イーサリアムとICOの関係とは?セットで語られる理由を徹底解説

「暗号資産(仮想通貨)取引で、イーサリアムとICOがよくセットで語られるけれど、どういうことだろう?」
「イーサリアムでICO投資をすると儲かると聞いたけれど、本当だろうか?」

この記事を開いたあなたは、そんな疑問を抱いているのではないでしょうか?

その答えを知るには、まずはイーサリアムとICOの両方についてよく理解する必要があります

そこでこの記事では、

  • イーサリアムとICOの仕組みと関係性
  • なぜ両者はセットで語られるのか?

を詳しくわかりやすく説明していきます。

さらに、実際にイーサリアムを利用してICO投資をしてみたいという人のために、

  • イーサリアムでICO投資をするメリット2つ
  • 同じくリスク4つ

についても挙げています。

この記事を最後まで読めば、イーサリアムとICOについてよく理解できるはずです。
あなたが安全で上手にイーサリアムを利用できるよう願っています!

イーサリアムとICOの仕組みとは?関係性とは?

ICO

イーサリアムとICOはしばしば併せて論じられるほど、非常に関係の深いものです。
それはなぜでしょうか?
両者の関係性とはどんなものなのでしょう?

それが深く理解できるよう、まずは「イーサリアム」「ICO」それぞれの意味からわかりやすく解説していきましょう。

イーサリアムとは?

イーサリアム
出典:イーサリアム公式サイト

そもそも「イーサリアム」とは何でしょうか?

「暗号資産のひとつでしょ?」と思っている人が多いかもしれません。が、厳密にいうとこれは間違いです。

「イーサリアム」とは「分散型アプリケーション」を開発するプラットフォームで、これを利用すれば新しいアプリやゲーム、SNSなどさまざまなものを開発・稼働することができるのです。

その際、イーサリアムの利用料として独自の暗号資産「イーサ(Ether/単位:ETH)」を支払う必要があるのですが、この「イーサ」を日本では「イーサリアム」とも呼んでしまっています。

つまり「イーサリアム」という言葉は、

  1. アプリやゲームなどを開発するためのプラットフォーム
  2. そこで使われる暗号資産「イーサ」の、日本での通称

の2つの意味で使われているというわけです。

ちなみに後述しますが、プラットフォームとしてのイーサリアムには「新しい暗号資産を簡単に作り出せる」という機能も備わっています。

これを利用すると「ICO」を始めるのにも便利であるため、イーサリアムを利用する人や企業が増え、「イーサ」の価値が上がり、イーサリアムとICOの関係性が深まっているのですが、それはこの記事で順番に説明していきますので、最後まで読んでみてください。

ちなみにイーサの価値は、最高で公開時の3000倍にも上ったと言われ、今では時価総額でビットコインに次ぐ第2位の暗号資産となっています。

ICOとは?

もう一方の「ICO」「Initial Coin Offering」の略で、暗号資産を新規に発行することで事業などの資金を調達する仕組みを指します。

企業や個人、プロジェクトなどが資金を集めたい場合、従来は銀行からの借り入れや新規株式公開(IPO)などの方法をとっていました。

ICOはそれらとは異なる新しい方法です。

まず資金調達が必要な企業や個人、プロジェクトは、その資金が使われる事業の詳しい内容を「ホワイトペーパー」にまとめてインターネット上に公開、新たな暗号資産(仮にAコインとします)を発行します。

