2021年から多く目にするようになった「NFT」という言葉ですが、アート業界やエンタメ業界で多く活用されているイメージを持つ方が多いでしょう。
そんな中、いま日本における地方課題解決の望みとしてNFTに注目が集まっていることをご存知でしょうか。2022年から現在進行形で、多くの自治体が企業と連携を図りながら、NFTの活用した地方創生に取り組み始めているのです。
そこでこの記事では、地方創生へのNFTの活用事例を交えながら、自治体においてNFTがどのように活用できるか、またどのようなメリットがあるのかについて解説していきます。
この記事でわかること
本記事では自治体および企業のメタバースの取り組みを募集しております。 事例でのご紹介を希望される方は下記のメールアドレスへご連絡ください。
目次
そもそもNFTとは
NFTによる地方創生の方法を理解するには、まず「NFTとは何か?」を知っておく必要があります。
NFT(Non-Fungible Token)とは、主にイーサリアム(ETH)のブロックチェーン上で構築できる代替不可能なトークンのことです。
この代替不可能なトークンには、唯一無二の価値を持つという特徴があります。
例えば、Aさんが持っている1ビットコインとBさんが持っている1ビットコインは同等の価値であり、交換することができる「代替可能」なものです。
一方で、「代替不可能」とは、全く同じものが存在しない、例えば「金メダル選手の直筆サイン入りTシャツ」のような一点物であることを意味しています。
このNFTの登場により、それまで簡単にコピー・改ざんができたデジタルデータにも一点物の証明ができるようになりました。またそれに伴い、デジタルアートやゲームのアイテムなどのデジタルアセットにも資産価値を付与することが可能になりました。
地方創生におけるNFTの活用方法
地方創生におけるNFTの活用方法は、主に3つ挙げられます。
- 地域の特色を織り込んだNFTアートとして活用
- ふるさと納税の返礼品として活用
- デジタル住民票としてNFTを活用
それでは詳しくみていきましょう。
地域の特色を織り込んだNFTアートとして活用
まず、1つ目の活用方法として地域の特色を盛り込んだNFTアートとしての活用方法があります。NFTアートとは、NFTを活用することで唯一無二の価値をもったデジタルアートのことを指します。
地域での自然の風景や名産品などの特色にはその地域でしか見れない、体験できない独自性があり、この性質が非代替性をもつNFTの中で表現されることで、より強い独自性を持ったアート作品が生み出されます。
地域の特色をNFTで表現することで、その土地に関心を持つ人々が増え地域の活性化につながることが期待されることから、多くの自治体が発行するNFTにはその地域の特色が織り込まれることが多いです。
ふるさと納税の返礼品として活用
また近年増えてきている活用例の1つとして、ふるさと納税の返礼品としてNFTを採用するといったケースが挙げられます。
ふるさと納税は、特定の地域を応援すると同時に税金の控除も受けられるとあって、利用者が年々増加していますが、「地域の応援」という性質よりも返礼品とそれにかかるコストを重要視して寄付をする傾向があり、地域を応援する意識や、納税をきっかけに直接現地を訪問したり支援し続けたりする動機付けとしては弱いという課題があります。
一方、デジタルデータとしてブロックチェーン上で管理されているNFTであれば、デジタルアートそのものを返礼品として提供する自治体もあるものの、NFT購入者だけに特産品の獲得権や購入権を付与したり、観光誘致と組み合わせ、その地域に赴くインセンティブを施すこともできます。
そして何より、NFTが唯一無二のデジタルデータとして、購入者の手元に残り続けることで、所有による特定の地域との関わりを強く意識させることができる点が、多くの自治体がふるさと納税の返礼品としてNFTを採用している理由と考えられます。
デジタル住民票としてNFTを活用
そして3つ目は、地域のデジタル住民票としてNFTを活用する方法です。この活用方法は、次章で紹介する「地域の関係人口を拡大」という自治体がNFTを活用するメリットに大きく繋がる内容になります。
現在の日本では、地方での著しい人口減少、過疎化によって地域の課題をその地域だけで解決するのが困難になってきています。
