仮想通貨初心者にとって、必要証拠金や証拠金維持率という言葉が耳慣れない人もいるでしょう。必要証拠金について知るためには、証拠金維持率を理解することが大切です。
大きな負債を抱えないためにも、仮想通貨を取引する前に必要証拠金や証拠金維持率の意味を理解しておくようにしましょう。
また、マージンコールやロスカットなども、取引をする際には気を付ける必要があるポイントだといえます。この記事では、証拠金維持率の意味やどのように計算すれば良いのかについてわかりやすく解説します。
証拠金維持率って何?証拠金との関係は?
仮想通貨のレバレッジ取引をする際に、まず必要となるのは証拠金です。
証拠金維持率は、実際に取引に使用している証拠金に対する現状の証拠金残高の割合のことを指します。つまり、証拠金維持率は、「証拠金の残高 ÷ 取引に必要な証拠金 × 100」で算出することができます。
この計算式で割り出すと、証拠金維持率と証拠金残高は、常に反比例の関係になります。例えば、含み益が生じた場合は、証拠金維持率は100%を上回ります。
短期的なトレードでは、例えば証拠金維持率が300%であれば安全だといわれることもありますが、仮想通貨は相場の変動が激しいため、証拠金維持率がどのくらいあれば絶対に安全ということは言い切れません。
また、利益を得ているベテランのトレーダーでも、例えば700%以上の高水準の証拠金維持率を保つケースもあります。過去に大規模な変動幅を記録したのが、リーマンショックです。リーマンショックでは、300%が安全圏といわれたこともあるため、参考にしても良いでしょう。
証拠金維持率とレバレッジにはどんな関係がある?
仮想通貨取引におけるレバレッジとは、自身が預け入れた証拠金に対してどれだけの金額で取引可能なのかという倍率のことを指します。
レバレッジが10倍の場合では、証拠金が20万円なら200万円で仮想通貨の取引をすることが可能です。レバレッジ取引は差金決済取引とも呼ばれ、仮想通貨を売買した後に決済する際、その差額の損益部分が受け渡しされます。
仮想通貨では、証拠金やレバレッジはレバレッジ取引の際に関わり、現物取引では関係がありません。レバレッジの倍率を増やすことで証拠金維持率は減少し、証拠金維持率とレバレッジは反比例で動くことが特徴的だといえます。
仮想通貨のレバレッジ取引は、実際に仮想通貨を保有することがないため、決済や送金などには使えないということを覚えておきましょう。
また、ハイリスク・ハイリターンな取引であるため、仮想通貨初心者は大きなリスクを避けるためにも、通常の現物取引に慣れてから利用すると良いでしょう。
証拠金維持率を把握しておくべき理由とは?
証拠金維持率が、取引に利用している取引所が定めた一定の水準よりも下回ってしまった場合は、ロスカットやマージンコールの対象となるため注意が必要です。
そのため、証拠金維持率は常に定められた水準を上回るようにキープすることが大切です。そうすることで、ロスカットやマージンコールなどを未然に防ぐことができます。
また、証拠金維持率は自身の資金力と投資が見合っているかを把握するための指標となります。
仮想通貨初心者がレバレッジ取引を行う際には、証拠金維持率を取引時にチェックする習慣をつけることで、自ずと資金力がわかるようになり、無理な取引を予防することができるでしょう。
マージンコールの対象になるとどうなるの?
マージンコールとは、担保として預け入れた証拠金の金額が、現在の含み損(現在のレートで決済した場合に発生する損失)を差し引くと、大きくマイナスになる状況になった場合に行われる警告のことを指します。
例えば仮想通貨の取引の場合は、利用している取引所から、マージンコールに関するお知らせのメールが届きます。
マージンコールを受けると、解消するためには追証と呼ばれる証拠金を追加で預け入れる必要があるため、注意しましょう。一般的には50~70%程度といわれていますが、マージンコールの基準は取引所によって異なるものです。
マージンコールは警告ではありますが、拘束力や強制力は持ちません。しかし、いつロスカットになってもおかしくない状況であるということは、理解しておくことが大切です。
マージンコールを受けた際には、すぐに現ポジションを転換するか、追加分の証拠金を預け入れた方が良いでしょう。
ロスカットの対象になってしまうとどうなる?
