XRP(エックスアールピー)の取引で得た利益にかかる税金や計算方法ついて

XRP(エックスアールピー)の取引で利益が出た場合、それが一定の条件を満たしていたら、確定申告をして利益に見合った税金を納めなくてはなりません。

そのまま放置してしまうと、後悔することにもなりかねませんから、注意が必要です。
仮想通貨と税金の関係について解説します。

※仮想通貨の税金については、本記事は執筆時点(2025年5月27日)の現行税制に基づいて解説しています。
 税制は頻繁に改正される可能性があり、特に暗号資産については申告分離課税への移行や損失繰越控除の導入など、重要な税制改正が議論されています(2025年3月時点)。
 最新の情報は、必ず国税庁のウェブサイトや税理士にご確認ください。

XRP(エックスアールピー)とは?

リップル社(Ripple Inc.)が運営する決済システムのことをリップルネットワークと呼びます。
このシステム内で使用できる通貨はエックスアールピーと呼ばれ、通貨単位はXRPとなります。

エックスアールピー(XRP)は、カナダのエンジニアであるRyan Fugger氏によって、その基礎となる「Ripple payment protocol」が2004年に考案され、開発がスタートしました。

その後、2012年にFugger氏からプロジェクトの指揮権を引き継いだChris Larsen氏らにより、OpenCoin(現Ripple, inc.)が設立され、現在のエックスアールピー(XRP)および国際送金ソリューションの開発が本格化しました。

Ripple, inc.(旧OpenCoin)は、エックスアールピー(XRP)を通して、グローバルに資産をやりとりできることを目標に掲げています。

つまり、国際送金を簡単に行うことを目指して開発されました。
それゆえ、銀行やクレジットカードといった業界でも、XRP(エックスアールピー)は注目されています。

詳しくはこちら:XRP(エックスアールピー)の特徴とは?

仮想通貨取引にかかる税金とは?

仮想通貨取引の税金

仮想通貨の取引等で得た利益は、税の区分上「雑所得」に分類されます。
給与所得者で、仮想通貨の利益を含む雑所得の合計額が年間20万円を超えた場合、所得税の課税対象となり、確定申告が必要です。

【注意点】

  • 給与所得者であっても、医療費控除やふるさと納税など、他の理由で確定申告を行う場合は、仮想通貨の所得が20万円以下であっても申告が必要です。

  • 給与所得がない方(学生、主婦・主夫など)は、仮想通貨の利益が基礎控除額の48万円(※)を超えると確定申告が必要です。

  • 個人事業主やフリーランスの方は、仮想通貨の所得額に関わらず、毎年確定申告が必要です。


  • ※基礎控除額は合計所得金額によって変動します。

     詳細は国税庁のウェブサイトをご確認ください。
  • ただし、「取引等」というところが肝心です。2017年(平成29年)7月1日に施行された「改正資金決済法」によって、エックスアールピー(XRP)も含めた仮想通貨全体が、米ドルや日本円と同様の「支払手段」としての価値が認められました。
    これにより、仮想通貨の購入や売却自体には消費税はかかりません(非課税取引)。

    しかし、仮想通貨取引所が提供するサービスの手数料には消費税が含まれる場合があります。
    また、仮想通貨で商品やサービスを購入した場合は、その商品やサービス自体に消費税がかかります。

    この際、仮想通貨の取得価額と商品購入時の評価額との差額が利益とみなされ、所得税の課税対象となります。

    仮想通貨の売却

    手持ちの仮想通貨の売却価格が購入時の取得価額より高い場合、その差額が所得金額となります。

    仮想通貨の交換

    手持ちの仮想通貨Aを別の仮想通貨Bと交換したとき、Bの取得価額がAの取得価額よりも高い場合、その差額が所得金額となります。

    仮想通貨による商品の購入

    手持ちの仮想通貨で商品を購入したとき、仮想通貨の取得価額よりも購入した商品価格が高い場合、その差額が所得金額となります。

    どのようなケースであっても、仮想通貨で利益が出れば所得になると考えてください。

    なお、仮想通貨の取引では、当然ながら損失が出る場合もあります。
    また、仮想通貨で得た所得は、以下の条件すべてと合致した場合のみ損益通算が可能です。
    損益通算とは、利益から損失を差し引くことのできる税の仕組みです。

