暗号資産トロン(TRX)は、ブロックチェーン「TRON」上で利用される暗号資産で、DAppsやデジタルコンテンツ配信などに使われています。本記事では、トロン(TRX)の特徴や仕組み、将来性について解説します。
※本記事では、ブロックチェーン・プラットフォームとしてのトロンを「TRON」、TRONチェーン上での基軸トークンとしてのトロンを「トロン(TRX)」と表現して区別します。
この記事でわかること
- 暗号資産トロン(TRX/TRON)の特徴がわかる
- 暗号資産トロン(TRX/TRON)の将来性がわかる
- 暗号資産トロン(TRX/TRON)の買い方がわかる
目次
暗号資産トロン(TRX)とは
引用:TRON Network
トロン(TRX)とは、分散型アプリケーション(DApps)の開発、デジタルコンテンツの配信、スマートコントラクトの実行などが可能なブロックチェーンプラットフォーム「TRON」上で使用される暗号資産です。
2017年に中国の起業家であるジャスティン・サン(Justin Sun)によって設立されたTRONは、最初にEthereum(イーサリアム)ベースのトークンとしてスタートし、その後独自のブロックチェーンに移行しました。
また、TRONはNFTゲームや音楽、動画などのデジタルコンテンツの配信や管理が可能なプラットフォームでもあります。将来性については、長期的なロードマップに基づいて開発が進められており、エンタメ以外の分野でもエコシステムの拡大を図っています。
| 通貨名 | トロン(TRON) |
|---|---|
| ティッカーシンボル | TRX |
| 発行上限枚数 | なし |
| コンセンサスアルゴリズム | Delegated Proof of Stake(DPoS) |
| 時価総額ランキング(2025年1月29日時点) | 8位 ※CoinMarketCap調べ |
| Coincheck取扱い開始日 | 2026年1月29日 |
| 公式サイト | https://tron.network/ |
トロン(TRON)の特徴・仕組み
引用:TRON Network
トロン(TRON)は、「Webの分散化」を掲げ、クリエイターが仲介者を介さずにデジタルコンテンツを直接ユーザーに提供できるエコシステムの構築を目指しています。
その仕組みには、ユーザーと開発者の双方にとって利便性の高い独自の技術が多数盛り込まれています。ここでは、TRONを支える主な技術的特徴と仕組みについて解説します。
高速・低コストな処理能力
1つ目の特徴は「高速かつ低コストな処理能力」です。
TRONのプロトコルは、高い処理速度とスケーラビリティを実現したブロックチェーンを提供しています。また、DPoSというコンセンサスアルゴリズムを採用することで、効率のよい取引処理を行っています。
具体的には、DPoS(Delegated Proof of Stake)に基づき選出された27名の代表者(SR)が約3秒ごとにブロックを生成することで、理論上、毎秒数千件規模のトランザクション処理が可能とされています。この設計により、ビットコインや従来のイーサリアムと比較して、送金やスマートコントラクトの実行にかかる時間とコストを大幅に抑えられます。
さらに、BitTorrent Chainというサイドチェーンを使用することで、主にスマートコントラクトの拡張をサポートしています。BitTorrent Chainは、イーサリアムやBSC(バイナンススマートチェーン)とも互換性があるので、開発者はTRONの高い処理能力を享受しながらDAppsの移行・開発を行えます。
EVM互換の「トロン仮想マシン(TVM)」を採用
引用:Whitepaper - TRON Virtual Machine (TVM)
2つ目の特徴は「トロン仮想マシン(TVM)を採用している点」です。
このTVMは、ブロックチェーンで最も普及しているイーサリアムの実行環境(EVM)と非常に高い互換性を持つように設計されています。具体的には、イーサリアムで一般的に使われる開発言語(Solidityなど)で書かれたプログラムを、ほとんど手直しすることなくTRON上でも動かすことが可能です。
そのため、開発者はすでにイーサリアム向けに提供しているアプリ(DApps)を、ゼロから作り直すことなくTRONへも展開(移植)できます。開発者にとっては、学習コストを抑えながら複数チェーンに対応できることから、マルチチェーン対応の選択肢の一つとして採用されるケースも増えています。
USDTなどステーブルコインの主要発行チェーンである
3つ目の特徴は「USDTなどステーブルコインの主要発行チェーンである点」です。
米ドルなどの法定通貨と価格が連動するように設計された「ステーブルコイン」の分野において、TRONは重要な役割を果たしています。特に、時価総額で世界トップクラスのシェアを持つ「USDT(テザー)」は、イーサリアム(ERC-20)と並びTRON(TRC-20)のネットワーク上でも多く発行・利用されている実績があります。
これは、前述したトロンの「送金手数料の安さ」と「着金スピードの速さ」が、頻繁に資金移動を行うトレーダーや決済利用のニーズと合致したためです。取引所間の資金移動や決済手段として、TRONネットワークは実需に基づいた高い利用率を誇っています。
