
ビットコインをはじめとする暗号資産(仮想通貨)の取引では、利益が出た場合に税金がかかります。
しかし、「いくらから税金がかかるのか」「どうやって計算するのか」「確定申告は必要なのか」など、仕組みが分かりにくいと感じる方も多いでしょう。
この記事では、ビットコインの税金の基本から、計算方法、課税のタイミング、確定申告の流れ、納税の方法までわかりやすく解説します。
あわせて、Coincheckで取引をしている方がスムーズに申告準備を進めるためのポイントもご紹介します。
※仮想通貨の税金については、2025年8月22日時点の情報となります。
※税金等の詳細につきましては管轄の税務署や税理士等にお訊ねいただくか、または国税庁タックスアンサーをご参照ください。
この記事でわかること
目次
ビットコインにかかる税金とは
ビットコインの取引で得た利益には、所得税がかかります。しかし、この税金は株式投資などとは異なるルールで計算されるため、まずはどのような所得として扱われるのかを正しく理解することが重要です。ここでは、ビットコインにかかる税金の基本的な仕組みを解説します。
ビットコインの税金は雑所得
仮想通貨で利益を得た場合、その利益は所得税法上、雑所得に区分されます。
株や投資信託の所得は、譲渡所得や配当所得に該当し、申告分離課税で一律20.315%(所得税15.315%+住民税5% ※所得税に復興特別税を含む)の税負担です。しかし、仮想通貨は雑所得に該当するため、総合課税となります。
総合課税になると、ほかの総合課税とされる給与所得や事業所得などと合算した総所得金額に対して、超過累進税率が適用される仕組みです。超過累進税率は、総所得金額が大きければ大きいほど、適用税率が上がります。
【総合課税の所得税率一覧税率一覧 2025.8現在】
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
1,000円 から 1,949,000円まで | 5% | 0円 |
1,950,000円 から 3,299,000円まで | 10% | 97,500円 |
3,300,000円 から 6,949,000円まで | 20% | 427,500円 |
6,950,000円 から 8,999,000円まで | 23% | 636,000円 |
9,000,000円 から 17,999,000円まで | 33% | 1,536,000円 |
18,000,000円 から 39,999,000円まで | 40% | 2,796,000円 |
40,000,000円 以上 | 45% | 4,796,000円 |
【所得税税率の具体例】
課税される所得金額が7,000,000円の場合)
求める税額は次のようになります。
7,000,000円×0.23 - 636,000円= 974,000円
※税金等の詳細につきましては管轄の税務署や税理士等にお訊ねいただくか、または国税庁タックスアンサーをご参照ください。
ビットコインの税金はいくらからかかる?
ビットコインの取引で得た利益は、1円から課税対象になります。
仮想通貨の利益は税法上「雑所得」に区分されるため、株式や投資信託のように「20万円までは非課税」といった特別ルールはありません。利益が出た時点で、原則として税金が発生します。
ただし、「課税されること」と「確定申告が必要になること」は別です。課税対象額が少額でも、給与所得や他の雑所得と合算した結果、確定申告が不要になるケースもあります。逆に、少額の利益でも立場や所得の種類によっては申告義務が生じる場合があります。
【条件別|ビットコイン利益と確定申告の要否】
勤務形態・立場 | 確定申告が必要になる条件 | 具体例 | 確定申告の要否 |
---|---|---|---|
会社員(給与所得あり、年収2,000万円以下) | 年間の雑所得合計が20万円を超える場合 | ビットコイン利益15万円+副業収入8万円=合計23万円 | 必要 |
会社員(給与所得あり、年収2,000万円以下) | 雑所得合計が20万円以下 | ビットコイン利益10万円のみ | 不要(※住民税は申告必要な場合あり) |
給与所得がない人(専業主婦・学生・フリーランスなど) | 年間の所得合計が48万円を超える場合 | ビットコイン利益60万円 | 必要 |
給与所得がない人(専業主婦・学生・フリーランスなど) | 所得合計48万円以下 | ビットコイン利益40万円 | 不要(※住民税は申告必要な場合あり) |
年収2,000万円超の会社員 | 金額にかかわらず必要 | ビットコイン利益5万円 | 必要 |
コインチェックで取引すると税金はどうなるのか?
