暗号資産(仮想通貨)の価格はなぜ上がる?仕組みを理解し急騰に備えよう!

未来の通貨として期待される一方、投資対象としても人気が出てきている暗号資産(仮想通貨)。これまでも短期間に価格が急変動するなど、株やFXよりも高い変動率を記録することも珍しくありませんでした。

なぜそんなにも暗号資産の価格が上がるのか? 考えられる理由をご紹介します。

この記事を読み、暗号資産の価格が上がる背景を理解すれば、今後の取引を有利に行うことができるでしょう。

暗号資産が値上がりする7つの要因

暗号資産

一般的に、価格というものは需要と供給のバランスで決定されるといわれています。

需要というのは、それを欲しいと思う人がどれだけ多いかということで、供給というのは、通貨量など市場にある数をいいます。そのため、供給よりも需要が大きくなっていると値上がりする傾向にあります。

そこで暗号資産が値上がりする要因として考えられるのが、以下のポイントです。

1. 将来、需要が大きくなると予想される

1つ目が「将来、需要が大きくなると予想される」場合です。

例えば、暗号資産の普及を期待させるニュースが流れると、今後買う人が増えると予想されて、値上がりすることがあります。また、暗号資産で決済ができる飲食店や小売店が増えることにより、暗号資産の需要が増して価格が上昇するケースも考えられます。

さらに、投資対象としての暗号資産に将来性を感じ、取引を始める人の数が増えることにより、暗号資産の需要が拡大して価格が上がる可能性も考えられます。

2. 暗号資産の知名度が上がる

2つ目が「暗号資産の知名度が上がる」場合です。

例えば、大企業が暗号資産の採用を決めたケースや、有名店舗で導入されたケースなど、身近なところで暗号資産が知られるようになった場合などにも、価格が上昇することがあります。

特に、大手企業との提携に関するニュースは価格上昇の要因になります。例えば、リップル(XRP)が2018年1月に国際送金大手の米マネーグラム社との提携を発表したときには、価格が25%以上急騰しました。

ただし、知名度が上がったからと言って、悪いニュースでは逆効果な場合もありますので、その点は注意が必要です。

3. 暗号資産の取引所への上場

3つ目が「暗号資産の取引所へ上場した」場合です。

国内外問わず、暗号資産の取引所は多くありますが、利用者の多い取引所に上場するほど暗号資産は価格が上がりやすくなる傾向があります。利用者が多い取引所では、通貨の流動性が高く取引されやすくなるためです。

また、大手の取引所に上場すると暗号資産の知名度も高くなるため、価格は上昇する傾向にあります。

4. 暗号資産のアップデートによる影響

4つ目は「暗号資産がアップデートされた」場合です。

ビットコイン(BTC)をはじめとする暗号資産にはそれぞれ開発者がいて、送金速度の向上やセキュリティ強化のために日々開発を進めています。そして、アップデートにより性能や利便性が上がった通貨は、それに伴い価格も上昇する傾向にあります。

アップデートにより価格が高騰した有名な例としては、イーサリアム(ETH)が挙げられます。イーサリアムは「フロンティア」、「ホームステッド」、「メトロポリス」とアップデートを重ねることにより、リリース当初の「1ETH=約500円」から最高で「1ETH=16万円台」まで価格が上昇しました。

5. バーン(Burn)で供給量が減少する

5つ目は「バーンにより通貨の供給量が減少した」場合です。

英語で「焼却」を意味するバーンは、すでに発行し市場に流通している暗号資産の枚数を減らす行為のことを意味します。通貨の供給量を減らすことで希少価値を上げ、価格を上昇させるのが目的です。

最近では、2019年11月にステラルーメン(XLM)が総供給量の約半分となる550億トークンをバーンしたことを発表し、それに伴い価格が約20%急騰しました。

6. 通貨危機による影響

6つ目は「通貨危機の影響で暗号資産の需要が増える」場合です。

通貨危機とは、経済情勢が不安定な新興国などで、自国のフィアット(法定通貨)の対外的な価値が急激に下がる現象のことをいいます。通貨危機の状態にある国では、自国通貨のさらなる価値の減少を恐れ、所有するフィアットを世界的に信用の高いドルや暗号資産などと交換する国民が多くなります。

このように、通貨危機の状態にある国で暗号資産の需要が急増することで、暗号資産の価値が上昇するというケースもあります。最近では、2019年11月に自国通貨ペソの急落が続くアルゼンチンの暗号資産取引所で、他国の取引所のビットコインより32%以上高い「1BTC=約1万2,300ドル」というプレミアム価格を記録しました。

