「仮想通貨で借金を背負うことってあるの?」
「仮想通貨を始めてみたいけどリスクはないのかな?」
そんな不安を抱えている方へ、結論からお伝えすると暗号資産(仮想通貨)で借金を背負うリスクはあります。以下が代表的なパターンです。
暗号資産の初心者の方は「えっ、仮想通貨って怖い!」と驚いてしまったかもしれません。
しかし、借金を背負う原因の多くは「知識不足」です。少し勉強すれば、借金を背負うことなく暗号資産の取引を行うことは可能です。
本記事では「暗号資産で借金を作らないために必要な知識」を丁寧に解説します。
- 暗号資産で借金を背負うってどういう仕組みなの?
- どういう人が借金しやすいの?
- 借金しないために初心者が気をつけることは?
などなど、低リスクで取引するための知識を持てば、必要以上に借金を恐れることはありません。さっそく学んでいきましょう。
目次
なぜ暗号資産で借金を背負うのか?仕組みを事例付きで解説
まずは「なぜ暗号資産で借金を背負うのか、その仕組み」から解説します。冒頭でご紹介した「代表的な4パターン」のケースを、詳しく見ていきましょう。
①レバレッジ取引で損失を出す
暗号資産で借金を背負うとき、第一に多いのが「レバレッジ取引で損失」のパターンです。
<Aさんのケース>
30万円の資金に10倍のレバレッジをかけて300万円分の暗号資産を購入した。ところが、その後に価格が半額に値下がりして150万円の損失を出してしまった。貯金は50万円しかなかったので、足りない100万円を借金した。
「レバレッジ取引って何?」という方のために、まずは取引形態について解説しましょう。
暗号資産の取引形態は「現物取引」と「レバレッジ取引」の2種類あります。
レバレッジとは「てこ」という意味。てこの原理を効かせて「取引所に預けているお金×○倍」分の通貨を買うことができます。
○倍の倍率でレバレッジ取引をすることを「○倍のレバレッジをかける」といいます。
例えば、10万円に3倍のレバレッジをかけると、10万円しか持っていないのに30万円分の取引ができるのです。
レバレッジ取引の結果、利益が出た場合は、その分のお金が口座に入金されます。損失が出た場合には、取引所に預けているお金(証拠金)から精算されます。預けているお金だけでは損失がまかなえずマイナスとなる場合は、不足金が請求されます。
「請求された不足金が手持ちのお金では支払えず、家族・知人・金融機関などから借金をして支払う」というのが、レバレッジ取引で損失を出して借金を背負うパターンです。
持っているお金の範囲内でしか取引のできない現物取引と違って、レバレッジ取引は持っていないお金以上の金額の取引が可能です。
だからこそ、大きな利益を得る可能性がありますが、同時に大きな損失を出す可能性もあります。レバレッジ取引は、ハイリスク・ハイリターンの取引方法です。
ただし、一般的な取引所では、一定の損失が発生した際にさらなる損失の拡大を防ぐために強制的に取引を終了させるロスカットというルールが存在します。
ロスカットを正しく理解していれば借金をしなくて済む場合もあります。
ロスカットの詳細は以下の記事で詳しく説明しています。
②税金が納付できない
2つめは、税金の知識がない人が陥りやすい「税金が支払えない」というパターンです。
<Bさんのケース>
暗号資産の取引がうまくいって、200万円の利益を出すことができた。車が欲しかったので200万円で車を買った。
翌年、多額の税金を納付しなければならないことを知った。もう手元にお金は残っておらず、家族から借金して税金を支払った。
暗号資産で得た利益は、確定申告のとき「雑所得」として計上します。雑所得とは「所得」の一種ですから、当然、所得税を納付する必要があります。
さらに、所得に比例して金額が上がるのは、所得税だけではありません。
- 所得税
- 住民税
- 国民健康保険料(被保険者の場合)
これらの金額が、暗号資産で得た利益によって増大します。
暗号資産で大きく稼ぐほど、税金や保険料の納付額も増えることを理解しておきましょう。
納付のタイミングは利益が出た年ではなく、その翌年です。
税金の納付を考慮せず、暗号資産で得た利益を使い切ってしまうと、後で支払いができずに苦しむことになります。
税金を納付期限までに支払えなければ、延滞税が加算されます。さらに滞納すれば、財産の差し押さえなどの行政処分を受けることになります。
そこで「税金を納付するお金を工面するために借金する」というのが、税金が納付できずに借金を背負うパターンです。
③生活費が足りない
3つめは、投資にハマりすぎてしまう人に多い「生活費が足りない」というパターンです。
<Cさんのケース>