ロスカットは、取引所から行われる強制決済措置のことをいいます。現レートにおける含み損が大きくなり過ぎた際に、ロスカットは発生します。
マージンコールの場合は警告で済みますが、ロスカットは条件に当てはまると取引所によっては強制的に実行されてしまうものであり、トレーダーの意思には左右されません。
トレーダーが莫大な金額の負債を背負うことを防ぐため、ロスカットは行われます。取引所によって異なりますが、一般的には証拠金維持率が20~30%を下回ることがロスカットの基準とされています。
また、一部の取引所では、マージンコール後にトレーダーから証拠金の追加が行われなかった場合、証拠金維持率を下回らなくてもロスカットされることもあるため注意しましょう。
しかし、ロスカットはトレーダーを確実に負債から守ってくれるものではありません。取引所のサーバーエラーや急激な値動きがあった場合、ロスカットが正常に行われないこともあります。その際には、発生した分の負債はトレーダーが支払う必要があります。
ロスカットを防ぐための対策方法は?
マージンコールは警告で済みますが、ロスカットは強制決済措置であるため、取引するうえでロスカットを防ぐ必要があります。
売買約定した仮想通貨の一部の決済を行うか、証拠金を追加で入金することでロスカットを防ぐことができます。仮想通貨の一部を決済することで、証拠金維持率を上げることが可能です。口座の純資産額を増やし証拠維持率を上げるためには、証拠金を追加で入金するようにしましょう。
また、お知らせメールに追証の期限が記載されていることもあるため、確認後は速やかに対処することが大切です。他にも、最初から少額で取引をすることも、ロスカットを未然に防ぐ手立てとなります。
ロスカットは、取引経験が少ない仮想通貨初心者に起こるケースが多い傾向にあります。証拠金残高が高いほどロスカットされにくいため、十分な証拠金を入れておくようにしましょう。
仮想通貨の証拠金維持率を計算する簡単な方法とは?
証拠金維持率を取引の度に計算することは時間を要し、手間もかかってしまいます。
そこで証拠金維持率を正確に素早く計算するためには、証拠金維持率を自動で算出してくれる計算ツールなどを使用するのも良いでしょう。
エクセルなどの計算ツールを利用することで、資産や購入価格、レバレッジなどを入力するだけで、証拠金維持率は割り出されます。これによって、自身の資金に見合った取引ができているかがわかるようになるでしょう。
また、計算ツールなどを利用する際には、ショートポジションでは購入価格よりも高い任意の価格を入力し、ロングポジションでは購入価格よりも低い任意の価格を入力することがポイントです。
エクセルであれば入力するだけの簡単な操作であるため、仮想通貨初心者でも気軽に利用することが可能です。
仮想通貨の証拠金維持率を把握しておこう
仮想通貨でレバレッジ取引を行う際は、マージンコールやロスカットになるのを防ぐようにしましょう。そのためには、余剰資金で余裕を持たせた取引をすることが重要です。
仮想通貨取引は、他の投資よりも相場の変動が激しいことが特徴です。取引を始める前に自身の資金力を正確に把握しておくことで、ロスカットにならないポジションが保てる可能性が高まるでしょう。
また、取引所の状況によっては、マージンコールやロスカットが正常に作動しないケースがあるため、大きな負債を抱えるケースがあることも念頭に置く必要があるでしょう。仮想通貨のレバレッジ取引を行う際には、こまめに証拠金維持率をチェックし、相場の状況などを把握する習慣を付けておくようにしましょう。