ビットコイン(BTC)は、2025年8月に日本円で約1,820万円、ドル建てで約12万4,000ドルと過去最高値を更新しました。その後も上昇を続け、10月上旬にはドル建てで約12万5,000ドルを超え、円建てでも過去最高水準に達しています。
一方で、急な調整や値動きの大きさも見られ、“暴落”という言葉が話題になる場面もあります。こうした価格の上下には必ず理由があり、背景を理解しておくことで冷静に判断できます。
この記事では、ビットコインの下落につながる主な要因や、過去に起きた暴落の例、そして備え方や対処の基本を解説します。
目次
ビットコインの暴落・下落につながる主な要因
長い目で見れば成長を続けてきたビットコインも、短い期間では思いがけないほど大きく相場が動くことがあります。その背景には、いくつかの要因が重なっていることが少なくありません。
ここからは、これまでに大きな影響を与えた主な4つの要因を見ていきます。
1. 各国の規制強化により暗号資産への期待感が減少
1つ目の暴落要因は、各国による規制強化です。これまでの値下がりを振り返ると、暗号資産の取引や発行に関する新たな規制が報じられたとき、市場が反応し、価格が下がる局面が多く見られます。
暗号資産はまだ法制度が完全に整っておらず、国や地域によって対応が異なります。一方で、詐欺やマネーロンダリングを防ぐ目的で、取引所や発行体に対する監視やルール整備が世界的に進んでいます。たとえば、中国による取引禁止やマイニング規制、アメリカの証券取引委員会(SEC)による取引所への監督強化、ヨーロッパでのMiCA規制施行などがその例です。
こうした動きは、短期的には市場の自由度を下げ、投資家心理を冷やす要因となることがあります。規制による影響が大きいと市場が判断すれば、価格の下落がさらに広がり、暴落につながることもあります。
ただし、長期的な視点に立てば、法規制が整備されることは、暗号資産市場全体にプラスの影響を与えるともいえるでしょう。
2. 取引所のハッキングによりセキュリティへの信頼感が低下
2つ目の暴落要因は、ハッキングなどによって取引所のセキュリティに対する信頼感が低下することです。暗号資産の取引の多くは取引所を通じて行われており、投資家は暗号資産や法定通貨を取引所に預けた状態で売買しています。
そのため、取引所がハッキングを受けて顧客資産が流出すると、暗号資産市場全体への不安が一気に高まります。過去には、国内外の取引所で不正流出や破綻が相次ぎ、市場が大きく動揺した例もありました。
こうしたニュースが広がると、投資家の間に「暗号資産を保有していること自体がリスク」という意識が広がり、資産を引き揚げる動きが強まります。結果として売りが集中し、価格が急落することがあります。
3. ハードフォークにより市場が一時的に動揺
3つ目の暴落要因は、ハードフォークです。ハードフォークとは、暗号資産の根本的なルールやプログラムを変更するときに行われる仕組み上の分岐を指します。このとき、旧ルールに基づく通貨と、新しいルールで動く通貨が分かれ、新しい通貨が“別の暗号資産”として誕生することになります。
ハードフォークの実施前後は、市場の不確実性が高まり、価格が大きく動く傾向があります。アップデートの成功が見込まれれば買いが集まり、反対に混乱や信頼性への懸念が強まると、一時的な下落につながることもあります。
過去には、2017年のビットコインキャッシュ(BCH)誕生や、2022年のイーサリアムのマージ(Merge)などが、市場に影響を与えた例として知られています。こうした大規模な変更は、暗号資産の価値に影響を与える要因のひとつです。
4. ハッシュレートの低下と暗号資産価格下落との悪循環
4つ目の暴落要因は、ハッシュレートの低下です。過去には、ハッシュレートが下がったことで暗号資産価格の下落につながった例がありました。
ハッシュレートとは、暗号資産の採掘(マイニング)を行う際の1秒あたりの計算能力のこと。取引量が増えるほど必要な計算量も大きくなり、マイニングの難易度が上がる仕組みになっています。
ハッシュレートの上昇は、マイナーの参加や設備投資の増加を意味し、ネットワークの安全性向上や市場への信頼感につながる傾向があります。そのため、需要の高まりとともに価格上昇の要因となる場合もあります。
