
投資で得られる利益には、大きく分けて「キャピタルゲイン」と「インカムゲイン」の2種類があります。中でもキャピタルゲインは、仮想通貨や株、不動産などを「安く買って高く売る」ことで得られる値上がり益のこと。最近では、仮想通貨の価格変動を活用してキャピタルゲインを狙う個人投資家も増えています。
この記事では、キャピタルゲインの基本的な意味から、インカムゲインやキャピタルロスとの違い、かかる税金、確定申告の方法までを初心者向けにわかりやすく解説します。仮想通貨を始めたばかりの方も、ぜひ参考にしてください。
目次
キャピタルゲインとは?
キャピタルゲインとは、株式や不動産、仮想通貨などの資産を売却して得られる「値上がり益」のことです。たとえば、仮想通貨を100万円で購入し、価格が上昇したあとに150万円で売却した場合、50万円の利益が出ます。この「購入価格と売却価格の差額」がキャピタルゲインです。
資産運用では代表的な利益のひとつであり、長期保有で成長を待ってから売却する戦略もあれば、短期的な値動きを捉えて利益を狙う戦略もあります。仮想通貨でも同様に、価格が上昇したタイミングで売却することでキャピタルゲインを得ることができますが、変動が大きい点には注意が必要です。
キャピタルゲインとインカムゲイン・キャピタルロスとの違い
資産運用で得られる収益には、「キャピタルゲイン」の他に「インカムゲイン」があります。また、売却によって損失が出るケースは「キャピタルロス」として区別されます。それぞれの違いを理解しておくことは、正確な収益管理や税務上の対応を行う上でも重要です。
インカムゲインとは
インカムゲインとは、資産を保有している間に継続的に得られる収益のことです。株式の配当金や不動産の家賃収入がこれにあたります。
仮想通貨の分野では、「ステーキング」や「レンディング」が代表例です。たとえば、保有している仮想通貨をブロックチェーンのネットワークに預けることで、一定の報酬(利回り)を得ることができます。
例)イーサリアム(ETH)をステーキングし、年間で5%の報酬を得た場合、100万円相当のETHを保有していれば、約5万円分のETHが報酬として付与される。
これは、売買をせずに得られる「インカムゲイン」にあたります。
インカムゲインのメリットは、相場が動かない期間でも安定収益を得られることや、長期保有との相性が良い点が挙げられます。一方で、ロック中の価格下落リスクや、サービス提供元の安全性などに注意が必要です。定期的な収入を得たい人や、資産を売却せずに活用したい人に向いている投資スタイルといえるでしょう。
キャピタルロスとは
キャピタルロスとは、資産を売却したときに発生する「売却損」のことです。つまり、購入時よりも価格が下がった状態で売ってしまった場合、その差額が損失になります。
仮想通貨では価格の変動が大きいため、保有中に大幅に下落するケースも少なくありません。
例)ビットコイン(BTC)を1BTC=700万円で購入し、相場が下がって1BTC=500万円で売却した場合、200万円のキャピタルロス(損失)が発生する。
株式や投資信託では、この損失を「譲渡損失」として扱い、同じ区分の利益と損益通算できるうえ、3年間の繰越控除も可能です。
一方、仮想通貨の売却損は「雑所得の損失」となるため、他の給与所得や事業所得と相殺することはできません。 その年の他の雑所得(例:アフィリエイト収入など)があれば相殺できますが、給与所得や事業所得などとは通算できない点に注意が必要です。
キャピタルゲインのメリット・デメリット
仮想通貨を含む資産運用では、「キャピタルゲイン(値上がり益)」を狙った投資スタイルが広く活用されています。ただし、メリットばかりではなく、相場変動の大きさゆえのリスクも無視できません。
キャピタルゲインのメリット
仮想通貨などの投資でキャピタルゲインを狙うメリットには、以下のような点が挙げられます。
①高い収益を狙える:
仮想通貨は短期間で価格が大きく動くことがあり、タイミングを見極めて売却すれば大きな利益(キャピタルゲイン)を得られる可能性があります。
②インフレ対策になる:
法定通貨の価値が下がっても、仮想通貨の価格が上がれば資産価値を守る手段になります。
③売却タイミングを自分で選べる:
保有し続けるか、売却するかを自分で決められるため、柔軟に資産を管理できます。
キャピタルゲインのデメリット
一方で、キャピタルゲインにはリスクも存在します。とくに仮想通貨は価格が急変しやすいため、予想外の損失につながることも。以下のような点に注意が必要です。
①相場の変動リスクが大きい:
仮想通貨は値動きが激しく、急落によって一気に損失が出るケースもあります。
②利益が出ると税金がかかる:
キャピタルゲインが発生すると確定申告が必要で、雑所得として課税対象になります。
③売却タイミングの判断が難しい:
価格が上がっても「もっと上がるかも」と迷って売り時を逃すことも少なくありません。
どんな人がキャピタルゲイン運用に向いている?
