「最近、仮想通貨のニュースでよく見るDeFiって何?」
「今、どうしてこんなにDeFiが盛り上がっているの?」
仮想通貨(暗号資産)のニュースを見ていると、最近よく目にする「DeFi」という言葉。読者の方の中には、「DeFiという言葉は知っているけど、実際どんなものなのかはよくわからない…」という方もいらっしゃるのではないでしょうか。
DeFi(分散型金融)は、2020年の暗号資産業界で最も注目されているキーワードの一つです。2020年9月現在、DeFi関連のサービスに投資されている金額の合計は82億ドル(約8,704億円)を超えており、その市場は今もなお驚異的なスピードで成長し続けています。
※出典:DEFI PULSE
仮想通貨の取引をするなら、DeFiに関する知識はぜひ押さえておきたいところ。そこで本記事では、DeFiの基本情報からメリット・デメリット、DeFiが注目を集めている理由などについて解説していきます。
執筆柳田孝介
出版社でテレビ情報誌や映画雑誌の編集を経験した後、2019年からフリーライターとして活動。暗号資産の取引は2017年から開始。推し通貨はイーサリアム(ETH)。最近はNFTマーケットでデジタルアートの取引を始め、日々、審美眼磨きにいそしんでいる。
目次
仮想通貨のDeFi(分散型金融)とは?
DeFi(Decentralized Finance)とは、ブロックチェーン上に構築される金融サービスやエコシステムの総称で、日本語では「分散型金融」といいます。
より具体的に説明すると、「銀行や証券、保険や暗号資産取引所などの金融サービスを、ブロックチェーンを活用して提供するシステム」のことを、DeFi(分散型金融)と定義することができます。
現時点で展開されているDeFiのサービスとしては、以下のようなものが挙げられます。
・中央管理者のいない分散型取引所(DEX)
・仮想通貨のレンディング(第三者に貸し出して利息を得ること)
暗号資産の取引をしたことがある方なら、見覚えのあるサービスがあるのではないでしょうか。これらはすべて、DeFiサービスに分類されます。
DeFiはイーサリアム(ETH)のブロックチェーンを利用しているものが多い
現時点で展開されているDeFi関連のサービスは、イーサリアムのブロックチェーンを利用しているものが多くを占めています。
最近では、イーサリアム系の暗号資産(ERC20トークン)をDeFiのレンディングサービスで運用することで利息を得る、「イールドファーミング」や「流動性マイニング」などが投資家の間で人気を集めています。
CeFi(中央集権型金融)との違い
暗号資産の世界には、DeFiと比較されるシステムとしてCeFi(Centralized Finance)と呼ばれるものがあります。日本語で「中央集権型金融」と呼ばれるCeFiは、企業や組織を介して金融サービスを提供する従来型のシステムとして、DeFiと対をなす存在として知られています。
DeFiとCeFiの主な特徴を以下にまとめました。
表にも記載してある通り、DeFiはブロックチェーン技術を利用することで、誰でも閲覧・検証可能な透明性の高いサービスの実現を基本理念としています。一方のCeFiは、従来の金融機関や企業の中で、暗号資産を取り扱う組織のことを指します。
DeFiの3つのメリット
DeFiのメリットには、主に以下の3つがあります。
1.仲介する金融機関がいなくても取引できる
2.手数料が安い場合がある
3.従来の金融サービスが使えない人でも利用できる
それぞれどのような内容なのか、順番に見ていきましょう。
1.仲介する金融機関がいなくても取引できる
DeFiの1つ目のメリットは、金融機関を仲介しなくても取引ができることです。
例えば誰かにお金を振り込む場合、従来の金融サービスでは銀行や郵便局などの仲介が必要となります。しかし、DeFiならブロックチェーンを通じて、仲介者がいなくても直接振り込むことが可能です。
2.手数料が安い場合がある
中央集権型の金融機関と比べて、手数料が安い場合があるというのも、DeFiの魅力です。
先述の通り、ブロックチェーンを利用するDeFiは、第三者を介さずに当事者間で直接取引や契約をすることができます。取引する際に余計な仲介料がかからない分、サービスにかかる手数料が安いケースがあるのもDeFiの大きなメリットです。
3.従来の金融サービスが使えない人でも利用できる
世界銀行の調査によれば、2018年の時点で銀行口座を持っていない成人の数は全世界で17億人、アフリカ大陸だけで10億人いるとされています。
アフリカやアジアなどの発展途上国で暮らす人の中には、手数料を支払うことができないなどの理由で、従来の金融サービスを利用できない人がたくさん存在します。
その点、利用に際して特別な審査がなく、手数料が格安なDeFiは、所得や住んでいる地域に関係なく誰でも利用することが可能です。
