「最近『NFTファッション』が注目されているけれど、どんなものなの?」
「NFTファッションを自分でも購入したり、作って販売したりしたいけれど、どうすればいい?」
そのような疑問を持っている方も多いのではないでしょうか。
「NFTファッション」とは、デジタルデータとして作成されたファッションアイテムに、NFTを結びつけることで「唯一性」を持たせたものです。
メタバース(仮想空間)やゲーム、SNSなどにおいて、アバターやキャラクターが着用したり、コレクションしたり、二次流通で利益を得たりと、さまざまな楽しみ方、活用法が期待されています。
このNFTファッションには、以下のような特徴やメリットがあります。
NFTファッションの特徴・メリット
- コピー品を抑止できる
- ファッションの自由度が広がる
- 二次流通時にもブランドやデザイナーにロイヤリティが発生する
- サステナブルなアイテムである
オリジナル製作者の権利と利益を守れること、地球にやさしいことなど、時代のニーズにマッチしている点も注目を集める理由でしょう。
そこでこの記事では、NFTファッションに関してさまざまな視点から解説していきます。
まず最初に、NFTファッションの基礎知識を身につけましょう。
その上で、実際にNFTファッションを楽しむ方法を知ってください。 最後まで読めば、NFTファッションについて知りたいことがわかるでしょう。 この記事で、あなたも気軽にNFTファッションを楽しめるよう願っています。NFTファッションとは
NFTへの理解が進み、音楽やアートの分野ではデジタル作品をNFT化して売買する例が増えていますが、その最新トレンドとして「NFTファッション」が注目されています。
そこでまずは「NFTファッション」とは何か、その特徴や現状について知っておきましょう。
NFTファッションの概要
ご存じのように「NFT」とは「Non Fungible Token」の略で、ブロックチェーン上で発行されるデジタル資産の一種です。
日本語では「代替不可トークン」「非代替性トークン」とも呼ばれ、従来は無限に複製可能だったデジタルデータに対して、「唯一性」を付与できるのが特徴です。
この仕組みをファッション分野にも取り入れたのが「NFTファッション」です。
メタバース(仮想空間)やゲーム、SNSなどにおいては、アバターやキャラクターが着用したり、コレクションして楽しむための「デジタルファッション」が流通していますが、これとNFTを結びつけることで、デジタルデータとしてのファッションアイテムに「唯一性」を持たせることができるわけです。
そのため、「LOUIS VUITTON」「GUCCI」「DOLCE&GABBANA」といったハイブランドもNFTファッションに参入して、コレクションを展開し始めているのが現状です。
NFTファッションの特徴・メリット
では、一般的なデジタルファッション、またはリアルなファッションアイテムと比較して、NFTファッションならではの特徴やメリットとは何でしょうか?
それは以下の4点です。
- コピー品を抑止できる
- ファッションの自由度が広がる
- 二次流通時にもブランドやデザイナーにロイヤリティが発生する
- サステナブルなアイテムである
くわしく説明しましょう。
コピー品を抑止できる
まず第一に、NFTの最大のメリットである「唯一性」により、コピー商品が出回るのを抑止することができます。
人気ブランドやハイブランドのファッションアイテムにはコピー品が横行し、真贋の判別が難しいという問題がありました。
が、NFTファッションは、NFTトークンを紐づけることで「この1点がオリジナル作品である」ということを証明・確認することが可能です。
そのため、コピー品を作っても「本物」と偽って販売することが困難になり、偽造防止につながるのです。
これは、ブランド側が利益を侵害されることを防ぐことができるだけでなく、買い手側にとっても、以下のようなメリットとなります。
・オリジナルかコピーかの区別が容易につくので、偽造品を買ってしまうリスクがなくなる
・そのデザイナー、ブランドの「唯一のオリジナル品を所有したい」というコレクター心理も満たされる
ちなみに、このメリットはデジタルファッションに限ったものではありません。
リアルなファッションアイテムに、NFTデータが読み取れるタグやQRコードなどをつけることで、「これが唯一のオリジナルです」と証明できるようになりますので、コピー品との区別が容易になるでしょう。
二次流通時にもブランドやデザイナーにロイヤリティが発生する
リアルなファッションの世界では、購入したアイテムにプレミアがつき、高額で売買されるケースがよくあります。
