ビットコインを投資信託のように取引できる「ビットコインETF」。
アメリカで現物ETFが上場し、香港でも取引が始まるなど、世界的に関心が高まっています。
では、日本ではどうでしょうか。
この記事では、ビットコインETFをめぐる世界の流れと、日本の現状を解説します。
目次
ビットコインETFとは?
ビットコインETFとは、ビットコインの価格に連動するよう設計された上場投資信託です。暗号資産を直接保有せずに、証券口座を通じてビットコインの値動きに投資できます。暗号資産の保管やセキュリティ管理の負担を避けながら、ビットコイン市場の動きにアクセスできる点が注目されています。
ETF全体のしくみについては、 現物ETHとは で詳しく紹介しています。
ビットコインETFは日本で買える?
2025年時点で、日本ではビットコインETFを取引することはできません。日本の金融商品取引法では、ETFとして上場できる資産の範囲が定められており、ビットコインなどの暗号資産はまだ対象に含まれていないためです。
一方で、海外では現物ビットコインETFの上場が相次いでいます。アメリカでは2024年1月に初めて現物ETFが承認され、同年4月には香港でも取引が始まりました。こうした動きを受け、日本でも今後の制度整備に注目が集まっています。
なお、国内の証券会社を通じて海外ETFを購入することは可能ですが、為替リスクや取引コスト、税制上の取り扱いなど、いくつかの注意点があります。実際に購入する際は、各証券会社の取り扱い状況を確認し、仕組みやリスクを十分に理解したうえで検討することが大切です。
ビットコインETF承認までの歴史
ビットコインETFが市場に登場するまでには、10年以上にわたる議論と申請の歴史があります。
2013年に最初の申請が行われてから、米証券取引委員会(SEC)は市場の透明性や価格操作リスクを理由に、長らく承認を見送ってきました。しかし、2021年にビットコイン先物ETFが承認されると流れが変わり、2024年にはついに現物ETFが上場。その後も各国で導入が進み、2025年には上場ルールの緩和へとつながりました。
2013〜2020:初期申請の相次ぐ却下
ビットコインETFの申請は、2013年に米国の投資家ウィンクルボス兄弟(仮想通貨取引所Geminiの創業者)によって初めて提出されました。しかし当時は、価格変動の大きさや市場の監視体制の不備などを理由に、米証券取引委員会(SEC)が承認を見送りました。
その後も複数の運用会社がETFの上場を申請しましたが、いずれも却下されています。SECは一貫して「市場の操作リスクが高い」との立場をとり、ETF化による一般投資家への影響を慎重に見極める姿勢を崩しませんでした。
この時期は、ETF承認に向けた議論の基礎が築かれた期間といえます。
2021:米でビットコイン先物ETFが上場
2021年10月、米国で初めてビットコイン先物ETFが承認されました。承認を受けたのは、米資産運用会社プロシェアーズ(ProShares)が運用する「BITO(ビットコイン・ストラテジーETF)」です。
このETFは、ビットコインの現物価格ではなく、先物取引の価格に連動して設計されています。SECは、先物市場が既存の金融規制下にあり、価格の監視体制が整っている点を評価し、初めて承認に踏み切りました。
現物ETFではなかったものの、この承認によって「ビットコインが伝統的な金融市場で取引可能になった」ことが大きな節目となりました。以降、複数の運用会社が相次いで先物ETFを上場させ、ビットコイン市場への関心が一気に高まるきっかけとなりました。
2024/1:米で“現物”ビットコインETFが承認・上場
2024年1月、米証券取引委員会(SEC)は、複数の資産運用会社による現物ビットコインETFを正式に承認しました。この決定により、投資家はビットコインを直接保有しなくても、その価格に連動するETFを通じて投資できるようになりました。
承認を受けたのは、ブラックロック(BlackRock)、フィデリティ(Fidelity)、アーク・インベスト(ARK Invest)などの大手運用会社です。いずれもナスダックやNYSE(ニューヨーク証券取引所)に上場し、取引初日から高い関心を集めました。
長年にわたって「現物ETFは市場操作リスクが高い」として承認を見送ってきたSECが方針を転換したことで、ビットコイン市場は大きく動き出しました。この出来事は、暗号資産がより広く金融市場に受け入れられた象徴的な出来事として位置づけられています。
2024/4:香港で現物BTC/ETH ETFが上場
2024年4月、香港でも現物ビットコインETFとイーサリアムETFが上場しました。アジア地域で初めてとなる現物ETFの取引開始であり、香港証券取引所に上場した複数のファンドが取引初日から高い注目を集めました。
