「仮想通貨のマイニングって何?」
「マイニングの仕組みを知りたい」
暗号資産(仮想通貨)
の勉強を始めようと思っている方の中には、このような疑問を抱いている方もいらっしゃるのではないでしょうか?
仮想通貨のマイニングを一言でいうと、仮想通貨の取引内容を承認し、取引を成立させる作業のことをいいます。
この記事では、マイニングの仕組みをイラスト付きで徹底解説!マイニングのやり方や報酬の仕組み、マイニングで得た利益にかかる税金などについてもわかりやすく解説していきます。
仮想通貨のマイニングに興味をもっている方や、これからマイニングを始めようと思っている方はぜひ参考にしてみてください。
目次
仮想通貨(暗号資産)のマイニングとは?
マイニングとは、仮想通貨の取引内容を承認し、取引を成立させる作業のことをいいます。
ビットコイン(BTC)をはじめとする仮想通貨には、円やドルのように通貨の発行や流通を管理する国や中央銀行が存在しません。
そのため、ネットワークに参加する不特定多数の参加者が、自身が所有するコンピュータを利用して通貨の管理を行う仕組みを採用しています。
この中央管理者が存在せず、個々の端末が共同でデータの管理をするネットワークのことを、「P2P(ピアツーピア)」といいます。
ネットワークの参加者は、仮想通貨の取引内容を確認し、問題がなければ承認します。このように、仮想通貨の取引はP2P参加者による承認を経て初めて成立するのです。
暗号資産の世界では、この「第三者による取引の確認と承認作業」のことをマイニングといい、マイニングを行う人たちのことを「マイナー(採掘者)」と呼んでいます。
マイナーたちは、「コンセンサスアルゴリズム」という独自のルールに従ってマイニングを行い、その報酬として新規発行されたコインを受け取ります。コンセンサスアルゴリズムについては、後ほど「マイニングのルールを決める「コンセンサスアルゴリズム」とは」の項目で詳しく解説します。
マイニングの仕組み
ビットコインなどの仮想通貨の取引履歴は、ブロックチェーンと呼ばれるネット上の巨大な取引台帳にすべて記録されています。
ブロックチェーンを構成する各ブロックには、「いつ・誰が・どのくらいの量の仮想通貨を取引したか」といった情報が格納されています。
このような情報が入ったブロックを、次から次へと鎖のようにつなげていく構造を持つことから、「ブロックチェーン」と名付けられました。
ちなみに、ビットコインの場合は約10分でひとつのブロックが生成されます。これは言い換えると、ビットコインで送金などを行なった場合、取引(送金)が完了するまでに10分程度かかるということを意味します。
1回のマイニングでもらえる報酬は600万円以上!?
マイナーは仮想通貨の取引の承認を行い、ブロックの生成を手伝う見返りとして報酬を得ています。
報酬は、「マイニングした通貨を決められた枚数だけもらえる」というケースが一般的です。例えばビットコインの場合、1回のマイニングの成功報酬は6.25BTC(2020年11月現在)というのがルールで決められています。
仮に1BTC=100万円だとすると、ひとつの取引の承認作業を行うだけで、625万円ももらえることになります。前述したように、ビットコインの場合は10分でひとつのブロックが生成されるので、一日に獲得できる報酬の総額は9億円になります。
このように聞くと、誰でも簡単に大金が稼げるように思えるかもしれませんが、実際はそれほど甘くはありません。
報酬がもらえるのは1人だけ
というのも、マイニング報酬がもらえるのは「最初に承認に成功した1名だけ」という決まりがあるからです。
マイニングには膨大な計算が必要であり、それを実行するための高性能なパソコンを所持していなくてはなりません。また、マシンを長時間稼働させる必要があるので、高額な電気代もかかります。
マイニングはこのように大勢で計算競争を行い、最初に問題を解いた1人だけが報酬をもらえる仕組みになっています。この場合の計算とは、「ハッシュ関数」という関数を用いて、「ナンス値」という数値を導き出すことを意味します。
ビットコインは採掘難易度が高い
マイニングに成功する難易度のことを、「採掘難易度(ディフィカルティ)」といいます。一般的に、ビットコインなどマイニング報酬額が高い通貨ほど競争率が激しくなり、採掘難易度も上がります。