一方で、相場の下落や採算の悪化によってマイニング参加者が減少すると、ハッシュレートが低下します。ハッシュレートが下がるとネットワークの安全性に不安が生じ、価格下落 → マイナー離脱 → ハッシュレート低下という負のスパイラルに陥ることがあります。
過去の暴落局面では、こうした連鎖が市場の不安を広げた例も見られました。現在はマイニング効率や設備の改善により、全体としてハッシュレートは上昇傾向にありますが、価格変動の要因のひとつとして引き続き注視すべきポイントです。
ビットコインの過去の大暴落とその理由を振り返る
ビットコインはこれまで、相場の過熱や外部要因によって複数回の大きな調整を経験してきました。代表的な例としては、ICOバブル崩壊や取引所の破綻、ステーブルコイン関連の混乱などが挙げられます。これらの共通点は「過剰な期待」と「市場の信頼低下」が同時に起きたことです。
過去10年の価格推移と各暴落時の値動きについては、 こちらの記事 で詳しく解説しています。ここでは、暴落が起きる際の“投資家心理の変化”に注目して振り返りましょう。
価格上昇期には楽観的な見方が広がりやすく、過剰な期待から資金が流入します。一方で、ネガティブなニュースや不安材料が出ると心理が急激に冷え込み、売りが集中して暴落を招きます。
このように、暴落は単なる価格現象ではなく、「投資家心理と市場環境の連鎖反応」によって起こるものです。こうしたメカニズムを理解しておくことが、相場変動に備える第一歩となります。
ビットコインの暴落に備える対策法
ビットコインは長期的に見ると成長を続けてきましたが、短期的には思いがけない下落に見舞われることもあります。相場の変動に慌てず対応するためには、日頃の備えが大切です。
ここでは、暴落に備えて意識しておきたい3つのポイントを紹介します。
信頼できる最新の情報に触れる
暴落に備えて大切なのは、信頼できる情報を収集できる体制を整えておくことです。ビットコインの価格は、各国の規制や金融政策、要人の発言といったニュースによって大きく動く傾向があります。価格変動の背景を理解するためにも、正確な情報を把握しておくことが欠かせません。
こうした情報を的確に追うためには、日ごろから最新ニュースをチェックする習慣をつけておくことが大切です。市場には価格を押し上げる要因もあれば、下落につながる要因もあります。どちらの情報も冷静に受け止め、感情的に行動しない姿勢が求められます。
ネット上では憶測や誤情報も混じりやすいため、“誰が発信している情報なのか”を意識して見極めることが、ビットコインの暴落に備える第一歩になります。
ポートフォリオを定期的に見直す
備えておくべきことの2つ目は、ポートフォリオ(資産構成)の定期的な見直しです。保有する資産のバランスを定期的に確認し、状況に合わせて調整していくことが、暴落への有効な備えになります。
ポートフォリオとは、株式・不動産・暗号資産など、自分が所有する金融資産の組み合わせのことを指します。たとえば、株式を〇%、不動産を〇%、ビットコインを〇%というように、配分を考えることが見直しの第一歩です。
構成割合を変えることで、リスクへの耐性が変化します。そのため、ビットコインなど暗号資産の暴落に備えて、自分に合ったバランスを見つけ、定期的に見直しておくことが重要です。
ビットコインは値動きが比較的大きな資産です。1つの銘柄に資金を集中させるのはハイリスクといえるため、ほかの暗号資産や、株式・債券などの別の投資先にも分散しておくと、価格急落時に損失を抑えやすくなります。
自分なりの取引ルールを決めておく
3つ目は、自分なりの取引ルール(マイルール)を作り、それを確実に守ることです。暴落が起きたときには、誰でも焦りや不安を感じるものです。その状態でとっさに判断すると、目先の値動きに惑わされて大きな損失につながることもあります。
あらかじめ自分なりの基準を決めておき、そのルールに従って売買を行う習慣をつけておけば、相場が急落しても必要以上に慌てることはありません。冷静に損切りや買い増しを判断できることで、パニックによる誤った取引を防げます。
また、ルールは作るだけで終わりではなく、過去の経験や市場環境の変化を踏まえて定期的に見直すことも大切です。決めたルールを実際の取引で守り続けることが、暴落時にも安定した判断を下すための土台になります。
もし今、ビットコインが暴落した場合の対処法
