【動画でわかる】暗号資産の確定申告や損益計算方法について基礎から解説!

2022年11月21日、オンラインにて「暗号資産の確定申告と損益計算セミナー」(共催:コインチェック株式会社×クリプタクト)が開催されました!

今回のセミナーでは、主に今まで確定申告を行ったことがない方や暗号資産の所得計算に馴染みのない方を対象に暗号資産の損益計算方法初めて暗号資産の損益計算を行う方が陥りがちな落とし穴2022年度の確定申告に向けてやるべきこと、そしてよくある質問に対する回答をご紹介したほか、セミナー参加者からの質問にお答えするQ&Aの時間も設けられました。

この記事では、本セミナーで議論された重要なポイントについてまとめています。

この記事でわかること

※【パートナーを募集中】
コインチェックでは、NFTやメタバースの活用を考えている企業・団体を募集しています。
https://forms.gle/LgmP9GjQgke8RYHn6

目次

登壇者紹介

竹ケ原 圭吾Keigo Takegahara

コインチェック株式会社 常務執行役員
公認会計士

斎藤 岳Gaku Saito

株式会社pafin 代表取締役
日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)税制検討部会長 兼 アドバイザー

コインチェック株式会社


※詳しくはこちら

クリプタクト

※詳しくはこちら

暗号資産の損益計算の仕組み

暗号資産の損益計算はたった3ステップ

          

竹ケ原 圭吾(以下、竹ケ原):早速ですが、暗号資産の損益計算において、重要となるポイントを斎藤さんからご説明していただいてもよろしいでしょうか。

斎藤 岳以下、斎藤):そうですね。多くの方が「暗号資産の損益計算は難しい」とか「確定申告が大変だ」と仰っていますが、暗号資産の損益計算は大きく分けて次の3つのステップしかありません。

斎藤:1つ目のステップは「取引履歴の取得・整理」です。
そもそもご自身がどういった取引をしたのかという履歴がないと、損益計算はできません。そのため、まずはご自身の取引履歴を整理する必要があるというのが最初のステップとなります。

例えばCoincheckなどの交換所や取引所でお取引されている場合であれば、ほぼ全てのケースで交換所・取引所から取引履歴をダウンロードできるはずです。そのため、交換所や取引所でお取引されている場合は、そこから事前に取引履歴をダウンロードしておきましょう、というのが最初のステップになります。

一方で、友人間やご家族間で暗号資産をやりとりするなど、交換所や取引所以外で取引をしているという方もいらっしゃると思います。その場合は、ご自身で「何月何日にどういったお取引をしたのか」ということをきちんとメモに残しておきましょう。

竹ケ原:家計簿で例えるなら「レシートをちゃんと保存しておいて、後で収支計算できるようにしましょう」というところですよね。

斎藤:そうですね。損益を計算する前にまずはちゃんと取引履歴を整理しましょう、というのが1つ目のステップになります。それができてから2つ目のステップである「損益計算」、そして3つ目のステップである「確定申告」へと進みましょう、ということです。

本日は主にこの2つ目と3つ目のステップを中心に、みなさんが誤解しがちなポイントを中心にご紹介できればと考えております。なお、今回のセミナーでは暗号資産の売買に関連して発生した個人の所得を対象にしていますので、事業としてやっている方、あるいは法人で取引している方は、前提が異なりますので、その点はご了承ください。

暗号資産の納税と株の納税との違い

竹ケ原:それでは暗号資産の損益計算の具体的な仕組みの説明に入っていきます。暗号資産の損益計算は株の損益計算と比較するとやっぱり複雑で、複雑であるからこそ多くの方からお問い合せいただいているのかなとは思っておりますが、具体的にはどのようなところが「暗号資産の納税方法が複雑だ」と言われる要因になっているんでしょうか。

斎藤:そうですね。いただくお問い合わせで多いのは「暗号資産はどうして損益を自分で計算しなくちゃいけないのか」や「株のように源泉徴収を勝手に計算してくれないのか」というものですね。この質問に対する答えとしては「暗号資産と株は仕組みが違うので、自分で損益を計算しなくてはいけない」ということになります。