それに賛同した投資家が、既存の暗号資産を使ってAコインを購入することで、事業資金が集まるという仕組みになっています。

多くの投資家から投資が集まったり事業が成功したりすればAコインの価値が上がるため、投資家は利益を得ることができます。

ICOは暗号資産=トークンを販売することから、「クラウドセール」「トークンセール」「トークンオークション」などとも呼ばれます。

事業計画に対して広く出資を募るという点ではクラウドファンディングに似ていますし、投資の対象となるのはIPOも同様ですが、3者には以下のような違いがあります。

【ICOとクラウドファンディング、IPOの違い】
ICOとクラウドファンディングとIPOの違い

イーサリアムとICOの関係性

では、イーサリアムとICOはどのような関係なのでしょうか?
両者には、以下の2つの面から深い関連があります。

①イーサリアム自体がICOにより実現したプロジェクトである

ヴィタリック・ブテリンがイーサリアムを構想したとき、そのプロジェクト資金を調達するためにICOを利用しました。その際に発行されたのが「イーサ」です。

②現在では多くのICOでイーサリアムが利用されている

イーサリアムはさまざまなアプリやゲームなどを開発・稼働することができるプラットフォームですが、新しい暗号資産を簡単に作り出せるという機能も持っています。

そのため、イーサリアム公開後は、企業などがICOを実行しようとする際に、イーサリアムを利用して独自の暗号資産を発行するようになりました。

つまり、ICOで資金調達して誕生したイーサリアムが、現在ではICOのための暗号資産発行に使われている、という関係なのです。

イーサリアムとICOがセットで語られる理由

スマートコントラクト
前項で、「②現在では多くのICOでイーサリアムが利用されている」と述べました。
実際のところ現在では、ICOの約8割が集金にイーサリアムを利用しているとも言われるほど普及しています。

その理由をもう少しくわしく説明しておきましょう。

イーサリアムとICOはなぜセットで語られるのか?

イーサリアムで暗号資産が簡単に作れるのは、自動的に契約が実行される仕組み=スマート・コントラクトがあるからです。

イーサリアムのスマート・コントラクトの中に、「イーサを支払うと、ERC20という統一規格にのっとった暗号資産=ERC20トークンを発行できる」という契約が設定されているのです。

通常新しい暗号資産を発行しようとすると、その開発には多大な費用と時間がかかります。
が、イーサリアムであれば、その費用も時間もなく独自のERC20トークンを発行することができるので、その手軽さから利用が広まりました。

また、このERC20トークンには大きな特徴があります。それは「互換性」です。

暗号資産を保有・取引するには、その保管・収納場所として「ウォレット(=財布)」と呼ばれるものが必要です。

ウォレット専用のサイトに登録してサーバ内に保管する「ウェブウォレット」、暗号資産取引所の中に作る「取引所ウォレット」、スマホアプリで管理する「モバイルウォレット」などさまざまな種類があります。

ですが、このウォレット、従来は暗号資産ごとに別々のものが必要でした。
複数の暗号資産を持っていて取引したい場合、ウォレットもそれぞれに作ってあちこちから出し入れしなければならないのです。

そんな中で登場したのが、イーサリアムのERC20という統一規格です。これにのっとってイーサリアム上で発行されたERC20トークンは互換性を持ち、ひとつのウォレットですべて管理することが可能です。

ICOを行う際には、多数の投資家から暗号資産が集まります。それらがイーサリアムで発行されたERC20トークンであれば、管理は非常にしやすくなります。

その便利さから、多くのICOでイーサリアムが利用されるようになったというわけです。

イーサリアムでICOに投資する2つのメリット

では実際にイーサリアムを利用してICOに投資することで、投資家はどんなメリットを得られるのでしょうか?それは大きく以下の2つが挙げられます。

ICOの約8割がイーサリアムを利用している

前述しましたが、現在ではICOの約8割がイーサリアムを利用しています。このメリットについて、イーサリアムの生みの親であるヴィタリック・ブテリンはこう言っています。

イーサリアムが、ICOを実施する際の最大のプラットフォームになっていることはポジティブな面も多いが、リスクもある。ポジティブな側面としては、イーサリアムにより多くの人々が集まることで、良いアプリケーションが生まれる可能性が高まる点だ。