まだ通貨としての価値が高くなかった頃は、個人のパソコンでもビットコインのマイニングは可能でした。
しかし、100万円以上の価格がついた現在は、マイニング専用のコンピュータ設備を有する事業者がほぼすべての報酬を独占しており、個人がビットコインのマイニング報酬を得るのは不可能に近いと言われています。
こうした企業は、中国などの地価や電気代の安い国に「マイニング・ファーム」と呼ばれる施設を作り、そこに大量のマシンを置いて24時間体制でマイニングを行なっているため、個人のPCの処理能力では到底敵わないのです。
ただし、ビットコインほど高額でないアルトコインの場合、それほど競争率も激しくないため、銘柄によっては個人でもマイニング報酬を得ることは十分可能です。
ビットコインの半減期になるとマイニング報酬が半分になる
マイニング報酬は、一定期間ごとに減るようにルールづけられています。ビットコインの場合は、21万ブロックが生成されるごとに半減するよう設定されています。
ビットコインの総発行量は2,100万BTCと設計されており、マイニングの報酬(ブロック生成の報酬)としてブロック生成ごとに新規発行されるようになっています。
2020年11月の時点では、そのうちの約1,850万枚が発行され、マイニング報酬は6.25BTCとなっています。
主要な通貨とマイニング報酬の関係を、表にまとめてみました。
通貨名 |
マイニング報酬(2020年11月時点) |
---|---|
ビットコイン(BTC)
|
6.25BTC |
イーサリアム(ETH) |
2ETH |
ビットコインキャッシュ(BCH) |
6.25BCH |
モナコイン(MONA) |
12.5MONA |
マイニングのルールを決める「コンセンサスアルゴリズム」とは
中央管理者のいないP2Pネットワークでは、参加者全員で不正を監視してシステムを正常に保たなくてはなりません。このような状況下で、参加者の合意を取る方法を「コンセンサスアルゴリズム」といいます。
より具体的に説明すると、コンセンサスアルゴリズムとは、「マイニングを行う人を選ぶ際の基準」を定めたルールのようなものと考えるとわかりやすいかもしれません。
例えば、ビットコインやイーサリアムが採用しているPoW(プルーフ・オブ・ワーク)というアルゴリズムの場合、「膨大な計算量が必要となる作業を、最も早く完了させた人がブロックを生成する権利を得る」というのが、ネットワーク内のルールとして決められています。
先ほどマイニング報酬の項目でも説明しましたが、大勢のマイナーが一斉に計算競争を行い、一番早く問題を解いた人が報酬を得るというのがPoWのルールです。
5種類のコンセンサスアルゴリズム
コンセンサスアルゴリズムには、いくつか種類があります。主要なコンセンサスアルゴリズムと、その特徴を一覧表にまとめてみました。
名称
|
特徴 |
採用している通貨 |
---|---|---|
PoW(プルーフ・オブ・ワーク)
|
計算速度の速さによって取引の承認者を決定する |
・ビットコイン(BTC) ・イーサリアム(ETH) ・ビットコインキャッシュ(BCH) ・ライトコイン(LTC) ・イサーリアムクラシック(ETC) ・モナコイン(MONA) |
PoS(プルーフ・オブ・ステーク) |
通貨の保有量と保有期間によって取引の承認者を決定する
|
(※)イーサリアムが移行予定
|
PoI(プルーフ・オブ・インポータンス)
|
通貨の保有量、取引量、取引回数などの指標から保有者の「重要度」をスコアリングし、承認者を決める |
・ネム(XEM) |
PoC(プルーフ・オブ・コンセンサス)
|
企業や組織が選んだ特定の承認者(バリデーター)によって取引が承認される |
・リップル(XRP) |
DPoS(デリゲート・プルーフ・オブ・ステーク)
|
通貨保有量によって重みづけをした投票を行い、そこで承認者を決定する |
・リスク(LSK) |
このように、コンセンサスアルゴリズムにはいくつもの種類があり、それぞれ異なる特徴をもっています。また、どのアルゴリズムを採用しているかによって、その通貨がどのような目的をもっているかをある程度推測することができます。
例えば、「非中央集権的」な運用を目的とするビットコインやモナコイン(MONA)などは、有志のネットワーク参加者だけで取引の管理ができるPoWを採用しています。