キャピタルゲインを狙う投資は、向き不向きがあります。以下のようなタイプの人にとっては有効な投資スタイルといえるでしょう。
短期的な価格変動を狙える人:
市場のトレンドをこまめにチェックし、短期間での値動きを見逃さずに売買できる人に適しています。仮想通貨はニュースやイベントに敏感に反応するため、情報収集力とスピード感が武器になります。
中長期で将来性に賭けたい人:
将来的に価値が上がると信じる通貨を長期間保有するスタイルにもキャピタルゲインは有効です。たとえば、ビットコインや有望なプロジェクトに早期から投資している人は、長期保有によって大きな利益を得るケースがあります。
高リターンを目指したい人:
元本割れのリスクがある一方で、成功すれば大きな利益を得られるのがキャピタルゲインの特徴。積極的に資産を増やしたいという明確な目的を持つ人に向いています。
キャピタルゲインにかかる税金と計算方法
仮想通貨を含む資産運用では、売却によって得た利益(キャピタルゲイン)に対して課税が発生します。ただし、課税方法や確定申告の必要性は、投資対象によって異なります。ここでは、仮想通貨・株式・投資信託など、それぞれの違いを整理しながら、税金と計算方法について解説します。
キャピタルゲインの確定申告はどうしたらいい?
キャピタルゲインが発生した場合、その内容や金額に応じて確定申告が必要になります。たとえば、仮想通貨で得た利益は「雑所得」として扱われ、年間20万円を超えると原則として申告が必要です(給与所得者の場合)。
一方で、株式や投資信託で得た利益は「譲渡所得」となり、証券口座で源泉徴収ありの特定口座を利用していれば、自動的に納税が行われるため申告不要なケースもあります。ただし、損益通算や繰越控除を行いたい場合には、あえて確定申告することで節税につながる可能性があります。
なお、仮想通貨については株式や投資信託と異なり、損益通算や繰越控除は利用できない点に注意しましょう。
キャピタルゲインの課税タイミングは?
キャピタルゲインは、売却や交換によって利益が確定した時点で課税対象になります。これは仮想通貨に限らず、株式や投資信託でも同様です。仮想通貨の例でいえば、次のような行為を行ったタイミングで課税が発生します。
・仮想通貨を日本円に換金したとき
・他の仮想通貨と交換したとき
・商品やサービスの購入に使用したとき
つまり、保有しているだけでは課税されませんが、利益が確定した取引のたびに課税関係が生じるため、取引記録を正確に管理することが欠かせません。
キャピタルゲインの課税方法は「資産ごと」に異なる
キャピタルゲインが発生した場合、その課税方法は主に以下の2つに分類されます。投資対象ごとに所得区分や税率が異なるため、仕組みを理解しておきましょう。
申告分離課税(株式・投資信託など):
他の所得とは分けて計算・申告する方式。譲渡所得として扱われ、原則として一律20.315%(所得税15%+住民税5%+復興特別所得税0.315%)の税率が適用されます。
総合課税(仮想通貨などの雑所得):
給与や年金など他の所得と合算して課税される方式。所得に応じた累進課税(5%~45%)+住民税10%が適用され、最高で55%になるケースもあります。
投資対象 | 所得区分 | 課税方式 | 税率 | 損益通算・繰越 |
---|---|---|---|---|
株式 | 譲渡所得 | 申告分離課税 | 約20.315% | ○ 対象 |
投資信託 | 譲渡所得 | 申告分離課税 | 約20.315% | ○ 対象 |
FX(国内業者)※ | 先物取引に係る雑所得等 | 申告分離課税 | 約20.315% | ○ 対象 |
FX(海外業者)※ | 雑所得 | 総合課税 | 5~45%+住民税10% | ✕ 不可 |
仮想通貨 | 雑所得 | 総合課税 | 5~45%+住民税10% | ✕ 不可 |
※FXは取引業者によって課税方式が異なります。国内業者の場合は申告分離課税(約20.315%)で損益通算や繰越控除も可能ですが、海外業者を利用すると総合課税となり、損益通算や繰越控除はできません。
株式投資・投資信託・FX・仮想通貨投資のキャピタルゲインの違いは?
