リップル(XRP)の取引で利益が出た場合、それが一定の条件を満たしていたら、確定申告をして利益に見合った税金を納めなくてはなりません。
そのまま放置してしまうと、後悔することにもなりかねませんから、注意が必要です。仮想通貨と税金の関係について解説します。
※仮想通貨の税金については、2024年2月13日時点の情報となります。
リップル(Ripple/XRP)とは?
リップル(XRP)とは、仮想通貨のみを指す言葉ではありません。
リップル(XRP)は、リップル社(Ripple Inc.)が運営する決済システムのことを意味します。このシステム内で使用できる通貨もリップルと呼ばれ、通貨単位はXRPとなります。
リップル(XRP)は、カナダのウェブ開発者であるRyan Fuggerによって、2004年に開発がスタートしました。リップル社は、リップル(XRP)を通して、グローバルに資産をやりとりできることを目標に掲げています。
つまり、国際送金を簡単に行うことを目指して開発されました。それゆえ、銀行やクレジットカードといった業界でも、リップル(XRP)は注目されています。
詳しくはこちら:リップル(Ripple/XRP)の特徴とは?
仮想通貨取引にかかる税金とは?
仮想通貨の取引等で得た利益は、税の区分上「雑所得」に分類されます。この雑所得の総額が年間20万円を超えると、所得税の課税対象になります。
ただし、「取引等」というところが肝心です。2017年に施行された「改正資金決済法」によって、リップル(XRP)も含めた仮想通貨全体が、米ドルや日本円と同様の通貨としての価値が認められました。
そのため、仮想通貨の購入に伴う消費税は非課税となり、代わりに仮想通貨での決済で生じる購入額との差額が利益とみなされ、課税されることとなったのです。それでは、仮想通貨が課税されるケースについて確認していきます。
仮想通貨の売却
手持ちの仮想通貨の売却価格が購入時の取得価額より高い場合、その差額が所得金額となります。
仮想通貨の交換
手持ちの仮想通貨Aを別の仮想通貨Bと交換したとき、Bの取得価額がAの取得価額よりも高い場合、その差額が所得金額となります。
仮想通貨による商品の購入
手持ちの仮想通貨で商品を購入したとき、仮想通貨の取得価額よりも購入した商品価格が高い場合、その差額が所得金額となります。
どのようなケースであっても、仮想通貨で利益が出れば所得になると考えてください。なお、仮想通貨の取引では、当然ながら損失が出る場合もあります。
また、仮想通貨で得た所得は、以下の条件すべてと合致した場合のみ損益通算が可能です。損益通算とは、利益から損失を差し引くことのできる税の仕組みです。
・「雑所得」に該当するものであること
・「総合課税」の対象であること
・同一年内に発生した損益であること
雑所得は多くの場合、総合課税(各種の所得金額を合計して所得税額を計算する)の対象であり、その他の所得と損益通算ができません。ただし、同じ雑所得の総合課税の対象となるもの、かつ同一年内に発生した損益とは損益通算することができます。
納税額はどうやって計算する?
納税額は、どのように計算するのでしょうか。雑所得は総合課税の扱いですので、給与所得など、ほかの区分の所得額と合算して、所得税額を算出します。
税率は1,000円未満の端数を切り捨てた課税対象額によって異なり、次の表のようになっています。
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
195万円未満 | 5% | 0円 |
195万円以上330万円未満 | 10% | 97,500円 |
330万円以上695万円未満 | 20% | 42万7,500円 |
695万円以上900万円未満 | 23% | 63万6,000円 |
900万円以上1,800万円未満 | 33% | 153万6,000円 |
1,800万円以上4,000万円未満 | 40% | 279万6,000円 |
4,000万円以上 | 45% | 479万6,000円 |
例えば、課税対象額が650万円であれば税率は20%ですから税額は130万円、さらに控除額を差し引いて納税額は87万2,000円となります(1,000円未満切り捨て)。
なお、2037年分までの確定申告では、所得税に加えて2.1%の復興特別所得税が加算されますので注意が必要です。
移動平均法と総平均法
仮想通貨による所得の計算方法には「移動平均法」と「総平均法」の2種類があります。
国税庁は「移動平均法を用いるのが相当」という見解を示していますが、「継続して適用することを要件に、総平均法を用いても差し支えない」としています。
移動平均法
仮想通貨を購入する度に取得額の平均単価を計算し、取得価額を算出します。
その数値をベースに、売却や交換などで得た利益を算出します。レートの上下がある仮想通貨の実態に近い計算法ですが、計算も煩雑になります。
総平均法
1年間に取得した仮想通貨の取得価額の総額を、1年間に取得した通貨量で割って取得単価を算出し、所得計算のベースとします。
計算が簡略化されていますが、レートの変動によっては実際の所得状況とかけ離れた数値になることもありますから、注意が必要です。
仮想通貨の確定申告はどうすればいい?
さて、仮想通貨による所得額が算出でき、課税対象になっている場合は、確定申告の手続きをしなくてはなりません。
確定申告は手間がかかるイメージがあるかもしれませんが、雑所得の申告だけなら難しいことはありません。
詳しくはこちら:仮想通貨にかかる税金とは?計算方法から確定申告のやり方まで解説
そもそも確定申告とは?
確定申告とは、1年間の所得内容をまとめて納税額を算出して、翌年3月までに税務署に申告する手続きです。
申告用紙は税務署に用意されていますし、確定申告の時期が近づくと税務署内に相談窓口が設置されますから、相談に訪れてみるのもいいでしょう。
申告書の提出期間は2月16日から3月15日まで。それを過ぎても申告はできますが、無申告加算税を課されることもありますから注意が必要です。
なお、申告書類は郵送でも受け付けてくれますし、一度確定申告すると、翌年からは税務署から申告書一式を郵送してくれます。
アプリを使えば書類作成も簡単
無料のものから高機能なものまで、すでに多くの確定申告アプリが登場しています。
個人商店やフリーランスなど、毎年確定申告を行う人にとってはおなじみでしょう。書類作成が格段に楽になり、記入漏れなども防げます。
また、国税庁では、ネットで確定申告ができるe-Taxというシステムを用意しています。
これを使うには事前の準備が必要ですが、PCやスマートフォンで自宅から申告でき、確定申告期間中は24時間受付OKですので、活用すると良いでしょう。
確定申告をしないとたいへんなことに…
納税は国民の義務であり、所得額は自己申告が基本です。「面倒くさいから」などと放置しておくと、重い追徴課税の対象にもなりかねません。
実際に、2017年には国税局が仮想通貨取引業者の顧客リストを基に、無申告者に追徴課税をかけた例があります。
損益の計算は煩雑ですが、確定申告は一度経験してしまえば意外と簡単なものですので、尻込みせず、きちんと申告しましょう。
仮想通貨はそれをとりまく環境や法制度が十分とはいえず、いまだ発展途上です。そのため、税制も改正されていく可能性が高いと考えられます。
税に関する最新の情報は、国税庁のウェブサイトで公開されていますので、確定申告の前にチェックしておきましょう。
※税金や確定申告等の詳細につきましては、管轄の税務署や税理士等にお訊ねいただくか、または国税庁タックスアンサーをご参照ください。