DeFiの2つのデメリット
DeFiにはさまざまなメリットがある反面、次のようなデメリットもあります。
・バブル崩壊を危険視する声がある
・問題があった場合はユーザーの自己責任になる
どのような内容なのか、1つずつ解説していきます。
1.バブル崩壊を危険視する声がある
DeFiは誕生して間もないシステムのため、まだ信用に足る実績が多くありません。
昨今のDeFi市場の活況は、DeFi技術に対する期待が要因であることは確かですが、一方でかつてのICOバブルを思わせるほどの過剰な盛り上がりに、「DeFiバブルの崩壊」を危険視する声も少なくありません。
実際に、暗号資産調査会社「メッセーリ」の創業者ライアン・セルキスは、2020年9月10日のツイートで 〝DeFiバブルは、人々が思っているよりも早く崩壊するだろう〟と指摘しています。
引用元:https://twitter.com/twobitidiot/status/1304067226807533568
2.問題があった場合はユーザーの自己責任になる
DeFiのサービスを利用中に起こった問題は、すべてユーザーの自己責任となります。
中央集権型の金融機関の場合、システム障害などが原因でトラブルが発生した際は、運営者側が責任を負いユーザーの損失を補償するのが一般的です。
しかし、明確な運営者がいないDeFiにはこのような補償制度がないため、サービスの利用中に問題が発生した場合は、ユーザー自身が責任を負わなくてはなりません。
仮想通貨市場でDeFiが注目されている2つの理由
現在、DeFi関連のサービスは急速に増えており、冒頭でも説明した通り、市場に投入されている金額も2020年9月現在で82億ドル(約8,704億円)を突破しました。
DeFiがこれほどまでに注目されている理由には、主に以下の2つの理由があります。
・イールドファーミングの誕生
・DEX(分散型取引所)の台頭
具体的な内容を、以下で解説していきます。
理由①イールドファーミングの誕生
現在のDeFiブームの火付け役とも言われるのが、「イールドファーミング(Yield Farming)」と呼ばれる新しいタイプの運用モデルです。
イールドファーミングとは、暗号資産やステーブルコインをレンディングやDEX(分散型取引所)などのDeFiサービスに貸し出したり、流動性を提供することで、報酬として利息や手数料を受け取る運用方法です。イールドは“利回り”、ファーミングは”農業”を意味します。
銀行にお金を預けると金利の分だけ利息がもらえますが、それの仮想通貨バージョンと考えてもらえると理解しやすいのではないでしょうか。
このイールドファーミング内で利用されるDeFiトークンは、仮想通貨の投資家たちの間で絶大な人気を集め、複数の銘柄が短期間で数倍の価値になるほど高騰しました。
理由②DEX(分散型取引所)の台頭
DEXの台頭も、DeFiの隆盛に大きく貢献しています。
DEXは「Decentralized Exchange」の略で、日本語では分散型取引所といいます。
DEXでは仮想通貨や秘密鍵を取引所に預けることなく、ユーザー同士がウォレットを通じて直接取引することができます。
DeFi分野で注目を集める仮想通貨「IOST」
DeFi分野に進出している仮想通貨は数多くありますが、ここではその中からIOST(アイオーエスティー)をご紹介します。
IOSTは、クレジットカードと同等の処理能力で、さまざまなサービスがブロックチェーン技術を活用できることを目指して、2019年2月25日にメインネットをローンチした暗号資産です。
IOSTは、DeFi分野にも積極的に事業展開しています。2019年からDeFiエコシステムの全体的な構想を立て始め、パートナーシップの締結やDEX(分散型取引所)に関するプロジェクトを進めてきました。
Coincheckは2020年9月8日、国内の暗号資産取引所として初となるIOSTの取り扱いを開始しました。
IOSTの情報や購入方法については、こちらの記事で詳しく解説しています。
DeFiのまとめ
2020年の暗号資産業界でトレンドであるDeFiについて解説してきましたが、いかがだったでしょうか。
最後に、記事の要点をおさらいしましょう。
『DeFi(分散型金融)とは、銀行や証券、保険や暗号資産取引所などの金融サービスを、ブロックチェーンを活用して提供するシステムのこと』
◎DeFiのメリット
・仲介する金融機関がいなくても取引できる
・手数料が安い場合がある
・従来の金融サービスが使えない人でも利用できる
◎DeFiが注目されている理由
・イールドファーミングの誕生
・DEX(分散型取引所)の台頭
Coincheckでは、DeFi分野で積極的な事業展開を見せるIOSTを国内で初めて上場しました。記事をご覧になり、少しでも興味を持っていただけましたら幸いです。