地域の住民票をNFTとしてデジタル化するということは、言わばそのNFTを保有する方は実際にその地域に居住していなくとも、その地域のデジタル住民として自治体のまちづくりに参加することが可能になります。住民票のデジタル化であれば従来の技術でも実現可能でしたが、NFTを活用することで自治体は販売したNFTによる財源を確保することができると同時に、「地域の盛り上がりに比例してトークン価格が上昇する可能性」を生み出すことができ、デジタル住民へのインセンティブとして活用することができるのです。
地方自治体がNFTを活用する3つのメリット
次に、地方自治体がNFTを活用する以下の3つのメリットについて紹介します。
- 関係人口の創出
- ボーダーレスに地域の魅力を発信
- 財源の確保
それぞれのメリットについて詳しく見ていきましょう。
関係人口の創出
自治体での地方創生におけるNFT活用の動きの中で、最も期待されるメリットの1つが関係人口の創出です。人口や産業、資源の減少といった現在の地方地域が抱える問題を解決するには、経済循環の実現・活性化が不可欠な要素であり、そのためにはその地域に関わる人々を増やしていく必要があると考えられています。
「関係人口」とは、その地域に住んでいる「定住人口」でもなく、観光などで訪れた「交流人口」でもない、地域と多様に関わる人々を指す言葉として使われます。
NFTはこうした関係人口創出の手段として、様々な方法で活用することが可能です。
例えば、新潟県長岡市の旧山古志村(山古志地域)では、錦鯉をモチーフに制作されたNFTを住民票としての機能を併せ持つものとして販売し、購入者は「デジタル山古志」の村民になることができる仕組みを作った事例があります。
山古志村のデジタル村民は地域の住民と交流したり、NFT販売で得た財源を基に行われる地域の課題解決の事業にDAOでの住民投票を通して参画することができます。そして、NFTを発行する以前の山古志村の村民は約800人ほどしかいませんでしたが、すでに1,500点のNFTが発行され、デジタル村民が実人口(約800人)を超えるほどの盛り上がりを見せています。
人口減少や過疎化が進む地方地域では、市外への流出が顕著な若年層とのつながりの構築が必要とされています。その中で、地域と多様な繋がりを持つような関係人口を創出できるNFTは日本の地方創生にとって、大きなメリットとして注目されているのです。
ボーダーレスに地域の魅力を発信
また、地域の魅力や特色を国境を超えて、世界に発信できる点もNFTを活用するメリットの1つとして挙げられます。
地方自治体のPR用コンテンツやその地域にしかない特色をNFTし、Openseaなどの世界中の人が利用するマーケットプレイスで販売することで、海外に住んでいる人に対しても地域の文化に触れられる機会を創出することができます。
また、NFT購入・保有の特典としてその地域の特産品を提供したり、その地域を訪れた際に使用す
ることができる商品券をデジタル上で付与するなど、活用方法によっては地域の魅力をアピールするだけでなく、直接インバウンドの観光客の増加に繋げることもできます。
その活用方法は、その地域の特色などによって見せ方や付与するユーティリティの種類を工夫する必要はありますが、海外の方に対しても様々なアプローチでその地域の魅力を発信することができる点は地方自治としてNFTを活用するメリットの1つであると言えるでしょう。
財源の確保
そして3つ目のNFTを活用するメリットとして、自治体が発行体となりNFTを販売することによって、その売上を自治体の財源として利用できる点が挙げられます。
北海道の余市町や京都府の長岡京市では、ふるさと納税の返礼品として有名プロジェクトであるCrypto Ninja Partners(CNP)とのコラボNFTを販売し総額666万円の売上を達成しています。
しかし、単に地元の特色をNFTにするだけでは他の自治体のNFTに埋もれてしまう可能性があります。ですので、上記の自治体のように地域発のNFTプロジェクトを成功させるには、地域の特色に合わせた有名プロジェクトとのコラボや買いたくなるようなユーティリティーの設計を考える必要があるでしょう。
地方自治体によるNFT活用事例
では、実際に地方自治体がNFTを活用してどのような取り組みを行っているか、いくつかの事例を紹介していきます。
島根県松江市
引用:島根県松江市