しかし、通貨危機による価格上昇は当該国のみが対象となることが多く、他の国では価格変動の影響を受けないことがほとんどです。

7. オンチェーン指標の動向

7つ目は「オンチェーン指標の変化によりトレーダー心理に影響が出る」場合です。

オンチェーン指標とは、ブロックチェーンネットワークの盛り上がりや暗号資産(トークン)の取引の動向、といった情報を読み取ることができる指標です。

例として、オンチェーン指標の一つであるアウトフローを示します。アウトフローとは取引所から外部ウォレットへ流れる暗号資産の流出量を意味します。

アウトフローが多い(増加している)時は、当該ブロックチェーン上のトークンに関する取引所における売り傾向が弱いことを示しています。なぜならば、この事象は実質的に、取引所におけるトークンの供給量が減少することを意味しているからです。価格が上がるメカニズムとしては「5.バーン(Burn)で供給量が減少する」で解説したプロセスと類似していますね。

オンチェーン指標に関する詳しい説明は、この記事の後半に「オンチェーン指標を活用してトレードを行う」という項目で行っています。関心があればご覧いただけますと幸いです。

出典:Glassnode Studio

上のグラフは、1日ごとのビットコインに関するネットフローの推移を表しています。詳しい説明は記事の後半で記載しますが、この図における赤い棒グラフがアウトフローの増加(厳密に言うとインフローに対して優勢である状態)を表しています。

2015年から2017年当たりまでは顕著にアウトフローが優勢な状態が度々起こり、その後価格の上昇(黒線)に転じている様が確認できるかと思います。

暗号資産の値動き幅が大きい理由

暗号資産
暗号資産は、株やFXに比べると価格変動が大きいことで知られています。その理由としては、以下のような理由が考えられます。

1. 取引量が少ない

1つ目が「取引量が少ない」点です。

株式投資やFXに比べて、暗号資産市場に参入している人が少ないため、一部の大口投資家が動くだけで、全体の価格に影響を及ぼすことがあります。今後購入者が増えてくれば、全体的に価格は安定していくものとも考えられています。

2. 1日あたりの値動きに上限がない

2つ目が「1日あたりの値動きに上限がない」点です。

株の場合は、ストップ安やストップ高といって、1日の値動きに上限が設定されています。これにより、急激な価格変動を防いでいます。

それに対して、暗号資産は、1日あたりの値動きに上限がありません。上昇するときは、株などのほかの金融商品を超える価格変動をすることもあります。

3. プロの投資家が少ない

3つ目が「プロの投資家が少ない」点です。

暗号資産には、まだプロトレーダーなどがそう多くは参入していないといわれています。そのため、株やFXなどに比べると、初心者でも勝ちやすい場合もあります。

また、機関投資家などが参入してくれば相場への影響は大きく、価格を吊り上げる可能性もあるでしょう。

4. 国による規制に左右されがち

4つ目が「国による規制に左右されがち」な点です。

暗号資産はまだ発展途上であり、各国が規制や認可などで模索をしている状態です。暗号資産に悪い規制のニュースであれば価格は下落し、法整備などの良いニュースなら価格は上昇しやすくなります。

暗号資産を買うタイミング

暗号資産

暗号資産を買うタイミングとして、初心者が理解しておきたいポイントには以下が挙げられます。

1. 長期保有

1つ目が「長期保有する場合は売買タイミングをそこまで意識しなくても良い」点です。

もし、暗号資産の将来性を期待し、長い目で保有するつもりなら、そこまで売買タイミングを気にしなくても良いでしょう。仮に暗号資産が大幅な価格上昇をすれば、数年単位で保有することで、大きな利益を得ることができます。

2. 下落した後

2つ目が「下落した後に買う」点です。

初心者で買うタイミングが分からないという人は、下落した後など、価格が安くなったタイミングで買う方法もあります。

一時的な下落局面などどうまく購入することができれば、長い目で見るとお得な値段で手に入れることができたと言えます。ただし、そのまま価格が下落していく場合もありますので、その点には注意が必要です。

3. オンチェーン指標で判断

3つ目が「オンチェーン指標の動向で投資タイミングを判断することが可能である」点です。

暗号資産は金や株式と同様にリスク資産であるため、短期的な下落局面が発生することは避けられません。ただ、暗号資産にはそのような下落タイミングを図る特有の指標として、オンチェーンデータを活用したものが存在します。

次の項目では、この手法について詳しく解説いたします。

オンチェーン指標を活用してトレードを行う

オンチェーン指標を理解することで、ある程度の価格変動を想定することが可能となります。そのため、暗号資産トレーダーの中には、オンチェーン指標を活用して投資決定を行っている人も一定程度存在しています。

以下の解説を読むことで、暗号資産投資に特有の指標であるオンチェーン指標について正しく理解でき、暗号資産投資を行う際の判断材料の一つにすることができると思います。

オンチェーン指標とは?