デフレーションモデル(定期的なバーン)を採用
4つ目の特徴は「デフレーションモデル(定期的なバーン)を採用」している点です。
トロン(TRX)は発行上限が定められていない代わりに、定期的なバーン(焼却)が行われる仕組みが採用されています。市場供給量が定期的に減少することで、希少性が担保されています。メインネットローンチ時には、総供給量1,000億TRXの1%にあたる10億TRX(55億円相当)がバーンされました。
トロン(TRX)のバーンは、トロンのインフレを抑えるだけでなく、偶発的または悪意のあるトランザクションがすべてのTRONネットワークリソースを占有するのを防ぐことができます。
暗号資産トロン(TRX)の活用方法
暗号資産トロン(TRX)は、単なる投資対象としてだけでなく、TRONのエコシステム内でさまざまな用途に活用することができます。
保有することでネットワークの運営に参加したり、各種サービスを利用したりと、実用的な側面を持っています。ここでは、主な活用方法として「ステーキング」「DeFi」「NFT」の3つを紹介します。
ステーキング(SRへの投票)
トロン(TRX)を保有する大きなメリットの一つが、「ステーキング」を通じて報酬を獲得できる点です。
TRONはDPoS(Delegated Proof of Stake)という仕組みを採用しており、ビットコインのようなマイニング(採掘)の代わりに、ネットワークの運営を行う「スーパー代表(Super Representative:SR)」を選出する投票システムによってブロックチェーンが維持されています。
ユーザーは、保有しているTRXをネットワークに預け入れ(ステーキング)することで、投票権となる「トロンパワー(Tron Power)」を獲得できます。このトロンパワーを使って応援したいSRに投票を行うと、そのSRが獲得したブロック生成報酬の一部が、投票者にも還元される仕組みになっています。
※2026年1月時点で、Coincheckステーキングではイーサリアム(ETH)のステーキングサービスのみ提供しております。
DeFi(分散型金融)での利用
トロン(TRX)には、銀行や証券会社といった中央管理者を介さずに金融サービスを利用できる「DeFi(分散型金融)」のエコシステムが広がっています。
代表的なサービスには、暗号資産の貸し借りができるレンディングプラットフォーム「JustLend」や、ユーザー同士でトークンを交換できる分散型取引所(DEX)の「SunSwap」などがあります。
これらのプラットフォームで手持ちのTRXを貸し出したり、流動性(取引のための資金)を提供したりすることで、利子や取引手数料を得ることが可能です。
NFT(非代替性トークン)の発行
TRONチェーン上では、TRC-721という規格を用いて、NFT(非代替性トークン)を作成したり取引したりすることが可能です。
デジタルアートやコレクティブルに加え、ゲーム内のキャラクターやアイテムをNFTとして管理する事例などで活用されています。TRONのエコシステム内には「APENFT Marketplace」などの専用マーケットプレイスも存在しており、クリエイターやユーザーがNFTを売買する環境が整っています。
また、技術的な仕様がイーサリアムと互換性を持つように設計されているため、開発者にとって参入しやすい点も特徴の一つです。
暗号資産トロン(TRX)の将来性・今後の動向
暗号資産トロン(TRX)の将来性や今後の動向を占う上で重要なポイントとしては、主に以下の4つがあります。
- DApps・DeFiプラットフォームとしてのニーズ
- 有名企業・プロジェクトとの提携
- 国家通貨としての採用動向
- 創設者ジャスティン・サン氏の動向
DApps・DeFiプラットフォームとしてのニーズ
1つ目のポイントは「DApps・DeFiプラットフォームとしてのニーズ」です。
TRONは、イーサリアムとの互換性や取引手数料の安さ、さらに豊富なステーブルコインの資金量を背景に、レンディングや分散型取引所(DEX)など多様なDeFiサービスが展開されています。
2026年1月時点で、TRON上のDeFiに預けられた総資産(TVL)は数十億ドル規模を維持しており、DeFiの基盤として一定の存在感を示しています。これらの利用がさらに広がれば、ネットワーク手数料として使われるトロン(TRX)の需要も中長期的に高まる可能性があります。
有名企業・プロジェクトとの提携
2つ目のポイントは「有名企業・プロジェクトとの提携」です。
大手企業での活用事例や提携ニュースが出たタイミングでは、トロン(TRX)の価格が大きく動く可能性があります。
代表的な例が、韓国のスマートフォン大手「Samsung(サムスン)」との提携です。Samsungのブロックチェーン基盤(Samsung Blockchain Keystore)がTRONに対応したことで、Galaxyユーザーはスマホから直接、TRONのDApps(分散型アプリ)を手軽に利用できるようになりました。
このように、世界的な企業のサービスにTRONが組み込まれるといったニュースは市場への影響力が大きく、価格変動の重要な要因となります。
国家レベルでの採用動向
国家レベルでのTRONの活用も、トロン(TRX)価格に影響を与えると考えられます。
