントラクトを基に構築される、次世代のアプリケーションと呼べるでしょう。

この記事では、DAppsの仕組みやメリット、特徴などを図解などを交えながら解説していきます。

DAppsとは

hoge

ブロックチェーンや暗号資産関連では、略語によって省略形が変わるものの、分散型(Decentralized, 略:De-)という言葉をよく使います。

たとえば、DeFiやDAOといった、分散型金融(Decentralized Finance)や分散型自律組織(Decentralized Autonomous Organization)の「De」や「D」も分散型を指しており、DAppsも例に漏れず分散型アプリケーションを意味する「Decentralized Applicatoin」の略語となっています。

DAppsは「dApps」や「Dapps」、「DApps」のように表記方法に揺れがありますが、DeFiやDAOのような表記法則に則り、DAppsと表記すると分散型のアプリケーションを意味する言葉であると理解しやすいかもしれません。

DAppsは「スマートコントラクト」を応用したものであり、デジタル上の価値交換を第三者なしで行える機能が搭載・活用されるケースが多いです。

DAppsはとくにゲーム分野での利用が盛んであり、NFTゲームやブロックチェーンゲームなどはほぼ全てがDAppsにあたると言えます。

また、スマートコントラクトを扱える暗号資産・ブロックチェーンは多数ありますが、DAppsプロジェクトの多くはイーサリアム(ETH)を基盤として構築されることが主流となっています。

従来のアプリとの比較

hoge

分散型アプリケーションであるDAppsは、従来のアプリケーションと比較すると次のような特徴があります。

  • 改ざんが困難
  • ゲーム内アイテムの売買が可能
  • 運営主体が分散型
  • アップデート・変更にユーザーの合意が必要

それでは、それぞれの特徴について解説していきます。

改ざんが困難

1つ目の特徴が「改ざんが困難」という点です。
DAppsはデジタルデータやその履歴をブロックチェーンで管理しています。また、DAppsでは暗号資産やNFTを扱うため、信頼性の担保のためにアプリケーションの構造・プログラムが全て公開されているオープンソースとよばれるアプリケーションになっています。

利用者は不正な動作を監視できるうえ、ブロックチェーンに書き込まれたデータは改ざんが困難であるため、セキュリティへの信頼性が高いでしょう。

ゲーム内アイテムの売買が可能

2つ目の特徴は「ゲーム内アイテムの売買が可能」という点です。

DAppsゲーム内のアイテムは、基本的にはトークンとなっているケースがほとんどです。ゲーム内アイテムもブロックチェーンに基づいているため、他のユーザーとのアイテム売買が可能になります。
トークンはブロックチェーンに基づいており、売買や交換などはスマートコントラクトを活用して第三者抜きで直接安全に行うことができるため、リアルマネートレードで問題とされる詐欺行為などが起こりにくくなっていると言われています。

運営主体が分散型

3つ目の特徴は「運営主体が分散型」という点です。

DAppsはトップダウン型で運営されていないことが多く、分散性の高い組織により運営されています。スマートコントラクトを活用することで、仲介者となる第三者が不要で契約が可能になるため、トークンや資産のやり取りなどのDAppsの主要機能の自動化が叶います。

運営主体がおらずオープンソースで管理されるため、個人情報を不当に利用されにくいという特徴もあります。

アップデート・変更にユーザーの合意が必要

4つ目の特徴は「アップデート・変更にユーザーの合意が必要」という点です。

DAppsでは、アップデートやシステムの変更にユーザーの合意が必要になります。一般的なアプリケーションでは開発元が独断で更新や変更をすることができますが、DAppsではユーザーの合意形成を行わないとプログラムの変更ができません。

そのため、特定のユーザーだけに有利だったり、ユーザーが大きく損をしたりするようなアップデート・更新は、ユーザーから反対されて実装されないことがほとんどです。

DAppsの注目の理由

DAppsが注目されている理由としては、取引に関する詐欺が起こりづらい、中央管理者の意思に左右されない、 経済的な自由度が上がるなどが挙げられます。

取引に関する詐欺が起りづらい

DAppsで行われた取引は、基本的に取引の履歴(トランザクション履歴)を閲覧することが可能です。トークンの売買・交換でスマートコントラクトを使えば第三者を必要とせずに契約の履行が可能であり、さらにはブロックチェーンからその取引を確認できるため、取引の透明性が高く、詐欺が起こりにくいと言えるでしょう。

中央管理者の意思に左右されない

DAppsのアプリケーションの更新や変更は、管理者の独断により行うことはほぼ不可能でしょう。アプリケーションへ変更を加える際にはユーザーの同意が必要になるため、ユーザーに不利益のあるような提案はほぼ却下されるでしょう。

