ポリゴン(POL/旧MATIC)とは、イーサリアムをより普及させるために開発された「Polygon(旧:Matic Network)」で使用されるトークンです。イーサリアムの拡張を目的とした「レイヤー2スケーリングソリューション」として、開発されています。
今回の記事では、2023年8月8日にコインチェックでも取扱いを開始したポリゴン(POL/旧MATIC)について詳しく解説していきます。
※POLは複数のブロックチェーン上で取引される暗号資産ですが、当社で取扱うPOLはPolygonチェーンのみに対応しています。そのため、Ethereumチェーンを含む、Polygonチェーン以外を利用したPOLの受取、送金には対応しておりません。
目次
ポリゴン(POL/旧MATIC)とは
「Polygon(旧:Matic Network)」は、イーサリアムの拡張を目的としたレイヤー2(セカンドレイヤー)スケーリングソリューションです。
レイヤー2(セカンドレイヤー)とは、メインのブロックチェーン(レイヤー1)に重ねて構築されたブロックチェーンのことです。メインのブロックチェーンから離れた場所で処理を行うことで、スケーラビリティ問題などの課題を解決しようとする試みをレイヤー2スケーリングソリューションと呼びます。
暗号資産POLは、2017年10月にMatic Networkのネイティブトークンとして誕生しました。エコシステム内で相互作用する参加者間の支払いと決済の単位として機能するユーティリティ・トークンになるように設計されています。日本では、プロジェクト名のポリゴンが暗号資産の通称としても普及しています。
※2024年9月4日、Polugon LabsはMATICをPOLトークンへと移行しました。
通貨単位 | POL |
発行可能上限数 | 10,000,000,000 POL |
コンセンサスアルゴリズム | PoS(Proof of Stake) |
時価総額ランキング (2023年7月時点) | 11位 |
ホワイトペーパー | https://polygon.technology/papers/pol-whitepaper |
公式サイト | https://polygon.technology/ |
ポリゴン(POL/旧MATIC)の特徴
ポリゴン(POL/旧MATIC)は、既に確立されているイーサリアム上のエコシステムを活用するレイヤー2スケーリングソリューションという立場から、イーサリアムが持つガス代高騰や取引処理の遅延といったスケーラビリティ問題を解決しようとしています。
イーサリアムが抱える問題を解決するために開発されたスマートコントラクト・プラットフォームは他にもありますが、ポリゴン(POL/旧MATIC)はイーサリアム上に既に作り上げているプロジェクトや開発者を活かすことでWeb3.0を普及させていく、という立場をとっています。
そのため、ポリゴン(POL/旧MATIC)には次のような特徴があります。
- 取引が早く手数料(ガス代)も安い
- 環境にやさしい
- 分散性が高くセキュリティが強固
それぞれ詳しく見ていきましょう。
特徴①:手数料(ガス代)が安い
出典:polygon.technology - polygon-pos
ポリゴン(POL/旧MATIC)の特徴としてまず挙げられるのは、取引が早く手数料(ガス代)も安いことです。
ポリゴン(POL/旧MATIC)のメインネットであるイーサリアムは、アクセスが殺到するとガス代の高騰や取引処理の遅延が発生するスケーラビリティ問題が長らく課題とされています。ポリゴン(POL/旧MATIC)では、トランザクション(取引)処理にサイドチェーンを活用することで、セキュリティを保ちながら取引速度の向上と手数料の削減を同時に実現しています。
また、世界初となるイーサリアムに完全対応したスケーリングソリューションである「zkEVM」を発表しています。
zkEVMは、ゼロ知識イーサリアム仮想マシン(zero-knowledge Ethereum Virtual Machine)の略で、イーサリアムのセキュリティを継承しつつ、ゼロ知識(ZK)証明を活用することで、取引コストの削減と情報処理能力の大幅な向上を実現する技術のことです。ゼロ知識証明とは、ある人が他の人に、自分の持っている命題が真であることを伝えるために、真であること以外の何の知識も伝えることなく証明できるようなやりとりの手法のことです。ガス代を関係者全員で分配することで手数料の大幅な削減が可能です。
