
メイカー(Maker)は、MakerDAOによって運営される暗号資産DAIを発行・管理するプロジェクトです。暗号資産メイカー(MKR)はMakerDAOのガバナンストークンとして利用され、システムの管理や方針決定への投票に使用することができます。
今回の記事では、暗号資産メイカー(MKR)について詳しく解説していきます。
目次
暗号資産Maker(メイカー・MKR)とは
暗号資産メイカー(MKR)とは、DeFiプロジェクト「MakerDAO」のガバナンストークンです。
当初はEthereumのブロックチェーン上で発行されるERC-20規格のトークンとして発行されましたが、現在はマルチチェーンに対応しており、BSC規格のMKRも存在します。
Coincheckでの取り扱いは、ERC-20規格のメイカー(MKR)となります。
MKRは暗号資産「ダイ(DAI)」に関連する暗号資産です。MakerDAOのプラットフォームでは、スマートコントラクトを通じて暗号資産を担保として預けることで、誰でも(DAI)を発行することができます。
※Dai(DAI)は1DAI = 1米ドルを目標価格として設定しており、実際に1米ドル付近で価格が推移していることから、暗号資産(仮想通貨)型ステーブルコインと認識されていますが、1DAI = 1米ドルの価値を保証するための原資産が確保されているものではなく、相場の変動等により目標価格に対して大きく下落する可能性があります。
MakerDAOのガバナンス方式には、「ガバナンス投票」と「エグゼクティブ投票」の2種類があります。ガバナンス投票は、システムのアップグレードや新規担保の追加など、暗号資産メイカー保有者による決議が必要な重要事項に関する決定に用いられます。エグゼクティブ投票はガバナンス投票で決定した事項をシステムに反映するための方法論に関する決定に用いられます。
通貨単位 | MKR |
時価総額(2023年5月26日時点) | 約848億1,800万円 |
発行上限枚数 | 上限なし |
コンセンサスアルゴリズム | イーサリアムに依存(PoS) |
公式サイト | https://makerdao.com/ja/ |
ホワイトペーパー |
https://makerdao.com/en/whitepaper/#overview-of-the-dai-stablecoin-systemhttps://makerdao.com/ja/ |
MakerDAOとの関係
「MakerDAO」は暗号資産であるダイ(DAI)の発行・管理を行うプロジェクトです。また、MakerDAOは組織名でもあります。MakerDAOは分散型自律組織(DAO)に分類されるDeFi(分散型金融)プラットフォームです。
MakerDAOでは暗号資産を担保に暗号資産を発行することができますが、暗号資産は価格変動・ボラティリティが大きいため、適切なリスク管理を行うための組織が必要になります。
※Dai(DAI)は1DAI = 1米ドルを目標価格として設定しており、実際に1米ドル付近で価格が推移していることから、暗号資産(仮想通貨)型ステーブルコインと認識されていますが、1DAI = 1米ドルの価値を保証するための原資産が確保されているものではなく、相場の変動等により目標価格に対して大きく下落する可能性があります。
重要なパラメータ決定・変更やその他重要な意思決定などは、暗号資産メイカー(MKR)の保有者が1MKR=1票として投票を行います。つまり、暗号資産メイカー(MKR)はMakerDAOでのガバナンストークンとして機能します。
Makerの特徴と暗号資産DAIとの関係
Makerでは、プロトコル内にあるMakerVault(スマートコントラクト)にイーサリアムなどの暗号資産を担保として預けることで、その担保に基づいた暗号資産のダイ(DAI)を発行することができます。ダイ(DAI)は1ドルにペッグされるように設計されており、スマートコントラクトに担保が記録されることで透明性とセキュリティが高められています。