コインチェックでの取引も、税制上の扱いは他の取引所と同じです。つまり、利益が出れば課税対象になり、前項の条件によっては確定申告が必要です。
大切なのは、確定申告に備えて取引記録を正確に残しておくこと。コインチェックでは、取引履歴をCSV形式でダウンロードできるため、年間の損益計算を効率的に行えます。さらに、外部の損益計算ソフトと連携させることで、総平均法や移動平均法による計算にも対応でき、申告書作成の手間を大きく減らすことが可能です。
「申告の対象になるかどうか」を正しく判断するためにも、日頃から取引履歴を確認し、利益の情報を把握しておきましょう。
ビットコインにかかる税金の計算方法
ビットコインの取引で得た利益は、売却額や使用時の価格から取得価額(購入価格)を差し引いた金額が「所得額(利益)」になります。ここでは、ビットコイン(BTC)を例に具体的なケース別で計算方法を解説します。なお、金額は手数料込みとします。
ビットコイン取引の売買損益は「移動平均法」と「総平均法」で計算
ビットコインの売買で生じた損益を計算するには、まず「取得価額(1BTCあたりいくらで買ったか)」を正確に算出する必要があります。その計算方法には、国税庁が認める「移動平均法」と「総平均法」の2種類が存在します。
どちらの方法を選ぶかによって年間の損益額が変わる可能性があるため、それぞれの特徴を理解しておくことが大切です。ここでは、各計算方法の仕組みと違いを詳しく見ていきましょう。
実態に合致した移動平均法
移動平均法とは、仮想通貨を購入する度に、その時々の平均単価を算出していき、取得価額を割り出す方法です。日々価格が変動する仮想通貨でも、実際の取引状況に近い損益を算出できます。ここでは、実際の取引を時系列で追いながら計算してみましょう。
<取引の流れ(例)>
① 2/12:4BTCを購入(支払200万円、=1BTCあたり50万円)。
② 2/13:0.2BTCを売却(その時点の時価で受取)。
③ 同年:0.3BTCを商品決済に使用(決済時の時価で支払)。
④ 同年:1.0BTCを他の暗号資産に交換(交換時の時価で受取)。
⑤ 12/10:2BTCを追加購入(支払160万円、=1BTCあたり80万円)。
※②〜④は2/13〜12/9のあいだに合計1.5BTCを“手放した(処分した)内訳です。
※「売却=円に換える」「商品決済=支払いに使う」「他通貨交換=BTC→他の暗号資産」いずれも課税対象の取引です(収入はその時点の時価)。
<移動平均法での計算>
日付 | 取引 | 数量± (BTC) |
支払・受取額(円) | 取引後の枚数(残り) | 残りの原価 (在庫の合計) |
平均の買値 (円/BTC) |
その取引の利益/損(円) |
---|---|---|---|---|---|---|---|
2/12 | 購入 | 4 | 2,000,000 | 4 | 2,000,000 | 500,000 | - |
2/13〜12/9 | 売却・決済・交換(合計) | −1.5 | (各時点の受取) | 2.5 | 1,250,000 | 500,000 | 受取合計 − 750,000 (原価=500,000×1.5) |
12/10 | 追加購入 | 2 | 1,600,000 | 4.5 | 2,850,000 | 633,334 (1,250,000+1,600,000)÷(2.5+2.0)= 633,333.3…→切上げ |
- |
1.初回購入時の平均取得単価(2/12)
200万円 ÷ 4BTC = 50万円/BTC
2.追加購入前の保有状況(12/10直前)
保有数量=4BTC − 1.5BTC = 2.5BTC
簿価=50万円 × 2.5BTC = 125万円
3.追加購入後の平均取得単価(12/10直後)
(125万円 + 160万円) ÷(2.5BTC + 2BTC)
= 63万3,333.3円/BTC
1円未満切り上げ → 63万3,334円/BTC
移動平均法は、購入のたびに平均取得単価を更新するため、日々の価格変動を反映した精度の高い計算ができます。ただし、取引のたびに単価を計算する必要があり、手間がかかります。取引回数が多い場合は、取引履歴を整理し、自動で計算できるツールや表計算ソフトを活用すると効率的です。また、一度この方法を選んだ場合は原則として毎年継続して使用する必要があり、その年ごとに総平均法と切り替えることはできません。
より簡易な計算で済む総平均法
一方総平均法は、その年に取得した総額÷取得総数量で、年内の平均取得単価を一度だけ求める方法です。売却や使用のタイミングに関係なく、同じ単価を用いて各取引の損益を計算できるので、手間が少ないのが特徴です。
<総平均法を用いた計算>
(200万円+160万円) ÷(4BTC+2BTC)= 60万円/BTC
※ 1年間に取得した総額 ÷ 1年間に取得した数量で平均取得単価を算出します。売却や使用した数量は計算に含めません。この場合、1BTCあたりの取得価額は60万円となります。
総平均法は、年初から年末までのすべての取引に同じ平均単価を適用できるため、計算が非常にシンプルです。取引が多くても年1回の単価計算で済むため、実務の負担を軽減できます。ただし、一度この方法を選んだ場合は原則として毎年継続して使用する必要があり、その年ごとに移動平均法と切り替えることはできません。
移動平均法と総平均法、どちらを使えばいい?