ポリゴン(POL/旧MATIC)は、ゼロ知識証明を使用することで、2022年7月時点のコストと比較して最大90%の手数料を削減することができると推定しています。ポリゴン(POL/旧MATIC)はzkEVMのソースコードの一部とロードマップを公開しており、メインネットのベータ版を2023年3月27日にローンチしました。
今後もさらなる取引速度の向上と、手数料の削減に期待がもてるのではないでしょうか。
特徴②:環境にやさしい
出典:The Polygon Blog - Polygon Is Going Carbon Negative in 2022 With a $20 Million Pledge
ポリゴン(POL/旧MATIC)の特徴として、環境にやさしい点も挙げることができるでしょう。
Polygonチェーンはエネルギー効率がよいため、CO2排出量が少ないことが特徴です。調査機関であるCCRI(Crypto Carbon Ratings Institute)によれば、ポリゴン(MATIC)におけるCO2の年間排出量は競合他社に比べても数分の一であり、PolygonチェーンはWeb3業界で最も環境に優しいチェーンの1つとなります。
さらに、2022年9月にイーサリアムで実施された「The Merge」(イーサリアムチェーンのProof-of-Stake移行)の影響で、ポリゴン(POL/旧MATIC)の二酸化炭素排出量は2022年8月時点から最大で99.91%削減が期待されています。
出典:DIGICONOMIST - Ethereum Energy Consumption Index
実際、ビットコインやイーサリアムのエネルギー消費量などを調査する企業「DIGICONOMIST」が公表しているグラフ(上図)を見ると、「The Merge」以降で二酸化炭素排出量が激減していることが見て取れます。
出典:The Polygon Blog - The Merge to Erase 60,000 Tonnes of Polygon’s Carbon Footprint
また、ポリゴン(POL/旧MATIC)はSDGsへの取り組みにも積極的です。2022年4月には「グリーン・マニフェスト」を発表し、カーボン・マイナスへの移行とグリーン・プロジェクトのための2,000万ドルの基金設立を約束しました。目標に掲げた創業当時からの累積CO2負債はすでに相殺されるなど、取り組みは順調に進んでいます。
2023年3月には、気候変動対策に関する技術を提供する企業Returnと炭素除去マーケットプレイスを運営するNoriと協力して、ユーザーが参加可能な気候変動対策キャンペーンを開催しました。参加したユーザーには、気候変動対策へのコミットメントとポリゴン(POL/旧MATIC)のグリーンマニフェストへの支持を表すNFT「Polygon Skin NFT」が贈られました。
消費電力の少ないチェーンであることやSDGsに配慮するポリシーは、後述する大企業からの採用に大きく寄与していると言えるのではないでしょうか。
特徴③:分散性が高くセキュリティが強固
ポリゴン(POL/旧MATIC)は、分散性が高くセキュリティが強固である点も特徴です。
ポリゴン(POL/旧MATIC)では、イーサリアムのメインネットに設けたチェックポイント層と、Polygonチェーンに設けたブロックプロデューサー層の二層構造を取ることで、高度な分散性を確保しています。この仕組みにより、ポリゴン(POL/旧MATIC)は、高い分散性とメインチェーン上のセキュリティを確保した上で、高速なトランザクションを実現しています。
セキュリティが高いことは、後述するNFTマーケットプレイスやウォレットからの採用に不可欠であるため、ポリゴン(POL/旧MATIC)には期待を持てるのではないでしょうか。
ポリゴン(POL/旧MATIC)の将来性
ここまでポリゴンの特徴・メリットを解説してきました。ポリゴン(POL/旧MATIC)の将来性については、特に次の場面で価格変動に寄与する可能性があります。
- 大企業のNFT・メタバースプロジェクトに採用される
- NFTマーケットプレイスやウォレットが対応する
- Polygonチェーン上のdAppsやプロジェクトに注目が集まる
それぞれ詳しく見ていきましょう。
大企業のNFT・メタバースプロジェクトに採用される
