「アービトラージって何?」「アービトラージの仕組みとやり方を知りたい」
このような疑問を解決できる記事となっています。
暗号資産(仮想通貨)の1つの手法として覚えておくのも損はありません。
アービトラージのメリット・デメリットや注意点、具体的なやり方などについて解説していきます。
目次
暗号資産アービトラージ(裁定取引)とは

アービトラージ(裁定取引)とは、証券会社や暗号資産取引所で生じる価格差(サヤ)を利用して利益を獲得する手法です。「裁定取引」「スプレッド取引」「サヤ取り」とも呼ばれ、通常の売り・買いと比較するとリスクを抑えた投資手法の一種です。
暗号資産アービトラージの仕組み

アービトラージの仕組みは、相場よりも割安な価格を提示する取引所で暗号資産を購入し、相場よりも割高な価格を提示する取引所で暗号資産を売却することです。価格が相場に近づいた場合には、反対売買を行えばリスクの低減を狙えます。
利益は「価格差 ー (売買・送金などの手数料)」で決まります。
暗号資産アービトラージの代表的な手法
暗号資産アービトラージの手法は、多種多様です。元々、アービトラージは株式や為替市場で頻繁に使われている投資手法ですが、取引時間に制約があったり、規制が整っていたりするため、価格差が発生しにくい状況にありました。
しかし、暗号資産市場は、発展途上のため、暗号資産市場に適したアービトラージの手法が確立されてきました。ここでは、暗号資産アービトラージの代表的な利益の生み出し方を紹介します。
取引所間アービトラージ
「取引所間アービトラージ」とは、暗号資産の価格が異なる複数の取引所を利用する方法です。各取引所では、同じ銘柄の暗号資産でも数パーセントの価格差が発生します。需要と供給のバランスが崩れたり、出来高の偏りがあったりすることが価格差の要因です。アービトラージの基本的な手法であり、複数の取引所の口座を開設すれば誰でも行える点がメリットといえます。
取引所間アービトラージでは、短期的な価格差の「サヤ取り」をしなくてはいけません。そのため、流動性が高く、利用者数の多い取引所を選定する必要があります。板が薄い取引所では注文が通りにくく、スリッページ(注文レートと約定レートの差)で利益を削られる恐れがあるため、注意してください。
三角アービトラージ
1つの取引所内で、複数の通貨ペアの価格差を利用して利益を獲得する手法を「三角アービトラージ」と呼びます。

例えば、ビットコイン(BTC)、イーサリアム(ETH)、リップル(XRP)が異なるレートで取引されていたとします。三角アービトラージでは、BTCをまずETHに換え、そのETHをXRPに交換し、最後にXRPをBTCに戻します。
わずかな価格変化が損失に繋がる恐れがあるため、複数のペアを同時に監視し、素早く注文を出せる環境が求められます。場合によっては、外部ツールに頼る必要があるでしょう。トレーディングツールや専用サービスを利用する、あるいはプログラム(自作自動化BOTなど)を組んで対応するケースが見受けられます。
C&C(キャッシュアンドキャリー)
C&C(キャッシュアンドキャリー)とは、先物取引と現物取引の価格差を利用して利益を獲得する手法です。証拠金を預け入れる必要がありますが、少額の資金で大きな金額を動かせることがメリットです。
先物取引のメリットは、レバレッジをかけられることです。運が良ければ、大きなリターンが得ることができる可能性があります。しかし、相場の急変で証拠金が足りなくなった際には、強制決済に至る恐れがあります。レバレッジを大きくするほどに、強制決済にならないよう管理することが難しくなるため注意しましょう。
また、取引所によっては先物取引に独自のルールがあったり、そもそも先物取引に対応していなかったりします。事前に確認しておきましょう。
暗号資産アービトラージの事例
アービトラージには様々な種類がありますが、取引所間の価格差を利用し、数千円程度の利益を獲得している人がいるようです。どのケースにおいても、割安の取引所でBTCやETHを購入し、割高な取引所で売却しています。
2018年ごろからは、暗号資産の自動売買ツールが各社から販売されています。暗号資産や投資の知識を持っていなくても、プログラムがルールに従って自動で取引を行ってくれるため、感情に左右されない投資ができるでしょう。
暗号資産アービトラージのメリット

