ビットコインは第二の金になるのか?コロナウイルスによる影響を考察

この記事は、当社専門役員の大塚雄介氏が執筆した記事になります。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)がもたらした世界的なパンデミックは、あらゆる市場に大きな打撃を与えました。

ビットコインは、「デジタル・ゴールド」とも呼ばれている通り投資家からは安全性のある資産として認識され、リスクオフの局面では逃避先となることは容易に理解できたのですが、2月中旬からの株価の暴落は、金はもちろんビットコインまでもが影響を受けました。

本記事では、2月中旬の暴落開始からパンデミック宣言後の大暴落、そして5月12日に迎えた3回目の半減期までのビットコインの値動きを振り返ります。

執筆大塚雄介

早稲田大学大学院修了。株式会社ネクスウェイ(元リクルート)を経て、レジュプレス株式会社に参画。2017年4月よりコインチェック株式会社に社名変更。現在は専門役員として、主に仮想通貨の啓蒙や業界トレンドの解説などの活動を担う。/ 運営元:コインチェック株式会社

2020年2月中旬から世界の株式市場は荒れ始める

株式市場
2月中旬から3月にかけて、新型コロナウイルス感染症拡大による実体経済への影響を恐れたリスクオフの動きによって、世界の市場は大荒れとなりました。

3月11日には世界保健機関(以下、WHO)がパンデミック(世界的大流行)を宣言し、ウイルスの脅威をより身近に感じることとなりました。

図表1-1:日経平均株価とNYダウ平均株価の推移
日経平均株価とNYダウ平均株価の推移出典元:TradingView

図表1-2:日経平均株価とビットコインの価格推移
日経平均株価とビットコインの価格推移出典元:TradingView

2月から3月にかけて起きた、日・米それぞれの株式市場のこれまでにない急激な暴落は、ビットコインの価格にも影響を与えました。ビットコインは2月中旬には110万円を超えていましたが、3月には50万円台まで暴落。一見、株式とビットコインは相関性があるような動きを見せましたが、5月時点でビットコインは100万円近くまで回復しています(図表1-1、図表1-2)。

株式市場においても、4月に入り新型コロナウイルス感染症の治験薬開発に対する期待感の広がりや、経済活動の再開の見通しが立って期待感が出てきたことなどにより、楽観相場に変わりつつありました。しかし、日経平均株価は暴落した分の半分くらいの回復となっています。

これらの観測結果からビットコインの価格は、株式市場とは少し異なる要因で動いているかもしれません。そこで、2月からの約3カ月間をいくつかに分けて説明します。

2020年2月から3月の市場全体の急落について

hoge

WHOがパンデミック宣言をした3月11日、トランプ米大統領がヨーロッパ諸国からの渡航を30日間停止することを発表しました(図表2-1)。世界経済の大動脈である米国・欧州間の移動制限により、グローバル経済に悪影響が生じる可能性が高まったのです。

図表2-1:トランプ大統領の欧州からの入国禁止措置に関するツイート
hoge出典元:Twitter

これによって市場心理に激震が走り、急激なリスクオフが起きました。株式、債券、原油だけでなく、安全資産の代表格である金までも価格が急落。為替市場では一時1ドル101円台前半まで円高が進みました(図表2-2)。

図表2-2:USD/JPY(2019年12月〜2020年5月までの推移)
USD/JPY出典元:TradingView

そして、ビットコインの価格も急落。ビットコインは投資家から新たな安全資産となることを期待されていましたが、金と同様の値動きとなりました。
 

ビットコインは金よりも早く回復

チャート

金の価格は3月19日、S&P500は3月23日まで下落が続きましたが、ビットコインは3月12日に底を打ち、いち早く上昇傾向に転換しました(図表3-1)。

図表3-1:S&P500指数とビットコイン・金の価格推移
hoge出典元:TradingView

なぜ、ビットコインは金価格よりも回復に転じるのが早かったのか。この動きから、ビットコインが金や株式とは異なる資産として見られるようになってきているのではないかという仮説が立てられますす。