出典:The Polygon Blog - Starbucks Taps Polygon for Its 'Starbucks® Odyssey' Web3 Experience
一つ目は、大企業のNFT・メタバースプロジェクトにPolygonチェーンが採用されるタイミングです。
ポリゴン(POL/旧MATIC)は先述したような優れた特徴やSDGsへの取り組みから、世界的な大企業のNFT・メタバースプロジェクトに採用される(または、他のチェーンと並行して採用される)ことがあります。そのようなタイミングでは、市場の注目が集まり、価格が上昇する可能性があります。
すでに採用が発表されているプロジェクトの中で、特に注目すべきものを紹介します。
まず紹介するのは、スターバックスが発表したWeb3体験「スターバックス® オデッセイ」です。
「スターバックス® オデッセイ」では、米国のスターバックスリワードのロイヤリティプログラム会員とスターバックスのパートナー(従業員)が、NFTの形でデジタルコレクタブルスタンプを獲得・購入できます。
スターバックスは、Polygonチェーンを採用した理由について「Polygonの高速、低コスト、カーボンニュートラルなネットワークは、我々の最初のデジタルコミュニティの完璧な基盤です」と述べています。
次に紹介するのは、AdidasとPradaが発表したオープンメタバース&ユーザー生成型NFTプロジェクト「adidas for Prada re-source」です。
「adidas for Prada re-source」では、ファッション、デザイン、クリプトの各分野から参加者を集め、Re-Nylonコレクションにインスパイアされた大規模なデジタルアート作品を共同制作する予定です。そして、各作品のNFTはPolygonチェーン上に構築されています。
AdidasはPolygonチェーンを採用した理由として「エネルギー効率と低料金に最適化されたイーサリアム互換のネットワークである」ことを挙げています。
出典:polygon blog - Nexon Selects Polygon Supernets for Smash Global Hit “MapleStory Universe”
最後に紹介するのは、「メイプルストーリー」のPolygonチェーン採用です。メイプルストーリーとは、登録ユーザーが1.8億人を越える人気ゲームです。東証プライムに上場しているゲーム会社ネクソンが運営をしています。
メイプルストーリーはNFTゲーム化をすることをすでに明言していましたが、Polygonチェーンを基盤に構築されることが発表されました。(2023年3月)多くのユーザー数を誇るメイプルストーリーがPolygonチェーンを採用する点でも、期待されているとチェーンであると言えるのではないでしょうか。
今後も、世界的な大企業のプロジェクトにPolygonチェーンが採用されることが期待できるといえるのではないでしょうか。
NFTマーケットプレイスやウォレットに採用される
出典:The Polygon Blog - Getting Started With MetaMask on Polygon
二つ目は、NFTマーケットプレイスやウォレットがPolygonチェーンに対応するタイミングです。
2021年〜22年にかけてNFTは急速に普及しましたが、同時にアクセスが殺到した際に高騰するガス代問題が顕在化しました。そのため現在は、イーサリアムとの互換性が高く、手数料も安く抑えられるPolygonチェーンに移行する(または並行して採用する)流れが生まれています。
特に代表的だったのは、2021年10月に世界最大のNFTマーケットプレイス「OpenSea」がポリゴン(POL/旧MATIC)に対応したことでしょう。
出典:The Polygon Blog - Sails Up On The OpenSea: NFT Marketplace OpenSea Comes To Polygon
「OpenSea」のような大手NFTマーケットプレイスがPolygonチェーンに対応したことで、ポリゴン(POL/旧MATIC)の普及は進み、実際価格にも影響を与えました。
また、Coincheckが運営するNFTマーケットプレイスである「Coincheck NFT」でも、2022年10月からPolygonチェーンへの対応が開始されました。
出典:【Coincheck NFT】PolygonチェーンのNFTに対応!第一弾として10月12日よりPolygonチェーンの『The Sandbox』LANDの取扱いを開始
