ステーブルコイン(Stablecoin)は、法定通貨など特定の資産価格との連動を目指して設計された暗号資産です。価格変動が大きい暗号資産と比べ、取引の待機資金や送金・決済などで使いやすい点が注目されています。
この記事では、ステーブルコインの基本、使い道、リスク、日本での位置づけ、代表例(USDT/USDC/DAI)の見方を整理します。
目次
ステーブルコインとは(定義・特徴・種類)
ステーブルコインの定義

ステーブルコイン(Stablecoin)とは、米ドル等の法定通貨やコモディティなど特定の資産価格と連動することを目的に設計された暗号資産の一種です。ビットコインやイーサリアムをはじめとする従来の暗号資産は価格変動(ボラティリティ)が大きく、法定通貨にはない機能を備えるものの、決済手段としての実用性・安定性には欠けるという問題点がありました。
ステーブルコインは、価値を安定させる仕組みによって大きく2つに整理できます。裏付け資産を預金・国債などの安定的な資産で保全し、発行価格と同額での償還が想定される「デジタルマネー類似型」と、暗号資産やコモディティを担保にしたもの、またはアルゴリズムで価格安定を目指す「暗号資産型」です。
ステーブルコインの特徴
ステーブルコインの最大の特徴は、暗号資産でありながら「価格の安定性」がある点であり、決済手段や送金手段としての利用が期待されています。
また、あくまでも暗号資産であり、ブロックチェーン技術に基づいているため、迅速で低コストな送金を可能とするという特徴もあります。
ステーブルコインの仕組みと種類

ステーブルコインにはたくさんの種類が存在しますが、価値を安定させる仕組みの違いによって大きく4種類に分類することができます。
暗号資産担保型・アルゴリズム型(無担保型)・コモディティ型は、仕組みや相場環境によっては目標価格から乖離することがあります。保有する場合は、裏付け資産や償還の仕組み、リスクを確認しましょう。
法定通貨担保型
法定通貨担保型は、その名の通り米ドルや円といった法定通貨により価値が裏付けられるステーブルコインです。
代表的な法定通貨担保型ステーブルコインは以下の通りです。いずれも米ドルに連動するステーブルコインであり、2026年2月時点で暗号資産の時価総額で上位にランクインしています。参考として、2026年2月11日時点のCoinGeckoでは、USDT約1842億ドル、USDC約733億ドルと表示されています。
- USDT(Tether)
- USDC(USD Coin)
法定通貨担保型ステーブルコインが法定通貨の価値に連動するのは、発行体が十分な裏付け資産を保有しており、法定通貨と等価な価値を持つと認知されているためです。
代表例にあげた2種のステーブルコインについては、発行体が指定する手続きを行うことで米ドルと1:1で交換することができ、償還の仕組みを提供することが価格安定の基礎となっています。
合わせて、償還を確実に実行できるかという点も重要視されます。発行体がステーブルコイン発行量と同等以上の資産を保有していることが確認できないと、全ての保有者に対して償還を実行できることを信用できません。
そうした背景もあり、多くの発行体は裏付け資産に関するレポートの公開を定期的に行っています。発行体は現金同等物による担保を行いつつ、一部を国債等の信用リスクの低い資産で運用することで収益を上げています。
暗号資産担保型
暗号資産担保型はその名の通り、暗号資産により価値が裏付けられるステーブルコインです。
代表的な暗号資産担保型ステーブルコインには以下があげられます。
- DAI
- sUSD
暗号資産を担保とする場合、担保比率は発行量と同額では不十分です。法定通貨と異なり、暗号資産はボラティリティが高い(価格変動が大きい)ため、暗号資産の価格が下落した場合、担保割れのリスクがあるからです。
このため、暗号資産担保型ステーブルコインでは担保とする暗号資産の価格が下落しても価値を保てるように「過剰担保」を導入する場合が多いです。DAIの場合、2023年6月16日時点で160%以上の担保があることをオンチェーンデータから確認することができます。