島根県松江市は、地域活性化の一環として、株式会社ディー・エル・イー(以下DLE)が展開する「鷹の爪団」の公式NFTプロジェクト「TAKANOTSUME DAN NFT」をふるさと納税の返礼品として提供を行なっています。
今回松江市とコラボした「鷹の爪団NFT」は、"だれもが幸せに生きられる世界を実現する"ために世界征服を目指す、心優しい悪の秘密結社 鷹の爪団の一員になり、応援するためのNFTアートプロジェクトです。ブロックチェーン技術を使った、世界でひとつだけの唯一無二の価値を持ったデジタルアートとなり、指定された観光地に設置されたQRコードを読み込むと、本NFTアートの吉田くんの絵柄が進化するユニークな仕掛けも付いています。
ぜひ、皆さんも松江市のふるさと納税NFTを通じて、地域の活性化を促進させていきましょう。
京都府長岡京市
引用:京都府長岡京市公式サイト
京都府長岡京市では、今年で30回目の節目を迎える「長岡京ガラシャ祭」の開催にあたり、ガラシャ祭をテーマにしたNFTアート(※)をふるさと納税返礼品として採用しました。
(※)ガラシャ祭をテーマにしたNFTアートの返礼品は、現在第2弾の寄付受付が始まっています。(数量限定)
「長岡京ガラシャ祭」とは、約450年前に長岡京市内にある勝龍寺城に嫁いできた明智光秀の娘「玉(後の細川ガラシャ)」の輿入れ行列を再現した祭りで、毎年11月に開催されます。祭り当日は、豪華な歴史衣装をまとった約1,000人の婚礼行列が輿入れの様子を再現し、市内約3kmを練り歩きます。
引用:京都府長岡京市公式サイト
第1弾のNFT返礼品では寄付者への特典として、2023年11月12日に行われる「長岡京ガラシャ祭2023」のお輿入れ行列に参加できる抽選権に加え、希望者はガラシャ祭公式ホームページにて協賛者として名前を掲載できる特典がありました。
また長岡京市内では、11月3日よりガラシャウィークと称し、主にJR長岡京駅前や中央公民館などでコンサート、展示、マルシェなどが開催されます。ぜひ、ガラシャ祭期間に長岡京市を訪れてみましょう。
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秋田県由利本荘市
引用:由利本荘市公式サイト
秋田県由利本荘市では、伊藤忠テクノソリューションズ株式会社と由利高原鉄道株式会社の三者による連携協定を結び、由利高原鉄道の車両「おばこ号」の3DデータをNFTとしてふるさと納税の返礼品に採用する実証実験を行っています。
車両は「おばこ号」の「YRー3000形」をモデルとし、1両版は赤色の車両、3両セット版は赤青緑の3色の3DデータをNFTとして提供します。
(参考:松皮カンナAR画像)
また、連携事業としてARも展開しており、寄付者には由利本荘市の萌えキャラとして定番の「黄桜すいプロジェクト」から、由利高原鉄道株式会社に縁のある「松皮カンナ」の3Dデータも提供されます。これらは伊藤忠テクノソリューションズ株式会社が展開するARアプリ「CLoVAR(クローバー)(β版)」で見ることが可能です。
「おばこ号」NFTの寄付受付は令和5年12月31日(売り切れ次第終了)となっていますので、気になる方は以下から販売詳細を確認してみましょう。
埼玉県横瀬町
(画像左:「Yokoze Color Pass NFT」、画像右:「Yokoze Pass NFT」)
引用:note
株式会社奇兵隊は、埼玉県秩父郡横瀬町を国内初のフィールドとして、Web3技術の活用を通じて「自律的なまちづくり」を目指すプロジェクトOpen Town Yokozeを実施しました。
Open Town Yokozeでの第一弾プロジェクトでは、横瀬町の特徴を生かしたNFTアートを世界中に向けて販売し、その売上収益によって地元小中学生向けのWeb3教育に特化したスクール「JOY LAB」の開講を実現させています。
▲実際に行われた「JOY LAB」の様子
またこのプロジェクトで発行された「Yokoze Pass NFT」を保有することで、町外の方でもJOY LABコミュニティに参加することができ、同じ志を持つ人たちが集まるコミュニティで他の参加者と交流し、Web3の知識を得たり、友好を深めることが可能です。
「Yokoze Color Pass NFT」及び「Yokoze Pass NFT」は株式会社奇兵隊の公式サイトから詳細を確認できますので、ぜひご覧ください。
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滋賀県栗東市