今後も、NFTマーケットプレイスやウォレットがPolygonチェーンに対応するニュースが出た場合には、注視する方がよいでしょう。
Polygonチェーン上のdAppsやプロジェクトに注目が集まる
三つ目は、Polygonチェーン上のdAppsやプロジェクトに注目が集まるタイミングです
2023年5月時点、Polygonチェーンでは53,000以上の分散型アプリケーション(dApps)が稼働しています。Polygonチェーン上で構築されたプロジェクトに注目が集まれば、そのインフラを担うポリゴン(POL/旧MATIC)にも注目が集まることが期待できます。
ここでは、特に注目をしたいプロジェクトを紹介します。
まず、紹介するのは「The Sandbox(ザ・サンドボックス)」です。サンドボックスは、クリエイターがブロックチェーン上でボクセルアセットやゲーム体験をマネタイズできるコミュニティ主導のプラットフォームです。
サンドボックスでは、ボクセルゲームのアセットを構築するVoxEdit NFTビルダー、アセットを売買するマーケットプレイス、ゲームメーカーツールにPolygonチェーンを統合することで、処理速度を大幅に改善し、ガス代を安くすることに成功しました。
出典:The Polygon Blog - Project Spotlight: Decentraland — The first Fully Decentralised Metaverse
次に紹介するのは「Decentraland(ディセントラランド)」です。ディセントラランドは、ブロックチェーンを活用したメタバースプロジェクトのパイオニア的な存在です。ポリゴンは、ディセントラランドがサポートできるユーザー数やトランザクションの規模を拡大するために重要な役割を担っています。
以上の2つは、代表的なNFT・メタバースプロジェクトとして市場に認知されています。NFT・メタバースに注目が集まるタイミングには価格が変動する可能性があるので、ポリゴン(POL/旧MATIC)と共に注視する方がよいでしょう。
この他にも、PolygonチェーンにはDeFiやDAOといった様々なプロジェクトが構築されています。セキュリティや取引のインフラとして普及しているポリゴン(POL/旧MATIC)は、将来性に期待がもてるのではないでしょうか。
ポリゴン(POL/旧MATIC)の購入方法
Coincheckでポリゴン(POL/旧MATIC)を購入する方法には、以下の2種類があります。
- スマホアプリで購入する
- パソコンで購入する
以下で、それぞれの購入方法をご紹介します。
※POLは複数のブロックチェーン上で取引される暗号資産ですが、当社で取扱うPOLはPolygonチェーンのみに対応しています。そのため、Ethereumチェーンを含む、Polygonチェーン以外を利用したPOLの受取、送金には対応しておりません。
スマホアプリでポリゴン(POL/旧MATIC)を購入する方法
最初に、Coincheckのスマホアプリを使ってポリゴン(POL/旧MATIC)を購入する方法を紹介します。具体的な手順は以下の通りです。
- 1. 画面下メニューの「販売所」をタップする
- 2. 表示されたコインの中から「ポリゴン(MATIC)」をタップする
- 3. 「購入」をタップする
- 4. 購入金額を入力し、「日本円でMATICを購入」→「購入」をタップする
スマホアプリを使うと、時間や場所を問わず、わずかこれだけの操作で取引を完了できます。
パソコンでポリゴン(POL/旧MATIC)を購入する方法
Coincheckはスマホアプリが便利ですが、パソコンを使っても暗号資産を購入することができます。パソコンでポリゴン(POL/旧MATIC)を購入する際の手順は、以下の通りです。
- 1. Coincheckにログインして、画面の上にある「ウォレット」を選択する
- 2. ウォレットページで「コインを買う」をクリックして、「MATIC(ポリゴン)」を選択する
- 3. MATICの購入数量を指定し、表示された時価に基づいた購入金額を確認する
- 4.「OK」をクリックして購入完了
パソコンを使う場合でも、スマホアプリと同じく、簡単な操作で取引をすることができます。パソコンはスマホよりも画面が大きく、見やすいのが魅力です。
場面や投資スタイルに応じて使い分けるのが良いでしょう。