もしビットコインが暴落しても、あらかじめ対処法を知っていれば、慌てることなく対応できます。事前にシミュレーションしておけば、感情に流されず冷静に判断できるでしょう。
ここでは、ビットコインの暴落時に覚えておきたい3つの対処法を紹介します。
買い増して平均取得単価を下げる
1つ目の対処法は、暴落時にビットコインを買い増すことです。長期的な視野でビットコイン投資を行っている場合、大きく価格が下がる局面は、安く購入できるタイミングと捉えることもできます。
下落時に少しずつ買い増すことで、平均取得単価を下げながら保有量を増やせます。リターンを押し上げる効果も期待できるでしょう。
長期投資を前提とするなら、短期的な値動きに一喜一憂する必要はありません。もちろん、長期的に必ず価格が上昇するとは限りませんが、暴落局面に安値で買い増すのは有効な戦略のひとつといえます。
ただし、買い増しを行ったあとにさらに価格が下がるリスクも考慮しなければなりません。あくまで余裕資金の範囲で行い、資金管理を徹底することが大切です。
こうした長期投資を安定して続けるために有効なのが「ドルコスト平均法」による積立投資です。ドルコスト平均法とは、毎月など決まったタイミングで同じ「購入額」(例:1万円)を買い続ける手法。価格が高いときは少なく、安いときは多く買うことになるため購入価格が平準化でき、暴落や急騰の影響を受けにくくなります。
※本グラフは過去の価格推移をもとに算出したシミュレーションです。成果を保証するものではありません。
※2020年10月〜2022年3月の当社のBTC/JPY・ETH/JPYレートをもとに、毎月1万円ずつ積み立てた場合の実績を示しています。
無理に保有を続けず適切な損切りを行う
2つ目の対処法は、無理に保有を続けず、あらかじめ決めた基準で損切りを行うことです。暴落が起きたとき、「そのうち戻るかもしれない」と判断を先送りにしてしまうと、結果的に損失が拡大してしまうおそれがあります。
ビットコインが急落した場合は、含み損を確定して損切りするか、保有を続けるかを早めに見極めることが大切です。価格が一時的に戻ることもありますが、再び下落するケースもあります。相場の動きに一喜一憂せず、冷静な判断を心がけましょう。
暴落時には、不安からつい「もう少し待てば」と考えてしまうものです。しかし、こうした感情に左右されないよう、あらかじめ「どの水準まで下がったら売るのか」といったルールを決めておくことが重要です。事前に決めたルールに従って損切りを実行すれば、大きな損失を防ぐことができます。
公式の発表を確認してから動く
暴落時には、SNSや掲示板などでさまざまな情報が一気に拡散されます。なかには根拠のない憶測や誤情報も含まれており、それを鵜呑みにして取引を行うと、かえって損失を広げてしまうおそれがあります。
価格急落の原因がニュースやトラブルによるものかを正しく判断するためにも、必ず公式の発表を確認してから行動することが大切です。取引所や発行元の公式サイト、金融庁など公的機関からの発表をチェックし、情報の信頼性を見極めましょう。
とくにセキュリティ関連のトラブルやシステム障害のニュースが出たときは、公式の案内を待たずに慌てて売買すると、思わぬ損失を被ってしまう可能性があります。まずは落ち着いて情報を整理し、必要に応じてポジションの見直しを検討することが重要です。
ビットコイン取引では暴落に備えた準備が大切
ビットコインは長期的に見ると成長を続けていますが、短い期間では大きく値が動くことがあります。相場の急変時に焦って行動してしまうと、冷静な判断ができず損失を広げてしまうこともあります。
暴落は、いつ起きるかを正確に予測することはできません。だからこそ、情報収集・資産配分・取引ルールの設定といった「備え」を平常時から整えておくことが大切です。冷静にリスクを管理しながら長期的な視点で向き合うことが、暗号資産との上手な付き合い方といえるでしょう。
なお、価格変動が大きい暗号資産の取引においては、価格が下落した局面で分散して購入するという考え方もあります。また、一定額を定期的に購入することで、購入価格が平準化され、価格変動の影響を受けにくくなる場合があります。
いずれの場合も、相場の動きに過度に反応せず、自身の資金状況やリスク許容度に応じて、無理のない範囲で検討することが重要です。