「お金の集まるところには、詐欺師も集まる」という言葉もありますが、残念ながら暗号資産(仮想通貨)市場でも当てはまるようです。
詐欺師はトレンドに敏感で、流行っているけれども、まだあまり知られてないものをネタに詐欺を働くことが多いと言われています。つまり、暗号資産市場は詐欺師にとって格好のネタとなっているのです。
また、暗号資産は価格が変動するため、〇〇円なら妥当といった論拠が存在しません。暗号資産は目に見えないので、何かをしたところで、どこまでが詐欺かという基準が引き辛いのも、トラブルが増加する原因として考えられます。
暗号資産に関わる詐欺にも様々なものがありますが、今回は初心者が特に注意すべき「詐欺コイン」の特徴についてご紹介します。
目次
暗号資産は大きく分けて3種類
暗号資産に興味を持って、いざ始めてみようと考えている人には、事前に知っておいて欲しいことがあります。
それは、「詐欺コイン」と呼ばれることもある、絶対に手を出してはいけない暗号資産があるということです。暗号資産は大きく分けて3種類あります。
- 1つ目がビットコイン(BTC)
- 2つ目がアルトコイン
- 3つ目が詐欺コイン
「暗号資産=ビットコイン」と認識している人も多いですが、実は、ビットコインは暗号資産の一種にすぎません。そしてビットコイン以外の暗号資産を、まとめてアルトコインと呼びます。
では、「詐欺コイン」とはどのようなコインなのでしょうか。実はここにはしっかりとした定義があるわけではありませんが、要は他人を騙す目的で作られた暗号資産のことを指します。
暗号資産の詐欺コインに明確な定義はないものの…
明確な定義がない詐欺コインですが、インターネットで「詐欺コイン」と検索すると、詐欺との噂のある暗号資産の一覧がでてきます。
これは、主にTwitterやインターネットの掲示板で度々で起こる「〇〇は詐欺コインだ」「いや、詐欺ではない」といった論争を発端とし、そこから警鐘を鳴らすケースが多いようです。
それでは、絶対に手を出してはいけないと言われている「詐欺コイン」の特徴をみていきましょう。
暗号資産の詐欺コインの特徴とは?
詐欺コインの特徴には、例えば以下があります。
- 暗号資産の取引所から購入できない
- 最低購入金額が高い
- 価格保証や買取保証がある
- セミナーで勧誘される
- 代理店から買わされる
- 有名人の名前を使って宣伝している
それぞれ一つずつ確認していきます。
1. 暗号資産の取引所から購入できない
例えば、「この暗号資産はここでしか販売していない」「今だけの限定価格」といったように、購入場所や購入金額などに限定性を持たせ、購入を促すパターンです。
暗号資産の取引は、全世界で行われています。日本では金融庁登録済の暗号資産の取引所から様々な暗号資産を購入することができますし、世界中にある暗号資産の取引所でも暗号資産の売買は可能です。
そのため、「日本限定販売」「先行販売」といったことは通常ではあり得ません。
詳しくはこちら:暗号資産を購入する方法
2. 最低購入金額が高い
例えば、ビットコイン(BTC)の場合、多くの暗号資産の取引所で0.0001BTCもしくは0.001BTCから購入が可能です。金融庁登録済の暗号資産の取引所Coincheckでは、全ての取り扱い通貨が500円から購入可能です。
本来であれば、数百円程度から購入できるのに、例えば詐欺コインでは10万円からといった最低購入価格を設定していることが多いようです。10万円程度であれば、詐欺だと気づかれても諦めて泣き寝入りする人が多いだろうと考えるためかもしれません。
このように10万円などといった最低購入価格が決められている場合は、注意が必要です。
3. 価格保証や買取保証がある
「購入金額の50%は保証するので安心してください、儲かりますから」といった価格保証をウリに勧誘している暗号資産も存在するようです。
そもそも暗号資産の価格は変動するものですので、価格保証をウリにしてきたら怪しいと思うようにしましょう。また、「購入した暗号資産が気に入らなかった場合は、買取に応じます」といった言葉で、投資家に安心感を与えるパターンもあるようです。
仮に買取してもらえた場合でも、詐欺師の最低取り分を除いた一定額しか返金されることはありません。詐欺をする人からすると、原価0円の暗号資産なので、50%返金したとしても、十分儲かるという仕組みです。
4. セミナーで勧誘される
例えば、暗号資産のセミナーを通して、勧誘される場合もあるようです。
セミナーの主催者があなたに暗号資産の購入を勧誘する理由は、紹介料をもらうためです。いわゆる、「ネズミ講」や「マルチ」と呼ばれる手法です。
暗号資産を紹介して、購入が増えれば増えるほど、自分の懐に入る紹介料も増えるので、「〇〇は絶対に価格が上がる」などと巧みな言葉を武器に積極的に勧誘してきます。絶対に価格が上がるコインであるにも関わらず、友人やセミナーなど人づてで販売を行うのは、詐欺だからで、公にできないためだと言えるでしょう。
5. 代理店から買わされる
例えば、「日本で唯一の代理店として、海外の有望なコインの独占契約を結んでいる」といった内容で購入を迫る方法です。
