仮想通貨は、株式や投資信託と同じように価格が上下しやすい特徴を持ちます。
仮想通貨は常に価格が一定という訳でなく、価格が急上昇することがある一方で、下落することも珍しくはありません。この価格差で利益を得ている投資家も多く存在します。
仮想通貨の価格は基本的に、需要と供給のバランスによって決まるといわれていますが、変動するときには、さまざまな要因が存在します。そこで今回は、仮想通貨が下落する要因について詳しく見ていきましょう。
仮想通貨の下落要因1:国による規制
仮想通貨の下落要因にはどのようなものがあるのでしょうか。
仮想通貨の価格に影響を及ぼすものとして「国による規制」は、忘れてはならない要因の一つです。国による規制について、押さえておきたいポイントがいくつかあります。
1. 金融庁による規制
1つ目が「金融庁による規制」です。
日本国内に目を向けてみると、仮想通貨の売買サービスを提供する仮想通貨の交換業者については、金融庁が監督をしています。仮想通貨の取引所は、金融庁の認可が無いと営業してはいけないとされています。
また、国内の仮想通貨の取引所は、取り扱い通貨がほかの国に比べて少ない現状があります。これは金融庁が認めているアルトコイン銘柄が少ないためです。
取引所が取り扱いできる通貨のことをホワイトリストといい、金融庁の規制次第ではこちらのホワイトリストが変動する可能性もあります。それに伴って仮想通貨の価格が変動する可能性もありますので、その点は注意しておいた方が良いでしょう。
2. 仮想通貨に対する規制の強化
2つ目が「仮想通貨に対する規制の強化」です。
日本国内に限らず、世界的に仮想通貨を規制する動きにも注意が必要です。中には、仮想通貨の取引自体を禁じている国もあるほどで、まだまだ法整備も発展途上の段階です。
仮想通貨への規制が強まると、将来を不安視して仮想通貨の価格が下落する可能性もあります。ただし、法整備が整えば逆に仮想通貨にプラスの側面もあるため、価格にどう影響を及ぼすのか、その都度法律の内容をよく把握することが大切です。
仮想通貨の下落要因2:金融情勢
続いて、各国の金融情勢が仮想通貨の価格に影響を及ぼすこともありえます。
金融情勢は、刻一刻と変化するものですが、変わるタイミングには例えば以下のような場合があります。
1. 自然災害で大きな被害が出た
1つ目が「自然災害で大きな被害が出た」ケースです。
地震や津波、洪水などの震災に見舞われると、一般的に景気は縮小する傾向にあります。いざという事態に備えて、現金の需要も増えることから、仮想通貨や金などの資産が売られる可能性もあるかもしれません。
2. 戦争やテロが発生した
2つ目が「戦争やテロが発生した」ケースです。
こちらも自然災害と同様に、金融情勢への影響が懸念されます。仮想通貨のみならず、様々な金融商品への影響が懸念されるため、常にこのようなニュースにはアンテナを張っておくと良いでしょう。
3. 経済情勢が大きく変わった
3つ目が「経済情勢が大きく変わった」ケースです。
中央銀行による金融政策や、外交問題などで経済が乱れると、仮想通貨などの投資対象もあおりを受けることがあります。実際に過去金融危機が発生したキプロスでは、資金の逃避先としてビットコインが選ばれました。
このように仮想通貨は法定通貨の代替としても注目されている側面がありますので、法定通貨の動向などにも注視すると良いでしょう。
仮想通貨の下落要因3:不正流出
仮想通貨が下落する要因には、仮想通貨の取引所などからの「不正流出」も挙げられます。不正流出について押さえておきたいポイントがいくつかあります。
1. セキュリティの問題
1つ目が「セキュリティの問題」についてです。
仮想通貨の取引所で売買を行った通貨は、自分のウォレットなどに移さない限り、一般的にその取引所のウォレットで保管することになります。その間に、取引所へハッキング攻撃などが起きると、資産が不正に流出してしまう可能性があります。
セキュリティ対策を講じていれば防げるものもありますが、自分のアカウントを乗っ取られないことや資産の保管方法にも細心の注意を払うことが大切です。
2. 過去にも度々事件が起きている
2つ目が「過去にも度々事件が起きている」点です。
2014年に仮想通貨の不正流出事件として話題になったのが、マウントゴックス事件です。これにより仮想通貨の価格が暴落したり、仮想通貨のイメージにも影響を与えました。
それ以降、業界では仮想通貨のイメージアップとともに、ハッキングリスクを回避するための法整備や技術開発が勧められています。
仮想通貨の下落要因4:利益確定売りの増加
仮想通貨を「利確売り」といって手放す人が増えると、価格にも影響が出ます。
利確売りとは、利益を確定するために売り注文を出すことを言います。利確売りが多くなるケースには、例えば以下があります。
1. 短期保有の人の利確売り
1つ目が「短期保有の人の利確売り」です。
仮想通貨を長期保有する人は、長い時間をかけて価格が上昇するまでホールドします。一方で、短期で売買している人は、短い期間で利益を確定します。
この、短期保有の人と長期保有の人の割合によって、値動きの仕方も異なって来ます。年度の節目やチャートが上昇して一段落したタイミングなど、売られやすいタイミングもあるため、チャートや動向をよくつかんでおきましょう。
2. 納税資金確保のための利確売り
2つ目が「納税資金確保のための利確売り」です。
日本の場合は仮想通貨で得た利益は、1年間でまとめて次の年の3月までに確定申告を行い、納税します。その際に、ポジションを持っている仮想通貨が多いと、納税のための現金が用意できない場合もあります。
そのため、年末には利益確定する人が多くなると考えられます。また、税金の関係で年末に利確して整理する人もいます。
このように仮想通貨を利確する人が増えると、価格は下落する可能性がありますので注意が必要です。
仮想通貨の下落要因5:広告規制
仮想通貨が下落した要因としては「インターネット上での広告規制」も挙げられます。
2018年ごろから、仮想通貨関連のインターネット上での広告の規制が厳しくなりました。多くの人が利用している検索エンジンのGoogleやFacebookなどのSNSでも、広告が禁止されたことがあります。
広告が禁止されると、仮想通貨の取引所を運営している企業などは、新規顧客獲得のための宣伝が難しくなります。結果として、仮想通貨を購入する人口も増え辛くなったりもします。
大手企業で広告が禁止されることのインパクトは大きく、実際に仮想通貨の下落に影響したと考えられています。それではなぜ、大手企業は仮想通貨の広告を禁止したのでしょうか。
考えられる理由としては、例えば「ICO(イニシャルコインオファリング)詐欺にあってしまう可能性があるから」です。仮想通貨はまだ法整備が十分でなく、詐欺などが横行している状況がありました。
特に、ICOと呼ばれる仮想通貨を使った資金調達では詐欺も多く、実際に騙された人も多くいました。そうした背景で、広告を打ち出すことを禁じたのかもしれません。
仮想通貨が下落したら売るべき?