ハイブランドのバッグや時計、スニーカーなどが販売価格の数倍、数十倍で転売されるのがその一例です。
が、このように二次流通によってアイテムの価値が高まっても、それを生み出したデザイナーやブランド側は最初に定価で販売した際の利益以上のものは得られません。
それに対してNFTファッションでは、二次流通においてもデザイナーやブランド側にロイヤリティを還元するように設定することが出来ます。
これは、NFTの取引履歴がブロックチェーン上ですべて公開され、照会できるという特性があるため可能になったことです。
転売が繰り返されると、そのたびにデザイナーにロイヤリティを還元するプログラムを組めばよいのです。
コレクションに適している
また、ファッションにはコレクションアイテムという側面もあります。
スニーカーなどは、何十足も集めておきながら、一度も履かずに箱にしまっておくコレクターも多いでしょう。
が、似たようなものを多数集めて、実際には着用せず飾っておくという行為は、近年重視されている「SDGs」「地球にやさしい持続可能な暮らし」に逆行するものだとも考えられます。
その点NFTファッションは、リアルな素材を用いないため、無駄な廃棄物や有害物質を生むことがなくサステナブルなアイテムです。
また、NFTファッションはデジタルデータで実体がないため、どれだけたくさんコレクションしても保管場所をとりません。
コレクターは、集める対象をリアルなアイテムからNFTファッションにシフトすることで、ムダをなくした環境にやさしいコレクションを実現することができるのです。
経済産業省による実証実験
このように、メリットと可能性の大きいNFTファッションに、国も注目しています。
今年(2022年)3月、経済産業省は「アート × ブロックチェーン」事業に取り組むスタートバーン株式会社への委託事業として、ある実証事業を展開しました。
ファッション業界における展示会の高度化を目指し、以下の3タイプのファッションアイテムを同時に展示販売したのです。
- ① デザイナーがデザインした「一点もののアイテム+NFT」
- ② ①と同デザインの「デジタルファッションアイテム(3DCGデータ)+NFT」
- ③ ②を購入者のポートレート写真と合成した「合成写真データ+NFT」
この事業には、「ANREALAGE(アンリアレイジ)」や「TOMO KOIZUMI(トモ コイズミ)」など5ブランドが参加し、二次流通でのロイヤリティ還元も行われます。
これは、経済産業省が「ブロックチェーン技術を活用し、二次流通において商材に関する情報の真正性と信頼性を担保しながら、制作者への収益還元に関する取組の実証事業」として公募した令和3年度「展示会等のイベント産業高度化推進事業(展示会等における流通・取引の高度化実証事業)」に応じた企画の中から採択されたものです。
デザイナーやクリエイターの権利と利益を守る新しい技術として、国もNFTの活用を探っている段階です。
NFTファッションの事例
ここまでNFTファッションの特徴や現状について説明してきましたが、では実際にどのような作品があるのか、どのようなデザイナーが参入しているのかを知りたいでしょう。
そこでこの章では、NFTファッションの具体的な事例から、いくつかピックアップして紹介しておきます。
Joyfa
Joyfaは最先端のAI・CG技術を元に、デジタル上に存在するファッション(デジタルファッション)のエコシステムを開発する会社です。
”Bring Joy To Fashion” (ファッションに新しい楽しさをもたらす) をミッションに掲げ、現在AR・AI・NFTといった最先端技術を活用した、デジタルスニーカーのエコシステムを構築しています。また、世界的に有名な日本のファッションデザイナー『TOMO KOIZUMI』のラッフルドレスのデジタル化なども手がけました。
JoyfaのNFTスニーカーは、今後リリースを予定しているARアプリにおいてデジタル上での着せ替えやInstagram連携による着せ替え画像の投稿等が可能となる予定です。
Coincheck NFTでは、6月9日よりJoyfaが提供するNFTスニーカーの取扱いを開始しました。取扱いの詳細はこちら。
TOMO KOIZUMI
「TOMO KOIZUMI」は、2021年東京オリンピックでは国歌斉唱を務めたMISIAさんの衣装を担当するなど、世界の舞台で活躍するドレスデザイナー小泉智貴氏が立ち上げたファッションブランドです。
「1-3. 経済産業省による実証実験」で紹介した実証事業にも参加した「TOMO KOIZUMI」は、Coincheck NFTにおいてNFTドレス6作品を今年(2022年)2月に発売しました。
