『The Sandbox』×コインチェックが考える新たな価値の創造とかたちとは

ゲームメタバース『The Sandbox(サンドボックス)』創業者であるセバスチャン・ボルジェ氏とコインチェック 常務執行役員(NFT・メタバース・IEO・Web3等新規事業担当)天羽健介のインタビューをお届けします。『The Sandbox』のサービス紹介、両社のビジョン、Coincheck NFTで取扱いをしているNFTのLAND、暗号資産取引所Coincheckで上場したゲーム内の暗号資産「SAND(サンド)」について語ります。

『The Sandbox』の歩みと現在

天羽健介(以下、天羽):The Sandboxシリーズは、2012年にモバイル版をリリースし、2016年には続編がリリースされ、大規模なコミュニティに成長しています。今までの流れを教えて下さい。

セバスチャン・ボルジェ(以下、セバスチャン):2012年5月にモバイル版『The Sandbox』の第一弾を発表してから、ちょうど10周年を迎えました。

少し遡りますが、2017年に『CryptoKitties』や『CryptoPunks』といった最初のNFTプロジェクトが生まれました。私たちはすぐに「ブロックチェーン」という技術がUGCゲームである『The Sandbox』を実現する鍵となり、デジタル資産の保有という概念を支えるものであることを確信しました。UGCとNFTを組み合わせることで、あらゆるクリエイターが自分のNFTを作り、ゲーム内で使用し、収益化できるようになる道がひらいたことを意味しています。これをきっかけにして、ブロックチェーンとUGCエコシステムを掛け合わせるというアイデアが生まれました。

2018年以降、私たちはクリエイターをエンパワーできたらと考えてきました。『The Sandbox』は様々なクリエイター(3Dエディター、ノーコードゲームメーカー、アバタークリエイターなど)や300以上のブランドといったステークホルダー、そしてウォレット登録をいただいている300万人のユーザー、そして20,500のLANDオーナーと共にモバイルゲームからマルチプレイヤーゲームのプラットフォームに進化し、新しいデジタル空間の壮大なムーブメントに成長し続けています(※)。

(※)ブランド、ユーザー、LANDオーナーの数は2022年6月時点のものです。

『The Sandbox』が実現したい未来

天羽:『The Sandbox』のスタートから今までの流れについて解説いただきありがとうございました。続いて、『The Sandbox』を企画・運営される中で大切にされていること、実現したい未来など、思い描かれるビジョンについて聞かせていただけたらと思います。

セバスチャン:私たちは、コミュニティそしてユーザーを第一に考え、価値創造と報酬システムを軸にして『The Sandbox』を構築してきました。これらが私たちの原動力なのです。『The Sandbox』はクリエイターに収益の95%を還元するUGCを前提とした分散型のバーチャルエコノミーであり、インタラクティブな体験を豊富に提供するオープンメタバースです。

『The Sandbox』では、プレイヤーやクリエイターが自ら作成したものや購入したアイテムの所有が可能です。私たちは『The Sandbox』というプラットフォームを、テクノロジーを駆使して創作活動が現実世界の延長線上にあるように構築できたらと考えています。没入感があるソーシャルな空間で、アバターを通じて体験できる新しいエンターテインメントとデジタル表現の可能性を追求しています。また、これらのデジタルアセットを所有・共有・取引できることによって、オープンメタバースは革命的なコンセプトとなり、私たち『The Sandbox』のエコシステムの中核となっています。

『The Sandbox』コミュニティのメンバーはクリエイティビティを通じて、リアルな人生とは別の人生を体験しています。メンバー同士の交流も活発で、多くの人が『The Sandbox』上でデジタル上のビジネスチャンスを見出しています。

オープンメタバースである『The Sandbox』

天羽:『The Sandbox』ではこれまでの「プレーヤー」と「作り手」といったくっきりとした境界線ではなく、インタラクティブにそれぞれの領域を越境しながらオープンメタバースとオープンエコノミーが作られている印象です。プロデュースする中で考えられている事はどのような事でしょうか?

