ビットコイン現物ETFとは?日本で買える?初心者向けに解説

ビットコイン現物ETFの承認は、暗号資産の普及の重要なハードルの1つでした。これまで多くの申請が却下されてきましたが、2024年にアメリカの規制当局でようやく承認されました。

ETFを用いることで、一般投資家は暗号資産取引所を介さずに、税金手続きの負担も軽減された形でビットコインに投資できるようになります。機関投資家の参加も容易になるため、ビットコインへの新たな資金流入が期待されています。

本記事では、ビットコイン現物ETFの基本的な特徴などについて詳しく紹介していきます。

※暗号資産の税金につきましては管轄の税務署や税理士等にお訊ねいただくか、または国税庁タックスアンサーをご参照ください。

この記事でわかること


ビットコインETF・ビットコイン現物ETFとは

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ビットコインETFとビットコイン現物ETFにはどのような違いがあるのかをみていきます。

ビットコイン現物ETFとは

ビットコインETFは、ビットコインの先物価格に連動するか現物価格に連動するかによって、「先物型」と「現物型」に分けられ、ビットコイン現物ETFは「現物型」にあたります。

一般的に、ビットコインETFと言われているものはビットコイン現物ETFを指しているケースが多く、ビットコイン先物ETFを指すケースは少ないです。

ビットコイン現物ETFは、現物取引となるため、手持ちの資金以上の取引や保有していないビットコインの売却(空売り)はできず、投資金額以上の損失は発生しないというメリットがあります。先物型のETFに比べ、リスクを抑えたい場合は現物型のETFへ投資するのが有効です。

ビットコインそのものを裏付け資産として保有し、その価値に連動する金融商品のため、投資家はビットコインを直接購入することなく、ETFを通じてビットコインの価格変動の恩恵を受けることができます。ビットコインの保管や取引に伴う複雑さやリスクを軽減することが可能です

なお、ビットコイン先物ETFは、米国で2021年に承認されています。

ETF・上場投資信託とは

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ETF(Exchange Traded Fund)は、株式や債券、不動産などの金融商品を対象にした投資信託で、株式市場で取引されます。ETFは、通常、インデックス(指数)に連動するように設計されており、分散投資を簡単に行うことができるため、一般投資家にも人気があります。ETFは株式のように市場で取引され、個別の資産を購入するよりも手軽で効率的に投資ができます。

ビットコイン現物ETFも、このETFの一種で、ビットコインを裏付けにした上場投資信託です。これにより、ビットコインの取引に必要なウォレットの管理やセキュリティ対策から解放され、証券口座を通じて簡単に取引が可能となります。

ETFの例

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ETFには、株式以外にもさまざまな商品があります。代表的な商品を紹介します。

ゴールド

ゴールドETFは、金の価格に連動するように設計された上場投資信託で、投資家が金に直接投資することなく、金の価格変動に基づいて利益を得ることができる金融商品です。ゴールドETFは、証券取引所に上場しており、株式と同じようにリアルタイムで売買できるため、流動性が高く、投資家にとって非常に便利な投資手段です。

ゴールドETFは、金の現物を保有したり、金の先物契約を利用したりして運用されます。多くのゴールドETFは、実際に金の現物を保有し、その保有量がETFの基盤となる金額に反映されています。このため、金価格が上昇するとETFの価値も上昇し、逆に金価格が下落するとETFの価格も下がります。

ゴールドETFの利点には、金を直接購入することなく金の価格に投資できる点が挙げられます。物理的な金を保管する手間やリスクがなく、管理費用や保管費用も比較的低く抑えられます。また、ETFは証券口座を通じて簡単に取引でき、少額から投資が可能で、リアルタイムで取引ができるため、高い流動性があります。さらに、金は伝統的にインフレや経済不安に強い資産とされ、ポートフォリオの分散投資にも役立ちます。

一方で、ゴールドETFにはいくつかのリスクも伴います。主なリスクは金価格の変動リスクです。金は市場環境や政治的な要因によって価格が大きく変動することがあり、ETFの価格もそれに影響されます。また、ゴールドETFには管理費用がかかるため、長期的に保有する場合はこれらの費用が積み重なる点も考慮する必要があります。

銀ETFは、銀の価格に連動して運用される上場投資信託で、東京証券取引所などで取引されています。銀ETFは、銀の現物を直接購入するわけではなく、銘柄によっては投資した分を銀の現物(地金)に交換することもできます。これにより、投資家は銀価格の変動を反映した取引が可能となります。

不動産

REIT(Real Estate Investment Trust)と呼ばれており、投資家から資金を集め、オフィスビルや商業施設、マンションなど複数の不動産などを購入し、その賃貸収入や売買益を投資家に分配する仕組みです。日本でも株式と同様に売買することができます。