引用:daistats
また、担保とする暗号資産が大幅に下落した場合でも担保割れしないよう、強制決済の仕組みが導入されています。DAIの場合、担保とする暗号資産が下落し最低担保比率を下回ると、担保は自動的に清算(売却)されます。利用者は、それを回避するために担保を追加する必要があります。
暗号資産担保型ステーブルコインは過剰担保が必要で資金効率が悪いとされていますが、暗号資産の世界で完結するステーブルコインとして機能しています。
【補足】
Dai(DAI)は、イーサリアムブロックチェーン上で稼働する暗号資産(仮想通貨)です。
※Dai(DAI)は1DAI = 1米ドルを目標価格として設定しており、実際に1米ドル付近で価格が推移していることから、暗号資産型ステーブルコインと認識されていますが、相場の変動等により目標価格に対して大きく下落する可能性もあります。
アルゴリズム型(無担保型)
アルゴリズム型(無担保型)は、裏付けとなる資産が無い代わりに、アルゴリズムによって価値が一定に保たれるステーブルコインです。
代表的なアルゴリズム型ステーブルコインには、過去の事例としてTerraUSD(UST)があげられます。
後述で詳しく解説しますが、USTは、ガバナンストークンLUNAとの交換をアルゴリズムとして利用し、ドルペッグを維持しようとしましたが、2022年5月にその仕組みが破綻し、市場から退場しました。
暗号資産市場には、様々な仕組みのステーブルコインが存在します。USTのような純粋なアルゴリズム型以外にも、一部を担保資産、一部をアルゴリズムで調整する「部分アルゴリズム型」(例:フラックス/FRAX)も存在します。
アルゴリズム型のステーブルコインは、暗号資産担保型のステーブルコインと同様に、市場の需給を調整することで価格を一定に保とうとする点は共通しています。
例えば、米ドルに連動するアルゴリズム型ステーブルコインの場合、市場価格が1ドルを上回った際に「売り」が促進され、1ドルを下回った際に「買い」が促進されるアルゴリズムを採用すると、理論上はドルに連動するステーブルコインとして機能すると想定されます。
しかし、過去の破綻事例からも明らかになった通り、主要な暗号資産を担保としないアルゴリズム型ステーブルコインは安定性を担保することが難しく、より安定したアルゴリズムを模索することが必要です。
コモディティ型
コモディティ型は、金や原油といった現物資産(コモディティ)により価値が裏付けられるステーブルコインです。
現物資産は実物そのものに価値があるという性質がある一方、輸送や分割が困難といったデメリットもあります。コモディティ型ステーブルコインは、現物資産と等価の価値を持ちながら簡単に取引でき、少量から購入可能と現物資産のデメリットを補完する点が特徴です。
仕組みとしては法定通貨担保型と同様で、発行体が担保として現物資産(コモディティ)を保有しており、現物資産と等価であると認知されることが価格連動の基礎となっています。
コモディティ型ステーブルコインの代表例としてはPaxos Gold(PAXG)やジパングコイン(ZPG)が知られています。
ステーブルコインは何に使われる?(用途・重要性)
暗号資産取引の待機資金として

ステーブルコインは暗号資産のボラティリティと相関が低い一方で、法定通貨にはないブロックチェーンの強みを兼ね備えています。相場の不確実性が高まった際に「安全資産へ交換したい」という需要に応えられ、ステーブルコイン誕生後は暗号資産のまま価値を安定して保ちやすくなりました。暗号資産のステーブルコインへの交換は、自動で売買を成立させる仕組みを利用したサービスでも可能なため、取引所への移転は必ずしも必要ではありません。また、ステーブルコインが暗号資産取引の基軸通貨として利用されることで市場流動性を高める役割も担っています。
送金・決済(国内/国際送金)
ステーブルコインはブロックチェーン上で発行されるトークンであるため、個人間で直接送金できます。銀行などを介さず送金できる点が強みで、ネットワークや混雑状況によっては短時間で送金が完了する場合があります。国内・国際を問わず送金や決済の手段として活用が進んでいます。
DeFiなどでの利用
ステーブルコイン市場は拡大しており、CoinGeckoの「Stablecoins」カテゴリでは、2026年2月11日時点でUSDTとUSDCの時価総額合計がカテゴリ全体の約83%を占めています(USDT約1842億ドル、USDC約733億ドル、合計約2575億ドル/カテゴリ合計約3102億ドル)。ユースケースの拡大の一例がDeFiです。ブロックチェーン上で取引・貸借などを可能にする分散型金融で、流動性マイニングやイールドファーミングといったDeFiサービスにステーブルコインを預け入れて手数料や金利収入を得る利用が増えています。決済手段や銀行入金といった実生活に紐づくユースケースの拡大も見込まれています。
メリット・デメリット(向く人/向かない人)
ステーブルコインのメリット