株の場合は、ほふり(証券保管振替機構)という機関が、証券会社間のやりとりを含めて全ての取引を一元管理しているため、証券取引所単位でもちゃんと損益を勝手に計算してくれ、源泉徴収まで証券会社がやってくれます。

一方で暗号資産の場合、ほふりのような中央集権的な機関は基本的にありません。そのため、取引所間や交換所間で送金を行った場合や、ご自身のウォレットに引き出しを行った場合、それらの取引全てを取引所・交換所単位で把握することは不可能です。

そのため暗号資産の場合はご自身で取引履歴を取得・整理し、損益計算を行い、確定申告して納税をするしかないというわけですね。

暗号資産の損益計算の落とし穴

竹ケ原:さらに話を進めまして「暗号資産の損益計算の落とし穴」というところで、多くの方々が誤解しがちなポイントに関して、いくつか例を紹介させていただければと思います。

ポイント1:税務上の損益は交換所毎には算出できない

竹ケ原:最初のケースでは「交換所A」と「Coincheck」の2つで売買履歴がある状態を想定します。斎藤さん、このケースに関してはどういったことがよく誤解されがちで、どうやって損益を計算すればいいのかを教えていただけますでしょうか。

斎藤:はい。このケースでのポイントは「暗号資産は交換所ごとに損益を算出するわけではない」というのが重要となります。

多くの方々が考えている損益計算のイメージは、取引所や交換所ごとに「損した」「得した」と計算して、1年の終わりにそれらを合算するというものかもしれませんが、そのイメージは基本的に間違っています。

例えばこのスライドの例でいうと、交換所Aでは1BTCを150万円で購入して売却はせず、取引所Aでの利益は0円、Coincheckでは1BTCを100万円で買って150万円で売っているので「今年はCoincheckで50万円儲かった」と考えがちです。

しかし、正解は次のスライドのようになります。

斎藤:年間の損益は50万円ではなく25万円となります。。なぜなら暗号資産の損益計算においては、Coincheckで売買した暗号資産だけでなく、交換所Aで取引した150万円も加味したうえで計算を行わないといけないからです。要するに「暗号資産に色はない」というのが基本的な考え方となるわけです。

具体的な数値例で考えてみましょう。このスライドの例でいうと、交換所Aさんで1BTCを150万円で購入し、Coincheckで1BTCを100万円で購入したので、平均して125万円のBTCを2枚買ったということになります。

そのうちの1枚を12月30日に150万円で売却したということになるので年間の損益は「150万円-125万円=+25万円」と計算されます。

ポイント2:税務上の損益の算出には過去全ての取引履歴が必要

斎藤:続いてのケースでは「税務上の損益の算出には、基本的に過去全ての取引履歴が必要になる」という話をします。

ここでは2016年に10万円で1BTCを購入し、2021年までは暗号資産の売買を行っていないというケースを想定しています。そして2022年に入ってからCoincheckで1BTCを240万円で購入し、年末に1BTCを250万円で売却。すると多くの方が「2022年の損益は、Coincheckで売買した分の10万円だけだ」と考えてしまいます。

しかし実際には、損益は次のスライドのように計算されます。

斎藤:これもまさに「暗号資産に色はない」ということになってきますが、2016年に1BTCを10万円で購入し、その後2022年に1BTCを240万円で購入したのだから、1BTCを平均125万円で2枚購入し、そのうち1枚を250万円で売却したという計算になります。

したがって、2022年の損益は「250万-125万円=+125万円」と計算されます。

ここでみなさんに伝えたいのは「自分自身の損益のイメージと実際の計算結果は結構異なる場合がある」ということです。私もよく「今年は20万円の利益が出ていないから確定申告をしなくてもよい」という声を聞くことがありますが、その20万円という数字はご自身のイメージで計算されており、実際に計算すると20万円以上の利益が出ているケースは結構多いです。

例えばこのケースですと、自分のイメージでは10万円しか利益が出ていないと思っていたけど、実際に計算してみると125万円もの利益が出ています。もしここでご自身のイメージだけで確定申告をしないという判断をしてしまうと、脱税ということになってしまって、後で延滞金まで含めてペナルティが課されてしまいます。