引用:栗東市
滋賀県栗東市ではふるさと納税の返礼品として、TCCセラピーパークの在厩馬、 ホースシェルター療養中の馬、あるいはシェルターを巣立っていったTCCホースなど、栗東ゆかりの馬たちをデジタルコンテンツ化した「栗東限定 TCC HORSE PINS」(NFT)を新たに加えました。
TCC(Thoroughbred Community Club)では、行き場のない馬を救い、会員サービスを活かし、働けなくなった馬を支えるという3つのステージを生み出し、支援者で構成する会員活動を通じて走れなくなっても乗れなくなっても、人のために頑張ってきた馬たちに寄り添い人生を共にする仕組み作りを行っております。
今回、栗東市で採用された「栗東限定 TCC HORSE PINS」(NFT)は、SNSアイコンなど個人利用の範疇で自由に活用でき、馬のまち栗東の馬事振興や引退競走馬を応援する証として推し馬のセカンドキャリアを見守るため手元に保管、レアなカードやピンバッジとしても利用可能です。
今回発行されたNFTの種類は全7頭、各種5名限定となっているため、ふるさと納税を通じて「馬のまち栗東」の馬事振興やTCCが取り組む引退競走馬支援活動を応援したい方はぜひ、栗東市のふるさと納税サイトをチェックしてみてください。
山口県美祢市
引用:美祢市
日本最大級のカルスト台地で特別天然記念物の秋吉台や秋芳洞(鍾乳洞)を抱える山口県美祢市は、NFTによるデジタル住民票を導入する取組みを行っています。
デジタル住民票とは、実際の住民以外の人たちもバーチャルな美祢市の住民になれる証明書です。美祢市のデジタル住民票NFTを保有することで、以下の4つの特典(ユーティリティ)を受け取ることができます。
- 秋芳洞(大人1,300円)→入場無料
- 美祢市養鱒場釣り堀→釣竿料金無料+鱒2匹プレゼント
- 美祢市化石館→利用料無料
- 美祢市温水プール→使用料無料
※特典等については予告なく変更・終了する可能性があります。
※最新情報については美祢市デジタル推進課が運営する公式X(Twitter)アカウント(@Mine_Citykouhou)をご覧ください。
また上記特典以外にも、NFT保有者は市長も参加するオンラインコミュニティに加わり、市内の課題についてコメントや投票を通じて、地域復興プロジェクトへ参加することが可能です。
ぜひデジタル住民として美祢市を盛り上げ、NFTの価値を高める活動に参加してみましょう。
三重県多気町
引用:三重県多気町
三重県多気町とブロックチェーンを用いたサービス開発を手掛けるバッジ、「ふるさとチョイス」を企画・運営するトラストバンクは、2023年3月2日より多気町のふるさとチョイス限定の返礼品として、JERAが運用する太陽光発電所のデジタルオーナー権を付与する「環境貢献型NFT」の販売を開始しました。
同NFTはNFTマーケットプレイス「OpenSea」上でも3,300円から通常販売を行っており、第一次販売は即日完売と大きな注目を集めていました。
ふるさとチョイスでの寄付額は1万円からで、寄付者は環境対策設備(今回は太陽光発電所)の「デジタルオーナー」になることができます。
また、「環境貢献型NFT」を保有することで、バッジが運営するウェブサイト「capture.x」上でリアルタイムに同町のCO2排出削減量のデータ数値を見ることが可能です。これをきっかけに多くの人が環境貢献を自分ごととして捉える機会が生まれるでしょう。
※NFTを保有しても施設やCO2排出削減量のデータに関する権利を与えられるわけではありません。
福岡県直方市
引用:直方市
福岡県直方市と伊藤忠テクノソリューションズ株式会社(以下:CTC)は、ふるさと納税の返礼品の一部に、AR(拡張現実)環境を使ったアプリを採用する実証実験を実施しました。AR環境では、ご当地グルメのキャラクター「焼きスパマン」の3Dデータを利用した写真撮影をすることができます。
この実証実験では、直方市がふるさと納税返礼品としてデジタルデータを活用するにあたり、3Dデータはブロックチェーン技術を使ったNFTに加工され、直方市からの正式な返礼品であることが証明されています。
また今回、直方市は「焼きスパマン」だけでなく筑豊炭田で実際に石炭輸送に使用されていた「コッペル32号機 蒸気機関車」を題材にしたNFTも提供しています。直方市が提供しているNFTは、以下のふるさと納税サイトで確認することができますので、ぜひご覧ください。