暗号資産を初めて買ったとき、数日で価格が爆上がりして興奮した。もともとギャンブル好きだった血が騒いで、手持ちのお金は全部、暗号資産につぎ込むようになった。気付けば生活費が足りなくなっており、消費者金融で借金するようになった。
本来、暗号資産への投資は、生活費や緊急時の備えとして必要なお金とは別に余っているお金(余剰資金といいます)の範囲内で行うべきです。
しかし、生活費まで投資に回してしまう人がいます。暗号資産で利益が出なければ生活費が足りなくなりますから、当然、生活ができなくなります。
そこで「足りなくなった生活費を補填するために借金する」というのが、生活費が足りずに借金を背負うパターンです。
④投資資金を借金する
最後に「投資資金を借金する」というパターンです。
<Dさんのケース>
300万円の借金を抱えており返済の目処がまったく立っていない。暗号資産で借金を返した人がいると聞いて、自分も一発逆転、暗号資産で儲けたい。キャッシングで50万円を借金した。
これは「仮想通貨を買いたいけれど、お金がないから借金して買う」という状況で、お金に困って切羽詰まったときにやってしまいがちな選択です。
ネットの体験談で「数百万円の借金があったけれど、暗号資産で一発逆転で儲かった」のような話を見ると、「自分も…」と思ってしまうのです。
しかし、借金したお金で投資をすると、焦りが出てしまい冷静な判断ができません。結果としてうまく利益が出ることは少なく、さらに借金が膨らむばかりとなります。
以上が、暗号資産を通じて借金する人の代表的なパターンです。何をすると借金を背負うリスクがあるのか、イメージがつかめたのではないでしょうか。
暗号資産で借金しやすい人の特徴
次に「暗号資産で借金しやすい人の特徴」を見ていきましょう。
暗号資産の取引を始める前に知っていれば、自分と照らし合わせて気をつけることができます。
ここでは以下の3つの特徴を解説します。
- ギャンブルが好きな人
- 負けず嫌いな人
- 見通しが甘い人
ギャンブルが好きな人
まず挙げられるのが「ギャンブルが好きな人」です。暗号資産は「投資」なので、本来はギャンブルとは別物です。
しかし、ギャンブル好きな人は、パチンコやスロットなどのギャンブルと暗号資産を同じように扱ってしまいます。つまり、暗号資産の勉強をすることなく「自分の勝負勘に頼ってお金を賭ける」という行動に出ます。
そういった取り組み姿勢では、利益が出るかは「イチかバチか」になってしまいます。ギャンブルで借金を背負うように、暗号資産でも借金を背負うリスクが高まります。
負けず嫌いな人
次に「負けず嫌いな人」も、暗号資産で借金を背負いやすくなります。
暗号資産の取引では、損失が出るときもあれば利益が出るときもあります。性格的に負けず嫌いな人は、損失を認めることができません。
損失が出るとムキになってしまい、レバレッジ取引で一気に取り戻そうとする最悪な行動パターンに陥りやすくなります。
負けず嫌いの性格自体にはプラスの面もたくさんありますが、暗号資産に限ってはマイナスになりやすいことを知っておきましょう。
見通しが甘い人
最後に、「見通しが甘い人」も暗号資産で借金をするリスクが高い人です。
「見通しが甘い」とは、計画性がなく行き当たりばったりで、その場その場の目先のことしか考えていない状態です。
- 暗号資産の取引での見通し
- 借金をした場合の見通し
この両方の予測が不十分になるので、取引では損失を出しやすくなりますし、将来を考えずに安易に借金しがちです。
ぜひ、自分にも当てはまる面がないか、振り返ってみてください。もし当てはまるものがあったとしても、自覚していれば意識して抑えることができます。
また、暗号資産の今後を予測する考え方については以下の記事を参考にしてみてください。
初心者が暗号資産で借金しないための取引方法3つ
ここまでお読みいただき、暗号資産で借金をするメカニズムはご理解いただけたことと思います。
本章では「初心者が暗号資産で借金しないための取引方法」を3つ、お伝えします。
現物取引のみ行う(レバレッジ取引はしない)
1つめは現物取引のみ行う(レバレッジ取引はしない)ことです。
暗号資産の勉強中である初心者のうちは、現物取引だけで実践を積みましょう。レバレッジ取引は、暗号資産や取引の方法について十分な知識が身につくまで、手を出すべきではありません。
もちろん、現物取引でも損失が出ることはあります。しかし、現物取引の範囲内で取引している以上、大きな借金を抱えることにはなりません。
繰り返しますが「暗号資産の初心者は現物取引のみ」が鉄則です。
余剰資金しか使わない
2つめは余剰資金しか使わないことです。いまある貯金のうち「暗号資産に使って良いお金・使ってはいけないお金」を、具体的な金額で明確に区切りましょう。
以下の表を参考に計算してみてください。