したがってご自身のイメージだけで確定申告するのかどうかを判断するのではなく、一度しっかりと計算してみるのを強くオススメしますね。

竹ケ原:そうですね。これは特に昔から暗号資産取引をしている方が間違える可能性が高いケースと言えるかもしれませんね。各取引所も暦年ごとに取引履歴を提供しているケースが多いので、その1年間だけをみてしまうとこういった間違いが起こりやすいと思います。

ポイント3:暗号資産同士の交換でも日本円で損益を認識

斎藤:続いては「暗号資産同士の交換も損益計算対象になってくる」ということをお話しします。今でもよく「円に戻さず暗号資産同士の交換をしていれば損益計算や確定申告はしなくてもいいよね」という声を聞きますが、そうではありません。

例えばビットコイン(BTC)をイーサリアム(ETH)に交換した場合。この場合は円を介在していないので損益計算は不要なのかというと、その認識は間違っています。実はビットコインとイーサリアムのように暗号資産同士の交換を行なった場合であれば「その交換を行なった取引日時の時価でビットコインを売却した」とみなされます。

一方で受け取ったイーサリアムは「売却を行なったビットコインの時価でイーサリアムを購入した」とみなされます。したがって円を介在しない暗号資産同士の交換も、ご自身で一つひとつ損益を計算していく必要があります。

竹ケ原:私の感覚では、このケースが一番感覚として理解がしづらいところかなと感じます。ここでの取引ではビットコインもイーサリアムも通貨の単位での交換になってきますので、対円での把握がなかなか難しい。

もちろん日本の取引所の場合は参考情報として対円でのレートが付してあることもあるかもしれませんが、海外の取引所を利用されている方は、逐次円のレートも取得していかなければいけないところかなと思います。

ポイント4:後から損益が変わる?暗号資産の計算方法「総平均法」

竹ケ原:暗号資産の損益計算の落とし穴に関する最後の項目は「総平均法」と言われる計算方法についてです。

斎藤:そうですね。ここが「一番知られていない」かつ「イメージとズレてくる」ポイントだと思っています。まず暗号資産の計算方法というのは原則「総平均法」と決められています。

これも例を用いて説明しましょう。

斎藤:この例における上3つの取引は先ほどポイント1でお話しした取引と同じであり、この時点で年内の取引を終えれば損益は+25万円だという話をしました。それに加えこのケースでは、12月31日に交換所Bというところで200万円で1BTCを購入しています。そうすると、実は過去の損益が変わってくるんですね。

総平均法では、まず過去の「買いの履歴」を集計し、その平均簿価を出します(この例では「(150万円+100万円+200万円)÷3=150万円」が平均簿価です)。これがその年度における簿価、つまり年度簿価となります。なのでこの場合、2020年度における年度簿価が1つに固定されるんですね。

そしてこの計算された年度簿価に対して、どれくらいの損益が出たのかということを一つひとつ計算していくことになります。(この例では2020年の年度簿価が1BTCあたり150万円であり、2020年12月30日に1BTCを150万円で売却しているため、損益は「150万円-150万円=0円」となる。)

つまりここで一番伝えたいことは「ご自身が暗号資産を売却したあとの取得履歴の内容によって過去の売却損益が変わってくる」ということです。これはかなり感覚とは違う部分だと思いますので、ぜひ一度ご自身でちゃんと損益計算を行うことをオススメします。

竹ケ原:そうですよね。会計では一般的な損益計算の方法として「移動平均法」というものもありますが、暗号資産の損益計算において個人が移動平均法を適用するには税務署への届け出が必要になります。そのため、暗号資産の損益計算においては「総平均法」が原則的な計算方法になりますね。

ただし、このセミナーでは個人が行う個人所得税の範囲が主な対象になっています。法人の場合は計算方法が異なる場合があるため、その点はご了承ください。

斎藤:ここまで「暗号資産の落とし穴」というテーマでお話ししましたが、実はご自身が所有している暗号資産を全て売却してしまった場合は、おそらくイメージとして把握されている数値と最終的には一致します。つまり累計の損益に関してはどのような計算方法を適用しても同じなんですね。