  • 「雑所得」に該当するものであること

  • 「総合課税」の対象であること

  • 同一年内に発生した損益であること
  • 雑所得は多くの場合、総合課税(各種の所得金額を合計して所得税額を計算する)の対象であり、その他の所得と損益通算ができません。
    ただし、同じ雑所得の総合課税の対象となるもの、かつ同一年内に発生した損益とは損益通算することができます(例:FX取引の利益と仮想通貨取引の損失)。

    ※仮想通貨取引で生じた損失は、翌年以降に繰り越すことができません。

    納税額はどうやって計算する?

    仮想通貨取引の税金計算

    納税額は、どのように計算するのでしょうか。
    雑所得は総合課税の扱いですので、給与所得など、ほかの区分の所得額と合算して、所得税額を算出します。

    税率は1,000円未満の端数を切り捨てた課税対象額によって異なり、次の表のようになっています。

    【所得税の速算表(参考:令和7年分)】

    ※なお、復興特別所得税は2013年(平成25年)1月1日から2037年(令和19年)12月31日までの所得に対して課せられ、所得税額に加えて2.1%が加算されますので注意が必要です。

    課税される所得金額 税率 控除額
    195万円未満 5% 0円
    195万円以上330万円未満 10% 97,500円
    330万円以上695万円未満 20% 42万7,500円
    695万円以上900万円未満 23% 63万6,000円
    900万円以上1,800万円未満 33% 153万6,000円
    1,800万円以上4,000万円未満 40% 279万6,000円
    4,000万円以上 45% 479万6,000円

    例えば、課税対象額が650万円であれば税率は20%ですから税額は130万円、さらに控除額を差し引いて納税額は87万2,000円となります(1,000円未満切り捨て)。

    なお、2037年分までの確定申告では、所得税に加えて2.1%の復興特別所得税が加算されますので注意が必要です。

    移動平均法と総平均法

    移動平均法と総平均法

    仮想通貨による所得の計算方法には「移動平均法」と「総平均法」の2種類があります。

    国税庁は、平成29年12月1日発表の「仮想通貨に関する所得の計算方法等について」において、「移動平均法を用いるのが相当」という見解を示していますが、「継続して適用することを要件に、総平均法を用いても差し支えない」としています。

    移動平均法

    仮想通貨を購入する度に取得額の平均単価を計算し、取得価額を算出します。
    その数値をベースに、売却や交換などで得た利益を算出します。
    レートの上下がある仮想通貨の実態に近い計算法ですが、計算も煩雑になります。

    総平均法

    1年間に取得した仮想通貨の取得価額の総額を、1年間に取得した通貨量で割って取得単価を算出し、所得計算のベースとします。
    計算が簡略化されていますが、レートの変動によっては実際の所得状況とかけ離れた数値になることもありますから、注意が必要です。

    仮想通貨の確定申告はどうすればいい?

    仮想通貨の確定申告

    さて、仮想通貨による所得額が算出でき、課税対象になっている場合は、確定申告の手続きをしなくてはなりません。

    確定申告は手間がかかるイメージがあるかもしれませんが、雑所得の申告だけなら難しいことはありません。

    詳しくはこちら:仮想通貨にかかる税金とは?計算方法から確定申告のやり方まで解説

    そもそも確定申告とは?