国税庁は、仮想通貨の取得価額の計算方法として、原則「移動平均法を用いるのが相当」としています。移動平均法は取引のたびに平均取得単価を更新するため、価格変動を反映した精度の高い損益計算が可能です。特に取引回数が多い人や、実態に即した損益を正確に把握したい人に向いています。
一方で、移動平均法は取引のたびに計算が必要となるため、履歴管理や事務負担が大きくなります。そこで、取引回数が少ない人や、より簡単な方法で計算したい人は、継続適用を前提に総平均法を選ぶことも認められています。総平均法は年内の取得総額と取得総数量から一度だけ平均単価を求めるため、事務の負担が軽く、年間を通して同じ単価で計算できます。
ただし、どちらの方法も一度選択したら原則として毎年継続して使用する必要があり、年ごとに切り替えることはできません。精度を重視するか、手間を減らすか、自分の取引頻度や管理体制に合わせて選ぶと良いでしょう。
売買損益の計算方法の具体例
ここでは、取得価額が1BTC=60万円の場合を前提に、代表的な取引の損益計算を示します。
<売却時>
0.5BTCを40万円で売却
利益 = 40万円 −(0.5BTC × 60万円)= 10万円の利益
<商品購入時>
0.3BTCで15万5,000円の商品を購入
利益 = 15万5,000円 −(0.3BTC × 60万円)= ▲2万5,000円の損失
<他通貨交換時>
1BTCを時価65万円の他の仮想通貨に交換
利益 = 65万円 −(1BTC × 60万円)= 5万円の利益
このように、取引の損益は「取引時の価格 − 取得価額」で計算し、年間のすべての取引結果を合算して申告します。
ビットコインの取引で税金がかかるタイミング
ビットコインの利益は、売却したときだけでなく、さまざまな取引で課税対象となります。課税のタイミングを理解しておくことで、申告漏れや計算ミスを防ぐことができます。
ビットコインを売却したとき
ビットコインを日本円に換金すると、購入価格との差額が利益として確定し、雑所得として課税されます。売却時の手数料も取得価額に含められますが、株やFXのような損益通算はできず、他の雑所得とのみ相殺可能です。
【計算方法】
売却額 − 取得価額 = 所得額(利益)
【具体例】
120万円で2BTCを購入し、0.5BTCを40万円で売却
→ 40万円 −(120万円 ÷ 2BTC)× 0.5BTC = 10万円(所得額)
ビットコインを他の通貨に交換したとき
BTC→ETHなどへの交換は、BTCを売却してETHを購入したとみなされます。交換時のBTCの時価と取得価額との差額が利益となり課税されます。交換先の通貨を円に換金していなくても、交換時点で利益が出ていれば課税対象です。
【計算方法】
交換時のBTC時価 − 取得価額 = 所得額
【具体例】
120万円で2BTCを購入し、1BTCを時価100万円のETHに交換
→ 100万円 −(120万円 ÷ 2BTC)× 1BTC = 40万円(所得額)
ビットコインでNFTを購入したとき
NFTを購入するためにビットコインを使うと、その時点でビットコインを売却したとみなされます。購入時のビットコインの時価と取得価額との差額が利益となりますが、NFTは高額になる場合があり、予想以上の課税額になるケースもあります。
【計算方法】
NFT購入時のBTC時価 − 取得価額 = 所得額
【具体例】
120万円で2BTCを購入し、15万円のNFTを0.2BTCで購入
→ 15万円 −(120万円 ÷ 2BTC)× 0.2BTC = 3万円(所得額)
ビットコインでDeFiの取引を行ったとき