カリブ海のドミニカ国では、2022年にTRONが「国家のブロックチェーンインフラ」として採用され、TRXを含む複数のTRON系トークンが公認のデジタル通貨として法的に認められました。
同国では、観光振興のための国家ファントークン「Dominica Coin(DMC)」やデジタルID(DDID)、メタバース構想などもTRON上で展開が予定されており、公的な分野でのブロックチェーン活用例となっています。
創設者ジャスティン・サン氏の動向
トロン(TRX)の将来を語る上で、創設者であるジャスティン・サン(Justin Sun)氏の動向は欠かせない要素です。
サン氏は、元リップル(Ripple)の中国代表を務めた経歴を持ち、SNSでの積極的な発信や、大手暗号資産取引所「HTX(旧Huobi)」のアドバイザー就任など、業界内で非常に強い影響力を持っています。彼の積極的なマーケティングや戦略的な提携(BitTorrentの買収など)は、TRONのエコシステム拡大を牽引してきました。
サン氏の言動やプロジェクト運営の方針は、トロン(TRX)の価格に影響を与える可能性があります。
暗号資産トロン(TRX)の注意点・リスク
トロン(TRX)は高速な処理能力や安価な手数料などのメリットを持つ一方で、知っておくべきリスクや懸念点も存在します。ここでは、主な3つの注意点について解説します。
中央集権性への懸念がある
1つ目の注意点は「中央集権性への懸念」です。
TRONが採用しているコンセンサスアルゴリズム「DPoS」では、わずか27人の「スーパー代表(SR)」によって取引の承認やブロック生成が行われます。ビットコインやイーサリアムのように世界中の不特定多数のノード(数千〜数万規模)が参加する仕組みと比較すると、特定の少数の管理者による権力が強くなりやすいという側面があります。
少数の代表者に権限を集中させることで「高速処理」を実現していますが、一方で「分散性(Decentralization)」の一部を犠牲にしているとも言えます。仮にスーパー代表同士が結託した場合、ネットワークの運営方針が一方的に決定されるリスクなどが、一部の専門家や投資家から懸念されています。
L1チェーンなど競合プロジェクトとの競争
2つ目の注意点は「競合プロジェクトとの激しい競争」です。
DApps(分散型アプリ)やスマートコントラクトを稼働させるプラットフォーム(レイヤー1ブロックチェーン)の分野は、暗号資産市場の中で最も競争が激しい領域の一つです。
TRONの競合には、最大手のイーサリアム(Ethereum)だけでなく、BNB Chain、Solana(ソラナ)、Avalanche(アバランチ)など、処理能力やエコシステムの規模で強力なライバルが多数存在します。さらに近年では、イーサリアムの処理を高速化する「レイヤー2(L2)」技術も台頭しています。
もしTRONが技術革新やユーザビリティの面で競合他社に遅れをとった場合、開発者やユーザーが他のチェーンへ流出し、トロン(TRX)の需要が減少する可能性があります。
創設者の言動が価格に影響を与えやすい
3つ目の注意点は「創設者の言動による価格変動リスク」です。
創設者であるジャスティン・サン氏は、その高いカリスマ性と発信力でトロン(TRX)の普及に貢献してきましたが、同時に彼個人の動向がトロン(TRX)の価格に直接的な影響を与えることが多々あります。
過去には、過度なマーケティング手法が物議を醸したり、米国証券取引委員会(SEC)などの規制当局から法的な指摘を受けたりした際に、市場心理が悪化し価格が乱高下する場面が見られました。
プロジェクト自体の技術的な進捗とは関係なく、創設者個人のニュースやSNSでの発言によって相場が変動しやすい点は、投資を行う上で考慮すべきリスク要因と言えます。
暗号資産トロン(TRX)の買い方・始め方
Coincheckでは、2026年1月29日よりトロン(TRX)の取り扱いを開始しました。
ここでは、Coincheckのスマホアプリを使ってトロン(TRX)を購入する方法を紹介します。具体的な手順は以下の通りです。
- 画面下メニューの「販売所」をタップする
- 表示されたコインの中から「トロン(TRX)」をタップする
- 「購入」をタップする
- 購入金額を入力し、「日本円でTRXを購入」→「購入」をタップする
スマホアプリを使えば、時間や場所を問わずわずかこれだけの操作で取引ができます。
暗号資産トロンのまとめ
本記事では、トロン(TRX)の特徴やメリット、将来性について解説しました。
TRONは、ジャスティン・サン氏によって設立された、DApps(分散型アプリ)開発やデジタルコンテンツ配信に特化したブロックチェーンです。秒間数千件という高速な処理速度や、供給量を減らして価値を高めるデフレモデル(バーン)といったメリットを持っています。
今後の成長のカギを握るのは、「プラットフォームとしての需要拡大」です。有名企業との提携に加え、ドミニカ国で公式のブロックチェーンインフラとして認定された事例のように、国家レベルでの実用化がさらに進むかどうかが、価格変化の重要なポイントになるでしょう。
※本記事は暗号資産トロン(TRX)の価格上昇を保証するものではありません。投資はご自身の判断と責任において行ってください。