アービトラージは、株式や為替市場などの様々なシーンで利用されてきた、実績のある投資手法です。板読みやチャートを予測するスキルが求められますが、上手く活用できれば利益を獲得できるかもしれません。
1. 初心者でも取り組みやすい
アービトラージは、暗号資産の知識が少ない人でも取り組めます。暗号資産には様々な専門用語が登場しますが、多くを覚える必要はないといえるでしょう。
アービトラージは投資の手法であり、本質は「割安の取引所を買う」「割高の取引所で売る」の2つです。さらに、従来の「板読み」「チャート分析」などのテクニカル分析の手法が応用でき、多種多様な戦略に対応しています。
2. 価格差さえあれば24時間取引できる
暗号資産取引所はメンテナンス時間を除けば、24時間取引ができます。暗号資産の価格は、短時間で乱高下する場合があり、自分のタイミングでトレードを行っても利益を獲得できる可能性があります。
3. タイミングを選べばローリスク
アービトラージは、タイミングを選べばローリスクで利益が得られる可能性があります。例えば、BTCでは半減期前後や、暗号資産に関するニュースが報道されれば、価格が変動する傾向です。相場や社会情勢を確認しておくと、リスクを下げながら運用できるでしょう。
暗号資産アービトラージのデメリット・リスク

損失のリスクを下げながら利益を狙えるアービトラージですが、メリットだけではありません。株式や為替の投資と同様のデメリットや、暗号資産特有の問題があります。
1.ローリターン
投資手法の中でも、アービトラージはローリターンと言われています。各取引所間の暗号資産の価格差が、決して大きくないためです。
大きな利益を狙う場合には、それ相応の資金と取引回数が必要になる傾向があります。
ただし、アービトラージは価格差や手数料、送金速度などの条件によって損失が発生する可能性もあるため、取引コストやリスクを十分に確認することが重要です。
2.「待ち」による時間的拘束
アービトラージは暗号資産の価格差を見定める投資手法のため、時間的な拘束がデメリットになる可能性があります。暗号資産の価格は、24時間変動しています。堅実に利益を獲得するのであれば、価格の変動をチェックし、適切なタイミングで購入・売却を行う必要があるでしょう。
3. 売却までの価格変動リスク
暗号資産は売却までに時間を要する場合があり、その間に価格が変動してしまうリスクがあります。取引完了までにかかる時間は、暗号資産によって様々です。最短で数秒、最長で数日かかる場合があります。
例えば、ビットコインの送金は、10分~60分程度かかると言われています(※平均して10分ごとに新しいブロックが作成されるため、混雑時には、送金に数時間以上要する場合もあります)。
送金が完了するまでの間に想定していた価格差が消えてしまえば、手数料を差し引いて損失が発生するかもしれません。
4.送金の失敗(セルフGOX)
暗号資産の送金には、細心の注意を払うべきです。暗号資産の取引は、透明性やセキュリティ性が高いメリットがありますが、送金先を間違えてしまうと取り消すことはできません。
最悪のケースでは、暗号資産を紛失、もしくは引き出し不可能な状態になってしまいます。
いわゆる自分の操作ミスで資産を失うセルフGOX(例:送金先のアドレス・ネットワーク・タグを間違える)に該当します。
暗号資産アービトラージのBOT・自動化とは
アービトラージBOTは、暗号資産の価格差を監視し、自動的に取引を実行するプログラムです。各社から販売されている専用ソフトを使用したり、取引所から発行されるAPIで自作プログラムを組んだりして、アービトラージの自動化を行います。
暗号資産のアービトラージでは、時間的な制約や個人的な感情などの様々な要素が利益獲得の阻害因子となります。しかし、売買を自動化すれば、プログラムに従って正確に取引が行えるでしょう。
アービトラージBOTは大変便利なツールですが、詐欺事件も横行しています。「詐欺まがいなアービトラージBOTを販売する行為」「アービトラージのセミナーと偽り、無理矢理商品を契約させるマルチ商法」などが増えているのが現実です。
最悪のケースでは、デジタル資産や金銭を盗まれる可能性があります。「簡単に不労所得が得られる」のような甘い誘いには、十分注意してください。
暗号資産アービトラージの手順

スムーズに暗号資産アービトラージを始めるには、具体的な手順を理解しておく必要があります。口座開設後には、暗号資産と日本円が必要です。
ある程度の利益を得ようとするのであれば、可能な限りまとまった資金を確保しておくといいでしょう。ここでは、暗号資産アービトラージを始めるための手順を紹介します。
STEP1. 取引所への口座開設
アービトラージを始めるには、取引所の口座開設が必要です。加えて、アービトラージで利益を生み出しやすくするには、できるだけ多く口座を開設することがポイントです。登録を受けた国内の暗号資産交換業者については、できるだけ多くの取引所で口座開設をしておくといいでしょう。
STEP2. 実際の日本円による入金
取引所で口座を開設したら、日本円を入金します。アービトラージで大きな利益を出すには、まとまった資金が必要です。また、暗号資産購入時や送金時には手数料がかかるため、できるだけ多く資金を持っている方が安心して取引できます。
効率良く利益を生み出していくためには、ネット銀行を利用するとスムーズです。加えて、ネット銀行を活用するのであれば、クイック入金対応をしている取引所を選ぶようにしましょう。Coincheckではクイック入金サービスも提供しています。(※ただし、入金した日本円合計額の全額に相当する日本円・暗号資産につきましては、ご入金日より7日間出金・送金・振替ができません)
STEP3. 相場のチェック
入金を済ませたら、各取引所で暗号資産の価格差をチェックしていきましょう。対象の暗号資産に価格差が発生していれば、購入します。
ただし、各取引所のサイトを開いて価格差を確認するやり方では、時間ばかりがかかってしまいます。効率良く価格差を把握するには、各取引所の暗号資産の価格を一覧で表示してくれるアプリなどを使うとスムーズです。
STEP4. 他の取引所に送金
取引所間で対象の暗号資産の価格差を確認したら、送金・購入や売却をして利ザヤを取ります。予め登録している全ての取引所にビットコインを置いておき、スムーズなスタートができるよう準備をしておきましょう。
暗号資産のアービトラージで失敗しない2つのコツ