キャピタルゲインは株式やFX、仮想通貨といった幅広い投資で得られる利益ですが、その特徴や税制上の扱いは大きく異なります。
株式投資・投資信託におけるキャピタルゲイン
特徴:企業の業績や景気に左右され、比較的中長期で成長を期待するスタイル。配当(インカムゲイン)との組み合わせも可能。
キャピタルゲインの得方:株価が安い時に購入し、値上がり後に売却する。IPOや長期保有株で利益を狙うケースも多い。
税制の概要:譲渡所得として申告分離課税(約20.315%)。特定口座(源泉徴収あり)を使えば確定申告不要。
FXにおけるキャピタルゲイン
特徴:為替の値動きを利用して利益を狙う。レバレッジを使えるため、少額でも大きな利益(または損失)が発生する。
キャピタルゲインの得方:円高・円安のタイミングを利用した短期売買が中心。スワップポイントによるインカムゲインもある。
税制の概要:先物取引に係る雑所得として申告分離課税(約20.315%)。損益通算・繰越控除も可能。
仮想通貨投資におけるキャピタルゲイン
特徴:価格変動が大きく、短期的なトレードでも利益を狙える。一方でボラティリティが高くリスクも大きい。
キャピタルゲインの得方:安値で購入した仮想通貨を高値で売却するほか、他の通貨に交換した場合や決済利用時にも利益が確定する。
税制の概要:雑所得として総合課税。所得に応じて5~45%+住民税10%が課され、損益通算や繰越控除は不可。
仮想通貨投資で資産を増やすためのポイント
仮想通貨は値動きが大きく、短期間で大きなキャピタルゲインを得られる一方、損失リスクも高い投資対象です。効率的に資産を増やすには、売買のタイミングだけでなく、リスク管理や情報収集、税金対策も重要になります。ここでは特に意識したいポイントを紹介します。
取引記録を正確に管理する
仮想通貨は取引のたびに課税関係が発生するため、正確な記録を残しておくことが将来的な資産形成にもつながります。履歴管理を怠ると、確定申告でミスが生じ、余計な税金やペナルティが発生するリスクがあります。結果的に「せっかく得た利益を守ること」が、資産を増やすうえで欠かせないポイントとなります。
分散投資でリスクを抑える
一つの銘柄に集中投資すると、価格下落時の影響が大きくなります。ビットコインやイーサリアムなどの主要通貨を中心にしながら、将来性のあるアルトコインを一部組み入れるなど、分散投資でリスクを抑えることが大切です。
投資スタイルを明確にする
短期トレードで値動きを狙うのか、長期保有で成長を待つのか、自分に合った投資スタイルを決めましょう。短期トレードは相場の変動に敏感である必要があり、長期保有は将来性を信じて価格上昇を待つ戦略となります。
情報収集を欠かさない
仮想通貨市場はニュースや規制、世界的なイベントに大きく反応します。公式情報や信頼できるメディアを通じて最新の動向をチェックし、投資判断に活かすことが成功のカギとなります。
税金を見越した資金計画を立てる
キャピタルゲインが発生した場合は課税対象になるため、納税資金を確保しておくことが必要です。利益が出ても全額を再投資してしまうと、納税時に資金不足に陥るリスクがあるため注意が必要です。
仮想通貨投資はキャピタルゲインを理解し、リスク管理を徹底しよう
キャピタルゲインは、資産運用における代表的な利益の一つです。短期間で大きなリターンを狙える反面、価格急変による損失リスクや税務上の注意点も伴います。
特に仮想通貨は、株式や投資信託と異なり「雑所得」として総合課税の対象となり、損益通算や繰越控除が使えない点が大きな特徴です。取引記録を正確に残し、確定申告に備えることは、得た利益を守るうえで欠かせません。
また、インカムゲインやキャピタルロスとの違いを理解し、自分に合った投資スタイルを明確にすることで、無理のない資産形成が可能になります。
キャピタルゲインの仕組みと税制を正しく理解し、リスク管理を徹底することが、仮想通貨投資を将来の資産形成へとつなげるための大切な一歩となるでしょう。
長期でキャピタルゲインを狙う方法
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