一方で、プラットフォームを巡る評判についてリスクも抱えることになる。例えばICOで巨額の調達をした創業者が、資金を持ち逃げするかもしれないからだ。

出典:「イーサリアム提唱した若き天才、『ICOはOSSの資金問題を解決できる』」日経クロステック

彼が指摘する「リスク」については、「ICOには詐欺プロジェクトも多い」でくわしく説明されているので、まずはメリットに注目しましょう。

イーサリアムとICOの関係性が強まることによって、いいICO案件の多くがイーサリアムを利用するようになります。

その結果、投資しがいのあるICO案件はイーサリアムに集まるようになるわけです。

さまざまなICOでトークンを交換できる

「イーサリアムとICOの関係性」でも触れたように、イーサリアムのERC20トークンは、異なるICOの間でも互換性があります。

そのため、必要ないトークンを、誰かが保有している別のトークンと交換したり、他の人のウォレットに直接入金したりすることも可能です。

つまり、暗号資産取引の自由度が非常に高いのです。

もちろんその際、ウォレットはひとつで大丈夫です。

ICO投資に関する4つのリスク

スマートコントラクト
ICO投資は成功すれば非常にハイリターンが期待できる投資方法ですが、もちろんリスクもあります。

これはイーサリアムを利用の有無に関わらず、どの暗号資産を使ったとしても共通するICO投資全体の問題です。

そこで安易に投資を始める前に、よく知っておいて欲しい注意点を4つ指摘しておきましょう。

購入者に対する保護や保障がない

もし銀行や証券会社が経営破綻してしまった場合は、顧客の資産は一部または全額保証されます。

ですが、暗号資産取引に関してはまだ保証制度などが法的に整備されていません。

そのため、もし取引所や暗号資産自体に問題が生じて、投資家が保有している暗号資産が失われてしまったとしても、保護や保障の義務はないのです。

ただ、取引所によっては独自に何らかの保証を制度化しているものもありますので、まず利用規約をよく読んで、保障の有無を確認しましょう。

購入した暗号資産が上場できない場合がある

ICOは「新規暗号資産公開」なので、投資したい人は通貨が取引所に上場される前に購入することになります。

IPOの場合は上場が決まっていますが、ICOの場合はこれから上場を目指す通貨を買うわけです。

その結果、残念ながら上場できずに終わってしまう暗号資産もあり、その場合は投資した資産は無駄になってしまいます。

また、プロジェクトがうまく行かずに途中で断念したり、進行中に法的規制がかかって中断せざるを得なくなったりする危険性もあります。

これらのリスクを可能な限り回避するには、上場が未定ではなく時期だけでも決まっている案件を選ぶなどの対処が必要です。

ICOには詐欺プロジェクトも多い

前項の引用でヴィタリック・ブテリンが「ICOで巨額の調達をした創業者が、資金を持ち逃げするかもしれない」と言っているように、実はICOの大きな問題のひとつは、集金だけを目的とした詐欺プロジェクトがしばしば存在することです。

これはIPOなどにはないリスクで、「ICO投資は危険」と言われる所以です。ICOになぜ詐欺が横行するのか、それはその仕組みに原因があります。

IPO(新規株式公開)の場合、株式を発行・公開するためには証券取引所に上場しなければなりません。その際には厳正な審査があり、IPOを行うのはなかなかハードルが高いと言えます。

一方でICOは、資金を調達したい人がネット上にホワイトペーパーを公開するだけで集金できます。

そこに第三者のチェックや審査は入りません。

上場する際には取引所の審査がありますが、新規公開で未上場の段階では無審査です。そのため実現するつもりのない、実態のない集金目的の詐欺プロジェクトでもICOを行うことができるのです。

ICO詐欺にはさまざまな手口があり、

  • ウソのICO案件で「絶対に儲かる」などと集金だけして、あとは連絡手段を断つケース
  • ICO参加者に偽の送金先アドレスを送りつけるフィッシング詐欺

などが知られています。

これはICOの特性に由来する大きな問題ですが、中でも特にイーサリアムが詐欺の温床になっているという統計があることは見逃せません。

暗号資産の不正を調査するアメリカの企業・Chainalysisの調査によると、

  • 「イーサ」は詐欺に最適な暗号通貨として古くから知られている
  • イーサリアムでの詐欺で失われた金額は、2017年の1700万ドルから2018年には3600万ドルと倍増した
  • イーサリアムでの詐欺の75%近くが2018年に行われた
  • 4万人近くの利用者が詐欺被害にあっている

とのことです。

つまり、イーサリアムは詐欺に狙われやすく、その被害は急増しているのです。

これを回避するには、やはり、

  • ホワイトペーパーを読む
  • その商品やサービスを利用してみる
  • ICOの評価を行なっているサイトで評価を見る
  • ネットで評判を検索してみる
  • SNSで評判を検索してみる

などの情報収集を念入りにするしかないでしょう。

データの破損やハッキングなどで保有資産を失う可能性がある

暗号資産の特徴でもありイーサリアムの特徴でもあるのが、「中央集権的な管理者がいない」ということです。

利用者がそれぞれに管理するので自由度が高い反面、脆弱性も持っています。

例えば、データが破損する、取引所がハッキングされるなどのトラブルにより、資産が失われてしまう可能性があるのです。

これらのさまざまなリスクを考慮した上で、投資をするかしないか冷静に判断してください。

イーサリアムでICOに投資する方法

イーサリアム(ETH)