ステーブルコインの主なメリットは、価格の安定性と送金の速さです。
価格が安定している
ステーブルコインの価値は法定通貨に紐づけられているため、ビットコインなどのほかの暗号資産と比べて価格変動のリスクが低いという特徴があります。
値動きが激しい暗号資産を保有している期間が長ければ長いほど、資産価値が高まる可能性がある一方で、価値を大きく減らす可能性も高くなります。
長期間取引する予定がなく、下落リスクを避けたい場合には、価格が安定している資産であるステーブルコインをリスクヘッジのための資産移管先として選ぶのが有効です。
暗号資産同士の取引(交換)となるため、特別な手続き不要でスムーズに取引でき、高い利便性を有しているといえます。
送金にかかる時間が短い
ステーブルコインは、従来の法定通貨同士の取引とは異なり、送金するにあたって銀行などの仲介機関を介さずに送金できます。ネットワークや混雑状況によっては、短時間で完了する場合があります。
世界中どこにいても、ネットワークや混雑状況によっては短時間で送金が完了する場合があるため、国際送金の効率を向上させることが期待されています。
また、送金はブロックチェーン上で行われるため、24時間365日いつでも取引可能な点も大きなメリットといえるでしょう。
ステーブルコインのデメリット

ステーブルコインにはメリットがある一方で、デメリットも存在します。
担保の信頼性に欠ける場合がある
ステーブルコイン発行元の企業の財務状況や裏付け資産に対する信頼性が欠けていると、価格が急変動してしまう可能性があります。
いくら価格が安定しているとはいえ、その価値が常に保証されているわけではないことは、理解しておかなければなりません。
ステーブルコインを保有する場合には、その銘柄がどのような方法で価値を担保しているのかを正しく把握しておくことで、思わぬ暴落に巻き込まれるリスクを低減することができます。
ハッキングや詐欺のリスクがある
ステーブルコインとはいえ暗号資産である以上、ハッキングや詐欺のリスクがあることは念頭に置いておかなければなりません。
スマートコントラクトや取引所の脆弱性を突いたハッキングによって資産が流出する可能性があります。
また、ステーブルコインに対する知識の浅さを悪用した詐欺に利用されて、思わぬところで損害を被る可能性もあります。
ディペッグが発生するリスクがある
ディペッグとは、ステーブルコインが法定通貨との連動性を失った結果として引き起こされる、価格乖離のことです。価格が基準価格から乖離することは、暴落が暴落を呼ぶリスクを秘めています。次のセクションで事例を解説します。
ディペッグとは?事例でわかるリスク
ディペッグの概要(なぜ起こるか)

ディペッグは、需給の急変や担保不足の懸念、アルゴリズムの限界などにより発生します。長期にわたって価値を維持するステーブルコインがある一方で、価格維持の仕組みが不十分なものでは崩壊事例も発生しています。
USTの崩壊
これまでに最も話題となったディペッグの事例としては、2022年に起こったUSTの崩壊があげられます。
USTはアルゴリズム型ステーブルコインであり、ガバナンストークンであるLUNAとUSTの供給量を調整することで価値を安定化する仕組みを採用しています。崩壊が起こる直前、LUNAとUSTは暗号資産の時価総額ランキングでいずれもトップ10に入るほど規模の大きなプロジェクトとなっていました。
2022年5月10日、大口のUST大量売却をきっかけにUSTの価値が0.60ドルまで下落する大幅なディペッグが発生しました。その後、一時は0.95ドル付近まで価値を回復したものの、信用不安の広がりによるLUNAとUSTの一斉売りに歯止めが掛からず、最終的にLUNAとUSTは共に暴落することとなりました。