※焼きスパマンはNFTに紐づいていないデータも同時に提供しています。そのため「自分で焼きスパマンを使った動画を作成する」など、自由な使い方が可能です。
※ARアプリの3DデータはNFTに紐づいておらず、ふるさと納税に関係なく誰でも利用可能です。ぜひ、お気軽にお試しください。
群馬県沼田市
引用:沼田市
群馬県沼田市、株式会社トラストバンク、そしてCoincBest株式会社は、2023年5月22日ふるさと納税制度を通じたクラウドファンディング型で寄付を募る仕組み「ガバメントクラウドファンディング®」(以下「GCF®」)で「NFTアート」と「自慢の特産品」の力で実現する歴史文化のまちづくりプロジェクトを開始しました。
募集期間は2023年5月22日〜2023年8月19日で、目標寄付金額は200万円です。
今回のまちづくりプロジェクトへの寄付は、沼田市内にある旧給食センターを改修して完成したばかりの「沼田市埋蔵文化財調査センター」を地域の歴史を未来へつなぐ場とするため、出土資料の整理や展示、作業員の人件費等に活用されます。
また本プロジェクトへ寄付していただいた方へのお礼の品として、沼田市にアトリエを構える木版画家・池田実穂さんの作品をNFTアートにした「ヌマタ・アート・アンバサダーNFT」をプレゼントしています。池田実穂さんの作品をオンライン上で展示し、どなたでも閲覧できるメタバースギャラリーを開設していますので、併せてご覧ください。
▶️▶️「プロジェクトページ」はこちら
新潟県長岡市山古志
新潟県山古志地域は、NFTの活用事例としては最も注目度が高いプロジェクトを行っています。2022年12月にリリースされた「Nishikigoi NFT」はNFTアートとしてだけではなく、デジタル住民票としての証明書も兼ねており、購入することによって、誰でもデジタル山古志の村民になることができます。
NFT購入者で構成されているコミュニティは、複数のユーザー同士でチャットや通話ができるDiscordで運営を行っています。このコミュニティに参加することで山古志地域の課題解決に向けてそれぞれの知恵やアイデアを出し合うことで、山古志に居住していなくともその地域の住民として村おこしに貢献できるのです。
現在の「Nishikigoi NFT」購入数は1,500枚以上であり、山古志地域に居住している約800人のリアル村民数をデジタル村民数が超えるほどの盛り上がりを見せています。
鳥取県鳥取市
引用:PRTIMES
2023年1月13日、鳥取県鳥取市ではふるさと納税返礼品として国内最大級のNFTプロジェクト『CryptoNinja Partners』(以下、CNP)とコラボしたNFTを採用することを発表しました。
鳥取市については、中国四国地方で初めてふるさと納税返礼品としてNFTの販売を始めた自治体であり、今回のコラボ企画では1点ものNFTを寄付額3万円であるやうむ独自のポータルサイト「ふるさと納税NFT β版」上で提供を開始しました。
NFTは、パーツや背景、キャラ等それぞれ異なる組み合わせの合計222種類となり、NFTを持って鳥取市内の観光地に設置してあるQRコードを読み取るとNFTアートの絵柄が変化する仕組みが取られています。すでに鳥取市とCNPのコラボNFTは完売してしまいましたが、気になる方は他の自治体とのコラボNFTのリリース情報を追ってみてください。
▶︎▶︎CNPのホームページはこちら
茨城県桜川市
引用:茨城県桜川市
2022年8月1日、茨城県桜川市では地域の観光ポスターをNFT化し、ふるさと納税の返礼品として提供を開始しました。
返礼品に追加する作品は「NFT 桜川の四季シリーズ」と呼ばれるもので、四季折々の風景をイラストで表現した観光PRポスター原画12点をそれぞれNFT化したものです。桜川市の観光スポット、高峯の山桜や真壁のひなまつりなどを主題としたものを取り揃えています。
引用:茨城県桜川市
また「桜川の四季シリーズ」のNFTは、購入者に対してNFTだけでなく市内の山桜から採取したハチミツ、市内業者の自家焙煎(ばいせん)コーヒーをセットで返礼品として提供し、すでに9種類ものNFTがサイトでは品切れ状態となっています。
北海道夕張市
引用:MeTown
2022年12月1日より、全国で初めて北海道夕張市の「JA夕張市」が、同市の特産品である夕張メロンのデジタルアンバサダーになれる参加型予約購入プログラムの事前登録を開始しました。
