投資の一つとして知られるFXですが、暗号資産(仮想通貨)の取引にもFXがあるのを知っていますか。
全く別のものと思う人も多いですが、暗号資産FXはFXの特徴を持った暗号資産取引で、資金を増やしている人が少なくありません。FXというとハイリスク・ハイリターンなイメージが強く、よく分からないまま取引を始めて損してしまうということもあります。
これから暗号資産FXを始めようと思っている人は、特徴やメリット・デメリットについて正しく理解しておく必要があるでしょう。そこで今回は、暗号資産FXとはどのようなものか、初心者向けに詳しく解説していきます。
暗号資産を使ったFXの取引とはどういうもの?
一般的にFXとは、外国為替証拠金取引といい、アメリカドルやユーロなどの外貨を取引する投資方法の1つです。
その大きな特徴として、「レバレッジ取引を行える」点が挙げられます。証拠金を預けて、資金以上の売買が可能となる方法です。
現物がなくても、売買したと仮定したときの差額が利益となります。こうしたFXのレバレッジ取引という特徴を利用したものが、暗号資産FXです。取引所によってレバレッジ倍率は異なるものの、保有する資金以上の取引が可能となります。
そもそもレバレッジ取引って何のこと?
簡単に言うと、FXの大きな特徴であるレバレッジ取引とは、取引所に保有する資金を証拠金として預けて、その額以上の取引ができることを言います。
レバレッジとは「てこの原理」を意味しており、保有する金額の何倍も取引できることから、効率の良い取引方法といえます。
たとえば、レバレッジ倍率を10倍に設定すると、証拠金が10万円でも、100万円の取引が可能です。
現物取引に比べてハイリスク・ハイリターンではあるものの、短期間で資金を増やすことができる可能性がある取引方法です。
※Coincheckでは、2020年3月13日をもちまして、レバレッジ取引のサービス提供を終了いたしました。
取引所によってレバレッジ倍率や取り扱い銘柄は異なりますので、事前にチェックしておきましょう。
暗号資産FXと現物取引の違いとは?
暗号資産FXと現物取引の違いは何でしょうか。その違いとして、大きく4つ挙げられます。
1. 取引の性質の違い
1つ目が「取引の性質の違い」です。
暗号資産FXは証拠品取引に分類され、実際に暗号資産の現物を保有せずに、売買時の差金で決済する取引方法です。
一方で、暗号資産の現物取引は、取引所や販売所を介して、法定通貨を使って暗号資産を売買する方法です。
2. 証拠金の有無の違い
2つ目が「証拠金の有無の違い」です。
FXは証拠金を預ける必要がありますが、現物取引では証拠金を預ける必要がありません。証拠金を預けることで「てこの原理」を利用し、実際の保有以上の取引を実現できます。
ただし、必要証拠金の額が定められているため、それよりも少額な取引をしたい場合には、現物取引の方が無難です。
3. 売買の仕方の違い
3つ目が「売買の仕方の違い」です。
現物取引は基本的に、買い注文しかできません。つまり、暗号資産の価格が上がる相場でしか利益を得ることができません。一方で、暗号資産FXは、買い注文だけでなく、売り注文もすることができます。
ショートとも言われる売り注文は、下げ相場でも利益を得られる方法なので、相場にかかわらず取引を楽しめます。
4. リスクの違い
4つ目が「リスクの違い」です。
当然ながら、動かす資金が大きい暗号資産FXの方が、リスクは高いといえます。思わぬ価格の変動により、強制ロスカットされる可能性もゼロではなく、ハイリスク・ハイリターンな取引方法でもあります。
そのため、暗号資産の初心者は、まず現物取引から始めて相場の感覚をつかむなどしてから、暗号資産FXを始める方が良いでしょう。
暗号資産FXと為替FXの違いって何?