海外の暗号資産であっても、今では基本的にインターネットの暗号資産の取引所から簡単に購入することができますので、わざわざ代理店などの仲介業者を使う必要はありません。この「代理店」というキーワードには注意が必要です。
また、「代理店としてこの暗号資産を売れば、売上の20%を仲介料として支払う」と言った内容は、上記で説明したように「ネズミ講」や「マルチ」の特徴に当てはまります。
6. 著名人の名前を使って宣伝している
最後に、「芸能人の〇〇が購入した暗号資産」「有名な〇〇さんがバックについている」というように、著名人の名前を出して宣伝している暗号資産も危険です。
詐欺師は、一般人がその著名人に直接真偽を確認できないことをわかっていて、著名人の名前を勝手に出します。著名人自身も詐欺に使われていると認識していない場合も多いようですので、この点にも注意しましょう。
ICOとは?近年増加するICO詐欺にも注意
ICOとは、企業が、トークンと呼ばれる未公開の独自の暗号資産を発行し、そのトークンを購入してもらうことで資金調達を行う仕組みのことです。
そもそもトークンとは、何か価値あるものと交換できる引換券のようなもので、「楽天ポイント」や「Amazonポイント」などのポイントサービスもそれに当てはまります。暗号資産の世界でのトークンは、暗号資産と広義では同じ意味なのですが、若干使われ方が異なる場合があります。
トークンは、既存のブロックチェーン技術を借りて発行されるものを指します。トークンは低価格で販売されることが多く、投資家は、このトークンを購入する際にビットコインなどの暗号資産で支払います。
企業は、投資家から集めた暗号資産を暗号資産取引所などで法定通貨に換金し、事業資金として活用します。別名で、「クラウドセール」「トークンセール」などとも呼ばれています。
近年はこのICOを使った詐欺も増加しており、参加する際には注意が必要です。今はまだ暗号資産に関する法律も世界中で整備中なこともあり、様々な法律が整備されるまで怪しい案件には手を出さないの方が良いでしょう。
詳しくはこちら:トークンとは?暗号資産との違いや購入方法・メリットは?
企業がICOを行うメリット
企業がICOを行う最大の目的は、資金調達です。銀行や証券会社から資金を調達する方法は、多大な手間と労力がかかります。
IPO(自社の株を投資家に売却し、証券取引所に上場することで、株式市場での売買を可能にし、資金を調達するというもの)の場合も、上場手続きを行う際に、監査機関や弁護士事務所などに依頼する必要があるため、多額の費用がかかります。また、その審査プロセスも複雑なもので、上場までには相応の時間が必要となります。
ですが、ICOによる資金調達であれば、ホワイトペーパーと呼ばれる事業説明書さえあればインターネットを介して資金が集められるため、コストがかからず魅力的なのです。また、ICOであれば、個人や未上場企業でも世界中の不特定多数の人から短期的に資金を集めることが可能です。
個人投資家がICOに参加するメリット
一方、個人投資家がICOに参加する最大のメリットは、投資したプロジェクトやサービスが成長し、購入したトークンや暗号資産の価格が上がれば、大きな売却益を得ることができることでしょう。
また、クラウドファンディングと同様に、格安で購入したトークンや暗号資産で、実際のサービスを利用できるメリットなどもあります。ただし、成功するICOはほんの一握りと言えます。
購入したトークンや暗号資産を売却して利益を得るためには、売買可能な流通市場が形成されている必要があります。しかし、日本では資金決済法により、金融庁に認定された暗号資産のみが暗号資産取引所で取り扱い可能なため、売買できるようになるまでに相当なハードルがあります。
また、プロジェクトの開発途中で、突然開発者が消えてしまうことや、集まった資金を持ち逃げされてしまうこともありますので注意が必要です。「せっかく投資したのに…」と後悔してからでは後の祭りですので、ICOはハイリスクであるということを忘れないようにしましょう。
詳しくはこちら:ICOとは?わかりやすくメリットやデメリットを初心者に解説
暗号資産の詐欺に遭ってしまった場合の対処方法
暗号資産の詐欺に遭ってしまった場合や、トラブルに巻き込まれそうな時は、まず信頼できる親族や友人などの第三者や専門機関に相談しましょう。
詐欺に遭ったとわかった時や、不安な時、冷静でない時は正常な判断や行動ができなくなります。損したことを隠したいがために一人で決断したり、解決しようとしたりすることは大変危険です。
また、騙されて弱っている状態ですと、さらなる詐欺に引っかかってしまう可能性もあります。問題を一人で抱え込まず、周囲に相談するのが良いでしょう。
例えば相談先としては、消費者ホットラインや国民生活センターなどの、消費者被害についての相談窓口があります。暗号資産詐欺であることが明らかである場合は、警察に相談することも可能です。
少しでも被害額を返金してもらいたい場合は、暗号資産詐欺、投資詐欺、消費者被害などを取り扱う弁護士に相談するのが良いでしょう。
年々増加傾向にある暗号資産をめぐる詐欺被害に遭わないために、暗号資産の正しい知識を身に着け、「絶対儲かる」などの甘い言葉に騙されないよう注意しましょう。