このプログラムは、夕張メロンのファンの輪を世界中に広げることを目的とし、夕張メロンNFTの購入者は、限定オンラインコミュニティへの参加権利や夕張メロンの引換券(#夕張メロンNFT)を受け取ることができます。
作り手の高齢化という課題を抱え、夕張メロンの生産量が減少傾向になってしまっている一方でそのような時だからこそ、デジタルの力で地域の魅力を世界中に発信していこうというプロジェクトです。
岡山県玉野市
岡山県玉野市では、関係・交流人口の増加や、大規模な土地取得を要さない新たな産業の誘致に繋げるための取り組みとして、都市圏のIT関連企業を対象にした「お試しワーケーションツアー」を実施しました。
このワーケーションツアーでは、地域滞在中での各種体験プランに加えて、参加者に対して事前にNFTを配布し市内の指定飲食店においてNFTを提示することでドリンクをプレゼントする企画も実施していました。
また次回以降のワーケーションツアーでも、参加者特典としてせとうち拠点・玉野の体験で使える「※オリジナルNFT」を配布予定ですので、ぜひ気になる方は参加してみましょう。
※現在企画中につき、内容の変更がある可能性はご了承ください
兵庫県尼崎市
引用:株式会社フォーイット
株式会社フォーイットとメディアエクイティ株式会社は、2022年1月28日、NFTマーケットプレイス「HEXA(ヘキサ)」にて、兵庫県尼崎市の非公認ご当地キャラクターである「ちっちゃいおっさん」のNFTアートコレクションの販売を開始しました。
この取り組みは、ブロックチェーン機能を用いたトークンエコノミー(地域経済圏)の形成を目的に兵庫県尼崎市の非公認ご当地キャラクター「ちっちゃいおっさん」のLINEスタンプ5種類をNFT化し、HEXAで販売するものになっています。
Polygonチェーン上に発行され、仮想通貨はもちろん日本円クレジットカード決済にも対応していることから、仮想通貨やNFTを保有したことがない方も簡単に購入できます。
岩手県遠野市
引用:PRTIMES
2022年10月27日、株式会社Next CommonsはNFTコレクション「Game of the Lotus 遠野幻蓮譚(略称:GOTL)」をふるさとチョイスを通じて提供を開始しました。
GOTLは、柳田國男の「遠野物語」などで知られる遠野に伝わる神話を題材にしたNFTコレクションであり、神話に登場する3人の娘を「あめ」「うみ」「みお」としてNFTキャラクター化しています。また、NFTのアイテムを入手してキャラクターや背景イラストをカスタマイズできるウェブアプリを提供し、現実世界の遠野とリンクして楽しめる“Web3×地域”の仕掛けを用意していることも特徴です。
引用:PRTIMES
なお購入できるNFTは、キャラクター1体とレアアイテム3個、通常アイテム12個がセットになった「Collector's Edition(特別版)」とキャラクター1体とレアアイテム1個、通常アイテム4個がセットになった「Normal Edition(通常版)」の2種類ありますので、購入の際にはご注意ください。
北海道余市町
引用;Web東奥
北海道余市町は株式会社あるやうむと共に2022年5月に日本で初めて、「ふるさと納税品NFT」を実現した自治体として知られています。
上のNFTは、余市町の名産であるワインをモチーフにしたアート作品となっており、デザインは北海道出身のNFTクリエイターであるPoki氏が担当しました。NFT保有者には、余市町の希少ワインの優先購入券の抽選に参加できる権利が付与されており、1枚あたり12万円の寄付額で受付を開始したところ受付開始から2時間で100名の予約が入る盛り上がりを見せました。
また同市はこの他にも、MyCryptoHeros(マリクリ)やふるさとCNPとコラボしたNFTもふるさと納税サイトで販売していますので、ぜひチェックしてみてください。
まとめ
自治体におけるNFTの活用方法やメリット、その活用例を紹介してきました。
この記事からもわかるように、NFTの活用方法は自治体によって同一ではありません。NFTの活用が地方自治体や企業の既存課題解決の手段の一つとして考えられる場は、今後より拡大していくでしょう。
NFTはまだまだ私たちの生活に馴染んだ存在でなく、特定の業界で多く活用されているイメージがありますが、もしかしたら数年後には業界の垣根を超えて、私たちの生活の中でNFTが当たり前の存在になっているかもしれません。