ネム(NEM/XEM)の取引で得た利益にかかる税金や確定申告について

ネム(XEM)を市場で取引してプラスが出た場合、それが一定の条件を満たしていたら課税対象となり、確定申告が必要になります。

もしもそのまま放置してしまうと、追徴課税というペナルティを受けることもありますから注意が必要です。仮想通貨の取引に関わる、税金について解説します。

※仮想通貨の税金については、2024年2月13日時点の情報となります。

ネム(NEM/XEM)とは?

ネム(XEM)は、仮想通貨だけを指す言葉ではありません。

ブロックチェーン技術を使って、これまでにない新たな経済プラットフォームを作ろうとするプロジェクトの名称がネム(NEM)です。そして、そのプラットフォーム上で使われる仮想通貨がネム(XEM)になります。

つまりネム(XEM)は、プラットフォームそのものを指し、仮想通貨を指す場合にはXEMと表記するのが正しい、ということになります。

しかし実際には、この使い分けはとてもわかりにくい上、すでに「ネム」「NEM」という名称のほうが一般に知られていますので、あまり厳密に区別する必要はないのかもしれません。

詳しくはこちら:仮想通貨ネム(XEM)とは?特徴を初心者にもわかりやすく解説

仮想通貨取引と税金との関係は?

仮想通貨取引の税金
仮想通貨の取引で利益が生まれると、それは税区分上の「雑所得」という所得となります。この雑所得は、総額が年間20万円を超えると所得税の課税対象となり、確定申告が必要になります。

2017年に施行された「改正資金決済法」では、ネム(XEM)をはじめとするすべての仮想通貨は、一般通貨である米ドルや日本円と同様の決済通貨として認められました。

そのため、購入に伴う消費税が非課税となった代わりに、取引や決済によって生まれる購入額との差額が利益と見なされ、課税対象となるのです。

では、実際にどのような場合に所得とされ、どの部分が課税対象とされるのか、例を挙げて見ていきましょう。

仮想通貨の売却

保有している仮想通貨の売却価格が購入したときの取得価額より高い場合、その差額が所得金額となります。

仮想通貨の交換

保有している仮想通貨Xを、それ以外の仮想通貨Yと交換したとき、Yの取得価額がXの取得価額よりも高い場合、その差額が所得金額となります。

仮想通貨による商品の購入

保有している仮想通貨で商品を購入したとき、その商品価格が決済に使った仮想通貨の取得価額よりも高い場合、差額が所得金額となります。

つまり、仮想通貨の取引や決済など、どのような形でも利益が出たら、それが所得になると考えればいいでしょう。なお、仮想通貨の取引では損失が出ることもありますが、同じ「雑所得」の区分内であれば、その損益を相殺することができます。

例えば、ネム(XEM)で10万円の利益が出たが、リップル(XRP)が60,000円の赤字に終わったという場合は、「雑所得40,000円」とすることができます。

ただし、雑所得は、総合課税対象以外の所得と損益通算はできません。
損益通算とは、利益から損失を差し引くことのできる税の仕組みです。仮想通貨で得た所得は、以下の条件すべてと合致した場合のみ損益通算が可能です

  • 「雑所得」に該当するものであること

  • 「総合課税」の対象であること

  • 同一年内に発生した損益であること
  • 雑所得は多くの場合、総合課税(各種の所得金額を合計して所得税額を計算する)の対象であり、その他の所得と損益通算ができません。ただし、同じ雑所得の総合課税の対象となるもの、かつ同一年内に発生した損益とは損益通算することができます。

    納税額の計算方法は?

    仮想通貨取引の税金計算
    雑所得はほかの区分、例えば給与所得などと合算して税額を割り出す、「総合課税」の扱いとなります。

    税率は1,000円未満の端数を切り捨てた所得額によって異なり、次の表のように設定されています。

    課税される所得金額 税率 控除額
    195万円以下 5% 0円
    195万円超330万円以下 10% 97,500円
    330万円超695万円以下 20% 42万7,500円
    695万円超900万円以下 23% 63万6,000円
    900万円超1,800万円以下 33% 153万6,000円
    1,800万円超4,000万円以下 40% 279万6,000円
    4,000万円超 45% 479万6,000円

    なお、2037年分までの確定申告では、所得税に加えて2.1%の復興特別所得税が加算されますから忘れないようにしてください。

    移動平均法と総平均法

    納税
    仮想通貨はレートの上下があるため、購入価額が一定とは限りません。ですから、所得の算出の際には、購入価額の平均単価をベースに計算します。

    その計算法には「移動平均法」と「総平均法」があり、国税庁は「移動平均法が相当」としつつも、継続して適用することを前提に「総平均法を用いても差し支えない」という見解を出しています。

    移動平均法

    仮想通貨を購入する度に通貨の平均単価を割り出し、取得価額を算出していきます。その数値を基に、取引等で得た利益を算出する方法です。

    仮想通貨取引の実態に近いとされますが、計算は煩雑になります。

    総平均法

    その年に取得した仮想通貨の取得価額の総額を取得した通貨量で割り、平均単価を算出します。それを基に取引等で得た利益を算出する方法です。

    簡略化された方法ですが、レートの変動によって、実際とはかけ離れた数値になる場合もありますから、注意が必要です。

    確定申告の手続きについて

    仮想通貨の確定申告
    仮想通貨取引による所得額を算出し、それが課税対象となる場合には、住所地の税務署宛てに確定申告をしなくてはなりません。少々面倒に感じるものですが、雑所得の申告だけなら決して難しいものではありません。

    確定申告とは何か?

    1月1日から12月31日までの所得状況を書類にまとめ、納税額を計算して、翌年の3月に税務署に申告するのが確定申告です。

    個人事業主の人たちにとってはおなじみの作業ですが、初めての申告では「右も左もかわらない」ということになりがちです。しかし、確定申告の時期が近づくと、税務署に相談窓口が設置されますので、ここで詳しい話を聞いてみるのもいいでしょう。

    申告の期間は2月16日から3月15日までで、その期限を過ぎると、無申告加算税が追加されることもあります。申告に必要な書類は税務署に用意してありますし、郵送でも受け付けてくれます。

    一度、確定申告を行うと、翌年からは申告書類一式を税務署から郵送してくれます。

    書類作成・申告に便利なアプリもある

    確定申告の書類作成アプリは、無料のものから有料の高機能なものまで、数多くあります。これらのソフトを使えば計算ミスや記入漏れを防げますし、申告書をきれいに仕上げることができますから、活用するのも良いでしょう。

    また、国税庁では、ネットで確定申告の手続きができるe-Taxというシステムを稼働させています。

    あらかじめ準備が必要ですが、これを使えばPCやスマートフォンで申告でき、税務署に出向いたり書類一式を郵送したりする必要もありません。確定申告期間中は24時間受け付けていますから、時間に関係なく手続きができます。

    確定申告をしないでいるとどうなる?

    仮想通貨の確定申告
    仮想通貨による所得に対しては、国税当局もきびしい目を向けています。納税は国民の義務です。

    損益の計算は煩雑で、申告書の作成は考えただけでも面倒に感じるかもしれませんが、放置しておいて良いことはありません。やってみれば意外と簡単ですから、毎年欠かさず申告するようにしましょう。

    仮想通貨は周辺の環境がまだ整備されておらず、法制度も万全ではありません。税制は毎年のように改正されることが多いので、確定申告をする前に国税庁のウェブサイトで、最新の税制についてチェックしておくといいでしょう。

    ※税金や確定申告等の詳細につきましては、管轄の税務署や税理士等にお訊ねいただくか、または国税庁タックスアンサーをご参照ください。