オンチェーン指標とは、ブロックチェーンネットワークの盛り上がりや成長、利用トレンドがどのように推移しているのか、といったネットワークの動向を読み取ることができる指標のことです。

ここで、そもそもオンチェーンとは何か、という疑問が想起されると思います。

端的に言うとオンチェーンとは、暗号資産の送金などの取引がブロックチェーン上にて実行処理されるような仕様そのものを指す言葉です。また、その取引が記録されたデータのことをオンチェーンデータと呼びます。

ちなみに、オンチェーンという用語は英語の On-chain が語源であり、「ブロックチェーンの上に乗っている(仕様)」というニュアンスを持っています。

オンチェーン指標の具体例

上記にてオンチェーン指標の概要を解説致しましたが、まだまだオンチェーン指標についてイメージするのは難しいのではないでしょうか?

これを解決するために、下記にてオンチェーン指標の一つである「ビットコインのアクティブアドレス」を例示し、時系列推移を表したグラフとともに解説したいと思います。

アクティブアドレスは、ビットコインのブロックチェーンネットワークにおける最も基本的なオンチェーン指標の一つです。

この指標は、特定の期間内においてウォレット間の送受信記録(トランザクションの発行記録)が存在しているビットコインアドレスの数を表しています。
下記に示しているものが、アクティブアドレスの時系列推移のグラフとなっています。


出典:Glassnode Studio

上のグラフは、2009年1月3日から2022年4月26日までの1日ごとのアクティブアドレスの推移を表しています。

黒のラインがビットコインの対数価格の推移、オレンジ色のラインがビットコインのアクティブアドレスの推移です。

オンチェーン指標について具体的なイメージができたところで、オンチェーン指標と価格形成との連動性の話に移りましょう。

オンチェーン指標と暗号資産価格との連動性に関する議論

オンチェーン指標とその具体例を概観したことで、ある程度のイメージは把握いただけたかと思います。

ではここからは、オンチェーン指標を投資判断の材料として活用していく上で、正しい意思決定をするために考慮すべきことについて言及していきたいと思います。

考慮すべきことは一言で言うと、因果関係と相関関係の区別です。

具体的な事例を通して、この点について解説いたします。
例として、先ほど挙げたビットコインのアクティブアドレスを考えます。

出典:Glassnode Studio

因果関係がある状態というのは、「ビットコインのアクティブアドレス数が増加したから、BTC価格が上昇した」または「BTC価格が上昇したからアクティブアドレス数が増加した」という2通りのうちいずれかの関係が成り立つ状態のことを指します。

一方で相関関係がある状態とは、「ビットコインのアクティブアドレス数が増えるとBTC価格が上昇する」という単なる関係を指し、因果、つまり原因と結果の順番は考慮されていません。

この特徴が、投資行動に対してどのような影響を及ぼすでしょうか。

結論から言うと、アクティブアドレスとBTCの値動きは単なる相関関係であり、アクティブアドレスの増加がBTC価格が上昇する先行指標とはなり得ない、ということです。

しかし、オンチェーン指標の中には部分的な因果関係が存在するものがあります。つまり、特定のオンチェーン指標の動きを観察することでトレードで利益を上げられる可能性が高まる、ということです。

その代表例は、「ネットフロー(Netflow)」と呼ばれる指標です。

出典:Glassnode Studio

上のグラフは、1日ごとのビットコインに関するネットフローの推移を表しています。データの期間は、2011年8月17日から2022年6月26日です。

黒のラインがビットコインの対数価格の推移、グリーンの棒グラフの部分がネットフローが正(プラス)の時、赤色の棒グラフの部分がネットフローが負(マイナス)の時、を意味しています。

歴史的なデータ推移より、ビットコイン価格の暴落直前にはネットフローは大きなプラスを示していた事例が多々存在します。

この事例を参考にすると、次にネットフローが大きなプラスを示したときに空売りといった投資行動を行うことで、利益を出すことができると考えられますね。

ここまで行ってきた議論をまとめると、「オンチェーン指標であっても必ずしも因果関係を表しているわけではないため、投資判断の材料に活用するのは吟味したほうが良い。ただし指標の中には、将来の値動きに関する先行指標として機能する可能性があるものも存在する」ということになります。

よりオンチェーン指標について学びたいと感じた方は「初心者でも分かるオンチェーン分析!特徴やデータの入手方法を簡単解説!」をご覧いただけますと幸いです。前述したネットフローについても、より詳細な解説を記載しております。

暗号資産の始め方

※Androidの方はこちらの動画をご覧ください。

暗号資産を買うためには、まずは暗号資産の取引所にアカウントを作る必要があります。

個人情報を入力して、本人確認書類の画像を提出し、後日自宅に届くハガキを受け取れば、簡単に口座開設することができます。口座開設をしたら、次は日本円の入金です。

暗号資産を買うための日本円を銀行振込などで入金し、実際に買いたい暗号資産を購入します。購入した暗号資産は、買い物時の決済に使えるだけでなく、価格が上昇したタイミングで売れば利益を出すこともできます。

また、ほかのアカウントなどに送金することも可能です。取引所の口座開設から暗号資産の取引まで、特に難しい手順はないので、初心者でも簡単に始めることができるでしょう。