その一方で、「リップル社」という法人によって管理・運営されているリップル(XRP)は、自分たちが選んだ者だけが取引の承認をできるという、中央集権的なPoC(プルーフ・オブ・コンセンサス)というアルゴリズムを採用しています。
マイニングのやり方は主に3種類
マイニングにはいくつかの種類があります。1人でやってみたり、複数でやってみたりするやり方がありますので、それぞれ確認していきましょう。
個人で行う「ソロマイニング」
ソロマイニングとは、個人で機材をそろえ、1人でコツコツとマイニングするやり方です。
しかし、資金力のあるマイナーが集中しているビットコインなどのマイニングは、難易度が非常に高くなっています。
例えば、高性能なGPUを搭載したパソコンでソロマイニングをするとすれば、500年に一度報酬がもらうことができればラッキーでしょう。導入や運用などコストを考えると、ビットコインのソロマイニングはとても現実的とはいえません。
しかし、あまり名の知られていないコインなら、マイニングの競争をする相手も少ないため、高性能マシンが必要ない場合もあります。
チームで行う「プールマイニング」
マイニングプール内で複数人が計算能力を提供しあい、チームとしてマイニングを行うスタイルをプールマイニングといいます。
チームの計算能力を結集して得られたマイニング報酬は、提供した計算能力に応じて分配されます。
ソロマイニングよりも大規模な計算能力が得られるために、マイニング成功率は高まります。報酬は、チームメンバーが提供している計算能力に従って分配されるので、収入を安定させることができます。
その反面、たとえ個人のマイニングの実績が高くても、報酬はメンバー内で分配するために、大きな報酬を得にくいというデメリットがあります。
業者に任せる「クラウドマイニング」
クラウドマイニングは、ビジネスとしてマイニングを行っている組織や企業に出資することで、マイニングの報酬を配当として受け取るというスタイルです。
自分自身でコンピュータや電力を用意する必要がなく、専門知識がなくても手軽に始めることができます。マイニングというよりも、マイニング会社に対する投資と考えるとわかりやすいでしょう。
ただ、業者を十分に注意して見極める必要があります。過去には、お金を騙し取られる「マイニング詐欺」などの事件もありました。
ビットコインのマイニングは個人でもできる?マイニングに必要なものを解説
先ほどご紹介した「ソロマイニング」のように、個人でも機材さえあればビットコインのマイニングは可能です。
ビットコインのマイニングに必要なものはASIC(エーシック)です。マイニングにはCPU(中央演算処理装置)、GPU(グラボ)、FPGAなどのマシンでも対応できますが非効率です。
適切なマシンかは、コインに使われているハッシュアルゴリズムなどによって違ってきます。
家庭用のパソコンやスマートフォンがあればマイニングができる
WindowsやMacといった家庭用のパソコンやスマートフォン(スマホ)からでもマイニングをすることが可能です。理由は、CPUが搭載されているからです。
ですが、パソコンやスマートフォンだと計算効率が悪いので、利益を得ることは難しいでしょう。
CPUとGPUはおすすめしない
ビットコインのマイニングを行う場合、CPUとGPUはおすすめしません。なぜなら、電気代がかなり高くなってしまうからです。
CPUとGPUは多少の計算処理の違いはありますが、どちらにしても電気をたくさん消費します。
ビットコインのマイニングに参加したいなら、ASICをおすすめします。「ASICで参加すること」かつ「多くのライバルに対し、支払う電気代で優位に立つこと(日本の場合は個人レベルだと不可能に近い)」が利益を出すための主な条件となります。
なお、GPUでしか掘れないように設計されたコインもありますので、GPUでマイニングしたい場合は、それらのコインもおすすめです。
マイニングには高度な計算能力の設備が必要
ブロックを生成する際に必要なナンス値を発見するには、何千京回・何垓回ものハッシュ化処理が必要になります。
そのためには、ハッシュ関数の実行に特化した計算能力と機器構成が必要になります。
ビットコインのように知名度が高く、また収益性も高いコインでは、参入しているマイナーも多いため、さらに高度な計算能力を備えた設備を投資する必要があります。
マイニング事業の利益は電気代に左右される
