NASDAQ上場企業Coincheck Group N.V.の子会社であるコインチェック株式会社と株式会社Next Finance Techは、2026年2月2日、赤坂インターシティコンファレンスにて「デジタルアセット・フォーラム2026」を開催しました。
本イベントでは、暗号資産ETFと伝統金融資産のオンチェーン化(トークン化)を主題に、海外の先行事例と日本市場の現在地を照らし合わせながら、制度・実務・技術の観点から議論を深めました。
Canton Foundationの協賛のもと、カナダの暗号資産運用会社3iQ、Canton Networkを提供するDigital Asset社をはじめとする海外プレイヤーも登壇。国内金融機関を中心に100名超が参加し、暗号資産ETFや金融資産オンチェーン化の「次の実装フェーズ」を見据えた論点が次々と提示され、会場は終始、高い熱量に包まれていました。
目次
Opening

オープニングセッションでは、マネックスグループ 会長の松本大氏より、開会にあたってのメッセージが共有されました。
マネックスグループ 会長 松本大 氏
マネックスグループ 会長 松本大 氏
松本氏は、デジタルアセットを議論するうえで重要となる3つの視点に加え、米国の市場環境を踏まえた、日本の暗号資産業界の未来について共有しました。
- 「デジタルアセット」は単一の概念ではなく、次の3つの視点を提示しました。
- 暗号資産を"資産"として捉える視点
- ブロックチェーンを"データベース技術"として捉える視点
- 決済・クリアリングを担う"金融インフラ"としての視点
- 米国では国債のトークン化が進展し、24時間365日のレポ取引が実運用されるなど、金融インフラ自体が変化し始めている
- 一方、日本ではこうした取り組みはまだ初期段階にあり、だからこそグローバル事例や技術的視点を共有し、次の一手を共に考えたい
「資産」だけではなく「インフラ」そのものが書き換わりつつあるというメッセージがオーディエンスに共有され、イベント全体の議論の方向性を定める示唆に富んだ導入となりました。
国内暗号資産ビジネス動向の解説

続いて、Next Finance Tech代表取締役CEOの徳力創一朗より、日本国内における暗号資産ビジネスの最新動向が共有されました。
Next Finance Tech CEO 徳力創一朗
Next Finance Tech CEO 徳力創一朗
本セッションから得られた主な示唆は以下の通りです。
- 国内金融機関が注目するテーマは以下3点
- 暗号資産ETFを含む金融商品の展開
- 株式・債券など既存金融資産のトークン化・オンチェーン化
- 日本円ステーブルコインの発行・流通
- 今後2〜3年で暗号資産規制が金融商品取引法へ移行することを前提に、日本でも暗号資産ETFやステーキング付ETFが現実的な選択肢になり得る
- 米国の現物暗号資産ETFの座組みを参考にすると、日本国内でも同様に「金融規制下で投資家保護と流通の仕組みを成立させる」設計が重要になる(以下、想定図参照)、下図のような座組みが候補
- 金融資産オンチェーン化の具体例として、機関投資家向けブロックチェーン「Canton Network」を紹介。米国では国債レポ取引が既にオンチェーンで実行されている
伝統金融×暗号資産ETF(想定図/日本国内)
また、Next Finance Techは、日本の金融機関によるCanton Network参画を技術・事業の両面から支援している点も共有されました。
Session 1:暗号資産×金融機関・機関投資家におけるグローバルビジネスの動向

続いて、カナダの暗号資産運用会社3iQのCEOであるPascal St-Jean氏より、グローバル視点での暗号資産ビジネス動向が共有されました。
3iQ CEO Pascal St-Jean氏
3iQ CEO Pascal St-Jean氏
本セッション内の要点は以下の通りです。
- 3iQはカナダの規制当局と協調しながら、既存の金融規制フレームワークの中で暗号資産を制度化してきた
- 北米で初めてビットコインおよびイーサリアムETFを立ち上げた経験を通して、ETFは以下3つのニーズを同時に満たす手段として重要である
- 規制当局による投資家保護規制
- 金融機関の顧客ニーズ
- 投資家の暗号資産へのアクセス需要
- 暗号資産への投資手法に唯一の正解はなく、ETF、ヘッジファンド、DeFiなどを投資家のリスク許容度に応じて選択すべき
- 現在の市場環境では、アクティブ運用によって市場の非効率性を捉える余地があり、「今のフェーズで市場に関与する意義」がある
「制度化されることで資金が入り、資金が入ることで商品が洗練される」との視座が示され、ETFを起点に市場が成熟していく過程が立体的に語られました。
運用戦略比較(Crypto Market Neutral vsヘッジファンド)
Session 2:国内暗号資産ビジネスへの示唆とコインチェックグループのご紹介