ただし期中の利益や損益の計上の仕方は計算方法によってかなり異なってきますので、いずれにしろ一度ご自身で計算してみるというのが重要になってきますね。

暗号資産の損益計算のやり方

斎藤:ここまで説明してきた通り、暗号資産の損益計算においては先述した「暗号資産の損益計算の落とし穴」に注意しながら、一度ご自身で計算することが大切になってきます。では具体的にどのように計算すればいいのかということですが、いくつか方法はあります。

まず挙げられるのは「国税庁のフォーマットで計算する」という方法です。国税庁のホームページには暗号資産の所得計算に使用できるフォーマットが用意されており、こちらを参考にして損益計算を行うことが可能です。

ただし国内のみならず海外の取引所を利用していたり、個人間で売買や送金を行なっている場合には、こちらのフォーマットでは正しく計算できない可能性もあります。

国税庁のフォーマットが使えない場合「Excelを使ってイチから計算を行う」という方法で損益計算を行うことも可能です。ただしこの方法では、暗号資産の交換において時価を反映させないといけなかったり、手数料まで加味して一つひとつ正しい計算をしていく必要があったり、取引履歴のフォーマットを揃えないといけなかったりと、かなり煩雑な作業になります。

そこで弊社の「クリプタクト(cryptact)」では、このような煩雑な作業を自動化するというサービスを提供しています。こちらのサービスでは取引履歴さえアップすれば、全て自動で損益計算を行います。

※暗号資産の損益計算ツール「クリプタクト」の詳細はこちら

竹ケ原:暗号資産の取引においては今回のセミナーで紹介したような簡単な売買だけではなくハードフォークやエアドロップ、あるいは誤送金など、さまざまなケースが起こりえます。もちろん、こうしたケースに対応するために国税庁もQ&Aを出していますが、まだまだ実務的な対応がかっちり固まっていないところもあります。

暗号資産の確定申告

竹ケ原:ここからは暗号資産における実際の確定申告の枠組みや、今年暗号資産を行いたいと考えている方が疑問に思っていると考えられるところを中心に共有していきます。

暗号資産の確定申告の仕組み

竹ケ原:まず暗号資産の確定申告の仕組みについて説明します。斎藤さん、そもそも暗号資産は確定申告のなかでどのような所得区分になるのかということや、全体的な枠組みや税の計算方法について教えていただけますか。

斎藤:そうですね。ご存じの方も多いとは思いますが、現状暗号資産の個人所得は原則「雑所得」に区分されます。雑所得は他の総合課税となる所得(給与所得など)と合算した上で税率が決まってくる所得であり、累進課税となっています。つまり、一律に税率が決まっているわけではなく、他の所得も含めた合算金額によって適用される税率も変わってきます。

最大税率は住民税を含めると55%ですが、ここで覚えておいてほしいのは全員が必ず税率55%に該当するかと言われればそうではないということです。具体的には、給与所得と暗号資産による雑所得が合計4000万円以上であれば住民税も含めると最高税率である55%に該当する可能性が高いですが、4000万円未満であれば最高税率には該当しない可能性が高いです。とにかく、ご自身の所得によって大きく税率が左右されるということは覚えておいた方がいいポイントですね。

もう1つ覚えておいてほしいのは「損失繰越ができない」ということです(年間で損失が発生しても翌年以降の利益から控除することができないということ)。

例えば暗号資産の取引で今年100万円の損失が出て、次の年に200万円の利益が出た場合、累計では100万円の利益が出ているので、感覚的には来年の利益100万円分に税金がかかると考える人も多いと思います。しかし損失繰越が認められていないので、来年は利益を200万円として申告しなくてはいけない。

実は上場株式等は損失繰越が認められているのでこのケースだと来年100万円の利益の申告でいいのですが、暗号資産の税制では損失繰越は認められていないので単年度ごとの申告が必要というのが現状です。

竹ケ原:上場株式の売買では3年間の損失繰越控除が認められていますが、暗号資産の場合は雑所得に区分されてしまうため、損失繰越が認められてないということですね。暗号資産はボラティリティが高いので、世知辛いところだなと感じます。