2022年5月のLUNA(左)、UST(右)の価格推移
引用:CoinMarketCap
崩壊に至った直接の原因は分かりませんが理由は様々考えられます。Terraネットワークのレンディングプロトコル「Anchor Protocol」ではUSTを預けると年率換算で利回り約20%と高金利で運用することができました。UST保有者の多くがこのプロトコルを利用していたと考えられるため、市場流通するUSTの量が少なく価格が崩れやすい状態になっていたと考えられます。
また、運営元が保有する準備金が不十分であったことも要因の一つです。
Terra運営元であるTerraform Labsは万が一ペッグが外れた場合の資金として35億ドル相当のBTCを保有していました。しかし、暴落直前(2022年5月7日)のLUNA、USTの時価総額はそれぞれ233億ドル、187億ドルと準備金よりも遥かに大きく、信用不安による売りを吸収するには不十分でした。
アルゴリズム型ステーブルコインは裏付け資産が存在しないため、暴落前からそのリスクを指摘する声はありました。しかし、現実に時価総額1兆円を超える暗号資産が数日の内に無価値に近い状態となったことで、改めてアルゴリズム型ステーブルコインのリスクが浮き彫りになった事件といえます。
担保型でも乖離は起こる(USDT/DAIなど)
では、裏付けのあるステーブルコインであればディペッグが起こらないかというと、そうではありません。
USTが崩壊した際は、アルゴリズム型に留まらずステーブルコイン全体に対する信用不安が広がりました。USTの下落に追従する形で法定通貨担保型のUSDTでもディペッグが発生し、一時0.95ドルまで価格を下げたのです。
2020年には暗号資産担保型のDAIでもディペッグが発生しています。2020年3月の暗号資産市場が暴落した際には、MakerDAOのオークションシステムが正常に機能しなくなり400万ドルの負債が生じる状況となりました。担保不足を解消するため、Maker DAOはガバナンストークンMKRを追加発行することを決定しましたが、オークションの入札はDAIで行う必要があったため、DAI需要の高まりからDAIの価格が一時1.12ドルまで高騰しました。
ステーブルコインは公開市場で自由に売買されるという性質上、需給の状況によって基準価格との乖離が発生するケースがあります。ただし、裏付け資産により担保される場合においては乖離が発生したとしても、それを解消する反対売買のインセンティブがあるためペッグを取り戻すことができると考えられます。
一方、アルゴリズム型ステーブルコインには担保が存在しないため、価格維持の機構はアルゴリズムのみに委ねられます。取り付け騒ぎのような極端な売買が発生した際にペッグを維持する仕組みの有無が、アルゴリズム型ステーブルコインの安定性を左右する要因の一つと考えられています。
日本の法律上の整理と規制(電子決済手段/暗号資産)
日本では法令上の位置づけが明確化した後、流通に向けた動きが進んでいます。本章では、日本の整理(電子決済手段/暗号資産)と、発行者・仲介者の枠組みを中心に解説します。
日本の整理(電子決済手段/暗号資産)
日本では、ステーブルコインを大きく「デジタルマネー類似型」と「暗号資産型」に整理します。前者は発行価格と同額での償還が想定されるなど一定の要件を満たし、法令上「電子決済手段」として扱われます。後者はこれらの要件を満たさないステーブルコインで、暗号資産として整理されます。デジタルマネー類似型は裏付資産を預金や国債などの安定的な資産で保全する類型、暗号資産型は暗号資産やコモディティ等による裏付け、またはアルゴリズムで価格安定を目指すものが含まれます。
発行者・仲介者(国内の枠組み)