続いて、コインチェック株式会社 常務執行役員CFO 兼 経営戦略本部長の竹ケ原圭吾氏が、コインチェックグループの事業概要を紹介しました。
コインチェック株式会社 常務執行役員CFO 兼 経営戦略本部長 竹ケ原圭吾
コインチェック株式会社 常務執行役員CFO 兼 経営戦略本部長 竹ケ原圭吾
本セッション内の要点は以下の通りです。
- 日本の暗号資産保有率は依然低水準である一方、口座数および預かり資産は着実に拡大している
- 国内約1,320万口座のうち、約242万口座をコインチェックが占め、預かり資産残高は約1.2兆円に達している
- 暗号資産ETF実現に向けては、取引・資産管理・決済・セキュリティを一体で運用する体制が不可欠
「運用・管理ノウハウは、機関投資家向けサービスを支える前提条件である」というコインチェックがこれまで培ってきた知見を起点に、暗号資産ETFや機関投資家向けサービスの実装に向けて、今後も市場関係者と議論を重ねていく姿勢が示されました。
日本市場の現状とCoincheckの立ち位置
Sponsorship Pitch:Canton Networkのご紹介

続いて、スポンサーセッションとして、Digital Asset社 Managing Director, Japanの東郷太郎氏より、Canton Networkの取り組みが紹介されました。
Digital Asset社 Managing Director, Japan 東郷太郎 氏
Digital Asset社 Managing Director, Japan 東郷太郎 氏
本セッション内の要点は以下の通りです。
- Canton Networkは、規制金融への適合を前提に設計されたパブリック・パーミッションド型Layer1ブロックチェーン
- RWA分野において、40兆円超の資産がPoCではなく実際の金融取引として流通している
- DTCC/DTCはSECからNo-Action Letterを受領し、株式・ETF・米国債など高流動性資産のトークン化を進めている
- Canton Networkは、伝統金融市場とデジタルアセット市場を接続する実運用基盤として位置づけられている
RWA実運用で世界最大規模となるCanton Network
DTCC/DTCによる保管資産トークン化の進展と規制当局の承認
Session 3:伝統金融のオンチェーン化