本日登壇している私と斎藤さんは暗号資産ビジネス協会(JCBA)の税制部会に所属しており(部会長:斎藤、副部会長:竹ヶ原)、暗号資産のこうした税制を変えていこうと努力している次第でございます。

そこで12月1日に開催される第2回のセミナーでは、この暗号資産の税制改正の最新の動向について共有できればと思います。

※第2回セミナー動画はこちら

損失繰越ができないからこそ年内にやるべき2つのこと

竹ケ原:ここからは 損失繰越ができないからこそ年内にやっておくべきことについて斎藤さんに解説いただきたいと思います 。

斎藤:はい。ここでのポイントは何度も申し上げている通り「年内にご自身の所有している暗号資産の損益計算をする」ということです。そしてもう一点は「所得を使った賢い税対策」ですね。

賢い税対策というのは、例えば「今所有している暗号資産に含み損があるものがあれば、それを年末に売却することで今年の利益を減らして納税額を下げられる」ということや、逆に「全体として損失が出ている場合は、含み益が出ている暗号資産だけを売ることで、全体として利益をおさえたまま含み益の暗号資産を売ることができる。年が明けて再度投資をしたいと思うのであれば、年明けに再度購入することで結果的に保有している暗号資産の取得簿価の引き上げに繋がる。」といったことが挙げられます。

竹ケ原:今はちょうど冬の相場に入りつつあるので、ポジションを見るのが辛いという方もいらっしゃるかもしれませんが、この年末のタイミングだからこそ取引所にアクセスしていただいて、ご自身の取引履歴をダウンロードしていただくのがいいのかな、というふうに思っております。

取引履歴(CSV)のダウンロード方法

竹ケ原:Coincheckでは取引履歴のフォーマットについて、主にスライドに表示されている3種類をご用意させていただいております。中央に「Coincheckフォーマット(新)」とありますが、我々もこのような税の計算を簡単にできるよう、フォーマットを逐次ブラッシュアップしている次第です。

ではなぜ「Coincheckフォーマット(旧)」のように過去のフォーマットを残しているのかというと、これは旧型のフォーマットを使い慣れている方や、過去のフォーマットしか対応していないという損益計算ツールに対応するためです(クリプタクトは新旧どちらも対応)。

右側の「業界標準フォーマット」は税計算の煩雑さを解消するため、複数の交換業者間で統一されたフォーマットになっています。ですので、これから初めて暗号資産の確定申告を行われる方は、この「業界標準フォーマット」をダウンロードいただくことをオススメします。

※詳細なダウンロード方法はこちら

暗号資産の確定申告・損益計算でよくある質問

暗号資産の確定申告・損益計算でよくある質問や本セミナーでいただいた質問をQ&A形式でご紹介します。

Q1. 2022年の損益計算には、2022年の取引履歴だけあればいいのか?

A. 足りない場合があります。

2021年以前に一度でもお取引されたことがある方であれば、原則として過去全ての取引履歴が必要です。ただし2021年度以前にお取引がある方であっても、2021年末時点で保有する全ての暗号資産を売却し、暗号資産を保有しない状態で2022年を迎えた方は2022年の取引履歴だけでも損益計算が可能です。

Q2. 投資していた時に想定していた損益と違うのはなぜか?

A. 暗号資産の損益計算にはさまざまな「落とし穴」が存在するから。

暗号資産の損益計算には「暗号資産同士の交換も損益計算対象になる」「損益計算には移動平均法ではなく総平均法を使う」などの落とし穴が存在し、それらのポイントを理解していないと投資していた時に想定していた損益と異なる場合があります。

Q3. 誤った送金をしてしまったらどうすればいいのか?

A. 送金が完了してしまうとキャンセルや救済等の対応ができない可能性があります。

昨今、暗号資産を送金する際に、一部の暗号資産の送金の際に必要なメモやタグのつけ忘れや入力ミスが多数発生しています。送金が完了してしまうとCoincheckではキャンセルや救済等の対応ができない可能性がありますので、暗号資産を送付する際は、送金先の仕様や必要な入力事項を十分な確認を行った上で送金してください。送金完了前であればキャンセルが可能ですので、入力を誤ってしまった場合にはキャンセルをしていただくようお願いいたします。詳しくはこちらをご参照ください。

Q4. 暗号資産がハードフォークした場合の処理はどのように行えばいいのか?