DeFi(分散型金融)でビットコインを預け入れたり、他の通貨にスワップすると、その時点でビットコインを売却したとみなされます。 時価と取得価額の差額が利益となり、課税対象です。DeFiは取引履歴が複雑になりやすく、計算漏れが発生しやすいので記録管理が重要です。
【計算方法】
取引時のBTC時価 − 取得価額 = 所得額
【具体例】
100万円で1BTCを購入し、その後1BTCを時価150万円でDeFiにスワップ
→ 150万円 − 100万円 = 50万円(所得額)
ビットコインをマイニングしたとき
マイニングで得たビットコインは、受け取った時点の時価が所得となります。所得区分は事業所得または雑所得で、経費計上の可否は区分によって異なります。
【計算方法】
受取時のBTC時価 × 受取数量 = 所得額
【具体例】
受取時のBTC時価が300万円で、0.1BTCをマイニング報酬として受け取った場合
→ 300万円 × 0.1BTC = 30万円(所得額)
ビットコインがハードフォークによって分裂したとき
ハードフォークによってビットコインが分裂し、新しい仮想通貨を受け取った場合、受け取った時点では課税されません。これは、その時点ではまだ新通貨の取引価格や市場価値が確定していないためです。
課税されるのは、その新通貨を売却または使用し、取得価額(0円)との差額が確定したタイミングです。なお、受け取ってから売却までの間に価格が大きく変動する可能性があり、課税額も変動するため、売却時期の判断が重要になります。
【計算方法】
売却額 − 0円 = 所得額
【具体例】
新通貨10単位を受け取り、そのうち5単位を1万円で売却
→ 1万円 − 0円 = 1万円(所得額)
ビットコインの確定申告・税金の払い方は?
仮想通貨の確定申告は、所得額が算出できていれば手続きは比較的シンプルです。必要な書類をそろえて現住所を管轄する税務署に提出するだけです。
申告期間は例年2月16日から3月15日までの1か月間。前年1年間(1月1日~12月31日)の収入・支出をもとに申告書を作成し、納付すべき所得税額を確定します。
窓口は3月に入ると混雑するため、2月中に必要書類をそろえて申告するとスムーズです。国税庁の電子申告システム「e-Tax」を利用すれば、税務署に行かずオンラインで手続きが完結します。
確定申告に必要な書類
確定申告に必要な書類は、立場や所得の種類によって異なります。2023年分以降は申告書Aが廃止され、会社員も自営業も一本化された確定申告書を使用します。会社員が申告する場合は、源泉徴収票(添付不要)を手元に用意し、提出方法に応じてマイナンバー確認書類(窓口・郵送は番号確認+身元確認書類の提示/写し、e-Taxはマイナンバーカード等)を準備します。暗号資産の計算書や取引明細は添付不要ですが、後日の照会に備えて保存しておくと安心です。
一方、自営業やフリーランスは、申告書に加えて青色申告決算書(青色の場合)または収支内訳書(白色の場合)を添付し、領収書や帳簿を整理しておきます。不動産所得がある場合は、不動産所得の収支内訳書(または青色用決算書)を添えます。
ネットでできる確定申告「e-Tax」
e-Taxは、国税庁が提供するオンライン申告システムで、自宅や外出先から確定申告を行える便利な方法です。現在は次の3つの方法が使えます。
ID・パスワード方式:
税務署で本人確認を受け、発行されたIDとパスワードでログインする方法です。マイナンバーカードがなくても使えますが、将来的にはマイナンバーカード方式やスマホ電子証明書方式が主流になる見込みです。
マイナンバーカード方式:
マイナンバーカードをICカードリーダーやスマートフォンで読み取り、オンラインで申告します。セキュリティが高く、一度設定すれば毎年スムーズに利用できます。
スマホ用電子証明書方式:
対応するスマートフォンなら、マイナンバーカードを端末に登録し、カードを使わずに指紋や顔認証でログインできます。現在はAndroid・iPhoneともに対応しています。
どの方法でも、国税庁の「確定申告書等作成コーナー」で申告書を作成し、そのままオンラインで提出できます。マイナンバーカード方式やスマホ電子証明書方式を使えば、税務署に行かずに完結するので、混雑する時期でも安心です。
税金の納付方法
仮想通貨取引による所得を確定申告したあとは、税額に応じて所得税を納付する必要があります。原則として、毎年3月15日までが納付期限です(休日の場合は翌平日)。納付方法は主に以下の7つです。
方法 | 特徴・注意点 |
---|---|
① 口座振替(振替納税) | 指定口座から自動引き落とし (3月15日より後に引落) 事前に「預貯金口座振替依頼書」の提出が必要。所得税・個人消費税のみ対象。領収書は発行されない。 |
② ダイレクト納付(e-Tax経由) | e-Tax上で引き落とし日を指定して納付 e-Taxと口座情報の事前登録が必要。登録完了まで1週間〜1ヶ月かかる。 |
③ インターネットバンキング / ATM(Pay-easy) | 納付区分番号を使って各種端末から納付 e-Taxで納付情報を登録して発行される番号が必要。操作に慣れている方向き。 |
④ クレジットカード納付 | 国税クレジットカードお支払いサイトから納付 納付額に応じた決済手数料がかかる。 |
⑤ スマホアプリ納付 | PayPayなどを使ってスマホで納付 納付上限30万円。事前チャージが必要。 |
⑥ コンビニ納付(QRコード) | QRコード付納付書を印刷・持参して支払う 納付上限30万円。対応店舗でのみ使用可。 |
⑦ 金融機関・税務署での現金納付 | 納付書を使って窓口で支払い 納付書が必要。税務署にて発行可能。 |
確定申告後に納税を行う際は、いくつかの注意点があります。まず、納付書は申告すれば自動で送られてくるものではありません。窓口で受け取るか、自身で作成・印刷する必要があります。特に、コンビニ払いや金融機関での現金納付を希望する方は、納付書の準備が必要です。
また、口座振替(振替納税)を利用するには、申告期限よりも前に必要書類の提出を完了しておく必要があります。この手続きを忘れると自動引き落としが使えず、別の納付手段を検討する必要が生じます。
クレジットカードやスマホ決済による納付は便利な方法ですが、納税額に応じた決済手数料や納付金額の上限が設定されている場合があるため、あらかじめ確認しておくことが重要です。
一方で、e-Taxを利用した電子納付やスマホアプリ決済は、利便性が高く、時間や手間を削減できるためおすすめの方法です。取引履歴の整理や申告準備に時間を要する人にとっては、こうした方法を活用することで確定申告と納税をよりスムーズに進めることができるでしょう。
確定申告を早く済ませる方法
確定申告をスムーズに終えるには、事前準備が鍵です。特に仮想通貨の所得額計算は手間がかかり、計算ミスの原因にもなります。Coincheckでは、購入・売却履歴や2017年1月以降の全取引履歴をダウンロードでき、取扱い通貨の日足終値一覧も確認可能です。これらを活用すれば、書類作成や計算の負担を大きく減らし、申告作業を効率化できます。
※業界標準フォーマットでの取引履歴(CSV)の取得方法
※Coincheck取扱い暗号資産の終値一覧
ビットコインの税金で損失・赤字がでたらどうする?