ビットコインとビットコイン現物ETFの違い

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ビットコイン現物ETFは、取引所で取引される証券の一種であり、ビットコインを購入して保有するのではなく、ETFを購入することになります。これは、ビットコインの価格上昇に投資する手段として、より手軽でリスクを管理しやすい方法です。

一方で、ビットコインを直接購入する場合は、ウォレットの管理やセキュリティの問題、そして取引所を介した購入手続きが必要です。しかし、自身でビットコインを保有している場合、移動や支払い、換金を素早いスピードで行うことができ、自分の納得できるセキュリティ体制で保管できるといった大きなメリットが存在します。

ビットコイン現物ETFは、ビットコイン現物保有の複雑さを避けることができ、より簡便にビットコインに関連する投資をおこないたい投資家にとって魅力的な選択肢です。

ビットコイン現物ETFは2024年に承認された

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米証券取引委員会(SEC)は2024年1月にビットコインの上場投資信託(ETF)の上場申請を承認しました。相場の動きやビットコイン以外のETFについてもみていきます。

相場の動きについて

2024年、ビットコイン現物ETFが米国で承認され、市場に大きな影響を与えました。現物ETFの承認は、暗号資産市場全体に対する信頼を高めると同時に、より多くの投資家を市場に引き込むきっかけとなり、ビットコイン価格は大きく上昇しました。

ETFが新たな資金流入を促したことで、投資家の間ではETFを通じた長期的な価格上昇への期待が広がっています。

ビットコイン現物ETFが承認された背景には、ビットコイン市場の成熟があります。
現物型ビットコインETFの承認は米国史上初のケースであり、時価総額約9000億ドル規模を誇る世界一のデジタル資産における画期的なできごとといえます。

イーサリアム現物ETFも承認された

ビットコインに続き、イーサリアム現物ETFも承認されました。イーサリアム現物ETFは、イーサリアムを基盤にした金融商品で、ビットコイン現物ETFと同様に、イーサリアムの価格に連動する形で投資家に利益をもたらします。

これにより、暗号資産市場全体への信頼が高まり、投資商品の多様化が進むと予想されています。イーサリアムのネットワーク価値や利用可能性にも影響を与える可能性があります。

ビットコイン現物ETFが期待される理由

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暗号資産業界では、「ビットコイン現物ETF」の承認によって新しい投資資金が暗号資産市場に流入し、ビットコインの価格が上昇するのでは、という期待が高まっています。具体的には以下の理由によるものです。

税制の改善

ビットコイン現物ETFが広く導入されることで、税制の面でも改善が期待されています。ビットコイン現物ETFは、従来の暗号資産取引に比べて税制面での透明性が向上する可能性があります。

特に、暗号資産の取引に対する税制が煩雑であるため、ETFという形で投資家が取引をおこなうことにより、税務上の取り扱いがシンプルになり、より多くの個人投資家が参入しやすくなります。

カストディの信頼性

ビットコイン現物ETFには、カストディ(保管管理)の信頼性が大きな魅力として挙げられます。ETFの管理者がビットコインを適切に保管することで、セキュリティ上のリスクが軽減され、投資家が不安を感じることなく取引を行える環境が整います。

これにより、暗号資産市場の成熟が加速し、より多くの投資家が安心して市場に参加できるようになります。

現物の購入量が増加

ビットコイン現物ETFが市場に登場することで、ビットコインの現物購入の増加が予想されます。ETFを通じて投資家がビットコインを購入するため、実際に市場で流通するビットコインの数が増加し、需要と供給のバランスに影響を与える可能性があります。

指標としてのビットコイン現物ETF

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ビットコイン現物ETFは、次のようなビットコイン市場の指標となっています。

流入量・流出量

ビットコインの供給量(マイニング報酬)は一定であり、新たなビットコインの供給はマイニング報酬として発行されるため、ETFを通じて流入する資金が供給を上回るとビットコインの価格が上昇する傾向があります。

この市場動向は投資家の心理やマーケットメカニズムに影響を与え、ビットコインの価格を引き上げる要因となります。逆に流出が増加すれば、価格が下落する傾向にあります。

ビットコイン現物ETFのメリット

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ビットコイン現物ETFには多くのメリットがあります。代表的な4つのメリットを紹介します。

ビットコイン現物ETFのメリット

    • ハッキングリスクの低減が期待できる
    • 紛失や誤送金を防ぎやすい
    • 新規投資家の参入が見込める
    • 課税が単純になる可能性がある


ハッキングリスクの低減が期待できる

ビットコイン現物ETFは、通常、プロのカストディアン(保管管理者)によって管理されるため、個人で保管する場合に比べてハッキングリスクが低減します。これにより、投資家はビットコインを安全に保管することができ、セキュリティ面での不安を減らすことができます。