経済的な自由度が上がる

たとえばDAppsのゲームではゲーム内で手に入れたNFTをCoincheck NFTのようなNFTマーケットプレイスで売却することが可能です。

現在ではプロゲーマーというと、動画配信の広告収入や投げ銭、プロチームに所属するといったことで収益を得ています。つまり、ゲームプレイで獲得したアイテム等で収益化をしていないのです。
DAppsはサービスに乗っているトークンの交換性や換金性に優れているため、買い手が存在すればアイテムを暗号資産などに換金することができます。

また、DAppsはひとえにゲームだけを指すわけではなく、分散型の暗号資産取引所(DEX)などもDAppsの一種として存在しています。そういった分散型の取引所で暗号資産の取引を行うことでも利益を上げることができます。

DAppsの課題

hoge

今までのアプリケーションには無かったメリットがあるDAppsですが、解決すべき課題も存在しています。

取引に手数料が生じる

DAppsはトークンのやり取りなどの機能で、ブロックチェーンを使う必要があります。データの管理をブロックチェーンで行っているため、売買や交換などの取引はすべてブロックチェーンに書き込む必要があります。つまり、ブロックチェーンの利用には手数料を支払わなければなりません。

取引を行う金額ベースではなく、取引回数により手数料が発生するため、どんな少額の取引でも手数料が生じてしまうことは、課題の一つと言えるでしょう。

スケーラビリティ問題

イーサリアム(ETH)では手数料(Transaction fee)は「ガス代」と呼ばれており、ネットワークの使用量・処理の数によって手数料が高騰するしくみとなっています。

ブロックチェーンが処理できるデータの量は単位時間あたりで決まっているため、処理したいデータ量が処理できるデータ量を上回ってしまうと、取引に遅延が生じたり、取引にかかる手数料が大幅に高騰したりします。

今後、DAppsなどが発展して取引数が増加すると、手数料高騰や取引遅延は避けられない問題となります。この問題を「スケーラリビティ問題」といい、解決を図るべくして立ち上げられたプロジェクトはいくつも存在します。

プログラム修正に時間がかかる

中央管理者不在のため、バグが生じた場合に参加者の合意形成が必要になるため、修正までに時間がかかる傾向にあります。

また、ユーザー全員がソースコードを読み込むわけでもないため、ユーザー全員がバグ修正のために理想的な合意形成を行えないケースや、そもそもバグに気付けないといったケースも想定できます。

DAppsの具体例

hoge

ゲーム

DApps で運営されるゲームは、ブロックチェーンゲームやNFT ゲーム、DApps ゲームなどと呼ばれますが、本記事では便宜上DApps ゲームとします。

たとえば、マイクリプトヒーローズというブロックチェーンゲームは、ゲーム内でNFT がアイテムとして入手できることがあります。このNFT はユーザー同士で自由に譲渡・売買することができるため、ゲームで入手したアイテムを資産のように扱えるのです。

また、DApps ゲームではNFT のドロップ率などは、あらかじめスマートコントラクトにて設定されているため、入手率の透明性が高いです。入手したNFT やデジタルアセットはゲームの運営会社ではなく、個人が所有できるため、サービスが終了したとしてもアイテムを保持し続けられます。

分散型取引所(DEX)

DApps の活用例として、分散型取引所、通称DEX が挙げられます。既存の取引所では、第三者の仲介者である取引所が売買を取り仕切っていましたが、分散型取引所はスマートコントラクトで契約を履行して売買を行うため、ユーザー同士だけでの暗号資産・トークンなどの取引が可能です。

そのため、取引所へのハッキングによる資産流出リスクを減らしたり、実際に暗号資産を保有したりするメリットなどが生まれます。代表的なDEX の例としては、Uniswap などの取引所が挙げられるでしょう。

暗号資産(ICO トークン)

hoge

ICO などのトークン発行はイーサリアム上で行われることが多いですが、イーサリアム上ではスマートコントラクトだけでトークンを発行することができます。

つまり、第三者を必要とせず、価値や機能を持たせることができるトークンが作れます。そのため、ICO などのトークン発行機能もDApps であると言えるでしょう。

DAppsの始め方

hoge

DAppsをはじめるには、以下のような手順を踏む必要があります。

  • 1.暗号資産取引所で口座開設・暗号資産の購入
  • 2.ウォレット(MetaMaskを例に紹介)へ送金・DAppsサービスを連携

暗号資産取引所の口座開設・暗号資産の購入

まずは、DApps内で使う暗号資産を手に入れるために、暗号資産取引所で口座を開設しましょう。口座開設ができたら、暗号資産を購入します。

ウォレット(MetaMaskを例に紹介)へ送金・DAppsサービスを連携

暗号資産を購入できたら、暗号資産取引所から自身のウォレットへ送金しましょう。送金が完了したら、ウォレットとDAppsサービスを連携させれば利用可能になります。

まとめ

暗号資産の発展と共に知名度を上げているDApps。より使い勝手がよくなり、スケーラリビティ問題が解決できれば、アプリケーションの在り方が置き換わるほどのインパクトが起きるかもしれません。

DAppsとしてアプリケーションを開始することにより、今までは提供が難しかったようなサービスが提供可能になることもあるでしょう。