ビットコインやその他の仮想通貨取引は値動きが大きいため、年間を通して利益ではなく損失で終わることもあります。このような場合の税務上の取り扱いは、株式やFXとは異なる点が多いため、あらかじめ知っておくことが重要です。
年間の収支がマイナスだったら確定申告は不要
年間の仮想通貨取引の損益を合計してマイナスになった場合、その年は原則として確定申告をする必要はありません。理由は、課税の対象となるのは利益が発生した場合のみだからです。ただし、その年にほかの雑所得があり、損益通算を行う場合には、申告が必要になることがあります。
今年の赤字は来年に繰り越せない
株式やFXでは、損失を最大3年間繰り越して翌年以降の利益と相殺できる制度がありますが、仮想通貨の雑所得にはその制度がありません。今年の損失はあくまで今年限りで、翌年以降に持ち越して税額を減らすことはできません。そのため、利益が出た年と損失が出た年が交互にある場合でも、自動的に相殺されることはない点に注意が必要です。
他の雑所得がある場合は雑所得内で相殺できる
仮想通貨の損失は、同じ年に発生した他の雑所得とだけ相殺が可能です。たとえば、仮想通貨取引で30万円の損失があり、副業や原稿料などで50万円の雑所得があれば、この損益を合算して20万円分のみが課税対象となります。ただし、給与所得や事業所得など、ほかの所得区分とは通算できません。
ビットコインの取引で税金をおさえるには
ビットコイン取引は価格変動が大きく、年間を通して損失が出ることも珍しくありません。損失が出た場合でも、適切な計算方法や取引の工夫によって、翌年度以降の税負担を相対的に抑えることが可能です。ただし、感覚的な判断ではなく、必ず正確な損益計算を行うことが前提になります。特に採用する計算方法(移動平均法・総平均法)によって、所得額が大きく異なる場合があるため注意が必要です。
他の雑所得と相殺する
仮想通貨の損失は、同じ年に発生した他の雑所得とだけ相殺できます。副業収入や原稿料などがある場合は、仮想通貨の損失と差し引くことで課税対象額を減らすことができます。給与所得や事業所得など、他の所得区分とは通算できません。
含み益を活用して損失を相殺する
損失は翌年に繰り越せないため、含み益のある通貨を年内に売却して利益を実現し、損失と相殺する方法が有効です。こうすることで、損益をゼロに近づけ、無駄な損失をなくせます。
たとえば、ある年に仮想通貨の損失が20万円あり、同時に20万円の含み益がある通貨を保有している場合、その年内に売却して利益を確定すれば、損失と利益が相殺され課税額はゼロになります。しかし翌年に持ち越すと、損失は繰り越せないため、翌年の20万円の利益に課税されてしまいます。
なお、移動平均法の場合は売却と買い戻しを同年度内に行っても損益に影響はありませんが、総平均法では取得単価が変わる可能性があるため、意図した結果にならないことがあります。
損益を常に把握する
仮想通貨は価格変動が大きく、損益も日々変動します。取引履歴や保有通貨の時価をこまめに確認し、必要に応じて年内に取引を調整することが、税金対策の第一歩です。平均取得単価は翌年に引き継がれるため、この数値も正確に把握しておくことが重要です。
ビットコインの税金でよくある質問
ここではビットコインの税金に関する疑問をQ&A形式でご紹介します。
仮想通貨で得た利益を確定申告しないとどうなる?
確定申告が必要な取引を申告しなかった場合、後日税務署から指摘を受け、延滞税や加算税が課される可能性があります。悪質と判断されると重加算税が加わることもあり、税負担が大きくなるケースもあります。
ビットコインに税金がかからないケースはある?
ビットコインを保有しているだけであれば課税されません。税金が発生するのは、売却、他の仮想通貨や商品・サービスへの交換など、経済的利益が確定したタイミングです。値上がりしていても売却や利用をしなければ課税対象外です。
海外取引所や海外口座の取引も申告が必要?
海外の仮想通貨取引所で行った取引や、海外口座を経由した取引も、日本に居住している限り申告が必要です。取引履歴の取得が難しい場合でも、自ら記録を保管し、円換算して損益を計算する義務があります。
ビットコインを家族に贈与したら税金はどうなる?
家族にビットコインを贈与すると、受け取った側に贈与税が課される可能性があります。年間110万円までの贈与は非課税ですが、それを超える場合は申告が必要です。また、贈与の際には贈与時点の時価で評価されます。
仮想通貨をもらった場合(エアドロップなど)の税金は?
エアドロップやキャンペーンで仮想通貨を受け取った場合、その受け取った時点の時価が所得となり、雑所得として課税されます。売却時ではなく受領時に課税対象になる点に注意が必要です。
ビットコインの税金を理解して賢く投資をしよう
ビットコインは値動きの魅力が大きい一方で、税金のルールも複雑です。課税のタイミングや計算方法を理解し、予想外の税負担や申告漏れを防ぎましょう。そのためには、日々の取引を記録し、損益を正確に把握すること重要です。
コインチェックでは、アプリの取引履歴から簡単に損益を計算できます。また、ウェブサイトからも全取引の詳細な履歴を確認できます。
税金を正しく理解し、無理のない計画で取引を続けることが、長く安定して投資を楽しむための近道と言えるでしょう。