外国為替証拠金取引を意味する為替FXと、暗号資産FXでは違いがあるのでしょうか。どちらもレバレッジ取引を利用する点で、効率的に利益を得る手段であることには違いがありませんが、大きく4つの違いがあります。
1. 取り扱い商品の違い
1つ目が「取り扱い商品の違い」です。
当然ながら、暗号資産FXはビットコイン(BTC)などの暗号資産、為替FXはドルやユーロなどの法定通貨を対象とします。暗号資産なら技術開発の進度や他の取引所への上場、法定通貨なら社会情勢などによって価格が変動しやすくなります。
2. 値動きの違い
2つ目が「値動きの違い」です。
一般的に値動きは、暗号資産の方が激しいといえます。これまでも1日に10%以上の変動をしたことは少なくなく、値動きが激しいので注意する必要があります。
3. 取引時間の違い
3つ目が「取引時間の違い」です。
為替FXは平日なら比較的いつでも取引ができますが、暗号資産はさらに土日を含む24時間365日取引することが可能です。
値動きが激しいため、暗号資産FXでポジションを持った場合、チャートから目を離さないようにするトレーダーも多いようです。
4. 換金時間の違い
4つ目が「換金時間の違い」です。
一般的に、為替FXよりも、暗号資産FXの方が換金にかかる時間が短いといえます。
暗号資産FXで取引をするメリットとは?
暗号資産を現物取引ではなく、FX取引するメリットとしては以下が挙げられます。
1. レバレッジをかけられる
1つ目が「レバレッジをかけられる」点です。
暗号資産FXでは保有する資金以上の取引ができるので、効率の良い取引が可能です。なおレバレッジ倍率の上限については、金融庁が統一の基準を検討中です。
2. 下落相場でも利益を狙える
2つ目が「下落相場でも利益を狙える」点です。
暗号資産FXでは売り注文でも取引が可能です。暗号資産はこれまでもたびたび大きな下落が発生していますので、そうした下落相場でも利益を狙えるのは利点です。
暗号資産FXで取引をする際の注意点
暗号資産FXは大きな利益を狙えるメリットがありますが、利用する際には事前に知っておくべき注意点があります。特に重要なのは以下の3つです。
1. レバレッジの分だけ損失になる可能性がある
1つ目が「レバレッジの分だけ損失になる可能性がある」点です。
レバレッジをきかせるほど、利益を得たときの恩恵が大きいものの、損失も同じように膨らむ危険性があります。まさにハイリスク・ハイリターンの取引方法なので、あらかじめ認識しておく必要があります。
2. 取引所によっては追証システムがある
2つ目が「取引所によっては追証システムがある」点です。
追証とは、追加証拠金のことで、損失が預けている証拠金以上に発生したときに、追加で証拠金を請求されることをいいます。FXは元本が保証されている金融商品ではないため、資金以上の損失があるリスクも考えておかなくてはいけません。
現物取引であれば、購入に要した資金以上の損失は発生しませんが、暗号資産FXの場合は、利用する取引所によっては追証があるので注意しましょう。
3. ロスカットシステムがある
3つ目が「ロスカットシステムがある」点です。
ロスカットとは、含み損が増えてあらかじめ指定された証拠金の維持率を下回った際に、強制的に決済するシステムです。意図せぬ決済をされて損失となることがあるため、証拠金の維持率には常に注意しておく必要があります。
また、ロスカットは追証が発生しないように設けられているシステムではありますが、急激な価格変動相場ではロスカットがきかないこともあります。
ロスカットはFX特有のシステムですが、初心者が損失を生み出す原因の一つでもありますので、始める前によく理解しておくことをおすすめします。
暗号資産FXの特徴を理解したうえで利用を
暗号資産FXには、為替FXと同じようにレバレッジをきかせた効率の良い取引ができるというメリットがあります。
その一方で、追証やロスカットなど、暗号資産FX特有の注意点も多くあるため、始める前にはあらかじめよくルールを理解しておく必要があります。
ただし、ハイリスク・ハイリターンとはいえ、賢く取引できれば、利益を狙える取引方法でもあります。これから暗号資産FXやレバレッジ取引を始めようと考えている方は、それぞれの特徴をよく理解したうえで利用するようにしましょう。