日本では、世界に先駆けてステーブルコインを規制するための法律が制定されています。
2022年6月、参議院本会議にて可決・成立した改正資金決済法(正式には「安定的かつ効率的な資金決済制度の構築を図るための資金決済に関する法律等の一部を改正する法律」)では、デジタルマネー類似型に区分されるステーブルコインを「電子決済手段」として規律することになりました。
以下の図の通り、改正資金決済法において法定通貨建てステーブルコインは「デジタルマネー類似型」と「暗号資産型」に分類されます。「デジタルマネー類似型」に該当するのは発行価格と同額での償還が想定されるステーブルコインであり、具体的には法定通貨担保型のステーブルコインが対象となります。
一方、「デジタルマネー類似型」に区分されないその他のステーブルコインは「暗号資産型」に分類され、暗号資産として規制を受けることになります。具体的には暗号資産担保型、アルゴリズム型のステーブルコインが該当します。

引用:金融庁資料
また、改正資金決済法の特徴としては、ステーブルコインの発行・管理を行う「発行者」と流通を担う「仲介者」の役割が明確に分けられることです。
以下の図の通り、「デジタルマネー類似型」ステーブルコインを発行できる機関は、銀行、資金移動業者、信託会社に限定されます。また、「デジタルマネー類似型」ステーブルコインの流通を担う「仲介者」は登録制となり、電子決済手段取引業者等のライセンスを取得した者に限られることとなりました。
「暗号資産型」ステーブルコインの流通については改正前の資金決済法と変わらず、暗号資産交換業者が仲介を行うことができることとされています。