購入したドレスは、デジタル上で着用したり、その写真をSNSに公開することも可能です。
映画『竜とそばかすの姫』コラボ
NFTファッションの特性を生かした事例のひとつとして、「ANREALAGE(アンリアレイジ)」と映画『竜とそばかすの姫』とのコラボレーションが挙げられます。
映画のヒロイン・ベルの衣装をアンリアレイジのデザイナーがデザインしただけでなく、ブランド側は2022年の春夏コレクションを、映画に登場した仮想世界「U」をモチーフにしたステージで展開しました。
さらに、そこで発表したNFTファッション11点を販売、NFT鳴門美術館が総額5,000万円という高値で落札しました。
現在は、美術館公式サイトの「アンリアレイジ×竜とそばかすの姫のNFT作品」ページでも公開されています。
またコインチェックと『The Sandbox』が製作を進めるメタバース都市『OASIS TOKYO』でも、『竜とそばかすの姫』の主人公ベルの衣装デザインを手がけた『ANREALAGE』とのコラボレーション企画を実施することが決定。
今後『※OASIS TOKYO』において、ファッションショーなどのイベントを開催することを検討しています。
(※)コインチェック株式会社は、「OASIS」の運営をはじめとするメタバース事業を、マネックスクリプトバンク株式会社に事業譲渡することを決定し、MCBは本年10月2日付けで同事業を承継することといたしました。 詳しくはこちら
バーチャルブランド「RTFKT(アーティファクト)」
「RTFKT(アーティファクト)」はスニーカーなどのデジタルファッションアイテムを、NFTベースでリリースしているユニークなバーチャルブランドです。
スニーカー市場では、コレクションアイテムとして一度も履かれないままスニーカーが転売流通されている、それなら実態としてのスニーカーは必要ないのではないか……そんな発想から立ち上がったブランドで、基本的にはデジタルアイテムとして売買されますが、希望すればリアルな靴として購入することも可能です。
このブランドが有名になったきっかけは、NFTアート界のスターである10代のデジタルアーティスト・FEWOCiOUSとコラボしたスニーカーが、約3.2億円という高値で7分間のうちに完売したことでした。
日本人アーティストでは、村上隆とのコラボで2万体にもおよぶアバターをデザイン、販売しています。
ちなみにRTFKTは2021年12月、Nikeに買収され、グループの1ブランドとなっています。
ドルチェ&ガッバーナ
イタリアのファッションブランド「ドルチェ&ガッバーナ」も、積極的にNFTへの参入を試みています。
まず2021年9月、ブランド初のNFTコレクションとして「Collezione Genesi(ジェネシス コレクション)」を発表しました。
男性用スーツ、女性用ドレス、ティアラなど9点の作品は、総額6億円以上で落札されています。
これらはデジタルデータだけでなく、実際に着用できるリアルなアイテムの形でも購入者に届けられるそうです。
さらに、今年(2022年)2月には、独自のNFTコミュニティ「DGFamily」を立ち上げました。
特定のNFTを購入してメンバーになると、NFTのコレクションアイテムを購入できるなどの会員限定サービスを利用できます。
バーバリー
イギリスを代表するブランド「バーバリー」の場合は、特定のゲーム内でアバターが着用できるコレクションを発表、販売しています。
「Blankos Block Party(ブランコス・ブロック・パーティー)」というゲームで、プレイヤーはアームバンド、シューズなどさまざまなアイテムを購入、アバターに着せることができます。
ジミー・チュウ
シューズを中心に展開するブランド「ジミー・チュウ」では、2021年10月に初のNFT作品をリリースしました。
作品のひとつは、アーティストのエリック・ヘイズとのコラボレーションで、彼によるグラフィティ・アートの上をスニーカーが歩くように移動していくという動画です。
彼がハンドペイントを施した実物のスニーカーとのセットで、1点もののNFT作品として販売され、1万7,500ドルで落札されました。
また、同時に8,888個のミステリーボックスも販売されています。4種類のハイヒールのNFTが用意されていて、どのアイテムが手に入ったのかは購入後のお楽しみという仕掛けです。
中でもレアなアイテムを獲得した人には、後日発表されるさらに特別なデザインのNFTを入手する抽選に参加できる特典もあり、即日完売したそうです。
NFTファッションの購入方法
各ブランドの事例を見て、「NFTファッションを購入してみたい!」と感じた方も多いのではないでしょうか?