イーサリアムがなぜICOで多用されるのかは理解できたかと思います。
ではどうやってICOに投資すればいいのか、その方法を流れにそって説明していきます。

大まかな流れは以下の通りです。
ICO投資の流れ

では、それぞれについて説明します。

参加するICOを選ぶ

まず、自分がどのICOに参加して投資するのかを決めます。これから公開されるICO案件は、以下のようなサイトで探すことができます。

◾️Token Market「ICOカレンダー」

◾️COIN JINJA

◾️ICO DROPS

◾️ICObench

◾️Smith+Crown「トークン販売活動トラッカー」

興味を持った案件があれば、内容を精査して投資する価値があるかどうか検討します。

注意したいのは、ICOは投資としては非常にリスクが高いということです。

前章でも警鐘を鳴らしたように、ホワイトペーパーさえあれば資金を集められるため、集金のためだけの詐欺プロジェクトが横行しています。

そのようなリスクを避け、安全で有望なICO案件を選ぶには、以下のような情報収集が必要です。

  • ペーパーを読む
  • すでに商品やサービスが存在している場合は、それ自体を利用してみる
  • ICOの評価を行なっている以下のようなサイトで、評価を見る
  • ネットで評判を検索してみる
  • SNSで評判を検索してみる

こうして集めた情報をもとに、「これなら安全で、暗号資産も値上がりするだろう」と思える案件を見つけましょう。

ちなみにICOの8割はイーサリアムを利用するとは言え、投資できる通貨がイーサではなくビットコインなどに限られるICO案件もあります。

「ICOに参加できる暗号資産はどれか」もかならず確認しましょう。

ウォレットを作る

次に、ウォレットを作ります。

「ウォレット」とは、暗号資産を保管・収納するための財布のようなものです。
ウォレット専用のサイトに登録してサーバ内に保管する「ウェブウォレット」、暗号資産取引所の中に作る「取引所ウォレット」、スマホアプリで管理する「モバイルウォレット」などさまざまな種類があります。

イーサリアムのウォレットについては、別記事に解説がありますので、こちらを参照してください。

暗号資産取引所に口座を作る

また、暗号資産貨取引所に取引用の口座を開設します。

イーサリアムを扱う取引所については、こちらの記事をご覧ください。

口座開設についてはこちらにくわしい説明がありますので、ぜひ見てみてください。

取引所でトークンを購入する

口座が開設できたら、まずERC20に対応した暗号資産を購入し、自分のウォレットに入れておきます。
ここまでで、ICOに参加する=投資するための準備が整いました。

選んだICOの暗号資産を購入する

いよいよ実際にICOに参加します。

まず投資先として選んだICOの公式サイトに飛んで、メールアドレスなど必要事項を入力、会員登録します。

サイト内で送金先のアドレスを確認したら、自分のウォレットから暗号資産を送金します。
すると、参加したICOからの暗号資産がウォレットに入金されます。

送金から入金まではすぐに終わることもあれば、タイムラグが生じる場合もあるので要注意です。

サービス開始や取引所への上場を待つ

ICOに参加したら、

  • 投資したサービスや商品が公開されるのを待って利用する
  • 購入したコインが暗号資産取引所に上場されるのを待って暗号資産取引をする

など、暗号資産を活用しましょう。

ただ、中にはここまで至らずに途中で頓挫してしまうプロジェクトもありますので、そのリスクは承知しておいてください。

まとめ

イーサリアム(ETH)

イーサリアムとICOについて最後にもう一度、記事の内容をまとめてみましょう。

■イーサリアムとICOの関係性

  • イーサリアム自体がICOにより実現したプロジェクトである
  • 現在では多くのICOではイーサリアムが利用されている

■イーサリアムでICOに投資する2つのメリット

  • ICOの約8割がイーサリアムを利用している
  • さまざまなICOでトークンを交換できる

■イーサリアムでICOに投資する4つのリスク

  • 購入者に対する保護や保障がない
  • 購入した暗号資産が上場できない場合がある
  • ICOには詐欺プロジェクトも多い
  • データの破損やハッキングなどで保有資産を失う可能性がある

以上をよく頭に入れて、なるべくリスクの少ない暗号資産取引ができるよう祈っています!