引用:金融庁資料
したがって、暗号資産交換業者が今後「デジタルマネー類似型」ステーブルコインを取り扱うには、電子決済手段取引業者等の仲介のためのライセンスを取得する必要があることが示されました。
トークン化預金との違い
ステーブルコインと近い概念に、預金をブロックチェーン上のトークンとして表現した「トークン化預金」があります。どちらもブロックチェーン上で移転できる点は共通しますが、トークン化預金は基本的に発行した金融機関の口座を持つ利用者間での移転が中心で、金融機関をまたぐ送金では別の仕組みが必要になります。一方、ステーブルコインは金融機関をまたいだ利用者間送金にも使える点が大きな違いです。
最近の国内事例(参考)
【2025年10月】JPYC EXを正式リリース、JPYCの発行・償還を開始
JPYC株式会社は、資金移動業者としての登録(2025年8月18日)を受けた上で、発行・償還の受付を行う公式プラットフォーム「JPYC EX」を2025年10月24日に正式リリースしました。
あわせて、日本円と1:1で交換可能な日本円建ステーブルコイン「JPYC」は、2025年10月27日13:00(日本時間)に正式な発行開始(サービス提供開始)とされています。
【2023年6月】三菱UFJ信託銀行「プログマコイン」の技術提携
三菱UFJ信託銀行株式会社は2023年6月、株式会社DatachainおよびTOKI FZCOと提携し、ステーブルコインのクロスチェーンインフラの構築を開始することを発表しました。ステーブルコイン発行管理基盤「プログマコイン(Progmat Coin)」により、異なるパブリックチェーン上のステーブルコイン同士の交換・決済・レンディングなどのユースケースを目指しています。
参考:パブリックブロックチェーン間のステーブルコイン利用取引を可能とする、「Progmat Coin」×「Datachain」×「TOKI」の技術提携について
【2023年3月】国内銀行の実証実験
2023年3月、G.U.Technologies株式会社はパブリック・ブロックチェーン「Japan Open Chain」上で、東京きらぼしFG、みんなの銀行、四国銀行の3行とステーブルコイン発行に向けた実証実験を開始したと発表しました。銀行勘定と連携した法的に裏付けのあるステーブルコインの発行を目指す取り組みです。
参考:国内銀行各行が日本法に準拠するステーブルコインを「Japan Open Chain」上で発行へ
【2022年2月】ジパングコイン
2022年2月、三井物産デジタルコモディティーズはコモディティ型ステーブルコイン「ジパングコイン」(ZPG)をリリースしました。金価格との連動を目指し、1ZPGが金1グラムの価格と同価値になるように設計されています。分散投資・インフレヘッジや小口化された「金×暗号資産」として注目を集めています。
海外の動向(要点)
ステーブルコインの国際的な規制では、金融安定理事会や金融活動作業部会が枠組みを主導しています。EUではMiCA(暗号資産市場規制)が2023年に発効し、ステーブルコインに関する規定(Title III/IV)は2024年6月30日から、包括的な適用は2024年12月30日から始まっています。米国でもステーブルコインの枠組み整備が進展しています。
代表的なステーブルコイン(見方と選び方)
USDT / USDC / DAI(性格の違い)
USDT
USDT(テザー)は、Tether Limited社が2015年2月に発行開始した世界初のステーブルコインです。
米ドルの価格に連動する法定通貨担保型に分類され、「1USDT=1ドル」を保つように設計されています。
ほかの暗号資産と比べると安定性が非常に高く、資産運用や決済など様々な場面で使用されており、ステーブルコインの中で時価総額が一番大きいという特徴があります。
USDC
USDC(USD Coin)とは、米国の非営利組織「Center」が発行している法定通貨担保型のステーブルコインで、USDTと同様に米ドルの価格に連動します。
USDCは、会計の透明性がある点や発行量・流通量の把握ができる点で評価されています。
DAI
DAI(ダイ)は、イーサリアムのブロックチェーン上で構築されているMaker Protocolを通して発行され、MakerDAOという分散型自立組織によって運営されているステーブルコインです。
暗号資産を担保とする分散型ステーブルコインの代表として、広く知られています。
確認ポイント(裏付け・償還・透明性など)
ステーブルコインを選ぶ際は、裏付け資産の内容(預金・国債等の保全状況)、発行体が償還を確実に実行できるか、そして裏付け資産に関するレポートの公開の有無・頻度を確認するとよいでしょう。発行体がステーブルコイン発行量と同等以上の資産を保有していることが示されているかも重要なポイントです。
ステーブルコインに関するよくある質問
Q. ビットコインとステーブルコインの違いは?
A. 主な違いは価格の変動性です。ビットコインは市場の需給で価格が変動します。一方、ステーブルコインは法定通貨や資産価格との連動を目指す設計で、価格変動を抑えることを目的とします。
Q. ステーブルコインは儲かる?
A. 値上がりで儲けることを主目的とした商品ではありません。価格の安定を目指す設計のため、短期の値上がり益を狙う資産とは性格が異なります。送金・決済・取引の待機資金といった利用目的に合うかで判断するとよいでしょう。詳しくはステーブルコインは儲かる?の記事をご覧ください。
Q. 日本で買えるステーブルコインは?
A. 国内では、日本円建てのステーブルコイン「JPYC」が2025年から発行・償還が開始されています。取扱い状況はサービスや法令対応により変わりますので、利用する事業者の取扱銘柄や、国内での位置づけ(電子決済手段か暗号資産か)を確認してください。
ステーブルコインは、価値の安定を目指しつつブロックチェーン上で移転できる点が特徴です。一方で、仕組みや相場環境によっては目標価格から乖離することもあるため、裏付け資産や償還の仕組み、国内での位置づけを確認した上で利用目的に合うかを判断しましょう。
寄稿者迫田 晃祐
鳥取県出身。大学院卒業後、2019年に信越化学工業に入社。半導体の材料開発を経験した後、2022年よりコインチェックに入社。リサーチャーとして暗号資産の上場審査を担当している。暗号資産との出会いのきっかけは2020年のコロナショック。急変動を繰り返しながらも着実に成長する暗号資産に可能性を感じ、クリプト業界への転職を決意。現在は「技術の分かるリサーチャー」を目指し、コーディングの習得にも精力的に取り組んでいる。