NFTファッションの購入方法は、取引される「NFTマーケットプレイス」によって異なります。
そこでこの記事では、一般的な買い方を簡単に説明しておきましょう。
購入の流れは以下の通りです。
- 暗号資産取引所に口座を開設する
- 取引所で暗号資産を購入する
- ウォレットをマーケットプレイスに同期させる
- マーケットプレイスで欲しいNFTファッションを購入する
暗号資産取引所に口座を開設する
NFTファッションやNFTアートは、基本的に暗号資産で取引されます。
そこでまず、暗号資産取引をしていない人は、コインチェックなどの暗号資産取引所に口座を開設する必要があります。
まず暗号資産取引所を選び、公式ホームページから登録を開始します。
サイトのガイドに従って個人情報を入力し、本人確認書類を提出するのが一般的です。
本人確認書類は、免許証などと一緒に写真に撮って送信するなど、WEB上で提出できるところも多いので、そのような取引所を選ぶと簡単に登録できるでしょう。
取引所で暗号資産を購入する
口座が開設できたら、日本円を入金して暗号資産を購入します。
NFTファッションやNFTアートの取引は、現金ではなく暗号資産で行われるため、その原資を用意する必要があります。
しかし、マーケットプレイスや作品のアーティストによって、どの暗号資産で取引できるかが異なりますので、欲しい作品がどの暗号資産で購入できるかを確認しておきましょう。
ウォレットをマーケットプレイスに同期させる
次に、MetaMask(メタマスク)などの暗号資産の「ウォレット」をマーケットプレイスに同期させます。
ウォレットとは、暗号資産取引で使うバーチャルなお財布のようなもので、ここから暗号資産を送ったり受け取ったり、保管することができます。
ウォレットから購入した暗号資産を送金したうえで、NFTファッションを購入したいマーケットプレイスと接続します。
マーケットプレイスで欲しいNFTファッションを購入する
これで購入準備が整いました。
いよいよマーケットプレイスで欲しいNFTファッションを選び、購入しましょう。
多くのマーケットプレイスでは、サイト上で作品を選択して「購入」ボタンをクリックするだけで購入できます。
さらにくわしい購入方法が知りたい場合は、以下のリンク先も参照してください。
NFTファッションの作り方・販売方法
さて、「NFTファッションが欲しい」という人の一方で、「自分でNFTファッションを作ってみたい、売ってみたい!」と希望する人もいるでしょう。
そこで最後に、NFTファッションの作り方と販売方法についても簡単に触れておきましょう。
その手順は以下の通りです。
・デジタルファッションをつくる
・デジタルファッションをNFTマーケットプレイスにアップする
くわしく説明しましょう。
デジタルファッションをつくる
デジタルアートには、2D作品、3D作品、動画などさまざまなタイプがありますが、デジタルファッションの場合は身に着けるものをデザインするので、基本的には3Dモデリングができるソフトウエアで作成します。
中には、誰でもデジタルファッションを簡単にデザインし、取引できるプラットフォーム「The Fabricant Studio」などもローンチされていますので、利用してみてもよいでしょう。
ただ注意したいのは、作品ができてもその時点ではまだそれは単なるデジタルファッションだということです。
NFTの特徴である「唯一性」は備わっていません。
それを付与するのは次のステップです。
デジタルファッションをNFTマーケットプレイスにアップする
デジタルファッションが作成できたら、NFTマーケットプレイスにアップします。
まず利用したいマーケットプレイスを選んで、アカウントを作成します。
アカウントができたら、作品データのアップロードです。
アップロード方法は、マーケットプレイスによって異なりますので、公式サイトの指示通りに行ってください。
アップロードが完了すれば、これで販売が可能になります。
価格を設定し、売りに出してみましょう。
ちなみに販売方法には、主にこちらで決めた固定価格での販売と、オークションとがありますので、好きな方を選んでください。
まとめ
いかがでしたか?
NFTファッションに関して、知りたいことがわかったかと思います。
ではもう一度、要点をまとめてみましょう。
◎「NFTファッション」とは
デジタルデータとして作成されたファッションアイテムに、NFTを結びつけることで「唯一性」を持たせたもの
◎NFTファッションの特徴・メリット
・コピー品を抑止できる
・二次流通時にもブランドやデザイナーにロイヤリティが発生する
・サステナブルなアイテムである
◎NFTファッションの購入方法
- 暗号資産取引所に口座を開設する
- 取引所で暗号資産を購入する
- ウォレットをマーケットプレイスに同期させる
- マーケットプレイスで欲しいNFTファッションを購入する
以上を踏まえて、あなたもNFTファッションを自由に楽しめるよう願っています。