    確定申告とは、1年間の所得内容をまとめて納税額を算出して、翌年3月までに税務署に申告する手続きです。

    申告用紙は税務署に用意されていますし、確定申告の時期が近づくと税務署内に相談窓口が設置されますから、相談に訪れてみるのもいいでしょう。

    申告書の提出期間は原則として2月16日から3月15日までです。
    ただし、3月15日が土曜日、日曜日、祝日の場合は、翌営業日が期限となります。

    それを過ぎても申告はできますが、無申告加算税や延滞税を課されることもありますから注意が必要です。

    なお、申告書類は郵送でも受け付けてくれますし、一度確定申告すると、翌年からは税務署から申告書一式を郵送してくれます。

    アプリを使えば書類作成も簡単

    無料のものから高機能なものまで、すでに多くの確定申告アプリが登場しています。

    個人商店やフリーランスなど、毎年確定申告を行う人にとってはおなじみでしょう。
    書類作成が格段に楽になり、記入漏れなども防げます。

    また、国税庁では、ネットで確定申告ができる e-Tax というシステムを用意しています。

    e-Taxを利用すれば、PCやスマートフォンで自宅から申告でき、確定申告期間中は24時間(メンテナンス時間を除く)受付OKですので、活用すると良いでしょう。

    【e-Taxの主なメリット】

  • 自宅やオフィスから24時間いつでも申告可能

  • 還付金がスピーディーに振り込まれる

  • 一部の添付書類(源泉徴収票など)の提出が省略できる

  • 確定申告ソフトのデータを活用できる

  • 2025年1月(令和7年1月)からは、所得税の全ての画面でスマートフォンでも操作しやすい画面が提供され、より便利になっています。
  • 確定申告をしないとたいへんなことに…

    仮想通貨の確定申告

    納税は国民の義務であり、所得額は自己申告が基本です。
    「面倒くさいから」などと放置しておくと、無申告加算税や延滞税といった重い追徴課税の対象にもなりかねません。

    【無申告加算税・延滞税について】

    税金の種類 概要と税率
    無申告加算税 期限までに申告しなかった場合に課される税金です。税務署の指摘を受ける前に自主的に期限後申告を行った場合は、原則として納税額の5%に軽減されます。しかし、税務署の指摘を受けてから申告した場合は、納税額のうち50万円までは15%、50万円を超える部分は20%、300万円を超える部分は30%が課されます。
    延滞税 納税が遅れた日数に応じて課される税金です。納期限の翌日から2ヶ月以内は年2.4%(2022年1月1日~2025年12月31日の期間)、2ヶ月経過後は年8.7%(同期間)と税率が高くなります。未納期間が長くなるほど負担が大きくなるため、早めに納税を行うことが重要です。

    実際に、2017年には国税局が仮想通貨取引業者の顧客リストを基に、無申告者に追徴課税をかけた例があります。

    損益の計算は煩雑ですが、確定申告は一度経験してしまえば意外と簡単なものですので、尻込みせず、きちんと申告しましょう。

    仮想通貨税制の最新動向と今後の展望

    仮想通貨はそれをとりまく環境や法制度が十分とはいえず、いまだ発展途上です。
    そのため、税制も改正されていく可能性が高いと考えられます。

    特に、暗号資産の税制については、現在、重要な改正議論が進行しています。
    2025年度税制改正大綱では、暗号資産を「国民の資産形成に資する金融商品」と位置づけ、株式などの金融商品と同様に「申告分離課税(一律20.315%)」への移行が検討事項に明記されました。

    この申告分離課税が実現すれば、現在の「雑所得・総合課税」とは異なり、損失の繰越控除(最長3年間)も導入される可能性があります。
    これは、投資家にとって税負担の軽減や、より柔軟な投資戦略を可能にする大きな変化となるでしょう。

    業界団体からは、申告分離課税と損失繰越控除の導入に加え、仮想通貨同士の交換時における非課税化なども要望されており、今後の議論の行方が注目されます。

    自民党web3ワーキンググループは、2025年3月に暗号資産に関する改正案を公表し、4月には金融庁へ提言を行う予定であり、2026年の通常国会での資金決済法や金商法の改正案提出と税制改正の同時施行を目指しています。

    税に関する最新の情報は、国税庁のウェブサイトで公開されていますので、確定申告の前にチェックしておきましょう。

    ※税金や確定申告等の詳細につきましては、管轄の税務署や税理士等にお訊ねいただくか、または国税庁タックスアンサーをご参照ください。