仮想通貨がさまざまな理由により下落してしまったら、売るべきでしょうか。
確かに、下落の傾向が見られると、売りに出る人も少なくありません。損切りといって、少しでも損失を減らそうとする判断もあるでしょう。
また、下落すると不安になってしまって慌ててすぐに売る人もいます。こちらは、投資の初心者によく見られ、狼狽売りともいわれます。
しかし、下落したからといって必ずしも売れば良いという訳ではありません。長期的に見て上がりそうであればすぐに手放す必要もありませんし、売った瞬間に価格が反発してしまうこともあります。
その時々で、状況をよく見極めながら判断するようにしましょう。
仮想通貨が下落したら気をつけたいこと
仮想通貨が下落したら、気を付けたいポイントがいくつあります。
1. 安易に情報を鵜呑みにしない
1つ目が「安易に情報を鵜呑みにしない」ことです。
ネットには、仮想通貨の情報提供者などが存在しますが、中にはわざとネガティブなことを言って売らせようとする人も存在するかもしれません。そういった誤った情報に惑わされないためにも、確かな情報を入手するようにしましょう。
2. 損切りラインを決めておく
2つ目が「損切りラインを決めておく」ことです。
仮想通貨を購入する前に、ここまで価格が下がったらそれ以上損失が出る前に売ろう、というラインを設定するのも良いでしょう。損切りできずに、ずるずると価格が下がるのを眺めているだけという初心者は意外と多いものです。
損失を大きくしないためにも、最初に損切りラインを設定し、それを下回るようならば躊躇なく損切りを行うことも時には大切です。
3. 過去の下落前後の傾向を調べる
3つ目が「過去の下落前後の傾向を調べる」ことです。
さまざまな情報やデータから、自分なりの傾向を割り出し、今後の動向を予想してみるのも一つの方法です。誰かの真似をするのではなく、自分なりの投資スタイルを確立してみるのも良いでしょう。
仮想通貨の下落で利益を得る方法とは?
仮想通貨の下落は、投資家にとってはあまり喜ばしいことではありませんが、下落で利益を得る方法も存在します。それが「仮想通貨のレバレッジ取引」です。
レバレッジ取引とは、少ない資金で多くの通貨を売買することができる方法です。ハイリスクハイリターンな方法として知られていますが、レバレッジ取引では「売り」の注文を出すことができます。
売り注文を行うと、下落相場でも利益を出すことができるのです。下落トレンドの状態など、下落すればするほど利益を得ることができるので、通常の現物取引に慣れてきたら、場合によっては活用してみるのも良いでしょう。
ただし、下落は上昇よりもスピードが早いことが多いので、早めの判断が大切です。また、初心者にはハードルの高い取引になりますので、これから仮想通貨取引を始める場合は、まずは通常の現物取引から始めてみるのが良いでしょう。
※Coincheckでは、2020年3月13日をもちまして、レバレッジ取引のサービス提供を終了いたしました。
今後の仮想通貨の値動きは過去から学ぶ
仮想通貨はこれまでも、価格の上昇と下落を繰り返してきましたが、今後はどんな値動きが予想されるのでしょうか。
大事になるポイントの一つが「仮想通貨の将来性」です。未来の通貨として期待されているだけでなく、一部の仮想通貨は今後幅広いシーンでの活用が予想されています。
金融機関における国際送金や、飲食店での決済、一部の業界での書類の記録など、さまざまな場面で活用される日もそう遠くないかもしれません。仮想通貨が実用化するまでは、これまでと同様に上昇と下落を繰り返すと考えられるため、下落後の動向に注意して取引するのが良いでしょう。
仮想通貨は、これまでの動向からも分かる通り、常に価格が変動するものです。その価格変動には、世界情勢や規制などさまざまな要因が関係しています。
今後、仮想通貨はまだまだ発展が期待されているので、正しい情報を手に入れて賢く投資することが大切です。過去の動きを参考にすることで、今後の値動きも上手に予想していきましょう。