金の価格は一度下落したものの、4月にはパンデミック宣言がなされる3月11日以前よりも高値をつけました。ビットコインも急激な回復を見せています。これまで金融危機や戦争などが起こると、リスクが低い安定資産にお金が流れていました。

しかしながら今回は、実体経済に対する不安が蔓延したことで、金のような実物資産ではないビットコインにも注目が集まっています。

実際にGoogle Trendsによる調査では、ビットコイン底値の翌日3月13日にビットコインに関する検索ボリュームが一気に増えました。

「buy bitcoin」の検索ボリューム(すべての国)
buy bitcoin出典元:Google Trends

「bitcoin price」の検索ボリューム(すべての国)
bitcoin price出典元:Google Trends

また、4月にはコインベース(Coinbase)のCEOであるブライアン・アームストロング(Brian Armstrong)氏が、1200ドル相当の暗号資産の購入や入金が急増した様子をツイートしました(図表3-2)。さらに、アメリカのバイナンス(Binance US)でも同じような動きが見られたようです。

図表3-2:コインベースCEOのブライアン・アームストロング氏のツイート
hoge出典元:Twitter

4月中旬から新型コロナウイルス感染拡大における経済対策の一環としてアメリカでは1,200ドル(約13万円)の現金支給がスタートしていますが、その支給額の一部が暗号資産取引所に入金されたのではないでしょうか。

これらの背景を踏まえ、ビットコインは第二の金として注目を浴び始めたのかもしれません。

リスクオフからの脱却

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4月は、新型コロナウイルス感染症の治験薬開発に対する期待感が広がり、株式市場も上昇をはじめました。しかし、4月29日頃からS&P500指数と金価格の上昇は低調になります。一方、ビットコインは上昇傾向を維持しています(図表4-1)。これは、5月12日前後に控える半減期に向けて価格上昇を維持しているものと思われます。

図表4-1:S&P500指数とビットコイン・金の価格推移
hoge出典元:TradingView

半減期とは、ビットコインなど暗号資産の「マイニング」というブロックを生成する作業成功に支払われる報酬(新しく発行されたコイン)の量が半分になるタイミングです。暗号資産の価値も、法定通貨同様に市場の需要と供給で決まります。そのため、インフレや価値の希薄化を防ぐため、半減期によって新規発行される暗号資産の量を調整しています。

ビットコインでは、ブロック数が210,000に到達するごとにマイニング報酬が半分になる半減期が起こります。ビットコインの半減期は、4年に1回程度のペースで行われてきました。2009年のマイニング報酬は50BTCでしたが、2012年に1回目、2016年に2回目の半減期が到来、2020年の3回目の半減期では、6.25BTCになりました。

図表4-2:これまでのビットコインの半減期とマイニング報酬の変化
ビットコインの半減期とマイニング報酬の変化

今回の半減期について、キーワードがGoogleでどれくらい検索されているかを調べることができるツール「Googleトレンド」で確認したところ、日本でも「ビットコイン 半減期」の検索量は、2020年に入り徐々に増加傾向になり、3月下旬から急増しています。

図表4-3:過去1年間の「ビットコイン 半減期」の検索量推移
ビットコイン 半減期出典元:Googleトレンド

2020年5月の3回目半減期後のビットコイン市場を注視

2016年のビットコインの価格推移
2016年7月9日の半減期では、ビットコイン価格は1カ月前から急上昇を始め、一時8万円台まで上昇しましたが、7月を迎える前に6万円台に反落、半減期を迎えた後には5万円台まで下落しました(図表5)。

図表5:2016年のビットコインの価格推移
ビットコインの価格推移

2012年11月28日の半減期では、半減期の1カ月後に急上昇が起きました。3回目の半減期である5月12日のあと、ビットコイン市場がどう動いていくのか、今後の動きに注目しておくと良いでしょう。