暗号資産のボラティリティは大きいだけではなく、些細な出来事をきっかけに急激に変動するケースが見受けられます。板やチャートの変化のたびに取引を行えば、手数料がかさみ、損失ばかりになってしまうでしょう。アービトラージで失敗しないためにも、投資のルールを決め、冷静に対応する必要があります。
コツ①「値動き」が大きいタイミングを狙う
アービトラージでは、値動きの大きいタイミングを狙うといいでしょう。取引所の価格差が発生しているときは、暗号資産の値動きも大きくなる傾向です。タイミングを見極めるためにも、相場の動きをこまめにチェックしてください。
コツ②ビットコイン(BTC)を各取引所に置いておく
暗号資産によるアービトラージを行う際は、各取引所にビットコイン(BTC)と現金を置いておくようにしましょう。アービトラージは価格差を見極め、スピーディな対応が求められる投資手法です。手元にBTCや現金がなければ入金や送金の手間がかかり、機会を損失する可能性があります。
暗号資産アービトラージに向くサービスとは
暗号資産のアービトラージで大切なのは、適切なサービス(取引所)を選ぶことです。暗号資産の価格差取引(アービトラージ)は、収益が保証されるものではありません。アービトラージを繰り返すのに適切な取引所を選ぶ必要があるでしょう。 選定にあたっては名目上の手数料だけでなく、実質コスト(取引手数料/スプレッド/入出金・送金・ネットワーク手数料/最低発注単位/即時入金時の資産移動制限 など)や、流動性・板の厚み、セキュリティ体制、稼働実績、サポート、規制遵守状況を総合的に比較し、ご自身の目的・取引頻度・許容リスクに照らして判断してください。仕様や手数料は変更されるため、最新の公表情報をご確認ください。
弊社が運営する「Coincheck」では、BTCやETHを始めとする多くの暗号資産の購入手数料が無料です。頻繁に取引を行うアービトラージに適した取引所といえるでしょう。
暗号資産アービトラージによくある質問

アービトラージは単純な取引だと言われていますが、非常に奥が深い手法です。暗号資産の需要と供給や、取引所の特徴、法的知識まで身につけておけば、運用を有利に進めることができます。
Q. なぜ取引所ごとに価格差が生まれるのですか?
A.各取引所で、ユーザーの需要と供給のバランスが違うためです。
暗号資産の価格は、高額の売り注文が入ったときには価格が下落し、高額の買い注文が入ると価格は上昇します。ユーザーが売買するタイミングは取引所によって異なるため、結果的に価格差が生まれます。
しかしながら、実際に大きな価格差が生じるケースは、ほとんどありません。ただし、規模が小さい取引所では、価格が不安定になりやすい傾向があります。そのため、利ザヤを得るチャンスとも言えますが、価格の値動きには注意が必要です。
Q.アービトラージの手法をわかりやすく説明すると?
A.アービトラージの手法には、取引所間の価格差で利益を狙う「取引所間アービトラージ」や、複数の暗号資産のペアの価格差を狙う「三角アービトラージ」のほか、先物と現物の価格差を狙う「C&C(キャッシュアンドキャリー)」などがあります。
Q. アービトラージは海外取引所でもできますか?
A.できます。
ただし、海外の暗号資産サービスでも取引自体行うことができます。ただし、国内居住者が利用を検討する際は、各社の法令遵守状況、セキュリティ体制・資産管理方針・事故時の対応などを必ず確認し、ご自身の目的・経験・許容リスクに照らして判断してください。
なお、海外の取引所は、日本語に対応していない場合があり、取引が困難になる可能性もあるでしょう。加えて、基本的には日本円での取引が行えない点や、各国の規制やセキュリティ体制が国内業者と異なる可能性がある点も考慮に入れ、慎重に検討する必要があります。
海外の取引所は、日本語に対応していない場合があり、取引が困難になる可能性もあるでしょう。加えて、基本的には日本円での取引が行えないだけではなく、海外の取引所はセキュリティ面での不安も残ります。