ステーブルコインとは、主に米国ドルなどの法定通貨とトークンが1:1で等価に交換することを目的に作られる暗号資産です。一般的には、ステーブルコインの価値を裏付けるために、発行者は発行したトークン量と同等の金融資産を保有していることが必要になります。
ステーブルコインの担保の種類は多岐にわたりますが、米国ドルなどの法定通貨や有価証券・金などの既に価値を形成している金融資産を担保とすることが多いです。
※Dai(DAI)は1DAI = 1米ドルを目標価格として設定しており、実際に1米ドル付近で価格が推移していることから、暗号資産(仮想通貨)型ステーブルコインと認識されていますが、1DAI = 1米ドルの価値を保証するための原資産が確保されているものではなく、相場の変動等により目標価格に対して大きく下落する可能性があります。
それに対して、ダイ(DAI)はイーサリアム(ETH)やチェーンリンク(LINK)、ポリゴン(POL)などを裏付け資産として活用することができます。暗号資産の価格変動リスクをアルゴリズムで制御しており、その制御はスマートコントラクトで行われます。また、ダイ(DAI)はDAO(分散型自立組織)であるMakerDAOによって発行・管理されるため、分散型のステーブルコインとも認識されています。
暗号資産メイカー(MKR)の今後の可能性
暗号資産メイカー(MKR)の今後の可能性を考えるうえで重要なポイントは、次の2点です。
- ダイ(DAI)の時価総額が類似通貨の中で最大級
- ダイ(DAI)が一部の国でドルの代替として提供されたことがある
以下で解説しています。
ポイント①:ダイ(DAI)の時価総額が類似の暗号資産の中で最大級
1つ目のポイントは「ダイ(DAI)の時価総額が類似の暗号資産の中で最大級」であるという点です。
2023年6月時点で、ダイ(DAI)は分散型のステーブルコインと称される暗号資産として最大級の時価総額を誇っています。ダイ(DAI)の活用事例や取扱額が増大すると、暗号資産メイカー(MKR)への期待が集まる可能性があるでしょう。
※Dai(DAI)は1DAI = 1米ドルを目標価格として設定しており、実際に1米ドル付近で価格が推移していることから、暗号資産(仮想通貨)型ステーブルコインと認識されていますが、1DAI = 1米ドルの価値を保証するための原資産が確保されているものではなく、相場の変動等により目標価格に対して大きく下落する可能性があります。
ポイント②:ダイ(DAI)が一部の国でドルの代替として提供されたことがある
一般に、新興国で通貨危機・ハイパーインフレが起こる際は、米ドルがインフレに強い資産とみなされ、現地通貨から米ドルへの交換が促進されます。
過去、アルゼンチンやベネズエラで通貨危機が発生した際、ドルに連動するダイ(DAI)はインフレに強い資産として需要が高まった事例があります。
ダイ(DAI)は発行に時間を要さず、送金時間が短いため、今後起こりえる更なる通貨危機などで活用される可能性があります。
暗号資産メイカー(MKR)が懸念されているポイント
暗号資産メイカー(MKR)に投資する上での懸念点としては、次の2点が挙げられます。
- ダイ(DAI)の価格が下落したときに、メイカー(MKR)の価格が下落する可能性がある
- ダイ(DAI)の担保となる暗号資産の価格が下落したときに、メイカー(MKR)の価格が下落する可能性がある
ダイ(DAI)自体の価格の維持が困難になったり、何らかの大きな損害が発生したりした場合には暗号資産メイカー(MKR)を追加で発行し市場で売却することで資金調達が行われる可能性があります。そのような事態になると、市場での売り圧力が強くなり、メイカー(MKR)の価格が下落することが考えられます。
また、MakerDAOで発行・管理される暗号資産であるダイ(DAI)は、裏付け資産に暗号資産が用いられています。そのため、担保となる暗号資産の価格が下落した場合、暗号資産が強制的に売却される、つまり清算される場合があります。
ただし、これらのシステムはあくまでもダイ(DAI)の価値を維持するための仕組みであり、なるべく起きないような対策は施されています。あくまでも対策は行われているという前提で懸念ポイントを注意しましょう。