本セッションは、「伝統金融のオンチェーン化」をテーマにパネルディスカッションを行いました。マネックスグループ常務執行役員の中川陽氏をモデレーターに、Digital Asset社 Managing Directorの東郷太郎氏、3iQのCEOであるPascal St-Jean氏、マネックスグループ 会長の松本大氏が登壇し、グローバルの最新事例と日本市場の課題について意見が交わされました。以下、Q&A形式でその様子をお伝えいたします。
パネルディスカッションの様子(東郷太郎 氏 × 中川陽 氏)
Q. 中川氏:Canton Networkでの米国債のトークン化およびレポ取引はどのように行われているか?
A. 東郷氏:現時点では"新たなトークンを発行する"ものではなく、"既存の台帳管理(所有権管理、決済・クリアリング 等)をCanton Networkへ移行する"という形で実現されており、バックオフィス業務のオンチェーン化にスコープを絞ることでスピーディに成果創出につながっている。
Q. 中川氏:金融機関としてトークン化/オンチェーン化に取り組むメリットはどういうところにあるか?
A. 松本氏:金融機関にとってオンチェーン化の最大の価値は、リターン向上ではなく、決済や担保管理におけるリスク低減にある。特に、国債や不動産といった担保資産が24時間365日リアルタイムで決済可能になり、リスクが低減されるというユースケースが一番最初に顕在化するのではないか。米国ではNYSEやNASDAQが債券のトークン化/オンチェーン化を進める中で、日本も追随して進めていく必要がある。
パネルディスカッションの様子(松本大 氏 × Pascal氏)
Q. 中川氏:金融商品のトークン化について実際のユースケースは何か?
A. Pascal氏:トークン化はインターネット黎明期と同様に現在はまだPoC段階にあるとの認識。その中でも注目しているのは機関投資家による決済効率の向上と、新興国等におけるステーブルコイン決済実需の拡大であり、今後数年では上記2点を中心にユースケースが増えていくだろう。
セッションの締めくくりでは、日本市場においても実践的なユースケースの実装を進めるとともに、日本国債や日本円建て資産のオンチェーン化を通じて、グローバル市場における競争力を維持・強化していく必要性が強調されました。
全セッションの総括と今後の展望
現在、日本国内では暗号資産規制の根拠法を資金決済法から金融商品取引法へ移行する方針が示されており、それに併せて現物暗号資産ETFの提供や、株式・債券のトークン化等に向けた準備が進みつつあります。
本イベントでは、海外事例に加え、日本の規制動向や市場環境を踏まえた実践的な意見交換が行われました。セッション後のネットワーキングでも議論は途切れることなく続き、「何をどう実装するか」という具体論が、多く交わされていたのが印象的でした。
ネットワーキング挨拶の様子(コインチェック株式会社 代表取締役 会長執行役員 蓮尾聡 氏)
今後は、本イベントに登壇した企業や参加者を中心に、制度・市場の変化を捉えながら、日本における暗号資産および金融サービスの発展に向けた取り組みが、より具体的に進展していくことが期待されます。
主催者
Next Finance Techについて
株式会社Next Finance Techは、日本国内を拠点とするノードオペレーターとしてグローバル・日本国内の法人のお客様にステーキング・サービスを提供しているブロックチェーン・インフラ企業です。オペレーターとしてのこれまでの実績を活用し、暗号資産の運用・管理システムの開発やコンサルティング事業など幅広いソリューションをお客様に提供しております。
X:https://twitter.com/nxt_fintech

Coincheck Groupについて
Coincheck Group N.V.は、オランダに本社を置くグローバルな持株会社であり、暗号資産およびWeb3領域において事業を展開しています。コインチェック株式会社、株式会社Next Finance Techは、Coincheck Group N.V.の子会社です。
HP:https://www.coincheckgroup.com/

コインチェックについて
コインチェック株式会社は「新しい価値交換を、もっと身近に」をミッションに掲げ、アプリダウンロード数7年連続国内No.1*の個人向け暗号資産取引サービス「Coincheck」、法人や機関投資家の暗号資産取引・保管を支援する「Coincheck Prime」、事業法人向けにクリプト関連ビジネスを支援する「Coincheck Partners」を展開しています。東証プライム市場上場マネックスグループ株式会社、米NASDAQ上場Coincheck Group N.V.のグループ企業として透明性・信頼性・安全性のもとで、ビットコインやイーサリアムなどの暗号資産やブロックチェーン技術が生み出す「新しい価値交換」を提供しています。
* 対象:国内の暗号資産取引アプリ 期間:2019年1月〜2025年12月 データ協力:AppTweak
HP:https://corporate.coincheck.com/

Event Partner
Canton Foundationについて
Canton Foundationは、Canton Networkの共通基盤のガバナンスおよび長期的な発展を支える、独立した非営利組織です。ネットワークに関わる各ステークホルダーと連携しながら、意思決定の透明性を確保し、エコシステム全体の健全な運営を支援しています。Canton Networkが、機関投資家向けブロックチェーンとして信頼性が高く、公平で、安心して利用できるインフラであり続けることを目指しています。

Special Guest
3iQについて
カナダのオンタリオ州でライセンスを取得し、北米で初めてビットコイン(BTC)とイーサリアム(ETH)の取引所上場ファンドを立ち上げた暗号資産運用会社。トロント証券取引所でビットコインとイーサリアムのETFをいち早く導入することでマーケットリーダーとしての役割を確固たるものにし、世界で初めてイーサリアムETFにステーキング機能を統合するなど、新境地を開拓。また、革新的な投資プラットフォーム「QMAP」を通じて、業界初の包括的な暗号資産ファンド投資プラットフォームを運営。