紛失や誤送金を防ぎやすい

ビットコイン現物ETFを利用することで、紛失や誤送金のリスクを軽減することができます。特に、ビットコインのような暗号資産は、紛失や誤送金が発生すると取り返しがつかない場合が多いですが、ETFを利用することでそのリスクを避けることができます。

新規投資家の参入が見込める

ETFは、投資家にとって馴染みのある金融商品であるため、ビットコイン現物ETFの登場により、従来の株式市場や債券市場で取引していた新規投資家が暗号資産市場に参入しやすくなります。このように、ETFの登場はビットコイン市場に新たな資金を呼び込む可能性があります。

課税が単純になる可能性がある

ビットコイン現物ETFは、暗号資産の課税に関してシンプルな仕組みを提供する可能性があります。ETFに投資することで、税制が簡素化され、暗号資産取引に関する複雑な税務処理を避けることができるため、投資家にとって便利な選択肢となります。

ビットコイン現物ETFのデメリット

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ビットコイン現物ETFはメリットも多い反面、以下のようなデメリットも存在します。

ビットコイン現物ETFのデメリット

    • ビットコインの流動性・分散性の低下
    • 暗号資産自体の利用は促進されていない


ビットコインの流動性・分散性の低下

マイニング報酬がトレジャリーと手数料で構成されているため、マイナーの収益が悪化するとマイナー数が減少し、これがビットコインの分散性の低下を招きます。

ETFによりビットコインの流動性と手数料収入が低下することで、ビットコインの分散性に起因する数学的な対改ざん性や検閲性が悪化し、ネットワーク全体の安定性や安全性が低下する可能性があり、最終的にはビットコイン自体の価値を長期的に毀損する恐れがあります。

暗号資産自体の利用は促進されていない

ビットコイン現物ETFに限らず、暗号資産現物ETFは資産運用目的で暗号資産を購入・保管する手段に過ぎず、実際にビットコインを使った決済やブロックチェーンの活用を促進するわけではありません。たとえばイーサリアム現物ETFの場合、保有してもDeFiなどの利用には繋がりません。

多くの投資家はETFの値上がりだけを期待しているため、暗号資産自体の利活用には直接的に寄与せず、ブロックチェーンのネットワーク価値の向上にも無関係であるといえます。

日本でビットコインETF・ビットコイン現物ETFは買える?購入方法は?

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現在、日本ではビットコイン現物ETFの直接の購入はできません。

アメリカで承認されたビットコイン現物ETFですが、日本のマーケットでは、2024年12月時点でビットコインETFの取り扱いはありません。しかし今後、日本でビットコインETFが承認される可能性は十分にあります。

そもそも、日本において、ETFに用いられることの多い投資信託スキームによる暗号資産ETFは現時点では組成できません。これは、暗号資産が投資信託法施行令3条の「特定資産」に含まれていないからです。特定資産でなければ投資信託に組み入れられず、証券会社各社は国内ETFを組成できないということになります。

参考:国税庁 コメントの概要及びコメントに対する金融庁の考え方

また、外国のETFであっても国内の証券会社が国内の顧客を対象に商品を販売する際には、その外国のETFに関する投資信託約款等を金融庁に対して届け出たうえで外国投資信託として認定される必要があります。

「外国投信」の定義は「投資信託に類するもの」とされており(投資信託法2条24項)、日本の特定資産に含まれないビットコインを組み入れた米国ETFが外国投信として認められるのはハードルが高いのではないか、というのが一般的な見解です。

アメリカでビットコインETFが承認されたというニュースが大々的に報じられると税制や購入方法などを知りたくなりますが、日本でもすぐに承認されるというわけではなさそうです。

ビットコインETFは積立が代替手段となりえる

ビットコインETFを購入できない場合、積立投資を通じてビットコインに投資する手段が考えられます。積立投資では、一定の期間ごとに決まった金額をビットコインに投資する方法で、ドルコスト平均法を活用することができます。この方法で、長期的な視点からビットコインへの投資を行うことができます。

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まとめ

ビットコイン現物ETFは、ビットコインに投資する新しい方法として注目されています。ETFの登場により、ビットコイン市場における投資家の参入が容易になり、セキュリティ面や税制面でも改善が期待されます。しかし、導入には流動性や分散性の低下などのリスクも存在します。

日本市場では、ビットコイン現物ETFの承認はまだ先の話ですが、米国市場での成功や投資家の関心の高まりを受けて、将来的に動きがある可能性があります。投資家は、自身の投資目標やリスク許容度を十分に考慮した上で、ビットコイン現物ETFやその他の投資手段を選択することが重要です。

今後、ビットコイン現物ETFが普及することで、より多くの投資家が暗号資産市場に参入することが予想されますが、実際に日本で購入するには、まだ一定の障壁があることも理解しておく必要があります。