セバスチャンメタバースはユーザーによって形造られています。私たちは、年齢、民族、国、社会的地位、教育などの区別なく、誰でもメタバースにアクセスできることを大切にしています。メタバースが生み出す様々な機会や何百万もの仕事には平等にチャンスがあることを意味しています。すでに『The Sandbox』から数々の新しい才能が生まれていますし、学校では教えてくれないようなスキルをゲームの中で学ぶことができるのです。

メタバースの4つの重要な課題は、創造性とコンテンツ、テクノロジー、そして安全性です。テクノロジーの急速な進化とUGCの創造性が相まって、これまでにない没入型の体験や新しい形のエンターテイメントが生まれるでしょう。これらはバーチャルリアリティの枠にとらわれず新しいアバター表現やデジタルアイデンティティを通じてもたらされるかもしれません。

新たなデジタル空間での体験をプロデュースする中で、ゲームを核としながらもエンターテインメント、アート、ファッション、音楽、バーチャルコンサート、バーチャルショーなど想像を超える「新たな価値の創造」の可能性を探っています。

世界的なアーティストJamiroquai氏の代表曲のひとつ「Virtual Insanity」を「The Sandbox」上で披露

日本で暗号資産(SAND)とNFT(LAND)の両方のGatewayができることの価値

天羽:『The Sandbox』の色々な可能性を探る冒険をご一緒できたらと思います!SANDトークンはここで出てきた「新たな価値の創造」の主軸になると思います。日本で「SAND」が上場することの意味、日本で暗号資産(SAND)とNFT(LAND)の両方のゲートウェイができることの価値についてどのようにお考えでしょうか?

セバスチャン:日本は暗号資産のアーリーアダプターであり、多くのイノベーションが生まれたマーケットでもあります。個人投資家そして企業の両者が大規模に参画しないWeb3の未来は考えられません。『The Sandbox』にはすでに多くのウォレット登録しているユーザーがおり、各国には活発なコミュニティが存在する優れたメタバースプロジェクトとなっています。

日本での「SAND」の上場は『The Sandbox』だけでなく日本のWeb3全体にとっても良いニュースです。日本のユーザーが『The Sandbox』のエコシステムへアクセスしやすくなるというメリットがあります。

私たちは『The Sandbox』をどこにいても誰でもアクセスできる真にグローバルなデジタル空間にしたいと考えています。だからこそ、日本の『The Sandbox』ユーザーのエコシステムへの参加も大切なポイントなのです。

「SAND」取り扱い開始

コインチェックでは2022年5月24日より暗号資産「SAND」の取扱いを開始

『The Sandbox』× コインチェックで取り組みたいこと

天羽:我々コインチェックも「※OASIS TOKYO」や「SAND」の取扱いや、各種の取組みを通じて、新たな価値の創造の冒険にご一緒させていただけたらと思います。コインチェックに期待することは何ですか?

セバスチャン:コインチェックがどのように「OASIS TOKYO」を仕上げるのか、とても楽しみにしています。

「Web3へのアクセスを万人にひらく」ことは『The Sandbox』の最も重要な目標の1つです。それが実現してこそ、真の意味での分散型のメタバースとなれるのです。『The Sandbox』は、何千人ものクリエイターとイノベーションによって、常に進化し続けるプロダクトです。コインチェックによって日本のユーザーが「SAND」にアクセスしやすくなったことは、『The Sandbox』の未来に参加・投資できるようになったことを意味します。

「LAND」を作り、NFTやブロックチェーンについて学ぶことは最初の一歩です。また、日本のクリエイターやLANDオーナーが、他の文化や国のクリエイターとコラボレーションし、才能を発揮できるような機会を作れたらと考えています。日本の創造性と革新性の長い歴史を考えると、この橋渡しは『The Sandbox』、そしてWeb3全体にとって素晴らしいニュースであると言えるでしょう。

天羽:『The Sandbox』についてのお話をいただきありがとうございました。引き続きよろしくお願いいたします。

Sebastien Borget(The Sandbox COO)と天羽 健介(コインチェック株式会社 常務執行役員)

Sebastien Borget(The Sandbox COO)と天羽 健介(コインチェック株式会社 常務執行役員)

(※)コインチェック株式会社は、「OASIS」の運営をはじめとするメタバース事業を、マネックスクリプトバンク株式会社に事業譲渡することを決定し、MCBは本年10月2日付けで同事業を承継することといたしました。 詳しくはこちら