この上場により、香港はアジアにおける暗号資産投資のハブとしての存在感を強めました。アメリカに続き、アジアでもビットコインやイーサリアムを伝統的な金融商品として扱う動きが広がったことになります。
一方で、香港当局は投資家保護の観点から、販売対象を一部の適格投資家に限定するなど、リスク管理にも重点を置いています。こうした慎重な枠組みのもとで、アジア市場でもビットコインETFが制度的に受け入れられる流れが加速しました。
2024/7:米で現物イーサリアムETFの取引
2024年7月、アメリカで現物イーサリアムETFの取引が始まりました。これは、2024年1月のビットコイン現物ETF承認に続く動きで、暗号資産市場における新たな節目となりました。
承認を受けたのは、ブラックロックやフィデリティをはじめとする複数の大手運用会社です。これにより、投資家はイーサリアムを直接保有せずに、その価格に連動するETFを通じて投資できるようになりました。
イーサリアムETFの登場は、ビットコインに続く暗号資産の金融商品としての定着を象徴しています。とくに、ステーキング報酬の扱いや流動性の確保など、ビットコインとは異なる技術的要素を含む点でも注目を集めました。
この承認によって、アメリカのETF市場では「暗号資産」という新たな資産クラスがより広く受け入れられる流れが強まっています。
2024〜2025:多地域での導入・拡大
アメリカや香港での上場をきっかけに、ビットコインETFの導入は世界各地へと広がりました。2024年後半から2025年にかけて、カナダ、ブラジル、バミューダ、ドバイなど複数の地域で現物ETFが承認・取引されています。
特にカナダは、米国に先駆けて2021年にすでに現物ビットコインETFを上場させており、安定した取引環境を背景に機関投資家の参加が拡大しました。また、ドバイやバミューダなどでは、暗号資産を積極的に取り入れる金融政策の一環としてETFの導入が進んでいます。
こうした流れは、暗号資産が特定の国や地域にとどまらず、世界的に金融商品として受け入れられつつあることを示しています。同時に、各国の規制や投資家保護の枠組みにはまだ違いがあり、ETFの取り扱い方や税制面での調整が今後の課題となっています。
2025/9:米SECが上場ルールを簡素化(ジェネリック基準)
2025年9月、米証券取引委員会(SEC)は、暗号資産ETFの上場に関するルールを一部改訂しました。
新たに導入された「ジェネリック基準(Generic Listing Standards)」では、
すでに承認実績のあるETFと同様の構造・運用方法であれば、追加の個別審査を省略できる仕組みが採用されました。
この変更により、ビットコインやイーサリアムなど、既存の現物ETFと同じ枠組みで設計された新しいETFは、
よりスムーズに上場できるようになります。
ETF市場の成長を促すとともに、暗号資産の金融商品としての位置づけが一段と確立されたといえます。
審査をしているSEC(米証券取引委員会)はどういう機関?
SEC(Securities and Exchange Commission/米証券取引委員会)は、アメリカの証券市場を監督する政府機関です。株式や投資信託などの金融商品が公正・透明に取引されるよう管理し、投資家保護を目的としたルール作りを行っています。
ビットコインETFを含む暗号資産関連のETFも、上場前にはSECによる審査が必要です。同委員会は、価格操作の防止や市場の監視体制、投資家への情報開示が十分かどうかを厳しく確認しています。
これまでSECは、暗号資産市場の規模や取引の透明性に懸念を示し、現物ETFの承認を慎重に進めてきました。しかし、2024年以降は市場インフラの整備や監視提携の進展を受け、段階的に承認へと舵を切っています。
このように、SECは単に“承認する機関”ではなく、投資家保護と市場の健全性を維持するための要となる存在なのです。
ビットコインETFのまとめ
ビットコインETFの導入が各国で進み、暗号資産市場は着実に成熟しつつあります。
日本でも将来的に上場が実現すれば、投資の選択肢が広がることが期待されます。
ただし、ETFの国内上場には時間がかかる見込みです。。現時点でビットコインの値動きに投資したい場合は、現物で少額から積み立てる方法も選択肢の一つです。毎月一定額を購入する「つみたて投資」なら、価格変動のタイミングに左右されにくく、長期的に平均取得単価を抑えながら資産を形成することができます。市場の動向をチェックしながら、無理のないペースで長期的な資産形成を進めてみてはいかがでしょうか。