マイナー同士の競争に打ち勝つには、ライバルよりも高い計算能力を多数そろえ、必要なときにコンピュータを稼働させられることが求められます。そこで欠かせないのが安価な電力です。
倉庫のような場所で多くのマシンを動かすとなると、十分な空調を効かせて室温を一定以下に保っておく必要があります。
当然ながら大量の電力を使いますから、電気代の高い国だと利益に対してコストが高くなりすぎてしまいます。したがって、マイニング事業が赤字になって儲からないのです。
安定して報酬を得たいなら「ステーキングサービス」がおすすめ
ビットコインのマイニングは、個人でも参加可能です。ただし、高性能なマシンや大量の電力が必要な上に競争が激しいため、現在は個人が参入して利益を得るのはほぼ不可能な状態になっています。
「仮想通貨を利用して安定して利益を得たい」という方には、マイニングの代替手段と言われている「ステーキングサービス」をおすすめします。
ステーキングとは、特定の仮想通貨を保有することで、その通貨のブロックチェーンのオペレーションをサポートし、報酬を得る仕組みです。報酬を得るためには、一定量の仮想通貨をロックする(預け入れる)必要があります。
例えるなら、銀行口座に一定期間お金を預けることにより、利子を受け取る仕組みと似たようなものと考えるとわかりやすいでしょう。
Coincheckのリスク(LSK)ステーキングサービスとは?
当社が提供するステーキングサービスは、CoincheckでLSKを保有し付与対象条件に該当するお客様に対して、当社がLSKネットワークの投票プロセスによって得た報酬を分配する仕組みになっています。
当社が投票したデリゲート(取引承認者)が上位101位までに選出された場合、デリゲートが受け取るForging報酬の一部を投票の報酬として当社が受領し、CoincheckでLSKを保有しているお客様に対して、保有量に応じて付与いたします。
個人ならマイニングの利益にかかる税金は確定申告で納めよう
マイニングにかかる税金は基本的には仮想通貨取引で得た利益と同じ扱いになります。
個人でマイニングで得た利益は雑所得、法人で得た利益は事業所得に分類されます。
個人の場合は、雑所得が20万円を超えたら確定申告が必要になります。
※詳しくは国税庁や所轄の税務署などにご確認ください。
仮想通貨のマイニングに関するQ&A
仮想通貨のマイニングに関するよくある疑問を、Q&A形式でご紹介します。
Q:ビットコインのマイニングとはどのような作業ですか?
ビットコインの取引内容を承認し、取引を成立させる作業のことです。
マイナー(取引を承認する人)はマイニングをする見返りとして、新規に発行されたビットコインを受け取ることができます。
Q:ビットコインのマイニング報酬はどのくらいですか?
2020年11月時点のビットコインのマイニング報酬は、6.25BTCです。
ビットコインのマイニング報酬は、半減期と呼ばれるタイミングで半分に減るように設定されています。ビットコインでは、21万ブロックが生成されるごとに半減期が訪れるため、次回の半減期(4回目)は2024年になると想定されます。
なお、次回の半減期後の報酬は3.125BTCになる予定です。
Q:マイニングのやり方を教えてください
マイニングの方法には、以下の3種類があります。
・ソロマイニング…個人で機材をそろえて、1人でマイニングする方法
・プールマイニング…複数人が計算能力を提供しあい、チームとしてマイニングを行う方法
・クラウドマイニング…マイニング事業者に出資をし、マイニング報酬を配当として受け取る方法
Q:マイニングで得た利益に税金はかかりますか?
一定額以上の利益が出た場合、マイニングで得た利益には税金がかかります。
個人の場合、マイニングで得た利益は雑所得に分類され、利益が20万円を超えたら確定申告が必要になります。
自分にできる範囲でマイニングを楽しもう
マイニングとは、仮想通貨の取引データの正当性を検証し、正当な取引データが格納されたブロックを作成する作業のことでしたね。
仮想通貨は、多くのマイナーによって支えられて存在しています。
新規にマイナーとして参加しようとすると初期投資が必要ですが、マイニングにはあまり知られていないコインをコツコツと育てていくという楽しみもあります。
まずは必要な知識を身につけ、自分に合ったやり法でマイニングを楽しんでみましょう。それもまた、仮想通貨の楽しみ方の一つではないでしょうか。