A. ハードフォークで取得した暗号資産は原則0円で取得したと処理されます。

原則としてハードフォークによる暗号資産の取得自体に所得は発生しません。ハードフォークで取得した暗号資産は売却・使用時にその時点でのレートが適用され、課税対象になります。ただし、ハードフォークした時点で海外取引所等で先物として扱われている暗号資産に関しては個別事案となりこの限りではありません。詳しくは、最寄りの税務署、または税理士など専門家にご相談ください。

Q5. 必要経費にはどのようなものが認められるのか?

A. 暗号資産の売却のために必要な支出と認められる部分の金額に限り、必要経費に算入することができます。

暗号資産の売却による所得の計算上、必要経費となるものには、下記の費用があります。

  • 売却した暗号資産の取得価額

  • 売却の際に支払った手数料

  • インターネットやスマートフォンの回線利用料

  • パソコン等の購入費用
  • 暗号資産の売却のために必要な支出と認められる部分の金額に限り、必要経費に算入することができると考えられます。ただし、具体的に定められているものではないため、必要経費となる理由を説明や証明できる必要があります。

    ※詳しくはこちら

    Q6. NFTを売買して得た利益はどの所得区分に分類されるのか?

    A. 現状では明確な区分が決まっているわけではありません。

    2022年11月現在、NFTを売買して得た利益の所得区分は明確に決まっているわけではなく個別事案となります。詳細につきましては、管轄の税務署や税理士にお尋ねいただくか、国税庁の「タックスアンサー(よくある税の質問)」のページをご参照ください。

    Q7. 損益計算をして所得が20万円以下であれば確定申告は必要ないのか?

    A. 基本的には「YES」ですが、例外もあります 。

    年末調整を行っているサラリーマンの方で、暗号資産取引での雑所得が20万円以下であれば確定申告をする必要はありません。ただし、例外的に雑所得が20万円以下でも確定申告が必要なケースもあります。具体的には、次のようなケースでは雑所得が20万円以下でも確定申告が必要です。

  • 二ヶ所以上から給与所得を受けている方

  • 給与の年間の収入が2000万円を超えている方

  • 扶養控除を受けている主婦や学生の場合、所得税の基礎控除である48万円を給与以外の所得で受け取っている方

  • 不動産所得がある方

  • 医療費控除を受ける方
  • ※詳しくはこちらをご参照ください。

    Q8. NFTを暗号資産で購入する場合も課税対象になる?

    A. 課税対象になります。

    暗号資産を使用して物品(NFTなど)を購入する場合も、暗号資産を売却したとみなされ課税対象になります。暗号資産同士の交換の際に暗号資産が課税対象になるのと同じ仕組みです。

    Q9. ステーキング報酬で受け取った暗号資産は課税対象になる?

    A. 課税対象になります。

    ステーキング報酬で暗号資産を受け取った場合、受け取った暗号資産の時価がそのまま所得になるため課税対象になります。

    Q10. 確定申告をするとき、保有している暗号資産の期末評価損益は関係ないのか?

    A. 個人の方の場合、期末評価損益は関係ありません。

    暗号資産の期末評価損益とは、保有している暗号資産が期末時点に含み益があるか含み損があるかをあらわしているものであり、個人の税計算においては関係ありません(ただし、法人の場合は税計算に関係する場合があります)。

    ※本記事は暗号資産の投資を推奨する意図は一切ありません。

    ※本記事は確定申告の啓蒙を目的にしており、個別具体的な税務相談に対しては税理士に相談ください。

    ※本記事は脱税を推奨するものではありません。また税対策の効果を保証するものではありませんので、お取引につきましてはご自身の責任のもと行ってください。

    ※暗号資産の税金については、2022年11月21日現在の情報となります。

    ※本記事は個人の暗号資産における税金についての内容であり、法人の場合は異なります。
    ※税金の詳細につきましては、管轄の税務署や税理士にお尋ねいただくか、国税庁の「タックスアンサー(よくある税の質問)」のページをご参照ください。