余剰資金が計算できたら、どんな状況になったとしても「暗号資産に使って良いお金」と決めた金額を超える投資は行わないことを、自分の中の絶対ルールとします。
この自制心は、暗号資産の取引を行っていく中でも、重要なものです。取引に役立つメンタルトレーニングの第一歩だと思って、取り組んでみましょう。
税金分はあらかじめ出金しておく
3つめは「税金分はあらかじめ出金しておく」ことです。
暗号資産で利益が出たら、翌年の税金がいくらになるのか試算しましょう。計算方法は『暗号資産(ビットコイン)の税金・計算方法・確定申告を徹底解説【2020年最新】』のページで詳しく解説しています。
税金の試算ができたら、その税金分は、早めに利益確定して出金しておきます。普段から納税のための現金を確保しておく癖をつけましょう。
そうすれば、予想外の納税額にたじろくことはありません。
※さらに詳しく大損しない取引方法について知りたい方は『ビットコインで大損する5つの原因と失敗しないための取引方法』も併せてご覧ください。
借金しないために肝に銘じておきたい注意点
暗号資産で借金しないためには「肝に銘じておきたい注意点」が2つあります。
- 自分は大丈夫と過信しない
- 暗号資産をやるなら勉強を怠らない
それぞれ、詳しく解説します。
自分は大丈夫と過信しない
まず「自分は大丈夫と過信しない」ことが大切です。ここまで読んでも、なんとなく他人事のように感じる自分はいませんか。
しかし、暗号資産の借金で苦しんでいる多くの人は「まさか自分が借金を抱えることになるなんて、思ってもみなかった普通の人」です。
他の人が失敗した道は、自分も通るかもしれない道。「自分だけは大丈夫」と特別視せず、「自分も一歩間違えれば、同じ目に遭うかもしれない」と考えましょう。
その想像力が、あなたを借金から守ってくれます。
暗号資産をやるなら勉強を怠らない
次に、「暗号資産をやるなら勉強を怠らない」こと。知識がないのに勘だけで暗号資産を購入するのでは、ギャンブルと同じになってしまいます。
暗号資産で利益を出したいと思うなら、勉強は欠かせません。暗号資産はギャンブルではなく投資ですから、知識をつければつけるほど、利益を出せる確率は上昇していきます。
当サイトでも、数々の情報を発信していますので、ぜひ時間を見つけて読み進めてみてください。
<暗号資産の初心者におすすめの記事>
万が一借金を抱えてしまったら?
最後に、借金をしてしまった場合にはどうしたら良いのか、お伝えしておきましょう。
借金はしないのが一番ですが、万が一してしまった場合には、早い段階で適切な対応を取ることが重要です。
落ち着いて返済計画を立てる
まずは、落ち着いて返済計画を立てます。
借金と向き合うのが怖くて放置している間にも、時間は刻々と過ぎていきます。不安の感情はいったん置いて、冷静な頭で「どうやって借金を返すのか」を考えましょう。
ここで焦ってしまうと、普通なら考えられないような判断ミスを犯してしまいます。例えば「消費者金融などでさらに借金を重ねる」「クレジットカードのリボ払いを満額まで使う」など、徐々に感覚が狂っていきます。
雪だるま式に借金額が増えてからでは、返せるものも返せなくなります。とにかく借金初期の段階で、冷静になることが大切です。
返済の目処が立たないなら早めに弁護士に相談
返済の目処が立たない場合は、早めに弁護士に相談します。当然ですが、借金は時間が経てば経つほど利子が膨らみ状況が悪化します。
返せないのであれば、早い段階で専門家に相談するのが得策です。弁護士に支払う相談料がないときには、無料相談できる「法テラス」に連絡しましょう。
電話番号:0570-078374
公式サイト:法テラス 公式ホームページ
借金問題は、一人で抱え込んでいても解決しません。勇気を出して外部へ助けを求めてください。
まとめ
暗号資産で借金を背負う仕組みには、次の4パターンがあります。
- レバレッジ取引で損失を出す
- 税金が納付できない
- 生活費が足りない
- 投資資金を借金する
暗号資産で借金しやすい人には、以下の特徴があります。
- ギャンブル好き
- 負けず嫌い
- 見通しが甘い
自分にもそんな要素がないか、改めて点検してみてください。
初心者が暗号資産で借金しないためには、次の3点を遵守しましょう。
- 現物取引のみ行う
- 余剰資金しか使わない
- 納税分はあらかじめ出金しておく
借金しないためには、次の2点を肝に銘じてください。
- 自分は大丈夫と過信しない
- 暗号資産をやるなら勉強を怠らない
万が一借金を抱えてしまったら、落ち着いて返済計画を立ててください。
返済の目処が立たないなら、早めに弁護士に相談します。
正しい知識を持っていれば、借金することなく暗号資産の取引が可能です。ぜひ、リスクを最小限に抑えて暗号資産にチャレンジしてみてください。